40代を過ぎてから関節痛が起こると、リウマチなどを心配する方も多いでしょう。
しかし実は、関節痛は、更年期が原因で起こることもあると言われています。
更年期による関節痛とは、一体どのようなものなのでしょうか。
本記事では、関節痛を伴う更年期について以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期による関節痛の特徴
- 更年期による関節痛への対処方法
- 更年期障害による関節痛の診療科
関節痛を伴う更年期について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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更年期障害とは?
更年期障害は、更年期にあらわれる様々な不調の総称です。
更年期とは、閉経の前後10年間をあわせた期間です。
更年期障害が起こりやすい年齢は40代後半から50代前半です。
更年期障害の原因としては、閉経に伴う女性ホルモンバランスの急激な変動が挙げられます。
更年期障害の主な症状は次の通りです。
・ほてり・発汗
・いらいら
・関節痛・腰痛
・気分の落ち込み
・動悸
・めまい
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関節痛はどうして起こるのか
一般的に関節痛は、以下の原因によって生じます。
- 加齢・肥満
- リウマチ
- 痛風
加齢・肥満
更年期の関節痛の中でも代表的な原因が、加齢・肥満です。
加齢・肥満で関節痛が起こるのは、関節の軟骨がすり減るためです。
軟骨は骨と骨の隙間にある緩衝剤のような組織です。
軟骨の主な作用は関節の動きをなめらかにすることです。
軟骨は膝が動くたびに少しずつすり減ります。
つまり、年齢を重ねるとどうしても少なくなりやすいのです。
肥満の方は、自身の体重によって軟骨がすり減るスピードが速くなります。
軟骨がすり減ると、骨と骨の緩衝剤がなくなるため、ぶつかるなどして痛みが生じやすくなります。
リウマチ
リウマチも更年期の関節痛の代表的な原因です。
リウマチとは、関節が炎症を起こすことで、軟骨組織などが破壊されていく病気です。
リウマチによる関節の炎症の原因として、免疫機能の異常が指摘されています。
関節の炎症が続くと関節の周りを取り巻く「滑膜」が腫れ上がります。
滑膜が腫れると内部に水が溜まります。
結果として関節や痛みやこわばりなどの症状があらわれやすくなります。
痛風
痛風も関節痛の主な原因の1つです。
痛風は血中に異常に増えた尿酸が、結晶化して関節に沈着する病気です。
関節の激しい痛みのほか、発熱・倦怠感などの症状が出ることもあります。
痛風で特に痛みやすいのは足の指の付け根の関節です。
痛風は関節痛だけでなく、生活習慣病や腎障害を誘発することもあります。
男性に多い病気ですが、女性の発症者も一定数存在します。
その関節痛は更年期のせい?
関節痛は更年期障害の1つとしてあらわれることもあります。
更年期障害による関節痛の特徴をご紹介します。
更年期による関節痛とリウマチとの違いは?
関節痛があらわれると、リウマチを疑う方も多くおられます。
しかし更年期による関節痛とリウマチでは、痛みなどに若干の違いがみられます。
更年期による関節痛 | リウマチ | |
原因 | 関節の軟骨の摩耗・水分の減少 | 関節を包む「滑膜」の炎症 |
主な症状 | 手指の関節の痛み・腫れ | 手指のこわばり |
症状が出やすいタイミング | 更年期開始から半年 | 起床直後 |
症状の持続期間 | 更年期開始から約3年程度で徐々に和らぐ | 徐々に悪化していく |
更年期障害による関節痛の主な症状は、手指の関節の痛みなどです。
個人差はありますが、膝・肘などの痛み・腫れはあまり目立ちません。
症状が最も強く出やすいのは更年期開始から半年で、症状は約2~3年続きます。
更年期が原因の場合は、関節痛のほかに、ホットフラッシュや動悸・息切れといった他の症状を併発することが多くみられます。
更年期関節症の診断方法
更年期による関節痛は更年期関節症と呼ばれています。
更年期関節症の診断の際は、次のような検査が行われることが一般的です。
■レントゲン:骨の異常を確認する
■採血検査:他の病気の可能性を調べる
■関節エコー:関節の腫れなどを調べる
更年期による関節痛はいつまで続く?
更年期に伴う関節痛は、更年期開始から2~3年で落ち着くことが一般的です。
症状は自然と消失するため、特別な治療は不要です。
ただし、更年期による関節症を放置すると、関節が変形する場合があります。
関節の変形を避けるためにも、症状があまりにつらい場合は整形外科などに相談しましょう。
関節痛を伴う更年期の対処方法は?
更年期による関節痛の対処法をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
更年期による関節痛の治療方法は?
