花粉症や食物、動物など様々なアレルギーで困っている方は少なくありません。
中には、自分に何のアレルギーがあるか知りたい方もおられるでしょう。
また、アレルギーはどのような手順で調べるのか、気になることもあります。
アレルギーの検査は、何科に受診すればよいでしょうか?
アレルギー検査の流れは、どのような手順になっているのでしょうか?
本記事ではアレルギー検査について以下の点を中心にご紹介します。
- アレルギーの原因とは
- アレルギー検査ができる診療科とは
- アレルギー検査の流れとは
アレルギー検査について理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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アレルギーとは
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アレルギーとは、異物に対する免疫反応の結果様々な症状を起こしてしまう状態をいいます。
アレルギー物質(アレルゲン)が体内に入ると、免疫機能によりアレルゲンを排除しようと働きます。
その結果、免疫機能はIgE抗体という物質を作り出し、「感作」という状態になります。
一度感作状態になると、アレルゲンが侵入した際、様々なアレルギー症状を引き起こします。
幼少期は、アトピー性皮膚炎からはじまります。
続いて食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎などが出現することが多いです。
アレルギー症状の連鎖をアレルギーマーチと呼び、小児アレルギーの課題となっています。
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アレルギーの原因
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アレルギーの原因は、上述の通りアレルゲンによる感作状態の獲得です。
幼少期は、皮膚からアレルゲンが侵入して感作を引き起こす「経皮感作」に注意が必要です。
従来はアレルギーのうち、食物アレルギーは腸からの感作が原因と考えられていました。
しかし、皮膚バリア障害による経皮感作が、食物アレルギーを悪化させるとの報告があります。
アレルギーを起こすアレルゲンには様々な種類があります。
代表的なアレルゲンの種類は以下の通りです。
アレルゲンの種類 | 具体的な項目 |
食物アレルゲン | トマト、モモ、キウイ、ゴマ、バナナ、そばなど |
花粉アレルゲン | スギ、ヒノキ、ブタクサなど |
環境アレルゲン | ネコ皮膚、イヌ皮膚、ダニなど |
その他アレルゲン | カンジダ、アスペルギルス、ラテックスなど |
注意を要するアレルギーの原因となる食品
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食物アレルギーの原因となる食品は、様々なものがあります。
消費者庁は、アレルギーの原因となる食品について、食物アレルギー表示を義務付けています。
具体的には以下の通りです。
特定原材料7品目
症例数が多く重篤化しやすい食品7品目は、特定原材料に指定されています。
食品表示基準において、表示が義務付けられています。
特定原材料7品目は、以下の通りです。
えび | かに | 小麦 | そば |
卵 | 乳 | 落花生(ピーナッツ) |
特定原材料に準ずるもの21品目
特定原材料7品目ほどではないですが、過去に一定数健康被害が見られた21品目があります。
食品表示基準において、表示が推奨されています。
特定原材料に準ずるもの21品目は以下の通りです。
アーモンド | あわび | いか | いくら |
オレンジ | カシューナッツ | キウイフルーツ | 牛肉 |
くるみ | ごま | さけ | さば |
大豆 | 鶏肉 | バナナ | 豚肉 |
まつたけ | もも | やまいも | りんご |
ゼラチン |
出典:消費者庁【加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック】
アレルギーの主な症状
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アレルギーの症状は、アレルギーを引き起こす体の部位により異なります。
疾患別によるアレルギーの主な症状は以下の通りです。
- 気管支喘息:喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、咳、痰がからむなど
- アトピー性皮膚炎:体や手足、首などのかゆみ、皮膚の赤みやブツブツ、湿疹など
- アレルギー性鼻炎:くしゃみ、鼻水(水溶性)、鼻づまりなど
- アレルギー性結膜炎:目のかゆみ、涙、充血、むくみなど
- 食物アレルギー:皮膚症状(口、喉のかゆみなど)、消化器症状(嘔吐、下痢など)
出典:神奈川県【アレルギー疾患の主な症状と予防】
アレルギー検査は何科で受けるか
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検査を受ける場合は、アレルギーの症状に準じた診療科を受けることをおすすめします。
子供の場合は小児科、大人の場合は内科で相談しましょう。
アレルギー性皮膚炎の場合は皮膚科、アレルギー性鼻炎は耳鼻科や内科に相談しましょう。
アレルギー専門のアレルギー科を掲げている病院もあるため、確認しましょう。
病院によっては、検査できる項目が限られている場合があります。
詳しい検査が必要と判断された場合は、アレルギー専門の病院に紹介してもらいましょう。
アレルギー検査の流れ
