人間ドックとは健康診断の一つです。
また、人間ドックは基本的に全額自己負担ですが、安く受診する方法があります。
そもそも人間ドックとはどんな検査なのでしょうか?
人間ドックと健康診断の違いとは何なのでしょうか?
本記事では人間ドックについて以下の点を中心にご紹介します。
- 人間ドックとは
- 人間ドックと健康診断の違いとは
- 人間ドックを安く受診する方法とは
人間ドックについて理解してもらうためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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人間ドックとは
人間ドックとは、病気の早期発見を目的として実施される任意健康診断の一つです。
日本社会の高齢化とともに、ベッドで寝たきりではなく、健康な状態で長生きしたいと考える方が増えつつあります。
年老いてからも健康に生活するには、若いときから病気に備えた体作りをすることが求められます。
人間ドックを受診すると、病気の早期発見・早期治療が実現できるので、健康寿命を長くすることが可能です。
このことから、今後ますます人間ドックの社会的な意義は大きくなっていくことが予想されます。
また人間ドックは、症状に応じてオプション検査を追加したり、検査内容をオーダーメイドしたりできる点も特徴です。
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人間ドックと健康診断の違い
人間ドックと健康診断で行う事が同じではないのかと、疑問に思う方もいるでしょう。
ここからは、人間ドックと健康診断の違いについて具体的に解説していきます。
検査の目的が違う
人間ドックと健康診断の違いは検査の目的にあります。
健康診断で行われる検査は主に生活習慣病の予防を目的としているため、さまざまな病気の早期発見という観点では適していません。
一方人間ドックの場合、より詳しい検査を細かい項目ごとに実施するため、多くの病気を早期に発見できる可能性が高くなります。
基本的に病気は、ある程度進行してからでないと自覚症状が現れないのが特徴です。
例えばガンなどの重い病気の場合、自覚症状が出てから治療に当たるのでは手遅れになるケースが多いです。
体に異常がないか細かく検査するという意味で、人間ドックは健康診断と目的が違います。
また人間ドックは、医師や看護師、健康運動指導士によるチェックから、健康状態を把握することができ、今後の生活習慣の指導をしてもらえる点もメリットです。
法的義務があるかないか
人間ドックと健康診断の違いは、実施することが法的に義務付けられているかどうかという点です。
健康診断の場合、労働安全衛生法により年に一度受診することが義務付けられています。
【第六十六条:事業者は、労働者に対し、厚生労働省で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。】
出典:厚生労働省【定期健康診断等に関する法令等について】
つまり、企業に勤めている方は健康診断を受診する義務があるということです。
一方人間ドックの場合、法的に受診する義務がないのが特徴です。
そのため、「会社で健康診断を受けてるから受けなくてもいいのではないか」と考える方も一定数います。
費用が異なる
人間ドックと健康診断の違いは、かかる費用が異なる点です。
前述の通り、健康診断は雇用する側、雇われる側双方にとって義務付けられているのが特徴なので、基本的に健康診断は無料で受診することができます。
一方、人間ドックの場合は受診することが法律で義務付けられていないので、費用は全額自己負担になるのが特徴です。
また、治療を目的としているわけではないため、自由診療扱いとなり、保険が適用できないケースがあります。
後述しますが、場合によっては保険の制度を適用して安く受診できる場合もあります。
検査内容が違う
人間ドックと健康診断の違いは、具体的な検査内容が異なる点です。
健康診断の場合、生活習慣病や病気の予防を目的とした構成になっているため、検査の項目数や内容などは必要最低限だといえます。
一方人間ドックの場合、健康診断で実施される内容に加えて胃カメラ検査や脳検査、女性特有の病気の検査など、より精密に検査する点が特徴です。
気になる症状や体調に合わせて検査内容を組むことができるので、より的確な検査が可能になります。
人間ドックでは始めから詳しい検査を実施できるため、万が一病気が発見された場合、治療までの流れがスムーズにできる点がメリットです。
