日本国内では、100人に対して6人程度がうつ病を経験しているといわれています。
うつ病は結婚や出産など、ライフスタイルの変化でも発症する可能性があります。
うつ病は誰でも起こりうる病気ですが、発熱について知らない方も少なくないと思います。
本記事ではうつ病の熱について以下の点を中心にご紹介します。
- うつ病で熱っぽくなる原因は?
- うつ病で熱が出た時の対処法は?
- うつ病の熱を改善するためには何が必要?
うつ病の熱について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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うつ病とは
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが要因となり、
- 脳が思うような働きをしなくなる
- 一日中気分が落ち込み、何をしてもどこへ行っても楽しくないという感情を伴う
といったさまざまな症状を引き起こす病気です。
一日中気分が落ち込んでいる状態を「抑うつ気分」といいます。
抑うつ気分では「悲しい」という感情さえも感じなくなります。
さらに、
- 体が疲れやすくなる
- 食欲が無くなり眠れない
といった体の症状があらわれます。
うつ病は心の病気と思う方も多いと思いますが、「脳の病気」です。
心理的なストレスを抱えることで、脳のバランスが崩れてしまいます。
心理的なストレスの原因として
- 過酷な労働
- 対人関係
- 身近な人の死
などが挙げられます。
脳の中には神経細胞が多く存在しています。
神経細胞はさまざまな感情を伝達します。
しかし、ストレスによって負荷がかかった脳の神経細胞の一部は変異してしまいます。
そのため、考え方が否定的になったり、物事の捉え方が歪んでしまうのではないかと考えられています。
最近、気分が優れず眠れない日が続いているといった不調を感じる場合は要注意です。
もしかすると「うつ病」を発症している可能性があります。
また、うつ病は遺伝が関係しているともいわれています。
親、きょうだい、親族の中にうつ病を患っている人がいる場合も、気を付ける必要があります。
これは遺伝によって、うつ病になりやすくなると指摘されているためです。
うつ病は、100人に6人、16人に1人という割合でかかる病気です。1日中気分が落ち込む状態が1カ月以上続いていたら、うつ病かもしれません。本記事ではうつ病について以下の点を中心にご紹介します。 うつ病の典型的な症状とは う[…]
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うつ病と発熱の関係について
うつ病で発熱する原因
うつ病になると、身体的な不調があらわれます。
倦怠感や食欲不振、頭痛などのほかに心因性の「発熱」が見られることもあります。
ではなぜうつ病によって
- 熱っぽい
- 微熱がある
といった症状になるのでしょうか。
発熱の原因|自律神経の乱れ
自律神経が乱れると症状の一つとして発熱が見られます。
自律神経は、自分の意思とは関係なく
- 自動的に食べ物を消化吸収する
- 心臓を鼓動させる
- 体温を自動的に調整し、発汗することで平熱を維持する
などの働きがあります。
しかし過度なストレスや疲労、人間関係などが原因で自律神経が乱れることがあります。
すると次第に体温調節が上手く機能しなくなります。
そのため不安やイライラなどから体温が上昇します。
したがって、心身の影響によって熱っぽい症状となるのです。
発熱の原因|風邪
うつ病を患っているときは、精神的に気分が落ち込みやすくなります。
気分の落ち込みに伴って体の免疫力も下がります。
抵抗力が落ちた体内にはすぐに細菌やウイルスが入り込みます。
そのため風邪を引きやすくなるのです。
発熱の原因|うつ熱
これまでの発熱の原因以外に「うつ熱」という外的因子が要因になることもあります。
「うつ熱」と呼ばれていますが、病気が原因ではありません。
原因は周辺環境の異常な暑さです。
普段私たちを取り巻く気温は、体温よりも低いことが通常です。
そのため私たちは体内の熱を放出し、平熱を保っています。
しかし38℃を超えるような真夏の気温であれば、熱が放散できず体内にこもってしまいます。
また、激しい運動で一気に体温が上昇し、熱を放散しきれなくなったときも同じです。
