花粉症と聞いて発熱の症状を思い浮かべる方はほとんどいないかもしれません。
しかし、ときに花粉症で発熱することもあります。
花粉症で発熱するときは何が原因でしょうか?
花粉症で高熱がでた場合はどのように対処すればよいでしょうか?
本記事では花粉症の熱について以下の点を中心にご紹介します。
- 花粉症で発熱する原因について
- 花粉症の熱の程度による対処法について
- 花粉症で熱が出るときの他の症状について
- 花粉症の熱っぽいと感じてだるいときの対処法について
- 花粉症で熱が出るときの薬について
花粉症の熱について理解するためにもご参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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花粉症とは
花粉症とは、スギやヒノキなどの食物の花粉を原因とするアレルギー症状をいいます。
花粉が原因のアレルギー症状には、
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
- 目のかゆみ
などがあります。
花粉症は医学的にはアレルギー性鼻炎のうちの「季節性アレルギー鼻炎」に分類されます。
代表的な花粉症の原因植物と発生期間は以下のとおりです。
スギ(2月〜4月) | ヒノキ(3月〜4月) |
イネ科(5月〜10月) | ハンノキ(1月〜4月) |
シラカンバ(3月下旬〜6月) | ブタクサ(8月〜9月) |
ヨモギ(9月〜10月) | カナムグラ(8月〜10月) |
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花粉症で発熱する原因
花粉症で発熱する原因には以下のようなものがあります。
- アレルギー性鼻炎の症状
- 免疫力の関係
- 花粉を追い出そうとする防衛反応
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
アレルギー性鼻炎の症状
花粉症で発熱する原因の1つに、花粉によるアレルギー性鼻炎があります。
アレルギー性鼻炎の3大症状は、
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
です。
アレルギー性鼻炎では、鼻の炎症が原因で脳への酸素の供給不足が起こります。
脳への酸素供給不足は自律神経の乱れにつながり、頭痛や発熱などの不調としてあらわれます。
免疫力の関係
花粉症で発熱するもう1つの理由に、免疫の過剰反応によるものがあります。
花粉の抗原を、風邪ウイルスの抗原と身体が誤判断して起こる発熱です。
風邪ウイルスが体内に入ってきたと判断すると、身体は発熱して免疫力を高めようとします。
ウイルスは約40℃で死滅するといわれています。
発熱によって体温を上げ、ウイルスの増殖を抑制しようとしているのです。
花粉を追い出そうとする防衛反応
身体が花粉を異物と認識すると、体外へ排出しようとする防衛反応が起こります。
くしゃみは異物を排出しようとする身体の防衛反応のあらわれです。
くしゃみは、花粉症の直接的な原因である抗原から身体を守るためのアレルギー反応です。
身体を守る反応ではあっても、過度のくしゃみは体力の消耗から発熱の原因となります。
花粉症の熱が37度℃や38度ならどうする?
次に、花粉症の熱が出たときの対処を、
- 37℃
- 38℃
- 39℃以上
に分けてご紹介します。
37度のとき
花粉症は風邪と症状が似ていますが、熱が出たとしても37℃程度の微熱の場合がほとんどです。
発熱が37℃程度の場合は、抗ヒスタミン薬でアレルギー反応を抑えるのが一般的です。
38度のとき
花粉症により38℃以上の高熱になることはほとんどありません。
花粉症で38℃以上の高熱が出た場合、副鼻腔炎などの合併症が疑われます。
39度以上あるとき
39℃以上の発熱が続く場合は、風邪やインフルエンザなどが疑われます。
風邪やインフルエンザでも、花粉症に似た鼻水・鼻づまり・くしゃみの症状がでます。
安易に自身で原因を特定せず、病院を受診するようにしましょう。
花粉症で熱が出る時の他の症状
花粉症で熱が出るときの他の症状に、
- 目のかゆみ
- くしゃみ・鼻水
- 喉がかゆい
があります。
花粉症か風邪か迷ったときの判断材料にしてみてください。
目のかゆみ
花粉症で生じる目のかゆみは、アレルギー性結膜炎によるものです。
アレルギー性結膜炎のうち花粉症で起こるものを、季節性アレルギー性結膜炎といいます。
アレルギー性結膜炎で目がかゆくなるのは、ヒスタミンという化学伝達物質のせいです。
スギ花粉などの抗原が目に入ると、ヒスタミンが放出されます。
放出されたヒスタミンが結膜の近くにある神経や血管を刺激し、かゆみが起こるのです。
また、アレルギー性結膜炎にはダニやハウスダストなどによる通年性のものもあります。
しかし、風邪などの他の疾患によって特に目がかゆくなることはありません。
くしゃみ・鼻水
くしゃみ・鼻水は花粉症の代表的な症状です。
花粉に対するアレルギー反応として、以下のようなくしゃみ・鼻水が出ます。
- 激しいくしゃみが連続的に起こる
- さらっとして透明な鼻水がでる
一方、風邪が原因の場合は、季節に関わらず以下のようなくしゃみ・鼻水が出ます。
- 連続したくしゃみは出ず通常数回で治まる
- 黄色っぽく粘りのある鼻水が出る
喉がかゆい
花粉症では、喉のかゆみがみられることもあります。
喉のかゆみは、
- 花粉が喉の粘膜に付着して起こるアレルギー反応
- 鼻づまりで口呼吸になって喉が乾燥する
