蛋白尿とは、腎臓や泌尿器の機能障害が原因で、尿に必要以上に蛋白質が出てしまう状態をいいます。
また、尿の見た目は淡黄色、褐色、赤褐色など病気が原因で色が変わることがあります
では、蛋白尿の見た目には、どのようなことがあるのでしょうか。
本記事では、蛋白尿の見た目について以下の点を中心にご紹介します。
- 尿の見た目から考えられる病気とは
- 服用薬による尿の色の変化とは
- 尿のにおいから考えられる病気とは
蛋白尿の見た目について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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蛋白尿とは
蛋白尿とは、腎臓や泌尿器の機能障害が原因で、尿に必要以上に蛋白質が出てしまうことをいいます。
健康な方の尿には、ごく微量な蛋白質が含まれます。
しかし、一定量以上の蛋白質が排出されることを蛋白尿といいます。
腎臓は、老廃物を含んだ血液をろ過して、尿を作る働きがあります。
尿を作るときに、体にとって必要な蛋白質は再吸収されて血液に戻ります。
しかし、腎臓や尿管などの泌尿器に異常があると、蛋白質が再吸収されずに尿中に排出されてしまいます。
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尿の色や見た目から考えられる病気
尿の見た目から考えられる病気について
- 淡黄色~淡黄褐色
- 無色透明
- 白く濁っている
- 泡立っている
- 褐色
- 赤色
- 赤褐色
などがあります。
以下でそれぞれ具体的にご紹介いたします。
淡黄色~淡黄褐色
健康な方の尿の色は、淡黄色~淡黄褐色です。
淡黄色~淡黄褐色は、血液を分解したときに出る代謝物であるウロビリンの色になります。
ウロビリンは、常に一定量が排出されています。
水分の摂取量が多いときは体内の水分量調節のために、たくさんの水分が尿として排出されます。
そのため、ウロビリンの量も減り、透明に近い色になります。
体内の水分が多いときは尿が増えて色が薄くなり、水分が少なければ尿量が減り濃い色になります。
無色透明
水分を多めに摂ったときに見られる尿の色は、ほぼ無色透明です。
体内の水分が増加するため、腎臓の循環血量が増えることで水っぽく色の薄い尿になります。
また、アルコールには利尿作用があるため、アルコールをたくさん摂取したときにも色の薄い尿になります。
白く濁っている
尿がやや白く濁っている場合は、細菌と戦う白血球が尿に含まれているため、白血球の白い色があらわれています。
しかし、白血球のほか、リン酸塩、炭酸塩、しゅう酸などの結晶が出ていることもあります。
しゅう酸が多い場合、結石の原因になります。
白く濁った尿は、膀胱や腎臓などが細菌に感染する尿路感染の疑いがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
泡立っている
勢いよく尿が出ると泡立ちが見られますが、通常は時間とともに泡は消えます。
しかし、泡がなかなか消えない場合は、しばらく尿の様子を確認しましょう。
特に毎日朝の尿が泡立っているとき、同じ時間に泡立ちが見られるときなどは注意が必要です。
蛋白尿や糖尿の可能性があるため、尿検査を受けて原因を調べましょう。
褐色
褐色の尿は、脱水症状をあらわしていることがあります。
また、何らかの原因でヘモグロビンが血中に出てきてしまい、腎臓から尿中に排出されるヘモグロビン尿の可能性もあります。
また、肝炎や肝硬変など、肝臓の病気の場合は、ビリルビンなどの色素が混じっている可能性があります。
赤色
赤色の尿というのは、いわゆる血尿が出ているということになります。
体内で尿が作られて、排出されるまでのどこかに出血が起きている可能性があります。
赤い色の尿が出たときは、膀胱炎、尿管結石、前立腺炎などが考えられます。
重症の場合は、膀胱や腎臓などの癌の可能性もあります。
血尿ということは、命の危機に直結する病気から緊急性のない病気までさまざまな病気の可能性が考えられます。
