職場や学校の健康診断にて尿検査をしたことのある方も多いかと思います。
尿検査をすることで蛋白尿の有無がわかります。
そもそも蛋白尿とはどういったものなのでしょうか？
蛋白尿はどのようなときに出るのでしょうか？
本記事では蛋白尿の原因について以下の点を中心にご紹介します。
- 蛋白尿が出る一般的な原因とは
- 蛋白尿の原因を調べる検査とは
- 病気が原因の蛋白尿の治療について
蛋白尿の原因を知るためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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蛋白尿とは？
そもそも蛋白尿とはどういったものなのでしょうか？
腎臓はザルのようになっており、不要なものがろ過されて尿として体外に排出されます。
蛋白尿とは、尿がろ過されて行く過程で何らかの原因で尿中に蛋白質が混じってしまった尿を指します。
以下で詳しく説明していくので、参考にしてください。
蛋白尿自体は病気ではない
蛋白尿とは、蛋白質が多い尿のことです。
1日に150mg以上の蛋白質が尿中にある場合には、蛋白尿と診断されます。
蛋白尿自体が病気なのではなく、症状の一種として現れるのが蛋白尿です。
例えば、腎臓の病気の1つの症状として蛋白尿が出現するといった形になります。
状態によって出る時と出ない時がある
蛋白尿が出た際には心配になる方も多いかと思います。
しかし、蛋白尿が一度出たからといって、ただちに精密検査が必要な危険な状態であるわけではありません。
体調によって出たり、出なかったりすることが多いので、後日検査をした際には出ない可能性もあります。
そのため、随伴症状も含めて総合的に判断することが大切になります。
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蛋白尿の症状と自覚症状
蛋白尿は、尿中に蛋白質が混入している状態を指します。
これは、健康な人では通常見られない現象であり、腎臓や尿路系の異常を示唆することが多いです。
蛋白尿が発症すると、特定の症状や自覚症状が現れることがあります。
蛋白尿の主な症状
蛋白尿の発症は、尿中に蛋白質が混入することで確認できます。
健康な人では、尿中に蛋白質や血液成分が混入することは稀です。
しかし、腎臓の病気やその他の疾患が原因で蛋白尿が発症することがあります。
例として、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症、高血圧や膠原病による腎障害などが挙げられます。
これらの疾患は、腎臓のフィルタリング機能が低下することで、蛋白質が尿中に漏れ出ることが原因となります。
蛋白尿の自覚症状
蛋白尿自体は、初期段階では自覚症状が少ないのが特徴です。
しかし、病気が進行すると、
- むくみやからだのだるさ
- 食欲不振
- 呼吸困難
- 不眠
- 頭痛
- しびれ
これらの自覚症状が現れることがあります。
特に、蛋白尿とともに血圧が高い場合、腎臓の機能低下が進行しやすくなります。
蛋白尿や血尿が確認された場合、これらの自覚症状があると、病状の進行を示す危険信号となるため、早急な医療機関の受診が推奨されます。
蛋白尿の判断について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
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蛋白尿が出る一般的な原因とは？
次に蛋白尿が出る一般的な原因について紹介していきます。
以下で考えられる原因について説明していくので参考にしてください。
病気である可能性
尿蛋白は以下の病気が原因で出ることがあります。
結石
結石とは腎臓の働きが低下することで、不要な異物が石のように結晶化してしまうものです。
結石はできた場所や移動した場所によって名称が異なります。
例えば、腎結石・膀胱結石・尿管結石などがあります。
結石の痛みは非常に強く、じっとしていられないような激しい痛みを伴うことが多いです。
膀胱炎・尿道炎
膀胱炎は何らかの理由で膀胱に炎症が起きる病気です。
尿道や膀胱に細菌などが入ることが原因で引き起こされます。
身体の構造上、膀胱炎は女性に多く、尿道炎は男性に多い病気です。
症状については、頻尿や残尿感、排尿時痛などが出現します。
ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群では腎臓に炎症が起きることで腎機能が低下します。
尿に蛋白質が流れ出てしまうので、血液中に必要な蛋白質は不足してしまいます。
その結果、むくみや体重増加、低アルブミン血症などが出現する病気です。
ネフローゼ症候群では、塩分制限や利尿剤投与やステロイド療法などの治療が行われます。
重度になると、肺や心臓などにも水がたまり危険な状態になるので注意が必要です。
生理的な現象
病気が原因ではない蛋白尿のことを「生理的蛋白尿」といいます。
生理的蛋白尿の原因としては、激しい運動後や発熱時、女性の場合は生理中や妊娠時にも一過性で出現することがあります。
これらはすべて一時的な症状になるので、時間の経過と共に自然に良くなるケースがほとんどです。
ストレス
疲労やストレスがたまっていると、蛋白尿が出ることがあります。
疲労がたまると、全身に悪影響を及ぼしますが、身体の回復が追い付かない状態となります。
また、ストレスにて自律神経が不安定になると、身体の機能も低下します。
これらのことから、疲労やストレスにて腎機能が低下し、蛋白尿が出ることがあります。
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蛋白尿の原因は年齢や性別によって異なる
次に年齢や性別ごとの蛋白尿の原因について紹介していきます。
以下でそれぞれの項目ごとに詳しい説明をしていくので、参考にしてください。
女性に多い蛋白尿の原因
まずは女性に多い蛋白尿の原因について紹介していきます。
女性特有の体調の変化を以下に挙げて説明していきます。
生理中
生理中に尿検査をすることで経血が尿中に混じることがあり、蛋白尿と診断されることがあります。
基本的に生理中には尿検査を行わないのはこのためです。
生理前であっても膣からの分泌物によって蛋白尿が出ることもあるので、注意が必要です。
また、生理中はホルモンバランスの変化にて身体はストレスを抱えています。
このストレスが腎臓にも影響して蛋白尿が出ることがあります。
妊娠中（妊婦）
妊娠中は妊婦の身体に大きな負担がかかっています。
母体内にいる胎児の分まで蛋白質のろ過が必要になるので、腎機能が追い付かず蛋白尿が出ることがあります。
検診で一度や二度、蛋白尿が出る分には問題ありませんが、毎回出る場合には注意が必要です。
このような場合には、妊娠高血圧症候群の可能性があるので治療が必要になることもあります。
産後
妊娠高血圧症候群を発症している妊婦は、産後も蛋白尿が出現することがあります。
出産を機に徐々に良くなるケースがほとんどなので、大きな問題はありません。
さらに産後は授乳や夜泣きなどによる睡眠不足などで、精神的にも身体的にもストレスがかかりやすいです。
このような疲労などの影響にて蛋白尿が出現することもあるようです。
子どもに多い蛋白尿の原因
子どもの場合には「起立性蛋白尿」と呼ばれる蛋白尿が出ることがあります。
これは思春期ややせ型の子どもにみられやすいものです。
成長の過程で一時的に出る蛋白尿なので、病的なものではありません。
成長するとともに蛋白尿は出なくなるのでご安心ください。
万が一成長期を過ぎても蛋白尿が健康診断のたびに出るような場合には、精密検査をおすすめします。
高齢者に多い蛋白尿の原因
年を重ねるにつれて筋力や認知機能などが低下していきますが、腎機能も同じように低下します。
加齢によってさまざまな病気にかかりやすくなるので、高齢者はさまざまなリスクがあります。
そのため、蛋白尿の他に高血圧や血尿、むくみなどの症状がある場合には受診することをおすすめします。
蛋白尿の原因を調べる検査
次は蛋白尿に関する検査について紹介します。
以下で詳しく説明していくので、参考にしてください。
試験紙による蛋白尿の検査
試験紙による蛋白尿の検査では、蛋白尿が出ているのか否かを調べます。
反応の程度によって以下のように表されます。
- (-)：陰性
- (±)：偽陽性
- (+)：陽性
この検査結果を確認して蛋白尿が出ていることがわかったら詳しい検査に移る流れになります。
血液検査や画像検査など一般的な検査
尿検査にて蛋白尿が出ていることがわかったら次は、病気が隠れていないか調べていきます。
血液検査やレントゲンやCT、MRIなどの画像検査によってより詳しい状態がわかります。
このような一般的な検査にて腎臓に病気がある可能性があれば、腎生検を行うことが多いです。
尿定量検査