関節痛の原因が更年期障害の場合は、ホルモン治療が行われることが一般的です。
ホルモン治療とは、閉経によって不足した女性ホルモン(エストロゲン)を補充する方法です。
ホルモン治療法は、主に次の2通りの方法があります。
①エストロゲン単独療法
②エストロゲン・黄体ホルモン併用療法
エストロゲン単独療法は、子宮癌などにより子宮を摘出した方向けの治療法です。
エストロゲン・黄体ホルモンは、子宮を有している方に行われることが一般的です。
ホルモン治療の薬剤は一般的な内服薬のほか、塗り薬・貼り薬のような経皮薬も存在します。
更年期が原因で起こる関節痛におすすめの漢方
更年期によって起こる関節痛は、漢方で改善できる場合もあります。
更年期による関節痛に効く漢方をご紹介します。
更年期によって起こる関節痛に効く漢方の有効成分
更年期による関節に有効な漢方の成分としては、次が代表的です。
・桂皮(けいひ)
・麻黄(まおう)
・附子(ぶし)
・朮(じゅつ)
・茯苓(ぶくりょう)
薬剤師お勧め!ツムラの漢方・桂枝加朮附湯
更年期による関節痛には、ツムラの「桂枝加朮附湯」がおすすめです。
桂枝加朮附湯は、体内での水分の巡りを良くして身体を温める作用があります。
身体が冷えると関節が痛みやすい方に特に向いています。
更年期の関節痛に効くサプリメント
更年期による関節痛の軽減には、サプリメントも有効です。
たとえば次のようなサプリメントがあります。
エクオール
エクオールは大豆由来の成分です。
エクオールは女性ホルモンに似た働きをします。
更年期の関節痛は、閉経によるホルモンバランスの減少が一因です。
減少した女性ホルモンをエクオールが補ってくれるため、関節痛の軽減が期待できます。
カルシウム
関節痛はカルシウム不足で起こることもあります。
なぜカルシウム不足で関節痛が起こるのかというと、骨から溶け出したカルシウムが関節に沈着するためです。
体内のカルシウムが不足すると、骨に蓄えられているカルシウムが血中に放出されます。
すると、関節などに結晶化したカルシウムが蓄積して、痛みなどを引き起こすことがあるのです。
関節への沈着を防ぐには、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ必要があります。
つまり、体内のカルシウムを不足させないことが大切です。
特に更年期の女性は、女性ホルモンの減少が原因でカルシウムが不足しやすくなります。
関節痛などを防ぐためにも、カルシウムは積極的に摂取しましょう。
グルコサミン・コンドロイチン
グルコサミン・コンドロイチンはそれぞれ軟骨や関節に存在する成分です。
関節痛は軟骨の摩耗によって起こることが多いため、軟骨成分を摂取することで痛みの軽減が期待できます。
一方で、グルコサミン・コンドロイチンには関節痛に有用ではないという説もあります。
グルコサミン・コンドロイチンのサプリは、関節痛の治療の一助として利用するのがよいでしょう。
出典:厚生労働省【厚生労働省eJIM | グルコサミンとコンドロイチン | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 医療関係者の方へ】
関節痛を伴う更年期症状を和らげる食事
更年期症状を和らげるには、食生活を見直すことも大切です。
まず第1に心がけたいのは、栄養バランスのよい食事を意識することです。
更年期障害の軽減には大豆・大豆製品の摂取がおすすめです。
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをするためです。
関節痛を軽減するには、コンドロイチンやグルコサミンの摂取を心がけましょう。
コンドロイチンは、ウナギ・カレイ・フカヒレなどのほか、山芋・納豆・オクラのようなネバネバした食材に含まれます。
グルコサミンは魚介類やきのこ類に豊富です。
冷えると関節が痛みやすい方は、ショウガや唐辛子などを取り入れてみましょう。
ショウガや唐辛子には身体を温めて血行を促進する作用があるためです。
関節痛に効くストレッチ・トレーニング方法
関節痛があるときは、軽いストレッチをするのもお勧めです。
ストレッチをすると関節の柔軟性が保たれるため、痛みが軽減されることがあります。
膝関節のストレッチ
- ①バスタオルを準備する
- ②仰向けになって片足の膝を曲げる
- ③タオルを足の裏に通し、かかとをお尻に近づけるように引き寄せる
- ④3の状態で5~10秒間キープ。
- ⑤2~3を5~10回繰り返す
- ⑥反対の足も同様に行う
手指の関節のストレッチ
- ①片手の指を揃えて伸ばす
- ②反対の手で、指全体をゆっくりと伸ばす
- ③20~30秒止める
- ④今度は指を1本ずつ反対に伸ばす
- ⑤指の付け根を気持ち良いと感じる強さで押し揉みする
ストレッチは無理のない範囲で行いましょう。
また、ストレッチのやり方については事前にかかりつけ医などに相談をしてください。
関節痛がある方が無理にストレッチをすると、かえって症状が悪化することがあるからです。
関節痛を伴う更年期は何科の病院?
更年期による関節痛がある場合は、病院を受診するのも1つの方法です。
更年期障害の診療科は、症状にあわせて選ぶ事をおすすめします。
たとえば関節の痛みがひどい場合は整形外科が適当です。
関節痛以外の症状がある場合は、内科や婦人科を受診するのも良いでしょう。
精神症状にお悩みなら、精神科や心療内科も視野に入れてください。
もし診療科選びに迷ったときは、婦人科か内科が無難です。
かかりつけ医がいる場合は、診療科にこだわらず、まず相談してみるのも良いでしょう。
関節痛を伴う更年期について・まとめ
ここまで関節痛を伴う更年期についてお伝えしてきました。
関節痛を伴う更年期の要点を以下にまとめます。
- 更年期による関節痛の特徴は、更年期開始から2~3年ほど続き、あとは自然に消失する
- 更年期による関節痛への対処方法は病院でのホルモン療法・漢方薬やサプリの利用など
- 更年期障害による関節痛の診療科は整形外科か婦人科が適当
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。