健康診断の検査項目に中性脂肪値をあらわす脂質検査があります。
中性脂肪は脂質異常症などの生活習慣病と密接な関係があります。
中性脂肪値が異常になる原因には何があるでしょうか?
中性脂肪の数値はどうすれば改善できるでしょうか?
本記事では健康診断の中性脂肪について以下の点を中心にご紹介します。
- 健康診断で中性脂肪を調べる検査について
- 健康診断で中性脂肪が高い原因について
- 健康診断で中性脂肪が低い原因について
- 中性脂肪の数値を改善する方法について
健康診断の中性脂肪について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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健康診断とは
健康診断は生活習慣病など種々の病気の早期発見・早期治療・予防を目的に行われます。
自覚症状が出にくい病気なども見逃さないために定期的な健康診断の受診が大切です。
検査では以下のような項目を行います。
- 問診
- 身体測定
- 血圧測定
- 血液検査
出典:厚生労働省【特定健康診査の検査項目 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
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健康診断で中性脂肪を調べる検査
健康診断で中性脂肪を調べる検査について以下の3つを説明します。
出典:厚生労働省【中性脂肪 / トリグリセリド | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
中性脂肪とは
中性脂肪は生命維持に必要なエネルギーとしてブドウ糖を補完する役割があります。
エネルギーとして利用した中性脂肪の残りは肝臓や脂肪組織、皮下、血中に蓄えられます。
中性脂肪は血液中に存在する脂肪の1つで、その他には
- コレステロール
- リン脂質
- 遊離脂肪酸
などがあります。
中性脂肪はコレステロールと共に動脈硬化の危険因子であり、多すぎると生活習慣病のリスクになります。
しかし中性脂肪は少なすぎても必要なエネルギー源に影響を与えます。
血液検査で調べる
中性脂肪の血液検査は健康診断の血液検査の種類のうちの脂質検査になります。
脂質検査では以下の3つを調べます。
- 中性脂肪
- HDLコレステロール
- LDLコレステロール
中性脂肪の血液検査では動脈硬化の危険因子である脂質代謝の量を調べます。
中性脂肪の基準値
中性脂肪は数値によって以下の病気が疑われます。
- 中性脂肪値が高い:動脈硬化、脂質異常症、脂肪肝、急性膵炎
- 中性脂肪値が低い:肝硬変、低栄養
中性脂肪は多すぎても少なすぎても好ましくありません。
中性脂肪の判定基準値は以下の表の通りです。
【中性脂肪の基準値】
(単位:mg/dL)
要精密検査 ・ 治療 | 異常なし | 軽度異常 | 要再検査 ・ 生活改善 | 要精密検査 ・ 治療 |
29以下 | 30~149 | 150~299 | 300~499 | 500以上 |
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健康診断で中性脂肪が高い原因・低い原因
健康診断で中性脂肪が高い又は低い数値が出る原因について以下に説明します。
高い原因
健康診断で中性脂肪値が基準値より高い原因には以下のようなものがあります。
脂質の多い食べ物の過剰摂取 | アルコールの過剰摂取 |
脂質異常症 | 糖尿病 |
ネフローゼ症候群 | 膵炎 |
甲状腺機能低下症 | 体質(脂肪が血液中に溜まりやすい) |
ストレス |
肥満の原因である脂質の多い食べ物やアルコールの過剰摂取以外にも中性脂肪値が高くなることがわかります。
低い原因
健康診断で中性脂肪値が基準値より低い原因には以下のようなものがあります。
極端な食事制限 | アスリート並みの過度な運動 |
肝機能に問題がある | 甲状腺機能亢進症 |
体質 | 遺伝 |
体質や遺伝以外の原因が該当しない場合は、中性脂肪を蓄えにくい体質と考えられます。
意識して脂質が多くとれる食習慣を心がけましょう。
中性脂肪の数値は前日の食事の影響も大きい
中性脂肪の数値は前日の食事の影響が大きいので食事について以下の2つを説明します。
適した食事
血液検査は「空腹時」の数値を基準にしています。
食事が全身に吸収され「空腹時」状態で検査を受けるように、前日に食事制限します。
健康診断の前日の食事は21時以降は摂らないように制限します。
前日の食事は消化の良いものや塩分・糖分を控えめの以下のようなものにしましょう。
- 煮込みうどん
- おかゆ
- 野菜スープ
- 焼き魚(白身)
- 鶏ささみのサラダ
控えた方が良い食事
前日の食事は消化の悪いものや塩分・糖分過多のものは避けるようにしましょう。
いずれも血液検査で中性脂肪の数値に影響を与える可能性があります。
具体的には以下のような食事を避けましょう。
- 肉や揚げ物、ラーメンなど脂質の多いもの
- ゴボウやレンコンなど固くて噛み応えのあるもの
- キノコや海藻類など食物繊維が多く含まれるもの
- ケーキやお菓子、穀物類など糖分が多く含まれるもの
なお、前日の飲酒は肝機能・中性脂肪・血糖などの検査に影響を与えるので厳禁です。