ただし、検査内容は人によっても変わり、1泊2日や2泊3日など長い時間が必要になるケースもあります。
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人間ドックの検査内容
人間ドックの検査内容は様々なものがあり、それぞれ異なるのが特徴です。
ここから、人間ドックで行われる検査内容について具体的にご紹介します。
人間ドック
人間ドックの検査内容は施設にもよりますが、基本的な検査内容は下記のとおりです。
- 身体計測
- 眼底検査
- 血液検査
- 血圧検査
- 心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- バリウム検査
- 便潜血検査など
上記の検査に加えて、人によってはオプションで様々な検査も行います。
オプションで加えられる検査内容は、具体的に下記に示すとおりです。
- 胸部CT検査
- 胃部内視鏡検査
- 大腸内視鏡検査
- 胸部エコー検査
上記のように、人間ドックでは検査項目が50から100項目となるケースもあります。
希望すれば細かく検査内容を選ぶことが出来ます。
体の中で気になるところがあれば、精密に検査してもらいましょう。
レディースドック
レディースドックとは、女性特有の病気のリスクを発見するために実施される健診のことをいいます。
レディースドックで実施される検査は、具体的に下記のとおりです。
- マンモグラフィ
- 乳腺エコー検査
- 子宮内膜細胞診断
- 腫瘍マーカーCA125
- 経膣エコー検査
- 骨盤MRI検査など
上記の検査を通して、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの発症リスクや疾患の有無などを調べます。
女性特有の病気も年齢に関わらず発症するケースがありますので、定期的に受診するほうが賢明です。
がん検診
がん検診とはその名の通り、がんが発症するリスクや疾患の有無などを調べるために行われる健診のことをいいます。
がん検診で実施される内容は、具体的に下記のとおりです。
- 胃がん検診
- 大腸がん検診
- 肺がん検診など
上記の健診には胃カメラ、検便、胸部CT検査など異なる検査が実施され、費用も変わってくるのが特徴です。
また、がん検診には上記の他にも、全身のがんのリスクを検査する方法として「PET検査」といわれるものもあります。
PET検査では、ガンや炎症の病巣をしらべたり、腫瘍の大きさや悪性、良性の判断などが可能になります。
人間ドックの費用はどれくらい?
人間ドックをしてみたいけど費用がいくらくらいかかるか気になる、という方は多いでしょう。
ここからは、一般的に人間ドックはどれくらい費用がかかるのかについて解説していきます。
一般コース
人間ドックの一般的なコースを受診する場合の費用相場は、具体的に下記に示すとおりです。
- 日帰りの場合:4万円程度
- 1泊2日の場合:6万円程度
人間ドックの費用は、選んだ検査内容やコースによっても大きく変わるのが特徴ですが、だいたいの目安は上記のとおりです。
人間ドックが2日以上かかる場合は、費用が高額になりやすいといえます。
また、関東地方の場合、健診の費用は高い傾向にあり、そのほかの地域は安いことがわかっています。
消化器コース
消化器コースとは、消化器の検査内容を加えた人間ドックのことで、費用の相場は約4万5000円からです。
消化器コースで実施される検査内容は具体的に下記のとおりです。
- 1日人間ドック標準コース項目
- 上部消化管内視鏡(胃カメラ)
- 大腸内視鏡
- ペプシノゲン
- ヘリコバクター・ピロリ
- 腫瘍マーカー
- 膵アミラーゼ など
上記のように、消化器官を詳しく検査することができるため、消化器系の病気を不安に感じる方に向いています。
レディースコース
レディースコースとは、人間ドックの基本コースに女性特有の病気の検査を加えたもののことで、費用の相場は約6万5000円からです。
婦人科健診とは異なるのが特徴で、基本的に婦人科健診では乳がんと子宮がん検診のみとなっています。
レディースコースの健診内容は、具体的に下記のとおりです。
- 1日人間ドック標準コース
- 甲状腺
- 骨密度
- 腫瘍マーカー
- マンモグラフィ
- 乳房超音波
- 子宮頸部細胞診
- HPV検査
- 婦人科診察など
上記のように、レディースコースでは女性特有の疾病のリスクを検査することができるので、受診しておくといいでしょう。
人間ドックは何歳から受けるべき?
