人参は、栄養満点の野菜として知られています。
人参には、具体的にどのような栄養が含まれているのでしょうか。
また、人参にはどのような効果効能が期待できるのでしょうか。
本記事では、人参の栄養について以下の点を中心にご紹介します。
- 人参の主な栄養素
- 人参の主な効果効能
- 人参のおすすめの食べ方
人参の栄養について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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人参に含まれる栄養
人参に含まれる主な栄養素をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
β-カロテン
βーカロテンは、人参を代表する栄養素の1つです。
人参のオレンジ色は、βーカロテン由来のものです。
βーカロテンは、身体の中でビタミンAに変換されます。
βーカロテンの主な作用は、次の通りです。
- 抗酸化作用
- 目や粘膜の健康を維持する
人参は、野菜の中でもβーカロテンの含有量がトップクラスを誇ります。
皮つき・皮なしの人参のβーカロテンの含有量をまとめました。
含有量mg(/100gあたり) | |
にんじん/根/皮つき/生 | 6900 |
にんじん/根/皮つき/ゆで | 6900 |
にんじん/根/皮なし/生 | 6700 |
にんじん/根/皮なし/ゆで | 7200 |
出典:文部科学省【食品成分データベース】
カリウム
カリウムも人参に豊富に含まれる栄養素です。
ちなみにカリウムとは、ミネラルの1種です。
カリウムの主な作用は、次の通りです。
- 体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する
- 体内の浸透圧を調整する
人参のカリウムの具体的な含有量を以下にまとめました。
カリウムは、人参を皮ごと食べた方が効率的に摂取できることが分かります。
カリウムは、ゆでよりも生の人参に多く含まれます。
理由は、カリウムは水溶性の栄養であるためです。
より具体的には、人参をゆでるときに、ゆで汁に栄養素(カリウム)が逃げてしまうのです。
含有量mg(/100gあたり) | |
にんじん/根/皮つき/生 | 300 |
にんじん/根/皮つき/ゆで | 270 |
にんじん/根/皮なし/生 | 270 |
にんじん/根/皮なし/ゆで | 240 |
出典:文部科学省【食品成分データベース】
出典:厚生労働省【カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
ルテイン
ルテインは、カロテノイドの1種です。
ルテイン以外のカロテノイドでは、βーカロテンが代表的です。
ルテインは人参をはじめとする緑黄色野菜に豊富に含まれます。
ルテインの主な作用は、次の通りです。
- 抗酸化作用
- ブルーライト・紫外線から目を守る
- 白内障の予防・改善
- 「見え」の改善
ルテインは、もともと人間の水晶体などに含まれる成分でもあります。
ルテインの適度な摂取は、目の健康の維持に役立つと指摘されています。
人参に含まれるルテインの含有量について、公的機関のデータは見つけられませんでした。
一説では、人参のルテインの含有量は、100gあたり0.24mgとされています。
食物繊維
人参には、食物繊維も豊富に含まれます。
食物繊維の主な作用は、次の通りです。
- 善玉菌を増やして腸内環境を整える
- 便秘を解消する
- 糖質・脂質の腸内での吸収を穏やかにする
人参に含まれる食物繊維の量を次にまとめました。
食物繊維は、皮つきの人参により豊富であることが分かります。
含有量g(/100gあたり) | |
にんじん/根/皮つき/生 | 2.8 |
にんじん/根/皮つき/ゆで | 3.0 |
にんじん/根/皮なし/生 | 2.4 |
にんじん/根/皮なし/ゆで | 2.8 |
出典:文部科学省【食品成分データベース】
出典:厚生労働省【食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
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人参で得られる効果・効能
栄養が豊富な人参には、さまざまな健康効果が期待できます。
ここからは、人参に期待できる効果・効能をご紹介します。
動脈硬化の予防
人参には、動脈硬化の予防効果が期待できます。
動脈硬化予防に役立つ栄養素は、βーカロテンです。
βーカロテンには、体内の活性酸素を取り除く「抗酸化作用」があります。
