くるみはさまざまな栄養が含まれているスーパーフードです。
また、くるみにはα-リノレン酸が含まれているため骨を丈夫にしたり生活習慣病を予防したりすることができます。
そもそもくるみにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか?
くるみに含まれている栄養素にはどんな効果があるのでしょうか?
本記事ではくるみに含まれる栄養素について、以下の点を中心に解説します。
- くるみに含まれる栄養とは
- くるみを食べて得られる健康効果とは
- くるみをおいしく食べるレシピとは
くるみに含まれる栄養について理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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くるみに含まれる栄養
くるみにはさまざまな栄養が含まれており、スーパーフードといわれるほど栄養価が高いのが特徴です。
ここから、くるみに含まれる栄養素を具体的に紹介します。
ビタミンE
ビタミンEは油脂に溶け出す脂溶性ビタミンの一種に数えられています。
くるみ100g中に27.5mg含まれています。
ビタミンEには強い抗酸化作用があり、体内の脂質が酸化するのを予防する効果があります。
また、具体的に以下の健康効果が期待されるのが特徴です。
- 動脈硬化
- 血栓予防
- 血圧低下
- 悪玉コレステロールの減退
上記のように、主に加齢とともに起こりやすい病気を予防してくれることがわかります。
そのため、ビタミンEは若返りのホルモンとして知られています。
ビタミンB1
ビタミンB1とはチアミンともいわれる水溶性のビタミンです。
くるみ100g中に0.26mg含まれているのが特徴です。
糖質を代謝するために必須の栄養素になります。
解糖系やクエン酸回路で補酵素として代謝をサポートしています。
ビタミンB1を摂取することによる効果は具体的に下記のとおりです。
- 糖質からエネルギーを作る
- 皮膚や粘膜を正常に保つ
- 脳神経系の正常な働きをサポートする
ビタミンB6
ビタミンB6とはエネルギー代謝をサポートする上で必要なビタミンです。
くるみには0.49mg含まれています。
ビタミンB6は補酵素として、100種類もの酵素をサポートしているのが特徴です。
ビタミンB6が関わりのあるエネルギー代謝の具体例は、下記のとおりです。
- 炭水化物、タンパク質などの代謝
- 神経伝達物質の代謝
- 皮膚の抵抗力の強化
- 免疫機能の働きをキープする
- 赤血球のヘモグロビンの合成
ビタミンB6を効果的に作用させるには、ビタミンB2を一緒に摂取するとよいでしょう。
ビタミンB6が不足すると以下のような症状が出る可能性があるので要注意です。
- 湿疹
- 舌炎
- 口角炎
- 貧血
- 聴覚過敏など
葉酸
葉酸とは、赤血球を作る時や身体の発育などに必要となる栄養素で、くるみ100g中には91μg含まれています。
葉酸という名前は、ほうれん草から成分が発見されたため名付けられています。
しかし、植物性の食品以外に動物性の食品にも含まれているのが特徴です。
ビタミンB群の一種に数えられており、不足すると身体のさまざまな不調の原因となる可能性があります。
葉酸が不足すると起こりうる体の不調は具体的に下記のとおりです。
- 巨赤芽球性貧血
- 高ホモシステイン血症など
特に妊婦さんは貧血になりやすいため、意識して摂取したい栄養素の一つです。
妊娠中の貧血は早産や分娩後に感染するリスクを高めるため、注意が必要になります。
マグネシウム
マグネシウムとは骨や歯などを作るのに必要となる栄養素です。
くるみ100g中に150mg含まれています。
マグネシウムは体内に約25g含まれており、カルシウムやミネラルと同じように骨を形成しているのが特徴です。
マグネシウムの約半分は骨に含まれており、残りは筋肉や血液でタンパク質と結合しています。
約300の酵素の働きをサポートしており、具体的には下記のとおりです。
- 筋収縮を制御する
- 血管を拡張し血圧を低下させる
- 血栓を作りにくくする
マグネシウムは上記のような働きを担っているため、慢性的に不足すると病気になるリスクが高くなります。
- 動悸
- 不整脈
- 神経過敏
- 動脈硬化症
- 糖尿病など
銅
銅とは、鉄から血液中の赤血球が作られるのをサポートする栄養素のことです。
くるみ100g中に1.21mg含まれています。
赤血球の中にあるヘモグロビンは鉄を成分としており、銅の働きによって鉄がスムーズに運ばれます。
そのため、十分な鉄を摂取していたとしても、銅が不足すると貧血になる可能性が高いです。
銅は腸管から吸収されて肝臓でタンパク質と結合し、全身に運ばれてからさまざまな働きをしています。
銅の働きとして、具体的には下記のとおりです。
- 免疫細胞の代謝に関与し、免疫力を向上させる
- 活性酸素を除去する
- 骨の形成をサポートする
亜鉛
