身体に病気がないかを調べるために、会社や自治体の健康診断を受けているという方は多いかもしれません。
一方で、積極的に人間ドックを受けているという方は少ないのではないでしょうか。
人間ドックの検査項目は、健康診断よりもはるかに多くなります。
どのような検査項目があるのか気になりますよね。
本記事では人間ドッグの項目について以下の点を中心にご紹介します。
- 人間ドックのメリットとは
- 人間ドックの項目の特徴とは
- 人間ドックと健康診断の項目の違いとは
人間ドッグの項目について理解するためにもご参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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人間ドックとは
人間ドックとは、病気の予防や早期発見のために行われる任意の検査です。
人間ドックは医療機関が独自に検査項目を設定しており、全身を対象に行われるコースもあれば、特定の部位を対象とするコースなどもあります。
一方で、会社や自治体などで行われる健康診断は検査項目が年齢によって決まっています。
なお、人間ドックにかかる費用はすべて自己負担となります。
また、検査の種類や項目によって、費用は変化します。
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人間ドックの項目一覧
人間ドックの検査項目は、会社や自治体で行う健康診断よりも多くあります。
一般的な人間ドックの検査項目と検査内容を見ていきましょう。
身体計測
身体計測の項目では、身長と体重を測り、BMI値を計測します。
痩せすぎや太り過ぎといった体の状態が客観的にわかります。
とくに太り過ぎの場合、
- 高血圧
- 糖尿病
- 高中性脂肪血症
- 高尿酸血症
といったリスクが高まります。
生活習慣病を見逃さないためにも大切な検査です。
血圧
血圧の項目では、血圧計を使って血圧を測定し、心臓のポンプ機能や血管の状態が正常かどうかを検査します。
血圧は、血管壁にかかる圧力の縮小期と拡張期を数値化したものです。
肥満気味の方は血圧が高くなる傾向にありますが、痩せていても血圧が高い方もいます。
心電図
心電図の項目では、心臓の筋肉に流れる電流を記録します。
電流の流れ具合によって、心臓に異常がないかどうかを調べます。
心電図でわかる病気は、
- 不整脈
- 狭心症
- 心筋梗塞
などです。
眼
眼の項目では、視力検査だけでなく、眼圧検査や眼底検査も行います。
眼圧が高い場合には、緑内障などが疑われます。
緑内障は、中高年の失明原因の第1位といわれています。
しかし、日本人に最も多い緑内障は眼圧が正常なタイプであるため、眼底検査も一緒に受けることがおすすめです。
眼底検査では眼底の血管の様子などから、
- 動脈硬化
- 糖尿病
などが発見できます。
聴力
聴力の項目では、低音域と高音域の聴力を検査します。
聴力検査によって、補聴器などの補助が必要かどうかなどがわかります。
呼吸機能検査
呼吸器機能検査の項目では、マウスピースをくわえて息を思いきり吸ったり吐いたりすることで、
- 肺の硬さ
- 吸い込める空気の量
- 排気のしやすさ
などを検査します。
評価が標準肺活量よりも低い場合は、
- 間質性肺炎
- 肺線維症
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
などを疑います。
胸部X線
胸部X線の項目では、背中から胸に向かってX線を照射して検査をします。
胸の画像によって、
- 肺炎
- 結核
- 肺がん
- 気胸
の有無などがわかります。
上部消化管X線
上部消化管X線の項目では、造影剤であるバリウムを飲んでX線写真を撮り、
- 食道
- 胃
- 十二指腸
を検査します。
- ポリープ
- 潰瘍
- がん
などを発見することができます。
上部消化管内視鏡
上部消化管内視鏡の項目は、いわゆる「胃カメラ」と呼ばれるものです。
口または鼻から内視鏡カメラを挿入し、消化管の内側を検査します。
患部の色や形状などを肉眼で見ることができ、
- ポリープ
- 初期のがん
の発見には非常に有効な検査方法となります。
腹部超音波
腹部超音波の項目は、超音波を出す装置を腹部に当てて、腹部の内部を画像として映し出す検査です。
- 肝臓
- 膵臓
- 胆嚢
- 腎臓
などに異常がないかなどを調べることができます。
また、胆嚢にたまった結石を発見することもできます。
血液検査
血液検査の項目では、血液に含まれるさまざまな成分を検査します。
血液検査から得られる情報は非常に多く、
- 貧血
- 肝臓異常
- 腎臓異常
- 脂質異常症
- 糖尿病
などがわかります。
尿検査
尿検査の項目では、尿を採取して、
- 尿蛋白
- 尿糖
- 尿潜血
- 尿沈渣
- 尿比重
などを検査・測定します。
尿検査をすることで、
- 腎機能低下
- 尿路結石
- 膀胱炎