試験紙による蛋白尿の検査結果が陽性であった場合には、尿定量検査を行うことが一般的です。
尿定量検査は、24時間ためた尿中にどの程度の蛋白質が含まれているのか調べる検査になります。
数値としては、蛋白質が15mg/dl以下であれば陰性となるのでご安心ください。
15～30mg/dlであれば擬陽性で、30mg/dl以上だと陽性と診断されます。
腎生検
腎生検とは、腎臓の一部の組織をとることで詳しい検査を行うものです。
局所麻酔をしたあとに皮膚の表面に生検用の針を刺し、腎臓まで針を進めて組織をとります。
腎生検で取った組織は顕微鏡検査に出し、腎臓の病気の診断や治療方針を決めるのに使用されます。
病気が原因の蛋白尿の治療
蛋白尿の原因が病気であった場合には治療が必要になります。
以下で治療方法の一例を紹介するのでご覧ください。
食事療法
腎臓病で最も重要な食事療法のポイントは、塩分を制限することです。
塩分は1日6g以下に控えることが大切です。
しかし、日本人が古くから好んで食べてきた和食には、塩分が高いものが多いです。
例えば、ごはんにあうおかずや漬物、醤油などは塩分が高いものが多いです。
1日6g以下というのは、普段の生活で平均的に摂取している塩分量の半分程度です。
そのため、この数値まで塩分を控えることは非常に難しいと言われています。
病院であれば腎臓病食と呼ばれるものがあり、細かく塩分制限を行えます。
しかし、自力で行うとなると工夫が必要です。
例えば塩味の代わりに香辛料などを使用して味付けを工夫したり、醤油をかけるのではなく、付けることで摂取量を減らせます。
病状によっては蛋白質制限を行うこともあります。
蛋白質制限にはリスクも伴うので、独自の判断で行うことはせずに、医療機関で正しい指導を受けることをおすすめします。
運動療法
病気の種類にもよりますが、腎臓病が原因の場合には安静が必要な状態にて、筋力や身体機能が低下している場合があります。
このような状態を放置しておくと寝たきりになることもあるので注意が必要です。
リハビリテーションでは、体調に合わせて有酸素運動や簡単な筋肉トレーニングが行われることが多いです。
無理はせずに運動を取り入れることで、健康寿命を伸ばすことにもつながるので、医師と相談しながら進めることをおすすめします。
投薬治療
蛋白尿の治療は原因になる病気によって異なります。
そのため、代表的な投薬治療の一例を以下に挙げます。
高血圧は腎臓に負担を与えるので、降圧剤の内服にて血圧コントロールを図るケースがあります。
また、ステロイド薬の内服によって炎症反応を抑えることができるので、腎臓の炎症を抑えることができます。
この他にもむくみの症状が出現している場合には、利尿剤の内服が行われます。
利尿剤はむくみを改善させる以外にも血圧を下げる効果も期待できます。
蛋白尿の予防方法
蛋白尿は、腎臓の健康状態を示す指標として知られています。
健康な人の尿には微量のたんぱく質が含まれていますが、その量が増加すると蛋白尿と診断されることがあります。
蛋白尿を下げるための生活習慣
蛋白尿を下げるためには、腎臓に負担をかける食材の摂取を控えることが重要です。
特に、たんぱく質や塩分の過剰摂取は避けるよう心掛けましょう。
また、肥満の予防、禁煙、十分な睡眠の確保などの生活習慣の改善も蛋白尿の予防に役立ちます。
食事のポイント
尿蛋白の予防のための食事のポイントとして、たんぱく質の適切な摂取が挙げられます。
たんぱく質は体にとって必要な栄養素であるため、適切な量を摂取することが大切です。
また、食塩の摂取量は1日3〜6gを目安にし、加工食品や塩分の多い食品は控えるようにしましょう。
生活習慣の見直し
腎臓の健康を維持するためには、日常の生活習慣の見直しが必要です。
特に、睡眠不足やストレスは腎臓に負担をかける要因となるため、これらを適切に管理することが重要です。
蛋白尿を持つ人の日常生活での対処法
蛋白尿を持つ人は、さらに以下の点に注意することが推奨されます。
定期的な受診
腎臓の健康状態を把握するため、定期的に腎臓内科医に受診することが重要です。
血圧の管理
高血圧は腎臓に悪影響を及ぼすため、血圧を適切な範囲に保つことが必要です。
禁酒・禁煙
適度な運動を取り入れ、アルコールの摂取や喫煙を控えることで、腎臓の健康をサポートすることができます。
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蛋白尿と血尿の違いは？
ここからは蛋白尿と血尿の違いについて紹介していきます。