人間ドックをやったほうがいいのだろうけど、実際のところ何歳から受診すればいいのだろうと疑問に思う方もいるでしょう。
ここからは、人間ドックは何歳から受ければいいのかを解説します。
20代から
人間ドックは20歳から受診することが可能なので、20代のうちから受診をしましょう。
理由として、20代に入ると仕事のストレスや飲酒、喫煙などで、生活習慣が変化しやすくなるからです。
結果、知らない間に疾病のリスクが高まっている可能性があるので、20代の半ばに一度は受診するのが賢明です。
病気は早期発見、早期治療が最も効果的なため、若くて健康なうちに体の状態を知って将来に向けて対策するといいでしょう。
また、人間ドックを受診する場合、標準プランを選択するといいです。
30代や40代
30代や40代になると、病気のリスクが高まるため、人間ドックの受診を真剣に検討することをお勧めします。
30代に入ると、結婚や出産などを通してライフステージが変わる方が多いといわれています。
家族のためにも健康でいることがますます重要になるので、人間ドックを受けて生活習慣を見直すきっかけにしましょう。
頻度としては、2、3年に1度を目安に人間ドックを受診するといいでしょう。
また、40代に入ると一気に病気のリスクが高まる傾向にあるので、人間ドックを受けたことがない方は一度受診することをお勧めします。
40代に入ってからかかりやすい病気は、具体的に下記のとおりです。
- 糖尿病
- 胃がん
- 大腸がんなど
上記のように、命に関わる病気にかかる可能性が高いため、注意が必要になります。
不摂生な生活を送っている方は毎年、健康的な生活を送っている方は2年に1回を目安に受診するといいでしょう。
50代以上
50代以上の方の場合、年齢とともに更に病気のリスクが高まってくるため、定期的な人間ドックの受診が必要となります。
場合に応じて、標準コースだけでなくオプションを追加して体に異常がないかを精密に検査することがポイントです。
ただし人間ドックのオプションは、たくさん付けるごとにお金と時間がかかります。
お金をかけないためにも、必要なものだけに絞り込むといいでしょう。
50代以上の方に高い需要があるオプションは、具体的に下記のとおりです。
- 胃カメラ
- 大腸カメラ
- 肺CT検査
- 脳ドックなど
50代以上の方は、ご自分の健康のためにも毎年人間ドックを受診するといいでしょう。
人間ドックのおすすめのクリニックの選び方
人間ドックは色々な医療機関で受診することが可能ですが、クリニックによって値段や内容に違いがあるのが特徴です。
ここからは、人間ドックを受診するときのクリニックの選び方について具体的に解説します。
自身が受ける検査項目を考えておく
人間ドックを受けるクリニックを選ぶときは、何を検査してもらいたいのかをしっかり把握しておきましょう。
なぜなら、人間ドックの検査項目はクリニックによって違うのが特徴だからです。
場合によっては、希望する検査を実施してもらえない可能性があります。
そのため、人間ドックを実施してもらいたいと考えているクリニックにて、自分が希望する検査を行っているかを事前にチェックしておくといいでしょう。
例えば、大腸コロノグラフィ(大腸CT検査)は最新の機器が必要となるので、検査できるクリニックが限られるケースがあります。
検査のセットがあるコースのクリニックを選ぶ
人間ドックを受けるクリニックを選ぶときは、検査項目がセットになっている施設を選ぶといいです。
検査がセットになっている場合、より効果的に精密な検査を実施してもらいやすいからです。
前述の通り、人間ドックでは標準コースの他にも、オプション検査として様々な検査を組み合わせることができます。
また、オプション検査で設定する項目は、下記のように一人ひとりに合わせて異なる点が特徴です。
- 性別
- 年齢
- 生活環境
- 家族歴など
上記のように、受診する方によって必要な検査は変わってきます。
クリニックによっては、独自の組み合わせによって検査のコースを設定している場合があるので、自分に必要なコースを選ぶのも一つの方法になります。
自身の保険と連携しているクリニックを探す
生命保険に加入している場合、ご自分の保険と連携しているクリニックを選びましょう。
なぜなら、人間ドックにかかる費用に特別料金が適用されるケースがあるからです。
ただし、指定の検査項目のみが割引の対象となるケースがあるため、具体的な内容については保険会社に問い合わせて、確認をしましょう。
人間ドックを安く受ける方法
人間ドックは基本的に全額自己負担ですが、場合によっては割引で受けることが可能です。
ここから、人間ドックを安く受診する方法について具体的に解説します。
保険の制度を利用する
人間ドックを安く受診するには、下記保険制度を利用するといいでしょう。
- 国民健康保険
- 社会保険
上記のように国民健康保険に加入してる場合、市区町村によっては補助金が出るケースがあります。
そのため、人間ドックを受けるときはお住いの市区町村に問い合わせてみましょう。
また、社会保険に加入してる場合も、費用の一部を負担してもらえる場合があります。
人間ドックの費用の一部を負担してくれる可能性があるのは、具体的に下記の団体です。
- 健康保険協会
- 健康保険組合
社会保険に加入している場合も、人間ドックを受診する前に一度問い合わせてみるといいでしょう。
受ける検査を最小限にする
人間ドックの費用を安く抑えるには、受診する検査を最小限にするといいです。