前日の21時以降から健康診断の当日まで飲み物でも以下のようなものは避けましょう。
- 牛乳など脂質の多いもの
- スポーツドリンクや果実・野菜ジュースなど糖分を多く含むもの
- コーヒーやエナジードリンクなどカフェインを多く含むもの
健康診断の中性脂肪で引っかかった際の再検査
健康診断の血液検査で異常が出た場合に以下のような判定が出ます。
それぞれの診断の意味と結果に対する適切な対応を説明します。
出典:【日本人間ドック学会「判定区分 2022年度版」】
【要経過観察】
「要経過観察」は日本人間ドック学会「判定区分 2022年版」で「要再検査・生活改善」に改訂されました。
改善の理由は以下の通りです。
- 再検査時期を明記し受診者の行動を明確に指示する
- 画像検査・生理検査などは1年後の再検査としても良い
- 経過観察、定期的検査、症状があれば受診など不明瞭な記載はしない
- 血圧は家庭血圧測定を推奨する
再検査・生活改善の指示に従い確実に行動するようにしましょう。
【要再検査】
「要再検査・生活改善」に表記が改訂され再検査時期が明記されます。
再検査・生活改善の指示に従い確実に行動するようにしましょう。
【要精密検査】
「要治療」と「要精密検査」は「判定区分 2022年版」で「要精密検査・治療」に改訂されました。
改訂の趣旨は精密検査を行うか治療を行うかの判断は紹介先が決定するからです。
「要精密検査・治療」の結果が出た場合は、紹介先を確実に受診しましょう。
【要治療】
「要精密検査・治療」の結果に基づき、紹介先を確実に受診しましょう。
中性脂肪の検査で「要再検査・生活改善」の判断が出た場合は指示に従い確実に行動することが大切です。
受診診療科は内科になります。
また中性脂肪は生活習慣と密接に関係しています。
日常生活の中で以下のような生活改善に努めることが大切です。
- 適正体重の維持
- 脂肪分・糖分を控える
- 飲酒を控える(推奨:1日25gのアルコールに抑える)
- 適切な運動習慣(推奨:1日30分以上の有酸素運動)
出典:厚生労働省【アルコールと脂質異常症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
中性脂肪の数値を改善する方法
中性脂肪の数値を改善する方法には以下の2つがあります。
それぞれの方法についてご紹介します。
食事
中性脂肪を減らすには以下のような食材が効果的です。
- DHAやEPAを多く含む魚介類の摂取(イワシやサバなど)
- 食物繊維の多い食材の摂取(海藻、キノコ、野菜など)
- 植物性タンパク質が多い食材の摂取(大豆類)
中性脂肪を減らすには食事の作り方にも以下のようなポイントがあります。
- 和食中心の食事にする
- 脂質の量を意識して揚げ物より焼き中心の料理にする
- 主食を白米に比べ食物繊維の豊富な玄米にする
また中性脂肪を減らす際には以下のような点に注意が必要です。
- 過度な糖質制限(エネルギー不足や意識障害の恐れがある)
- 油や脂質の無理な断ち(魚介類の油は中性脂肪を減らす効果がある)
運動
中性脂肪を減らすのに効果的なのは「筋トレ」と「有酸素運動」の組み合わせです。
筋トレは基礎代謝を高めて有酸素運動でエネルギー消費アップを促進するからです。
筋トレではスロースクワットやプランク(体幹トレーニング)などがおすすめです。
有酸素運動は、1日30分以上で週3回以上を継続して行なうのが効果的なやり方です。
体内の脂肪を燃焼させてエネルギーに変えるのに30分以上の有酸素運動が必要だからです。
有酸素運動でおすすめなのはウォーキングやジョギングです。
ウォーキングやジョギングの運動強度は徐々に上げるようにするのが良いでしょう。
中性脂肪の摂り過ぎは生活習慣病の原因になる
中性脂肪は人にとって重要なエネルギー源ですが摂りすぎは生活習慣病の原因になります。
中性脂肪を摂りすぎると体脂肪として蓄積し肥満につながります。
肥満は脂質異常症、糖尿病、高血圧など生活習慣病と関係があります。
糖尿病などの生活習慣病が重なるとメタボリックシンドロームの発症にもつながります。
メタボリックシンドロームの診断基準にも血液中の中性脂肪の値が示されています。
血液中の中性脂肪値が150mg/dl以上を「高トリグリセライド血症」とされています。
出典:厚生労働省【中性脂肪 / トリグリセリド | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
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健康診断の中性脂肪のまとめ
ここまで健康診断の中性脂肪についてお伝えしてきました。
健康診断の中性脂肪についての要点を以下にまとめます。
- 中性脂肪は健康診断の血液検査のうち脂質検査で脂質代謝の量を調べる
- 中性脂肪が高い原因は脂質の多い食べ物やアルコールの過剰摂取、脂質異常症、糖尿病、ネフローゼ症候群などがある
- 中性脂肪が低い原因は極端な食事制限や運動、肝機能障害、甲状腺機能亢進症などがある
- 中性脂肪の数値を改善するには中性脂肪を減らす食事内容の見直しと有酸素運動などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。