健康診断では、バリウム検査が行われることが一般的です。
いったいバリウム検査はなんのために行われるのでしょうか。
また、バリウム検査を受けるときに注意すべき事はあるのでしょうか。
本記事では、健康診断のバリウムについて以下の点を中心にご紹介します。
- 健康診断のバリウム検査の目的
- 健康診断のバリウム検査を受けるときの注意点
- 健康診断のバリウム検査は必ず受けなくてはいけないのか
健康診断のバリウムについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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健康診断とは
健康診断とは、身体測定や各種検査によって個人の健康の尺度を把握することです。
主な目的は、生活習慣病を始めとする種々の病気の早期発見・治療や病気の予防です。
健康診断の代表的な検査は、以下の通りです。
- レントゲン
- バリウム検査
- 検便
- 胃カメラ
出典:厚生労働省【健診 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
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健康診断のバリウム検査でわかること
健康診断の一環として、バリウム検査が行われることがあります。
健康診断のバリウム検査では、なにがわかるのでしょうか。
バリウム検査の方法
バリウム検査とは、バリウムを飲んで消化器官の内部をX線で撮影する方法です。
正式には、「上部消化管X線検査」といいます。
バリウムとは、胃部造影剤の事で、鉱物の粉末を水に溶かしたものです。
バリウムには、X線を吸収する性質があります。
バリウムを飲んだあとは、検査台の上に横たわってX線撮影に臨みます。
検査中は、検査台の上で身体の向きを変えたり、上下左右に回転させたりすることもあります。
身体を動かす理由は、バリウムをしっかり胃壁に粘着させるためです。
バリウムがしっかり胃壁に粘着しないと、小さな病変などを見逃す可能性があります。
バリウム検査終了後は、下剤を飲んでバリウムを排出します。
バリウムは消化器官では消化・吸収されず、放置していても、そのまま便として排出されます。
しかしバリウムはすぐに固まる性質があるため、放置すると便秘になるおそれがあります。
そのため、バリウム検査後は下剤を利用して速やかな排泄を試みます。
バリウム検査によってわかる病気
バリウム検査によってわかるのは、食道・胃・十二指腸の病気です。
たとえば以下のような病気が代表的です。
【食道の病気】
- 食道がん
- ポリープ
【胃の病気】
- 胃がん
- 胃潰瘍
- 急性胃炎
- 慢性胃炎
- ポリープ
【十二指腸の病気】
- 十二指腸潰瘍
- 十二指腸がん
- ポリープ
バリウムを飲んでレントゲンを撮ると、消化器官の中は基本的に真っ白に写ります。
もし、黒っぽく写っている部分があるときは、なんらかの病気が疑われます。
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健康診断でバリウム検査を受ける際の注意点
健康診断で、バリウム検査があるときの注意点をご紹介します。
バリウム検査を受ける2日前〜当日は、次のようなことに注意してください。
- アルコールの摂取は、2日前から控える
- 健康診断前日は、夕食を8時までに済ませ、消化のよいものを食べる
- 健康診断当日の飲食は、控える(水のみOK)
- バリウム検査3時間前から、水の摂取も控える
- 健康診断当日のたばこ・飴・ガムは禁止
- 常備薬は、朝6時までに服用する
バリウム検査を行うときに注意すべきポイントは「胃にものを残さない」ことです。
胃に食べ物などが残っていると、X線撮影したときに映り込んでしまい、精確な診断ができないためです。
胃を刺激するような行動も控えましょう。
たとえばガムを食べたりたばこを吸ったりすると、胃が刺激されて活発化しやすくなります。
胃の動きが活発化すると、バリウムを飲んだときに食べ物と勘違いしやすくなります。
具体的には、バリウムを消化・吸収しようとして腸のほうに押し流してしまうのです。
健康診断のバリウム検査で異常が出た場合
健康診断のバリウム検査で異常が出た場合は、消化器官の疾患が疑われます。
疾患を特定するために、次は精密検査に進む事が一般的です。
代表的な精密検査は、胃カメラです。
ただし、バリウム検査で異常が出たからといって、必ずしも深刻な病気とは限りません。
反対にバリウム検査で異常がない場合でも、病気ではないとは断定できません。
バリウム検査の結果にかかわらず、なにか消化管での不調を抱えている場合は、病院で改めて詳細な検査を受けましょう。
健康診断のバリウムと胃カメラの違い
健康診断のバリウム検査と胃カメラのもっとも大きな違いは、精度です。
胃カメラは、バリウム検査に比べると、より詳細に食道・胃・十二指腸の様子を把握できます。
胃カメラは、内視鏡検査とも呼ばれています。
内視鏡という小型のカメラがついた細い管を食道から胃に通し、体内の様子を画像で確認する方法です。
胃カメラでは、直接胃や食道の中を確認できます。
そのため、胃壁などの変色・ポリープ・潰瘍の状態などを詳細に知ることが可能です。
一方、バリウム検査では白黒写真で消化器官内の様子を確認します。
バリウムの粘着具合が悪かったり、病変が小さかったりする場合は、異常を見逃すこともあります。
バリウム検査の精度は、胃カメラの1/1000以下ともいわれています。
より精度の高い診断を受けるため、胃カメラを受けて、直接病変などを確認してもらうことが大切です。
健康診断でのバリウム検査は義務ではない
35歳以上の方の健康診断には、一連の流れとしてバリウム検査が含まれていることが一般的です。
しかし、実は健康診断のバリウム検査は義務ではありません。
厚生労働省が健康診断で義務づけている検査項目は、以下の通りです。
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上記の表からも、バリウム検査は健康診断の必須項目ではないことがわかります。
そのため、企業などの健康診断でバリウム検査を拒否したとしても罰則はありません。
しかし、バリウム検査は胃がん発見のキッカケにもなることも多いです。
胃がんなどの早期発見につなげるためにも、バリウム検査はできれば受けるのがおすすめです。
出典:厚生労働省【労働安全衛生法に基づく定期健康診断】
健康診断のバリウムのまとめ
ここまで健康診断のバリウムについてお伝えしてきました。
健康診断のバリウムの要点を以下にまとめます。
- 健康診断のバリウム検査の目的は、胃・食道・十二指腸の病気を調べる事
- 健康診断のバリウム検査を受けるときの注意点は、前日~当日の飲食を制限して、胃に食べ物を残さないこと
- 健康診断のバリウム検査は、厚生労働省が定める必須項目ではないため、必ずしも受けなくてもよい
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。