このような熱が発散できない状態を「うつ熱」または「熱射病」ともいいます。
うつ病は、100人に6人、16人に1人という割合でかかる病気です。1日中気分が落ち込む状態が1カ月以上続いていたら、うつ病かもしれません。本記事ではうつ病について以下の点を中心にご紹介します。 うつ病の典型的な症状とは う[…]
うつ病で熱が出る時の対処法
うつ病が原因で熱が出る場合、解熱剤が効かず体の倦怠感も増していきます。
仕事や家事に集中できず、生活の質が下がるため早めに対処したいものです。
では、うつ病で熱が出てしまったときはどのようにすれば良いのでしょうか。
以下にまとめていきます。
うつ病による発熱の対処法|体の熱を冷ます
まずは体の熱を冷ますことが大切です。
たとえば、水で濡らしたタオルで体を拭くのは体の熱を冷ます有効な方法の1つです。
これによって皮膚に付いた水分が蒸発し、「気化熱」となって体温が下がります。
また、冷えたペットボトルや保冷剤などを体に当てて熱を下げることも良いでしょう。
とくに冷やすために効果的なのが「わき・首元・太ももの付け根」です。
血流が多いところを重点的に冷やすことで効率良く体の熱をとることができます。
うつ病による発熱の対処法|水分を摂る
熱を下げるときは、水分補給も大切です。
これは、発熱することによって体内の水分が多く失われるからです。
水分が多く失われると、血液中のナトリウム濃度も減ってしまいます。
ただの「水」だけでなく、塩分と糖分がバランス良く入っている飲み物が良いでしょう。
そのため、
- 経口補水液
- スポーツドリンク
での補給がおすすめです。
夏の暑い時期だけでなく、普段からこまめに水分を摂るように心がけることも大切です。
うつ病による発熱の対処法|涼しい場所に移動する
体を冷ますためには環境にも注意が必要です。
周辺環境が暑い場合は、涼しい場所に移動しましょう。
エアコンが効いている場所や、風通しの良い日陰などが良いです。
楽な体勢で横になったり、衣服のボタンをゆるめたりして体にこもった熱を逃がします。
うつ病による熱とストレスについて
うつ病が要因となって発熱することを「ストレス性高体温」や「心因性発熱」といいます。
うつ病とストレスがどのように発熱と関連しているのか、以下にまとめていきます。
抗うつ薬で平熱になる可能性がある
風邪などのウイルスが原因で発熱している場合は、解熱剤で熱を下げることができます。
しかしストレスが原因で起こる心因性のうつ病の発熱は、解熱剤は効きません。
うつ病の発熱の場合は、発熱を起こす「ストレスの原因」を知ることが重要です。
心療内科や精神科で処方される「抗うつ薬」を服用することで解熱効果が期待できます。
発熱しても炎症反応が出ない
高熱が続くと体内のどこかで炎症が疑われます。
しかし、うつ病の場合は血液検査をしても炎症反応が出ないことが特徴です。
ストレスが原因なので、ウイルス性の熱と性質が違うため炎症反応は検出されません。
慢性的に続く発熱は心因性発熱の可能性もある
うつ病の発熱は、急激なストレスによって発熱する場合が多く見られます。
たとえば手術の前日や試験の前日など、緊張や不安からくるストレスです。
こういった心理的ストレスがかかる時に高体温を生じてしまうのです。
しかし、慢性的にストレス状況にさらされる時も注意が必要です。
慢性的なストレスの場合も発熱し高体温が続くことがあります。
たとえば毎日の出勤前や学校へ行く時間になると体温が上がってしまうケースです。
また、ストレスがかかる状況にいなくても発熱する場合があります。
これは「ストレスになっていた場面」を思い出したり、その時のことを話したりする時などです。
記憶を思い返すだけでも発熱することがあるという研究結果も出ているようです。
ストレスとは、外部から受ける刺激により体が緊張状態になることです。ストレスによる熱は心因性発熱といいます。ストレスによる熱とはどのようなものなのでしょうか。本記事ではストレスによる熱について以下の点を中心にご紹介します。 スト[…]
うつ病の熱とその他の発熱の違い
「発熱」には大きく3つの要因が考えられます。
- ストレスが原因の「心因性の発熱」
- 風邪などの「炎症性の発熱」
- 高気温などの「外的環境の発熱」
発熱 | 炎症性の発熱 | 心因性の発熱 | うつ熱 |
風邪 | うつ病 | 熱射病など | |
原因 | 病気(感染症)ウィルス・細菌 | ストレス自律神経の乱れ | 高温環境急激な運動 |