- 糖尿病
- がん
などの発見に役立ちます。
検便
検便の項目では、便を採取し検査・測定します。
とくに大腸の異常発見に役立つ検査です。
便に血液が混じっている場合には、消化管の出血性疾患が疑われます。
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
がとくに疑われるため、大腸の精密検査を行うことになります。
内科診察
内科診察の項目では、画像検査や血液検査などでは発見できない病気を検査します。
内科診察では、
- 視診
- 触診
- 聴診
などがあります。
医師が実際に患者の様子を見て健康状態を診察し、疑わしい病気を推測します。
そのうえで、より正確に検査するためピンポイントでの検査方法で精査することになります。
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オプションで選べる人間ドックの検査項目
人間ドックの特徴は、検査項目が多いだけではありません。
オプションの検査が充実しているので、不安に思っている病気の検査も受けられます。
どのようなオプション検査が用意されているのか、見ていきましょう。
乳腺
乳腺の検査方法には、
- 触診
- マンモグラフィー
があります。
見た目やしこりの有無などから、
- 乳腺症
- 良性腫瘤
- 乳がん
の可能性を見つけます。
正確な診断を行うため、エコー検査が行われるケースもあります。
前立腺
前立腺検査は、血液検査で前立腺腫瘍マーカー値を測定し、病気の有無を調べます。
前立腺腫瘍マーカー値が高い場合、
- 前立腺肥大
- 前立腺がん
などが疑われます。
C型肝炎
C型肝炎は、血液検査によって調べます。
C型肝炎ウイルスは、ほかの人に感染する危険性があります。
とくに出産時は母子感染のリスクが高まるため、事前に検査をしてリスクを最小限に抑えます。
なお、C型肝炎ウイルスは、感染しても1~3ヶ月経たないと陽性反応が出ません。
感染直後では検査をしても陰性判定となるため、注意が必要です。
婦人科検診
婦人科検診の主な検査には、「子宮頚部細胞診」があります。
子宮頚部細胞診では、膣口から器具を挿入し、子宮頚部の粘膜から細胞を採取します。
生体検査であるため、子宮頸がんの早期発見に役立ちます。
その他にも、
- トリコモナス膣炎
- カンジダ膣炎
などを発見することができます。
【性別・年代別】おすすめの人間ドックの検査項目
人間ドックでは、さまざまな検査項目が設けられています。
すべての検査を受けるという方法もありますが、その分費用がかかってしまいます。
検査項目は、性別や年代別にリスクを考えた上でチョイスすることがおすすめです。
性別、年代別におすすめの検査項目を見ていきましょう。
男性
まずは、男性の年代別のおすすめ検査項目をご紹介します。
20代
20代で人間ドックを受ける方は少ないのではないでしょうか。
それでも体質や遺伝的に心配だという方は、人間ドックを受けた方がいいでしょう。
20代男性におすすめの検査項目としては、以下があります。
- ピロリ菌検査
- C型肝炎検査
日本では40歳以上の50~80%がピロリ菌に感染しているといわれています。
20代からピロリ菌を除菌しておけば、胃がんなどのリスクを減らすことができます。
30代
30代は、
- ストレス
- 食事
- 飲酒
- タバコ
などにより、生活習慣病の兆しがみられる年代です。
30代男性におすすめの検査項目としては、以下があります。
- 大腸がん検査
- 胃がん検査
- 血液検査
30代は仕事などでストレスにさらされやすい年代です。
ストレスは、大腸がんや胃がんの原因となります。
人間ドックで、
- ピロリ菌の有無
- 便潜血検査
- 胃カメラ検査
などをすると安心です。
40代
40代の男性におすすめの検査項目としては、以下があります。
- 大腸がん検査
- 胃がん検査
- 血液検査
- 肺がん検査
- 前立腺検査
40代はいわゆる中年太りが始まる頃で、肥満の方が多くなってきます。
- 心疾患
- 脳血管疾患
のリスクが高まるので、血液検査は必須です。
前立腺がんは、男性のがん罹患率第1位ですから、40代からの検査をおすすめします。
また、タバコを吸っている方は肺がん検査も必要になるでしょう。
50代
50代の男性におすすめの検査項目としては、以下があります。
- 大腸がん検査
- 胃がん検査
- 血液検査
- 肺がん検査
- 前立腺検査
- 心臓検査
- 脳検査
50代の死亡原因の上位は、
- がん
- 心疾患
- 脳血管疾患
となっています。
とくに男性では、心疾患による死亡リスクは、同じ50代の女性より高くなります。
各疾患の予兆発見のためにも、人間ドックを受けてみましょう。
60代
60代の男性におすすめの検査項目としては、以下があります。
- 全身がん検査
60代の死亡原因では、がんが最も多くなります。
とくに、
- 肺がん
- 胃がん
- 大腸がん
が急増します。