などが原因になって起こります。
花粉症の熱っぽいと感じてだるいときの対処法
花粉症の熱でだるいときの対処には、
- 病院を受診する
- 薬を飲む
- 手足を温める
- 休息をとる
があります。
それぞれ詳しくご説明します。
病院を受診する
花粉症の熱かなと思ったら、まずは病院を受診することをおすすめします。
花粉症にはいろいろな治療法があり、症状によって薬の処方も変わります。
病院での診断方法には以下のようなものがあります。
- 鼻X線検査(発熱のある副鼻腔炎など、他の病気を否定する検査)
- 病型の診断(くしゃみ・鼻漏型・充全型の分析)
- 重症度の診断(軽症、中等症、重症、最重症の病状の程度を分ける)
薬を飲む
花粉症の熱でだるい時に病院へ行かなくても、市販薬で症状が治まることがあります。
医療用医薬品のうち市販薬に転用したものを、スイッチOTC医薬品といいます。
スイッチOTC医薬品は、医療用医薬品のうち以下を考慮した市販薬のことです。
- 副作用が少ないもの
- 安全性の高いもの
スイッチOTC医薬品が気になる方は、行きつけの調剤薬局やドラッグストアで薬剤師に相談するとよいでしょう。
なお、スイッチOTC医薬品を服用しても症状が改善しないときは、医療機関を受診してください。
手足を温める
身体を温めることで、花粉症の症状が落ち着く可能性があります。
花粉症による鼻づまりの予防・改善には、手首足首を温めることが効果的です。
手足を温めることで体内の水分のめぐりがよくなれば、鼻の症状も改善します。
休息をとる
花粉症の熱でだるさを感じるときは、十分な休息が必要です。
厚生労働省では、花粉症がひどくならないために以下のような普段の生活での注意点を挙げています。
- 睡眠をよくとる
- 風邪をひかない
- 過度な飲酒を控える
- 喫煙を控える
正常な免疫機能を保つために、気をつけてみましょう。
花粉症で熱が出るときの薬
花粉症で熱が出たときには、どのような薬を服用すればよいのでしょうか。
花粉症で熱が出るときの薬について、
- アレルギーに対する薬
- 解熱剤
- 漢方薬
に分けてご紹介します。
アレルギーに対する薬
花粉症による発熱があった場合は、まずは抗ヒスタミン薬でアレルギー反応を抑えます。
抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を抑える薬として最もよく使われています。
また、抗ヒスタミン薬には「第1世代」と「第2世代」があります。
特に第2世代抗ヒスタミン薬がよく使われており、
- 副作用が少ない
- 高効果
- 持続性に優れている
という特徴があります。
解熱剤
花粉症で高熱が出た場合、解熱剤の服用で熱を下げることは一時的な手段として有効です。
ただ、高熱が出る原因には副鼻腔炎や感染症の合併症も考えられます。
早めに医療機関を受診するようにしましょう。
漢方薬
漢方薬は、身体の根本的な体質部分の改善をはかって免疫力を高めます。
花粉症自体の症状を緩和するのではなく、花粉症に対する自身の免疫力自体を高めたい方は、漢方薬の服用を検討するとよいでしょう。
花粉症と風邪の見分け方
花粉症と風邪の見分け方を以下にご紹介します。
症状 | 花粉症 | 風邪 |
くしゃみの出かた | 外に出たらすぐに連発する | 連続はまれで1~数回で治まる |
鼻水の状態 | さらっとして透明 | 黄色っぽく粘り気がある |
発熱の有無 | 発熱はまれ あっても微熱で37.5℃以下 | 発熱あり (37.6℃以上) |
目のかゆみ | あり | なし |
症状の出る期間 | 花粉の飛散時期 2週間以上続く | 通常数日間で治まる |
花粉症と風邪では治療方法が異なるので見極めが重要です。
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花粉症のセルフメディケーションとは?
セルフメディケーションとは、世界保健機関(WHO)によると「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。
花粉症といった重症度の低い病気に対してセルフメディケーションを実践することで、
- 医療機関を受診する手間が省ける
- 国民医療費の増加を抑える
ことができます。
花粉症といった重症度の低い病気の場合、セルフメディケーションの実践方法として、先にご紹介したスイッチOTC医薬品の活用などがあります。
スイッチOTC医薬品とは、副作用の少なさと安全性の高さが認められた処方薬が、市販薬として販売されるようになったものです。
「ただの花粉症で医者に行くのは面倒だ」「薬だけあればいいのだけど」といった方は、薬局で薬剤師さんに、スイッチOTC医薬品について相談してみてはいかがでしょうか。
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花粉症の熱のまとめ
ここまで花粉症の熱についてお伝えしてきました。
花粉症の熱についての要点を以下にまとめます。
- 花粉症で発熱する原因には、アレルギー性鼻炎、免疫の過剰反応、身体の防衛反応がある
- 花粉症は発熱しても37℃程度の微熱で、38℃以上の発熱は合併症を疑う
- 花粉症で熱が出ているときは、目のかゆみ、くしゃみ・鼻水、喉がかゆいなどの症状も見られる
- 花粉症の熱っぽいと感じたときは、病院を受診、服薬、手足を温める、休息をとるなどの対処法がある
- 花粉症で熱が出るときは、抗ヒスタミン薬、解熱剤、漢方薬を目的や症状に応じて服用する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。