活性酸素は、血管・細胞などをサビさせる物質です。
活性酸素は、
- 動脈硬化
- がん
- 老化
などの原因物質でもあります。
βーカロテンは、活性酸素から血管を守ることで、動脈硬化のリスクを下げます。
目の健康を保つ
人参には、目を健やかに保つ効果があります。
目の健康に役立つ栄養素は、βーカロテン・ルテインなどが代表的です。
βーカロテンは、体内でビタミンAに変換されます。
ビタミンAは、網膜をサポートする成分です。
具体的には、眼精疲労や夜盲症を予防・改善する効果が期待できます。
ルテインは、眼球を構成する成分の1つです。
ルテインには強い抗酸化作用があり、視神経を活性酸素から守る作用があります。
ルテインは、目をブルーライトや紫外線から守るのにも役立ちます。
さらにルテインは、視界のコントラストを調整する作用もあります。
具体的には、クリアな視界を保つのに役立つ栄養素です。
ルテインは、もともと体内に存在する栄養素ですが、加齢などによって次第に減少します。
ルテインが不足すると、白内障などのリスクが上がると考えられています。
白内障などのリスクを下げるには、ルテインが豊富な人参などを定期的に摂取することが大切です。
免疫力の向上
人参には、免疫力アップも期待できます。
免役力アップに役立つ主な栄養素は、βーカロテンです。
βーカロテンから作られるビタミンAには、強い抗酸化作用があります。
具体的には、ビタミンAは活性酸素による免疫細胞の老化を防ぎます。
またビタミンAには、
- 目
- 鼻
- 喉
などの粘膜を健やかに保つ作用もあります。
目・鼻・喉は、ウイルスなどの体内への進入口です。
ビタミンAによって粘膜が正常に保たれることで、ウイルスなどの異物が体内に侵入しにくくなります。
美肌効果
人参に含まれるβーカロテンは、美肌効果も期待できる栄養素です。
βーカロテンから作られるビタミンAには、強い抗酸化作用があるためです。
活性酸素は皮膚を老化させる原因物質です。
具体的には、活性酸素はしわ・たるみなどのエイジングサインを引き起こします。
また、活性酸素はメラニンの生成を活性化させる物質でもあります。
メラニン生成の活性化とは、すなわちしみ・日焼けの促進を意味します。
βーカロテン(ビタミンA)は、体内の活性酸素を取り除くことで、皮膚の老化を防ぎます。
若々しい肌を保つには、βーカロテンが豊富な人参をこまめに食べるのも良い方法です。
高血圧の予防
人参は、高血圧予防・改善に役立つ野菜でもあります。
高血圧予防に効く主な栄養素は、カリウムです。
カリウムは、体内のナトリウムを排出することで、血圧を下げる作用があります。
ナトリウムとは簡単にいえば、塩分のことです。
塩分は血管内に水分を集めて血圧を上げる働きをします。
カリウムによって塩分が排出されると、血管内の水分量が適正になります。
血管内の水分量が適正になれば、血圧も正常値に戻りやすくなるというわけです。
便秘の解消
人参に含まれる食物繊維には、便秘を解消する作用があります。
ちなみに食物繊維には2つの種類があり、それぞれ作用に若干の違いがあります。
- 不溶性食物繊維:便のカサを増やし、腸を刺激して排便を促進する
- 水溶性食物繊維:便に水分を与えて柔らかくし、腸内を移動しやすくする
便秘を解消するには、不溶性・水溶性の両方の食物繊維を摂ることが大切です。
また、食物繊維には腸内環境を改善する効果も期待できます。
理由は食物繊維は腸内に住む善玉菌のエサになるためです。
善玉菌が多いほど、腸内環境は良好になります。
腸内環境が整うと、自然と便秘も解消されやすくなります。
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人参は生と加熱で栄養価が違う?
にんじんは生と加熱で栄養価が異なります。
生のにんじんにはビタミンCを破壊する酵素「アスコルビナーゼ」が含まれています。
そのため、そのまま食べるとビタミンCが失われる可能性があるでしょう。
しかし、酢や柑橘などの「酸」と一緒に摂取することでビタミンCの破壊を予防できます。
また、アスコルビナーゼはすりおろして酸素に触れる面積が増えるとより活性化されます。
そのため、新鮮なにんじんをスティック状で食べても、あまり神経質になる必要はありません。
一方、βカロテンは脂溶性のため、熱に強く、油で炒めて食べることで栄養素の吸収率がよくなります。
沖縄料理の人参しりしりなどはおすすめです。
生で食べる場合は、酢やレモン汁のような酸と、ドレッシングで和えるとより栄養価を引き出せます。
人参の葉っぱや皮にも栄養がある?それぞれの栄養素について紹介!