費用に余裕があれば、50代の検査項目に加えて、全身がん検査をしましょう。
全身がん検査には、以下の種類があります。
- CTを用いた「PET検査」
- MRIを用いた「DWIBS検査」
オプションで検査が受けられる施設を選びましょう。
女性
次に、女性の年代別おすすめ検査項目をご紹介します。
20代
20代の女性におすすめの検査項目は、以下のとおりです。
- 子宮頸がんの検査
子宮頸がんの原因は性交渉によるHPV感染です。
厚生労働省でも2年に1度の頻度で、子宮頸がん検診を推奨しています。
一般的に20代でのがん発症は少ないものの、子宮頸がんだけは別です。
子宮頸がんは20代後半から30代で急増しますが、20代の子宮頸がんの検診率は非常に低いのが現状です。
30代
30代の女性におすすめの検査項目は、以下のとおりです。
- 子宮頸がん検査
- 乳がん検査
乳がんは、日本人の女性に多いがんです。
30代後半から罹患率が高まり、30~60歳までの死亡率の第1位を占めています。
30代の乳がん検診では、乳腺の密度から、乳腺エコー検査がマンモグラフィ検査よりもおすすめです。
乳腺エコー検査を行っている人間ドックを選びましょう。
40代
40代の女性におすすめの検査項目は、以下のとおりです。
- 乳がん検査
- 子宮体がん検査
- 経腟エコー検査
- 胃部内視鏡検査
- 便潜血検査
- 大腸内視鏡検査
- 胸部X線検査
40代の女性は、婦人科検査の他にもさまざまな検査を受けることをおすすめします。
とくに子宮体がんの発症率が急激に増加するので、子宮体がん検査は必須です。
人間ドックには「レディースドック」もあります。
女性特有の病気に特化した検査ですから、40代の女性の方はぜひ活用しましょう。
50代
50代の女性におすすめの検査項目は、以下のとおりです。
- 大腸がん検査
- 胃がん検査
- 血液検査
- 脳検査
- 腹部エコー
- 骨密度検査
50代女性の死因の1位は「がん」で、死亡総数の半分以上を占めています。
とくに以下のがんが多いため、対応する検査を重点的に受けましょう。
- 乳がん
- 腸がん
- 子宮がん
また、50代になると閉経によってホルモンバランスが崩れます。
ホルモンバランスの変化によって生じる骨密度の低下は、女性特有の症状です。
骨粗鬆症のリスクの有無や対策を含めて、検査をしておくと安心でしょう。
60代
60代の女性におすすめの検査項目は、50代の検査項目に加えて、以下があります。
- 全身がん検査
- 心臓検査
- 脳検査
60代の女性は、がんによる死亡数が圧倒的に多くなります。
- 乳がん
- 大腸がん
- 肺がん
- 胃がん
- 膵臓がん
を警戒しなくてはなりません。
また、生活習慣病のリスクも高まります。
脳卒中などのリスクも高まるため、脳検査もオプションでつけましょう。
人間ドックと健康診断との項目の違い
人間ドックも健康診断も、どちらも健康状態を知るための検査です。
病気の兆候がないかどうかを調べ、治療や予防策を講じるための指針になります。
健康診断では、年代に合わせて、起こりやすい疾患に対して決められた検査が行われます。
一方、人間ドックは、検査項目が健康診断よりも多いのが特徴です。
人間ドックの、健康診断との項目の違いは以下のとおりです。
- 検査項目が多く、人間ドックによっては検査内容が100項目を超えるものもある
- 健康診断だけではわからなかった病気を早期発見できる
- 細分化された検査によって、初期症状を把握することもできる
- オプションをつけることで、自分が不安に思っている健康状態にも対応できる
なお、人間ドックはあくまでも任意です。
費用は自己負担になりますが、健康診断だけでは不安な方はぜひ受けておきたいですね。
人間ドックの検査結果の判定区分
日本人間ドック協会が、人間ドックの判定に関する表記について、2022年4月から改正を行いました。
具体的には、
- 「要経過観察」→「要再検査・生活改善」
- 「要治療 要精検」→「要精密検査・治療」
と変更されました。
この人間ドックの判定表記改訂には、再検査時期を明記して受診者に対してわかりやすくするという意図があります。
また、検査結果を考慮した結果、精密検査を行うか治療するかに関しては所見によって変わることもあります。
これまで人間ドックを受けてきた方の中には、2022年分から、それまでと判定が変わってくる方もいらっしゃるかもしれません。
検査結果で疑問に思うことがあれば、直接医師に説明してもらいましょう。
人間ドックの項目のまとめ
ここまで、人間ドックの項目について紹介してきました。
人間ドックの項目の要点を以下にまとめます。
- 人間ドックのメリットは、検査項目の多さとオプション
- 人間ドックの項目の特徴は、年代に応じた検査を選べること
- 人間ドックと健康診断の項目の違いは、項目数と検査内容
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。