亜鉛とはタンパク質の代謝を促す成分であり、体内で生成することができないのが特徴です。
亜鉛は体内に約3gあり、骨や歯、筋肉などにたくさん含まれています。
亜鉛の具体的な働きは下記のとおりです。
- 酵素反応を活性化させる
- ホルモンの合成や分泌のバランスを取る
- 味覚に関わる細胞を作る
- 免疫細胞の働きを促す
上記のような働きが亜鉛にはあるため、もし不足すると身体のいろいろな機能が低下しやすくなります。
- 食べ物を美味しいと感じにくくなる
- 免疫機能が低下する
- 貧血
- 皮膚炎など
亜鉛はくるみ100gあたり2.6mg含まれています。
食物繊維
食物繊維とは腸内にある善玉菌を増やし、腸の働きをよくする働きをもっているのが特徴です。
腸内環境が整うと便秘が改善したり全身の免疫機能が向上したりするので、身体に与える影響は大きいです。
食物繊維は炭水化物から糖質を除いたもののことを指し、以下の2つに分けることができます。
- 不溶性食物繊維
- 水溶性食物繊維
不溶性食物繊維には整腸作用があり、便通を促すことができます。
穀物類やきのこなどに多く含まれており、水溶性食物繊維に比べると発酵性の面では劣る点が特徴です。
水溶性食物繊維は水に溶けやすい性質を持っており、不溶性食物繊維と同じく整腸作用があります。
水溶性食物繊維の特徴は下記のとおりです。
- 食べ過ぎを防ぐ
- 血糖値の急激な上昇を抑える
- コレステロールなどの物質を体外へ排出する
上記の働きがあるため、水溶性食物繊維は糖尿病や心筋梗塞などの病気の予防が期待できます。
食物繊維はくるみ100gあたり7.5mg含まれています。
オメガ3
オメガ3脂肪酸とは、多価不飽和脂肪酸の一種です。
コレステロールや中性脂肪を抑える働きがあるのが特徴です。
オメガ3脂肪酸は体内で作り出すことができないため、食べ物から摂取する必要があります。
いくつかの種類に分けることができ、具体的には下記のとおりです。
- α-リノレン酸
- EPA
- DHA
α-リノレン酸はナッツの中ではくるみに最も多く含まれている栄養素です。
EPAやDHAは青魚に多く含まれているのが特徴です。
オメガ脂肪酸を摂取することで、具体的に下記の効果が期待できます。
- 高血圧や動脈硬化など心血管疾患の予防
- がんや認知症などによる死亡リスクの低下
オメガ脂肪酸はくるみ100gあたりおよそ9g含まれています。
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くるみで得られる効果・効能
くるみを食べると健康上の色々なメリットがあります。
ここから、くるみの健康上の効果などについて具体的に解説します。
生活習慣病の予防・改善
くるみを食べると生活習慣を予防したり改善することが可能です。
なぜなら、くるみに含まれるオメガ3脂肪酸には善玉コレステロールを増やす働きがあるからです。
またオメガ3脂肪酸には、コレステロール値を低下させて血流を改善する働きがあります。よって、生活習慣病を予防する効果が期待できます。コレステロールは細胞を作る上で必要です。
しかし、コレステロールが酸化して悪玉コレステロールに変化すると体にさまざまな悪影響を及ぼします。
悪玉コレステロールが血管の壁にコブを作ったり血栓ができたりすると、血流が悪くなります。
結果、生活習慣病等などの原因になるので注意が必要です。
ペンシルベニア州立大学で行われた実験でも、くるみを食事に取り入れることでコレステロールが低下することが判明しています。
具体的には、下記の2つのグループに分かれて実験が行われました。
- くるみやくるみ油を料理に使ったαリノレン酸の高いグループ
- リノレン酸の高いグループ
上記の結果、くるみを料理に使ったほうがコレステロールが低下しやすいことが解明しています。
骨や歯の健康を保つ
くるみを食べると骨や歯を健康に保つことができます。
なぜなら、骨や歯を丈夫に保つ上で重要になる下記の栄養素がくるみに含まれているからです。
- α-リノレン酸
- カルシウム
くるみに含まれるオメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸に骨を健康に保つ効果があることは、前述の実験の結果明らかになっています。
つまり、骨の代謝が促され骨が作られやすくなるということです。
また、くるみには100gあたり約85mgのカルシウムが含まれているのも特徴です。
骨はカルシウムによって形成されており、破壊と成長を繰り返しているので一定の状態ではありません。
つまり、カルシウムが不足すると骨がもろくなる可能性があるということです。
そのため、若い方からお年寄りの方までカルシウムを摂取して、なるべく骨を丈夫にすることが求められます。
くるみを食べて骨が折れやすくなる骨粗鬆症などの病気を予防していきましょう。
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くるみの種類
くるみには殻の硬いものや柔らかいものなどいろいろな品種があります。