人参の葉っぱや皮にも栄養があります。
人参の葉っぱは、βカロテン以外のほぼすべてのビタミン・ミネラルを根より多く含んでいます。
たとえば、マグネシウムは根の約2.5倍、カルシウム・葉酸・ビタミンCは約3.5倍含まれているのです。
人参の皮にもβカロテンが含まれているため、皮ごと食べることで栄養素を摂取できます。
β-カロテンは、体内でビタミンAとして働きます。
ビタミンAは免疫力を高めたり、粘膜や目の健康を保ったりするのに効果的です。
ただし、皮には農薬や汚れが付着している場合があるため、よく洗ってから食べるようにしましょう。
ミネラルの含まれる野菜については、こちらの記事を参考にしてください。
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美味しい人参の選び方
美味しい人参の選び方のポイントをご紹介します。
- 色が濃く鮮やか
- 艶がある
- 先が細くない
- 表皮がなめらかでキズがない
- 切り口は緑色・小さい
基本的には、皮に艶があって色の濃いものを選びましょう。
品種にもよりますが、先っぽが細くないもののほうが美味しいとされています。
切り口も大切なポイントです。
切り口が緑っぽい場合は、鮮度が高いと判断できます。
反対に切り口が茶色っぽいものは、収穫から時間が経っている可能性があります。
また、切り口の芯の部分が細いにんじんは、繊維が柔らかいため、食べやすいとされています。
人参を使ったレシピ
人参のおすすめレシピをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
人参ポタージュ
栄養が豊富な皮ごと人参をいただけるポタージュです。
炒める・煮込むの2段階を踏む点がポイントです。
人参のβカロテンは脂溶性のため、油で炒めることで吸収率がアップします。
一方、カリウムは水溶性のため煮汁に逃げ出しやすい性質があります。
ポタージュなら煮汁ごといただくため、逃げ出した栄養素も余さず摂取できます。
【材料】
人参 | 150g |
玉ネギ | 1/8個 |
サラダ油 | 大さじ1 |
水 | 400ml |
牛乳 | 200ml |
塩 | 少々 |
ドライパセリ | 少々 |
【作り方】
① 人参は皮付きのまま水洗いし、厚さ5mmの半月切りにする |
② 玉ねぎは縦薄切りにする |
③ 鍋にサラダ油と玉ネギを入れて火にかけ、しんなりするまで炒める |
④人参を加えて水を注ぎ、鍋に蓋をして15分蒸し煮にする |
⑤ ④の粗熱が取れたらミキサーにかけ、網に通して鍋に戻し入れる |
⑥ ⑤に牛乳を加えて煮立てないように温める |
⑦ 塩で味を調えて器に注ぎ、ドライパセリを振る |
人参しりしり
しりしりとは、人参を細切りして油で炒めた料理です。
油で炒めることで、脂溶性のβ‐カロテンの吸収率アップが期待できます。
【材料】
人参 | 150g |
溶き卵 (Mサイズ) | 1/8個 |
(A)料理酒 | 大さじ1 |
(A)しょうゆ | 400ml |
(A)みりん | 200ml |
(A)砂糖 | 少々 |
(A)顆粒和風だし | 少々 |
ごま油 | 小さじ1 |
【作り方】
① 人参は千切りにする |
② 中火で熱したフライパンにごま油をひき、人参を入れてしんなりするまで炒める |
③ (A)を入れて中火で炒める |
④ 溶き卵を回し入れて卵に火が通るまで炒める |
⑤ お皿に盛り付け、白いりごま(分量外)を散らす |
旬の人参は栄養価が高い
人参に限らず、野菜・果物などは旬を迎えると栄養価が高くなります。
種類にもよりますが、旬と旬以外では栄養価が2〜3倍異なることもあります。
一般的にスーパーに出回っている西洋人参の旬は10月〜12月です。
金時ニンジンなどの東洋人参の旬は、12月〜2月ごろとされています。
なお、人参のカロチンの含有量は、5月〜10月に増えるという指摘もあります。
人参の栄養素は皮にも多く含まれます。
効率的に栄養を摂取するなら、皮ごといただくようにしましょう。
出典:厚生労働省【旬を取り入れた食生活(春・夏) | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
出典:【出回り期が長い食用植物のビタミンおよびミネラル含有量の通年成分変化〔1〕】
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人参の栄養まとめ
ここまで人参の栄養についてお伝えしてきました。
人参の栄養の要点を以下にまとめます。
- 人参の主な栄養素はβ‐カロテン・カリウム・食物繊維など
- 人参の主な効果効能は目の健康維持・免疫力アップ・便秘解消など
- 人参のおすすめの食べ方は、ポタージュやしりしりなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。