なぜなら、人間ドックはオプション検査を加えるごとに費用がかかるようになるからです。
なるべく費用をかけずに受診するには、標準コースを選ぶのがいいでしょう。
人間ドックの健康診断との違いは、健康状態をより良くするための指導を直接受けられる点です。
そのため、より健康状態が改善することが期待できます。
料金が安いクリニックを利用する
人間ドックを安く受けるには、料金が安いクリニックを探して受診するといいでしょう。
なぜなら、人間ドックの内容や必要な費用はクリニックによって変わるからです。
また、料金が安いクリニックを検索するには、WEBを利用するといいでしょう。
WEBを利用した場合、都道府県別に人間ドックの内容や上限金額などを設定して検索できることが利点です。
価格の安い順番にクリニックを並べ替えることもできるため、価格の安いクリニックを見つけやすいでしょう。
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人間ドック助成金や医療費控除について
人間ドックは、助成金の対象となったり医療費控除が適用されたりするケースがあります。
ここからは、助成金や医療費控除が適用される場合について具体的に解説します。
国民健康保険や協会けんぽ等の助成金
人間ドックの費用は、入っている保険によっては助成金が下りるケースがあります。
前述の通り、具体的には下記の保険に加入している方が対象です。
- 健康保険組合
- 健康保険協会
- 国民健康保険
お勤めの企業が大企業の場合、健康保険組合に入っている場合が多いです。
加入者ご本人だけでなく、ご家族も助成金の対象者となる可能性があるので、会社に問い合わせてみるといいでしょう。
また、勤め先の企業が健康保険協会に加入している場合も、補助金が出されるケースがあります。
医療施設にもよりますが、具体的な補助金の額は1万1000円くらいです。
国民健康保険に加入している場合も、自治体によっては費用の一部を負担してもらえる場合があります。
医療費控除は基本的には使えない
人間ドックは医療行為ではないので、基本的に医療費控除の対象外となるため、受診費は全額自己負担になります。
ただし、重い病気が発見された場合に限り、精密検査費と治療費を医療費控除の対象とすることが可能です。
また、精密検査費と治療費に保険を適用出来るようになる点もポイントです。
その際の医療費控除額は、収入によっても変動するのが特徴の一つとなっています。
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人間ドックの所要時間や結果はいつ?
人間ドックは検査内容やクリニックなどによって、かかる時間や結果通知の日数が変わるのが特徴です。
ここからは、一般的に人間ドックにかかる時間と、結果通知までの日数について解説します。
人間ドックの所要時間
標準的なコースを選んだ場合、人間ドックにかかる時間は一般的に3時間くらいになります。
人間ドックは検査内容が多く、時間がかかりやすいのが特徴で、所要時間の内訳は具体的に下記のとおりです。
- 検査:2時間
- 待ち時間、準備、お会計:1時間
上記のように、検査以外の待ち時間などによって所要時間が変わります。
人間ドックは完全予約制のため、受診する人が少ない日をクリニック側は把握しています。
人間ドックにかかる時間をなるべく短くしたい方は、クリニックに問い合わせてみるといいでしょう。
結果
人間ドックの結果通知は、だいたい2、3日後になります。
人間ドックの結果を知る方法として、「郵送」か「来院」の2つの方法があります。
ただし、受診したクリニックによって、結果がわかるまでの期間に差があるのが特徴です。
クリニックによっては、受診当日中に一部の検査結果やすべての検査結果を知ることができるケースがあります。
一方で、結果がわかるまでに1ヶ月近くかかる場合もあります。
そのため、どのくらいで結果がわかるのかをクリニックに問い合わせておくといいでしょう。
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人間ドックの学会の認定医の制度について
人間ドックには認定医制度があり、認定医のことは正式に「日本人間ドック学会認定医」といわれます。
認定医とは、人間ドックなどの予防医療を行う上で、基本的な技術と知識を有している医師のことです。
認定医としての資格を取得するために、下記の条件を満たすことが必要です。
- 人間ドック健診などの予防医療施設に従事している医師であること
- 日本人間ドック学会に医師個人正会員として入会していることなど
そもそも認定医が設定されたのは、1999年に「人間ドック認定指定医」制度が発足したことから始まります。
現在では、目的や理念が明確に設定されており、認定医の活躍がますます期待されています。
人間ドックのまとめ
ここまで人間ドックについてお伝えしてきました。
人間ドックの要点をまとめると以下のとおりです。
- 人間ドックとは、疾患リスクを早期発見することを目的に実施される任意健康診断の一種
- 人間ドックと健康診断の違いとは、検査の目的や法的義務の有無、検査内容などで、人間ドックの方がより精密な検査が可能
- 人間ドックを安く受診する方法とは、加入している保険の制度を利用したり、安いクリニックを検索したりすること
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。