蛋白尿とは、腎臓や泌尿器の機能障害で、「蛋白質が多量に含まれた尿」のことです。
ですが、発症初期はほとんど症状がないため、自覚のないまま放置してしまいがちです。
では、病気の進行を抑えるためには、どうしたらいいのでしょうか?
本記事では、蛋白尿の症状について以下の点を中心にご紹介します
- タンパク尿の症状
- タンパク尿の原因
- 蛋白尿が出た場合の対処法
蛋白尿の症状について理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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蛋白尿とは
蛋白尿とは、腎臓や泌尿器の機能障害で、蛋白質が多量に含まれた尿のことです。
健康な人の尿にはごく微量なたんぱく質が含まれますが、一定量以上のたんぱく質が排泄されてしまうのです。
腎臓は老廃物を含んだ血液を濾過し、尿を作る働きがあります。
このとき身体にとって必要なたんぱく質は再吸収されて血液に戻ります。
しかし腎臓や尿管など、泌尿器の機能に異常があると、たんぱく質が再吸収されずに尿中に排泄されてしまうことがあります。
腎臓病は自覚症状が出たときには病状が進行していることが多いので、尿検査で病気を早期に発見することが大切です。
最近は早期から尿蛋白が出現する慢性腎臓病(CKD)という病態が、動脈硬化や血管障害の危険因子としてクローズアップされています。
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蛋白尿の症状
蛋白はからだにとって大切な構成成分なので、健康であればほとんど尿に混ざりません。
しかし腎臓に病気が起きると、ろ過機能をもつ糸球体をタンパクが通過して尿に出るようになります。
タンパク成分が通過してしまう状態は、糸球体そのものにとっても負担になります。
そのため、病気によって尿にタンパクが出ること自体が、病気の進行を早めます。
タンパク尿は腎臓の病気で引き起こされるものですが、同時に病気を進める原因にもなります。
蛋白尿は自覚症状がほとんどない
初期にはほとんど症状がないため、自覚のないまま放置してしまいがちです。
それらをきちんと管理することは、病気の進行を抑える上で、とても重要です。
検査によって発見される
尿検査や血液検査などによって病気の早期発見につなげることが重要です。
尿検査では、尿蛋白が陽性かどうかを検査してから、腎臓病があるか確認します。
蛋白尿とは、腎臓や膀胱など泌尿器系の臓器にダメージがあり、尿中に異常な量のタンパク質が検出されることを指します。
ちなみに、蛋白尿と尿蛋白という言い方があります。
その違いは、蛋白の出ている尿は蛋白尿、尿中に含まれる蛋白が尿蛋白になります。
血液検査は、さまざまな値を調べて腎臓の機能を確認しますが、そのなかでも大切なのが血清クレアチニン値です。
血清クレアチニン値が分かると、腎臓の機能を数値的に確認できます。
クレアチニンは筋肉に含まれているタンパク質の老廃物です。
尿素窒素と同様に腎臓の糸球体でろ過され尿中に排泄されますが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まります。
腎臓の機能の低下とともに、血清クレアチニンの値は高くなってきます。
ただし、初期の腎臓病の診断には不十分な場合があります。
血清クレアチニンの正常値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
蛋白尿になる原因
蛋白尿の原因としては、
- 急性腎炎や慢性腎炎などの腎臓に限局した病気
- 糖尿病、膠原病、高血圧など全身の病気
腎臓に障害が起きることがあげられます。
原因によって治療法が異なりますので、正確な診断が必要になります。
蛋白尿が多い人ほど、透析を必要とするような腎不全に至る危険性が高くなります。
急性腎炎
急性腎炎とは、突然濃い紅茶色(ないし赤ワイン色)の血尿が出て、軽度の腎機能低下と高血圧、むくみなどを伴う病気です。
日本では数が激減していますが、原因は溶血性連鎖球菌の感染(多くはのどや皮膚の炎症)と考えられています。
糸球体の炎症によって、タンパク尿や血尿が出る病気を総称して糸球体腎炎と呼びます。
慢性腎炎
腎臓内にあり、血液のろ過を行っている糸球体を中心に、慢性の炎症が見られる病気です。
腎臓病の中で最も多く、タンパク尿、それに伴う症状が1年以上にわたって持続します。
慢性腎炎はさまざまな病気の総称で、慢性的な経過から腎不全に至るもの、症状が進行しにくいものなどいくつかのタイプがあります。
膀胱炎
膀胱は内面がやわらかい粘膜の袋で、尿を溜めるところです。
その膀胱に炎症を起こすのが膀胱炎です。
外部から大腸菌などの腸内細菌が、尿道をさかのぼって膀胱の中に入り増殖することにより、引き起こされる病気です。