赤褐色
赤褐色の尿が出ている場合は、ミオグロビンが大量に放出されている可能性があります。
横紋筋融解症の方の尿は、コーラ色と表現されるような赤褐色の尿になります。
腎臓への負担が続くと、最終的には腎不全へと進行して、代謝性アシドーシス、高カリウム血症などのリスクが高くなります。
また、命に関わる不整脈があらわれることがあります。
服用薬による尿の色・見た目の変化
薬を飲むことで、尿や便の色が変わることがあります。
尿や便の色が変わる理由には、
- 薬そのものの色や薬の代謝物によって変わる
- 病気や薬の副作用により色が変わる
などが考えられます。
しかし、尿や便の着色は薬を飲んだ方、全員に起こるわけではありません。
また、必ずしも特定の色になるわけではなく、薬の量の違いや体質などにより色は変わってくることもあります。
薬が原因で尿の色が変化していると思わずに、気になる症状がある場合は、医師に相談することが大切です。
以下から服用薬による尿の色の変化についてご紹介します。
黄色~琥珀色
黄色~琥珀色の尿の場合は、ビリルビン尿という状態が考えられます。
そのほか、考えられる病気は以下のとおりです。
- 肝炎
- 胆石
白色
白っぽい尿は、以下の病気が考えられます。
- 腎盂腎炎
- 膀胱炎
- 前立腺炎
- 尿道炎
- 腎結核
- 癌(前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌)
また、蛋白が尿から出るネフローゼ症候群の可能性があります。
赤色~茶褐色
赤色~茶褐色などの尿の色は、血尿が疑われます。
尿路の中でも出口に近い尿道や膀胱からの出血が考えられます。
考えられる病気は
- 膀胱炎
- 腎炎
- 尿管結石
などがあります。
まれに、膀胱や腎臓などの尿路の腫瘍が原因で、血尿が出ることもあります。
そのため、少しでも血尿が出た場合は病院を受診しましょう。
茶褐色~黒色
茶褐色~黒色の尿の場合は、腎臓から出血している可能性があります。
尿の色が黒ずんでいるのは、血液が混ざってから排出するまでに時間が経っているため、黒ずんだような尿になります。
尿が作られたときに血液が混ざった可能性があり、腎臓の異常により血尿が出ている可能性があります。
考えられる病気には
- アルカプトン尿症
- 悪性黒色腫
などがあります。
青色~緑色
青色~緑色の尿が出るときは、緑膿菌による膀胱炎感染などの病気の可能性があります。
また、抗うつ薬の服用でも青色~緑色の尿になることがあります。
尿の色が気になる場合は、病院で検査することをおすすめします。
尿のにおいから考えられる病気
尿のにおいには
- 不快なアンモニア臭
- 魚が腐ったようなにおい
- 甘酸っぱいにおい
- メープルシロップのような甘いにおい
- ネズミの尿のようなにおい
などがあります。
以下でそれぞれみていきましょう。
不快なアンモニア臭
不快なアンモニア臭を感じるときは、尿路のどこかで感染症が起こっていることが考えられます。
考えられる主な病気には
- 腎盂腎炎
- 膀胱炎
- 尿道炎
- 前立腺炎
などが挙げられます。
排尿したての尿から不快なアンモニア臭を感じた場合、尿を作る過程で何らかのトラブルが起きていると考えられます。
魚が腐ったようなにおい
魚が腐ったような臭いを感じる場合は、トリメチルアミン尿症という病気が考えられます。
トリメチルアミン尿症とは、分解されるトリメチルアミンが肝機能で分解されずに、尿や体に異臭を発する病気です。
遺伝子の変異により幼少期から症状があらわれる方や、肝臓や腎臓疾患が原因で発症する方がいます。
トリメチルアミン尿症は根本的な治療方法がないため、体臭が出にくい食べ物を選ぶなどの食事療法を行います。
甘酸っぱいにおい
りんごのような甘酸っぱいにおいがするときは、脂肪分が分解されて作られるケトン体が尿に出ている可能性があります。
ケトン体にはアセトンが含まれており、アセトンが甘酸っぱい臭いを発します。
尿が甘酸っぱいにおいになる原因には、糖尿病や脂質不足、激しい運動の後などが考えられます。