以下で原因や症状、特徴の違いを説明するので、ぜひご覧ください。
原因
蛋白尿の原因としては、疲労やストレスなどの体調の変化や結石や膀胱炎などが挙げられます。
健康な人であっても蛋白尿が出ることはあるので、比較的軽症なことが多いです。
一方で血尿の原因としては、蛋白尿と同じように結石や膀胱炎なども挙げられますが、悪性腫瘍などの命に関わるケースもあります。
症状
蛋白尿や血尿の症状は、その原因によって異なります。
結石が原因であれば強い痛みを伴う場合も多く、膀胱炎などの炎症が原因であれば発熱を伴うことがあります。
蛋白尿に関しては、無症状のケースも多いです。
血尿であれば血尿の程度にもよりますが、濃い血尿になると血の塊が尿管や膀胱に詰まって自然に排尿することが難しくなることがあります。
このようなケースでは膀胱を洗浄することが必要になるケースがあります。
血尿を放置すると腎不全を起こし、透析が必要になるような場合もあるので注意が必要です。
特徴
蛋白尿は尿検査などで知ることが多く、一時的なものであれば問題ないケースが多いです。
ただし、尿に含まれる蛋白質の量が多いと、細かな泡がみられることもあるようです。
このようなケースでは、受診して精密検査をしてもらうことをおすすめします。
一方で血尿については、肉眼的にわかるので気づきやすいことが特徴です。
血尿の原因として悪性腫瘍などの重篤になりやすい病気が隠れているケースもあります。
そのため、血尿がみられた場合にはただちに泌尿器科を受診することをおすすめします。
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蛋白尿と原因が深い慢性腎臓病とは
最後に蛋白尿と原因が深い慢性腎臓病について紹介していきます。
慢性腎臓病とは「腎機能が低下している状態が慢性的に持続し、蛋白尿が継続的に出ている状態」のことです。
腎臓の機能が60％以下に低下し、尿に蛋白質が混じっている状態が続くと慢性腎臓病と診断されます。
慢性腎臓病が悪化すると腎不全となり、人工透析や腎移植が必要になる場合もあります。
さらに腎臓の動脈が硬くなってくると、腎硬化症を引き起こすこともあります。
この腎硬化症には急激に症状が悪化する悪性腎硬化症と徐々に腎機能が低下する良性腎硬化症があります。
良性腎硬化症の初期であれば蛋白尿がみられないこともあるので注意が必要です。
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蛋白尿の原因に関するよくある質問｜Q&A
蛋白尿とは何ですか？
蛋白尿とは、尿中に通常より多くの蛋白質が存在する状態を指します。
健康な人の尿中にも微量の蛋白質は排出されますが、その量が多くなると蛋白尿と診断されます。
蛋白尿の主な原因は何ですか？
蛋白尿の主な原因には、
- 腎臓の病気（例: 腎炎、腎硬化症）
- 高血圧
- 糖尿病
- 尿路感染
- 体外傷
- 一時的な体のストレス
などがあります。
糖尿病が蛋白尿の原因となる理由は？
糖尿病が長期間管理されていない場合、高血糖が腎臓の小細胞、特に糸球体を傷つける可能性があります。
これにより、蛋白質が尿中に漏れ出すことが起こり、蛋白尿となります。
蛋白尿の症状はどのようなものがありますか？
蛋白尿自体に特有の症状は少ないですが、進行すると、
- 浮腫（特に足や顔の腫れ）
- 尿の泡立ちが多くなる
- 疲れやすくなる
これらの症状が現れることがあります。
しかし、これらの症状が出る前に早期発見するために定期的な健康診断が重要です。
蛋白尿が確認された場合、どのような治療や対処が必要ですか？
蛋白尿の原因により治療方法は異なります。
まず、原因を特定するための詳しい検査が行われます。
糖尿病や高血圧が原因の場合は、その疾患の治療と合わせて腎機能の保護が重要です。
感染症が原因の場合は抗生物質などの治療が行われます。
症状や原因に応じた適切な治療を受けることが重要です。
蛋白尿の原因のまとめ
ここまで蛋白尿の原因についてお伝えしてきました。
蛋白尿の原因についての要点を以下にまとめます。
- 疲労やストレスにて健康な人であっても一時的に蛋白尿が出ることがある
- 尿定量検査や血液検査、画像検査などで尿蛋白の有無や原因を調べる
- 蛋白尿の原因によっては、塩分・蛋白質制限などの食事療法が行われる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