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食物アレルギーを調べる場合、病院では以下の流れで検査や診断がなされます。
具体的には以下の通りです。
問診
問診では、医師がアレルギーの症状が出現した食物のことについて質問します。
問診は、アレルゲンを特定する上で重要な過程になるので、詳しく医師に伝えましょう。
出典:環境再生保全機構【食物アレルギー診断確定までの流れ】
また、問診の際に伝える必要があるポイントは、以下の通りです。
- 食物の内容:食物の種類や調理方法、加工食品の食品表示など
- 食物の量:タンパク質の量は、アレルギー症状に比例するため具体的な量を伝える
- 時間:食後症状があらわれるまでの時間、症状の持続時間など
- 症状の特徴:皮膚症状、消化器症状、気道症状、口腔粘膜症状、全身症状など
- 重複性:同じ食物を摂取したときに同様の症状が出現したかどうか
検査
アレルギーの検査は3つあり、状態に応じて組み合わせて行います。
具体的には以下の通りです。
皮膚テスト
皮膚テストは、アレルゲンを少量皮膚に接触させてアレルギー反応を調べる検査です。
皮膚テストは、プリックテストとパッチテストの2種類があります。
プリックテストは、即時型アレルギーを調べる検査です。
花粉症やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど様々な即時型アレルギーが検査できます。
プリックテストの検査方法は、以下の通りです。
- アレルゲンを1滴皮膚に落とす
- アレルゲンを落とした場所にプリック針を静かに刺す
- ティッシュで素早く拭く
- 15分後皮膚の状態を観察する
パッチテストは、遅延型アレルギーを調べる検査です。
アレルギー性接触皮膚炎(金属、ゴム手袋、化粧品など)を調べる最も有用な検査法です。
パッチテストの検査方法は、以下の通りです。
- アレルゲンを背中もしくは上腕の外側に貼付
- 48時間後皮膚の状態を観察する
皮膚テストのメリットは、迅速性があり経済的負担も少なく感度がよい点です。
また、血液検査で評価できないアレルゲンも検査することができます。
一方、デメリットは僅かですが、全身性の副反応が誘発される可能性がある点です。
また、抗ヒスタミン薬を服用中の場合、すぐに皮膚テストを行うことができません。
血液検査
血液検査は、アレルゲンに対する血液中の抗原特異的IgE抗体の量を測定する検査です。
特異的IgE抗体は、200種類以上あるアレルゲンに対応しています。
測定値は、0〜6の7段階にクラス分けでき、クラス2以上はアレルギー陽性になります。
血液検査のメリットは、アナフィラキシーなどの誘発がなく、再現性の高い点です。
また、抗ヒスタミン薬を服用中でも、影響なく検査できます。
一方デメリットとしては、定められた項目以外のアレルギーは検査できない点です。
血液検査は、検査するアレルギーの項目数によって、いくつか種類があります。
具体的には以下の通りです。
【View39】
アレルギー症状の主要原因となる39項目を一度に検査できます。
MAST36と比較し、昆虫が加わっている点や食品や環境アレルゲンなど一部異なります。
アレルゲンの種類 | 項目数(項目) | 内容 |
食物アレルゲン | 20 | ミルク、小麦、卵白、オボムコイド、ゴマ、ソバ、大豆、米、ピーナッツ、マグロ、サケ、サバ、エビ、カニ、豚肉、牛肉、鶏肉、キウイ、バナナ、リンゴ |
花粉アレルゲン | 8 | スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、ヨモギ、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ |
環境アレルゲン | 6 | ハウスダスト、ヤケヒョウヒダニ、イヌ皮屑、ネコ皮屑、ガ、ゴキブリ |
その他アレルゲン | 5 | アスペルギルス、カンジダ、アルテルナリア、マラセチア属、ラテックス |
【MAST36】
アレルギー症状の主要原因となる以下の36項目を一度に検査できます。
アレルゲンの種類 | 項目数(項目) | 内容 |
食物アレルゲン | 20 | ミルク、小麦、卵白、オボムコイド、ゴマ、ソバ、大豆、米、ピーナッツ、マグロ、サケ、エビ、カニ、豚肉、牛肉、鶏肉、トマト、モモ、キウイ、バナナ |
花粉アレルゲン | 8 | スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、ヨモギ、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ |
環境アレルゲン | 4 | ハウスダスト、コナヒョウヒダニ、イヌ皮屑、ネコ皮屑 |
その他アレルゲン | 4 | アスペルギルス、カンジダ、アルテルナリア、ラテックス |
【MAST48mix】
MAST36に以下の12項目が追加された検査です。
サバ | ヘーゼルナッツ | アーモンド | くるみ |
ナガハグサ | ハルガヤ | ギョウギシバ | オオブタクサ |
ブタクサモドキ | ヤケヒョウヒダニ | ペニシリウム | クラドスポリウム |
【イムノキャップラピッドアレルゲン8】
指先からの採血が可能な検査で、一度に以下の主要8項目のアレルゲンを検査できます。
ヤケヒョウヒダニ | ネコ皮屑 | イヌ皮屑 | シラカンバ |
ヨモギ | カモガヤ | ブタクサ | スギ |
食物負荷試験
実際にアレルゲンの可能性のある食物を摂取し、症状を確認する検査です。
アレルゲンを1回、または複数回に分割して摂取して症状の有無を確認します。
アレルゲンを特定することができ、アレルゲン摂取量を決定することができます。
また、除去している方に対し、摂取量増加の可否について確認することができます。
食物負荷試験は、自己判断で行うとアナフィラキシーなどのリスクがあり大変危険です。