メープルシロップのような甘いにおい
メープルシロップのような甘いにおいがする場合は、糖尿病がかなり進行した状態と考えられます。
糖尿病の方の尿は、代謝機能のトラブルから甘いにおいを感じます。
また、お酒を飲んだ後などに、一時的に甘いようなにおいがすることもあります。
ネズミの尿のようなにおい
ネズミの尿のようなにおいがある場合は、フェニルケトン尿症という病気が考えられます。
フェニルケトン尿症とは、血液中の過剰なフェニルアラニンが、フェニル酢酸に変化して尿中に混ざります。
フェニル酢酸はネズミのようなにおいがあるため、尿がネズミ臭い場合は、フェニルケトン尿症が考えられます。
尿検査でわかること
尿検査では以下の項目について調べます。
- 尿蛋白
- 尿糖
- 尿潜血
- 尿沈渣
- 尿比重
上記の項目を調べることで腎臓病、膀胱、尿管、尿道、糖尿病などの病気の可能性が調べられます。
また、心臓病や肝臓病、ストレス、妊娠までも尿検査で知ることができます。
そのため、簡易的な健康診断でも必ず実施されている検査です。
尿検査は病気がなくても、体の状態などで異常値が出ることがあります。
しかし、当然病気が隠れていることも考えられます。
とくに、毎年の検査で異常値が出ている場合は、病気の可能性が高くなります。
蛋白尿が出ても心配いらないもの
生理的蛋白尿とは、激しい運動や長時間立ったままの姿勢、風邪などによる発熱などが原因で、一時的に認められる蛋白尿です。
原因が解消されれば、蛋白尿はなくなります。
以下から、蛋白尿が出ても心配いらないものについてご紹介いたします。
機能性蛋白尿
機能性蛋白尿は、腎臓の血流の増加により、ネフロンに送られる蛋白質量が増加することで尿中の蛋白質が増加します。
機能性蛋白尿は、腎臓の血流が正常に戻ると消失します。
起立性蛋白尿
起立性蛋白尿とは運動などの刺激により、尿中に蛋白がわずかに出現することで起きる蛋白尿です。
蛋白尿の量は少なく、安静時には尿蛋白が見られません。
通常の生理現象の範囲内とされており、腎臓の働きが悪化することはないため、生活の制限もありません。
蛋白尿の基準値
蛋白尿の検査は尿に試験紙を入れて、蛋白質が含まれているかを調べます。
尿中の蛋白が15mg/dl以下が陰性、15~30mg/dlで擬陽性、30mg/dl以上だと陽性となります。
蛋白尿の検査結果が陽性の場合は再検査となり、24時間貯めた一日分の尿を採取し、再度検査します。
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蛋白尿は腎臓からのSOS
蛋白尿が陽性ということは、腎臓の機能が低下している状態です 。
蛋白尿の陽性が続くと慢性腎臓病となり、悪化すると人工透析が必要になります。
蛋白尿は、腎臓に何らかの異常が起きていることを示すSOSのような役割を担っています。
腎臓という臓器は、必要なものを体に貯めて、不要なものをろ過して尿として排出する働きがあります。
一度悪くなってしまった腎臓は再生することができません。
しかし、蛋白尿を改善させることで腎機能を保護できます。
蛋白尿の原因にもよりますが、腎機能を保護するには、食事、運動、薬の治療が大切です。
食事の治療では塩分を減らして、野菜や果物、蛋白質の量を調整しましょう。
運動では、有酸素運動や筋力を鍛える運動が適しています。
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蛋白尿の見た目のまとめ
ここまで、蛋白尿の見た目の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 尿の見た目から考えられる病気には、糖尿、血尿、尿路結石症、横紋筋融解症など
- 服用薬による尿の色の変化には、薬の色や薬の代謝物、病気により色が変わる
- 尿のにおいから考えられる病気には、膀胱炎、尿道炎、トリメチルアミン尿症など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。