ここから具体的に紹介していきます。
ヒメグルミ、オニグルミ
オニグルミとは日本が原産のくるみで殻が硬く、道具を使わないと割ることができないのが特徴です。
日本でくるみというと一般的にオニグルミのことをいいます。
ローストしてそのまま食べると、くるみ本来の味を感じやすいです。
オニグルミの変種はヒメグルミといわれます。
ヒメグルミはオニグルミに比べて殻を割りやすいため、日本で主に栽培される傾向にあります。
ヒメグルミは製菓用などに用いられることが多いのが特徴です。
ペルシアグルミ
ペルシアグルミは別名「せいようぐるみ(西洋胡桃)」や「かしぐるみ(菓子胡桃)」といわれるくるみの一種です。
名前の通り、世界的に栽培されている胡桃で殻が薄く比較的割りやすいです。
また、過食部分が多いのが特徴です。
扱いやすく利益をあげやすい点から、市販品の多くのくるみはペルシアグルミだといわれています。
テウチグルミ
テウチグルミとは、別名かしぐるみ(菓子胡桃)ともいわれるくるみのことです。
テウチグルミは料理に使ったりお菓子作りに使ったりされるケースが多く、手で簡単に割ることができることからその名が付けられました。
シナノグルミ
シナノグルミとはその名前の通り、長野県で主に栽培されているくるみのことです。
長野県東御市は日本一の生産量を誇り、別名をカシグルミやテウチグルミともいいます。
シナノグルミは、ペルシャグルミとテウチグルミが自然交雑してできたといわれています。
自生しているくるみと比べて大きいのが特徴です。
殻を割りやすく食べられる部分が多いことから市販されているくるみの多くを占めるのが特徴です。
くるみを使ったアレンジレシピ
くるみを使って料理を作れば、料理に独特の旨みをプラスすることができます。
ここから、くるみを活かした美味しい料理のレシピを2つ紹介していきます。
みそクルミにぎり
くるみが入ったことで食感がよくなり、さらにおいしくおにぎりを食べることができます。
【材料2人分】
- くるみ:60g
- みそ:大さじ3
- 砂糖:小さじ2
- みりん:大さじ2
- ごはん:茶碗2〜3杯分
- 塩:少々
【作り方】
- 1 クルミを細かく切り、フライパンで軽く煎る
- 2 鍋にみそ、砂糖、みりんを入れ中火で煮詰めていく
- 3 煮詰まったらくるみを入れて軽く混ぜ合わせる
- 4 ご飯に3を入れて混ぜ、4等分にします
- 5 手を水で濡らして塩を付け好きな形に握って完成
クルミの炊き込みおこわ
いつものおこわにくるみを入れると旨味が加わり、美味しさがさらにアップします。
【材料2人分】
- お米:1合
- もち米:1/2合
- くるみ:20g
- まいたけ:100g
- 人参:1cm
- 油揚げ:5cm
- だし汁:250ml
<調味料>
- 酒:大さじ2
- みりん:小さじ1
- 塩:小さじ1/4
- しょうゆ:小さじ2
- ごま塩:適量
【作り方】
- お米ともち米を合わせて炊く予定の30分前に水洗いし、ザルにあげておく
- くるみを切ってフライパンで軽く炒る
- まいたけ、人参、油揚げをそれぞれ適した大きさに切る
- 炊飯器にお米、調味料、切った材料をすべて入れてスタートする
- 炊きあがったら器によそい、ごま塩を振ったら完成
くるみによる食物アレルギー
くるみを食べることで食物アレルギーを発症する方が近年増加していることから、食品表示の義務化が検討されてきました。
食物アレルギーとは、特定の食べ物を食べた時に体が過敏に反応することをいいます。
食物アレルギーの具体例な症状は下記のとおりです。
- かゆみ
- じんましん
- 嘔吐
- 意識障害
- アナフィラキーショック
上記のように、かゆみや嘔吐など比較的軽い症状から、重い場合は死に至る可能性がある病気です。
くるみを食べて食物アレルギーが出た件数を表す表は具体的に下記のとおりです。
年度 | 24年度 | 27年度 | 30年度 |
即時型症例数の順位(件数) | 9位(40件) | 8位(74件) | 4位(251件) |
ショック型症例数の順位(件数) | 10位(4件) | 8位(7件) | 4位(42件) |
出典:消費者庁
上記の表の通り、くるみを食べたことによる食物アレルギーの発生件数は年々増加していることがわかります。
結果を受けて、2022年6月に消費者庁はくるみの食品アレルギー表示義務化する方針を明らかにしています。
くるみの栄養まとめ
ここまでくるみに含まれる栄養などについてお伝えしてきました。
くるみに含まれる栄養についてまとめると下記のとおりです。
- くるみに含まれる栄養はビタミンE、B1、B6、葉酸、マグネシウム、亜鉛、オメガ3脂肪酸など
- くるみを食べて得られる健康効果は、生活習慣病の予防や骨や歯を強くすることなど
- くるみをおいしく食べるレシピは、「みそクルミにぎり」と「クルミの炊き込みおこわ」の2つがおすすめ
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。