治療 | 解熱鎮痛剤の服用・冷却 | 抗うつ薬などの服用心理療法 | 冷却・水分補給涼しい環境 |
病気でなくても熱が出る可能性がある
うつ病や病気とは違う「うつ熱」で体温が上昇する可能性があります。
このうつ熱の原因は
- 高温の環境
- 厚着
- 脱水
などがあります。
また、加齢によって体温調節機能が低下します。
体温調節機能がうまくいかないことで発症する可能性があります。
体内で発生した熱が外部へ発散できずに、体に溜まり体温が上昇します。
- 夏場に暑い室内で長時間過ごす
- 寒いからと厚着をして過ごす
- 布団に熱がこもり、熱の逃げ場がなくなる
などのときに高体温になったり、発熱したりするといわれています。
夏以外でも適度な温度調節を意識しなければ、うつ熱を引き起こす可能性があるのです。
発熱は心因的な要因が多い
風邪などの発熱は、ウイルスや細菌が原因で高体温になることが多いです。
一方でうつ病が原因で発熱するのは、自律神経が乱れて発熱するケースが多く見られます。
自律神経の乱れの原因となるのは、
- 対人関係
- 仕事のストレス
- 引越しなど環境の変化
などです。
ほかに生活習慣の乱れが原因になるケースもあります。
不安感や倦怠感で脳内の機能が低下して、平熱を保つことが難しくなります。
そのため体温調節がうまくいかず、体温が上昇し発熱の症状が見られるのです。
熱があることにより心配する可能性が増える
うつを患っている人が発熱すると心配事が増幅し、うつ病を悪化させる原因になります。
うつ病はさまざまな事柄に対して否定的になることが多くなります。
発熱し体の倦怠感が続くことで、さらに自分はダメだと感じやすくなってしまうのです。
そのため、普段なら乗り越えられるようなことも辛く感じてしまう可能性があります。
またうつ病は再発を繰り返すごとに重症化する傾向があります。
たとえ、うつ病の軽症といわれても、決して軽いわけではありません。
放置して重度のうつ病にならないため、早めに治療を受けることが大切です。
うつ病の熱にはうつ病自体の治療が必要!
うつ病の熱を下げるために必要なのは、「うつ病の治療」をすることが重要です。
まずは心と体をしっかりと休めるように環境を整えていきます。
ストレスの根本的な原因を知る方法として、カウンセラーと対話するといった精神療法があります。
さらに必要に応じて薬物療法や自立訓練も行います。
またウォーキングなどの軽い運動も気分転換になります。
軽い運動をすることで、うつの症状を軽減することが報告されています。
うつ病の熱を改善するためには、「うつ病を克服する」ことが一番の対処法であるといえます。
出典:厚生労働省うつ病|こころの病気を知る|みんなのメンタルヘルス
うつ病と熱に関連するよくある質問|Q&A
うつ病の症状として熱が出ることはありますか?
はい、うつ病の患者さんの中には、体温の変動や微熱を感じる方がいます。
しかし、熱はうつ病の主要な症状ではありませんので、他の原因も考慮する必要があります。
うつ病の治療中に熱が出る場合、どのような対処をすべきですか?
熱が出る場合、それは薬の副作用や他の疾患の可能性も考えられます。
症状が気になる場合は、担当の医師に相談し、適切な対処を受けることが重要です。
うつ病の症状以外で熱が出る主な原因は何ですか?
熱が出る原因は多岐にわたります。
感染症、自己免疫疾患、薬の副作用、ホルモンの異常など、多くの要因が考えられます。
熱が続く場合は医師の診断が必要です。
うつ病の治療薬の副作用として熱が出ることはありますか?
一部のうつ病の治療薬には、副作用として発熱が報告されています。
薬を変更した直後や服用量を変更した際に熱が出る場合、医師に相談することが推奨されます。
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うつ病の熱まとめ
ここまでうつ病の熱についてお伝えしてきました。
うつ病の熱について要点をまとめると以下の通りです。
- うつ病で熱っぽくなる原因は、自律神経が乱れて体温調節がうまくいかなくなったり、風邪をひきやすくなるため
- うつ病で熱が出た時の対処法は、まずは涼しい場所へ移動し、体を冷却、水分補給が大切
- うつ病の熱を改善するためには、心理療法でストレスの根本的な原因を解決し、自立訓練、薬物療法などでうつ病を改善することが必要
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。