家庭では絶対に行わないようにし、医師の診察とともに行いましょう。
診断
上記検査をもとに、アレルギーを診断します。
食物アレルギーの場合、確定診断には以下の2つが確認できる必要があります。
- 特定の食物摂取によりアレルギー症状が誘発(問診又は食物負荷試験で評価)
- 特定の食物に感作がある(血液検査、皮膚テストが陽性)
アレルギー検査の費用
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アレルギー検査にかかる費用は、検査項目の数や、保険適用になるかどうかによっても変わります。
アレルギー検査は、アレルギー症状がすでにあらわれていて、医師が検査の必要性を認めた場合に保険が適用されます。
一般的なアレルギーの有無を検査できるView39やMAST48などの検査では、保険適用で5,000円〜6,000円程度が相場のようです。
また、自宅で検査可能なキットの場合は2万円〜4万円前後です。
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アレルギー検査を受けるタイミング
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食物などアレルギー症状を疑う出来事があれば、速やかに受診することをおすすめします。
アレルギー検査は月齢や年齢の制限はなく、先生と相談して検査を受けることができます。
6歳未満の場合は鶏卵、小麦、乳、ピーナッツの4品目のみ検査できます。
また、アレルギーは大人になって、突然発症する場合があります。
子供と同様に、アレルギーを疑う出来事があった場合は、速やかに受診しましょう。
検査の結果、アレルギーの原因が特定できると、様々な対処法が選択でき改善につながります。
しかし、採血検査で陽性となった食物を全て除去することは、適切ではありません。
後述の食物負荷試験を行い、適正量など確実な診断を受けてください。
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自宅でアレルギー検査キット
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アレルギー検査キットを購入することにより、自宅で検査をすることができます。
遅延型アレルギーと花粉・環境アレルゲンに関する検査ができます。
指先から少量の血液を採取するキットが主流です。
採取した検査キットを郵送して検査してもらい、1週間〜10日後に結果が届きます。
アレルギー検査キットを使用するにあたって、メリットとデメリットがあります。
具体的には以下の通りです。
メリット
メリットは、病院に通わず自宅で検査できる点です。
ウェブサイトから購入できる商品もあるため、簡単にキットを探すことができます。
精度は高く、病院の検査結果に類似します。
デメリット
少量ですが、採血による侵襲があるため感染のリスクがあります。
また、保険診療外となり、検査キット代が2〜4万円程度かかります。
即時型アレルギーを検査するキットは、現状のところありません。
確定診断をする場合は、病院に行き食物負荷試験などを受ける必要があります。
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アレルギー検査結果の信用性
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アレルギー検査のうち、血液検査や皮膚テストの信頼性は50〜60%といわれています。
半数の方は、間違って陽性(偽陽性)と判断されている可能性があるということです。
食物アレルギーの場合は、血液検査と皮膚テストは補助的診断レベルで評価されます。
あくまで検査陽性=食事除去にならないよう、実際の食事場面で確認する必要があります。
一方、喉や鼻などから吸収されるアレルゲンは、信頼性が高いといわれています。
喉や鼻などから吸収されるアレルゲンは、スギ花粉やダニ、ハウスダストなど環境アレルゲンが含まれます。
アレルギー疾患の年齢別患者構成割合の特徴
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厚生労働省はアレルギー疾患の年齢別患者構成割合について報告しています。
特徴としては以下の通りです。
- 喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎とも44歳以下が半数以上を占める
- 喘息とアレルギー性鼻炎は0~19歳に多いが、45歳以上でも4割近く発症している
- アトピー性皮膚炎は20~44歳に多く、年齢とともに減少している
- 結膜炎は、70歳以上が4割以上と最も多い
全体として若い人に多い傾向があることが認められます。
また、なんらかのアレルギー疾患を持った推計患者数は年々増えていると報告されています。
出典:厚生労働省【アレルギー疾患の現状等】
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アレルギー検査まとめ
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ここまでアレルギー検査まとめについてお伝えしてきました。
アレルギー検査の要点をまとめると以下の通りです。
- アレルギーの原因物質(アレルゲン)は食物、花粉、環境など様々である
- アレルギー検査ができる診療科は、子供は小児科、大人は内科や皮膚科などがある
- アレルギー検査の流れとは、問診、各種検査、食物負荷試験を経て診断される
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。