膀胱の中で細菌が繁殖し、膀胱の粘膜に炎症を起こす病気が膀胱炎です。
体を使う仕事などにより、肉体的に疲労が蓄積していると、かなりのたんぱく尿が出ることがあります。
糖尿病
糖尿病は、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。
糖尿病のように血糖が高い状態が続くと、腎臓、なかでも糸球体を作っている物質がくっついてしまい、糸球体のはたらきが障害されていきます。
そのため、本来は老廃物のみが濾過されるのですが、身体にとって必要な蛋白質なども濾過されてしまい、尿に蛋白が出るようになります。
膠原病
膠原病(こうげんびょう)とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられます。
女性に多く見られる病気で、比較的若い女性の不明熱(原因不明の発熱)として発見されることが多いです。
腎臓が標的になる膠原病もあり、血尿やタンパク尿を伴い急速に腎障害が起きてしまいます。
ゆっくり進行するものや増悪と寛解を繰り返すもの、急性発症して激しい症状を起こすものなど、病気の進行速度も様々です。
その他
高血圧、肥満、起立性タンパク尿、妊婦、激しい運動など、必ずしも病気が原因であるわけではありません。
蛋白尿が出た場合の対処法
タンパク尿が出る原因にもよりますが、食事・運動の治療、薬の治療が大切であり、原因となっている病気を特定して治療することが最優先です。
食事の治療としては、塩分を減らして、定期的に評価をしながら野菜・果物・タンパク質の量を調整することが大切です。
食事でタンパク質を必要以上に摂らないようにしましょう。
タンパク質は、体に吸収された後に代謝を受けて最終的に尿素窒素になります。
尿素窒素が以下のメカニズムで腎臓に影響を及ぼします。
- 腎臓の糸球体への負荷
- 代謝性アシドーシス(血液が酸性になる)
- ミネラルの異常 など
腎機能低下がある場合はタンパク制限が推奨されることがあります。
タンパク質の質については、動物性タンパク、植物性タンパクに分けてメリットを考えていくと良いでしょう。
動物性タンパクはアミノ酸を効率的に体に取り入れ、植物性タンパクは野菜・果物にふくまれるビタミン、 食物繊維も同時にとることがメリットです。
運動の治療としては有酸素運動や筋力を鍛える運動を行います。
近年誕生した腎臓リハビリテーションと呼ばれる腎臓のための運動療法もあります。
また、感染症にかからないようにすることも大切です。
薬の治療は、特に血圧と血糖値の治療が大切です。
腎臓を守る作用がある「RAS系阻害薬」、「SGLT-2阻害薬」を組み合わせて治療をすることが望ましいです。
蛋白尿以外に腎臓に病気がある場合の症状
慢性腎臓病という病気は透析予備軍と呼ばれており、今日本全国で1330万人いると言われています。
成人の8人に1人が慢性腎臓病という計算です。
この腎臓病を放置すると、どうなるかご存知でしょうか。
放置してしまうと透析治療が必要となるケースもあります。
蛋白尿以外で次のような症状が出る人は注意が必要です。
- 顔や足のむくみ
- だるさ
- 食欲がない
- のどが渇く
- 尿が泡立つ
- 夜中に2回以上トイレに立つ
- 頻繁にめまいがする
- 頻繁に頭痛がする
- 動悸・息切れがする
- 血圧が高い
- 顔色が悪い
蛋白尿の検診判断
尿に含まれるたんぱく質の量を調べる検査で、腎臓が正しく機能しているかどうかがわかります。
何らかの原因で腎臓の機能が低下していると、本来は腎臓で処理されるべきたんぱくが尿に混じって排出されてしまいます。
【健診判定と対応の分類】
健診判定で、
- 尿蛋白 陽性(+/2+/3+)と判定されたら、すぐに医療機関の受診をしてください。
- 尿蛋白 弱陽性(±)と判定されたら、生活習慣の改善をしてください。
- 翌年の特定健診で2年連続で尿蛋白±の場合には、医療機関受診をしてください。
- 尿蛋白 陰性(-)と診断されたら、今後も継続して健診受診をしてください。
尿検査で異常を指摘されドキッとされた方も多いと思いますが、タンパク尿(2+)以上を指摘されたら医療機関を受診されることをお勧めします。
出典:厚生労働省【特定健診・特定保健指導における 尿蛋白検査および血清Cr値(eGFR)の保健指導及び受診勧奨基準値に関する提案】
蛋白尿の症状のまとめ
ここまで蛋白尿の症状についてお伝えしてきました。
蛋白尿の症状の要点をまとめると以下の通りです。
- タンパク尿の症状にはほとんど自覚症状がない
- タンパク尿の原因は、腎臓に障害があることが多い
- 蛋白尿が出た場合の対処法は、食事でタンパク質を必要以上に摂らないようにする
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。