更年期にはさまざまな症状があらわれます。
たとえば昼間に強烈に眠いと感じる場合、原因は更年期にあるかもしれません。
なぜ更年期には猛烈に眠くなるのでしょうか。
本記事では、更年期で眠い事柄について以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期で眠いと感じる原因
- 更年期の眠気を改善する方法
- 眠い以外の更年期の症状
更年期で眠い事柄について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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更年期とは
更年期とは、閉経の前後10年間をあわせた期間です。
具体的な年齢は個人差がありますが、一般的には45歳~55歳が更年期に該当します。
閉経すると女性ホルモンのバランスが崩れやすくなります。
そのため、更年期にはさまざまな不調があらわれやすくなります。
更年期にホルモンバランスの影響であらわれる症状は、更年期障害と呼ばれています。
更年期障害の主な症状は次の通りです。
- いらいら
- ほてり
- 関節痛・腰痛
- 気分の落ち込み
- 眠気
参考:https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/qa/menopause_Q11.html
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
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なぜ更年期だと眠いのか?
更年期にはさまざまな症状があらわれやすくなります。
代表的な症状が眠いと感じることです。
なぜ更年期には眠いと感じやすくなるのでしょうか。
更年期で眠いと感じるメカニズムをご紹介します。
参考:https://www.gunze.jp/kireilabo/special/content/a202105_1/
https://karadano-monosashi.jp/column/1kounenki0626/
https://www.rakuten-card.co.jp/minna-money/topic/article_2109_00005/#h_33786
https://get-canvas.com/blogs/articles/menopause-sleepy
https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/qa/menopause_Q10.html
ホルモンバランスが乱れるため
更年期で眠いと感じる原因の1つは、女性ホルモンバランスの乱れです。
女性は閉経を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の量が急激に少なくなります。
結果として、女性ホルモン全体のバランスが乱れやすくなります。
なぜ女性ホルモンが乱れると眠気が出るのかというと、自律神経も乱れるからです。
自律神経は内蔵の働き・ホルモン分泌・血圧などを調整している神経系です。
女性ホルモンの分泌元と自律神経は、脳の同じ分野に存在します。
いわばお隣さんであるため、どちらかがバランスを崩すと、もう一方も影響を受けてバランスを崩しやすいのです。
自律神経は眠りの質を左右する神経系でもあります。
具体的には自律神経のうち、副交感神経が活性化すると質の良い睡眠をとりやすくなります。
一方、自律神経のうち交感神経が活発化すると眠りの質は下がりやすくなります。
自律神経のバランスが崩れると、交感神経が優位になりやすくなります。
つまり眠りの質が下がりやすくなるのです。
眠りの質が下がると、睡眠時間は十分でも身体や脳はゆっくり休めていません。
簡単にいえば睡眠不足に陥るため、活動時間中でも眠いと感じやすくなります。
加齢による浅眠
更年期で眠いと感じるもう1つの原因として、加齢も指摘されています。
具体的には、年を重ねることで眠りが浅くなることが原因です。
年を重ねるにつれ、レム睡眠の時間は短くなる傾向があります。
レム睡眠とは夢を見る眠りのことで、熟睡に入る前の段階とされています。
レム睡眠の回数が少なくなると、眠りが浅くなります。
そのため夜中に何度も目が覚めたり、自分では寝ているつもりでも睡眠が不十分になったりします。
年を重ねると自然とレム睡眠の回数は減るため、知らない間に寝不足に陥っていることが多いです。
出典:厚生労働省【レム睡眠 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
更年期睡眠障害に悩む人の割合
厚生労働省の調査結果を参照します。
更年期に、何らかの睡眠トラブルを抱えている女性の方の割合は次のようになりました。
症状が強い | 症状の程度は中くらい | 症状の程度は弱い | 症状が無い | |
20~29歳 | 8.9% | 20.4% | 19.6% | 51.1% |
30~39歳 | 11.4% | 15.2% | 18.7% | 54.7% |
40~49歳 | 10.7% | 16.2% | 22.1% | 51.1% |
50~59歳 | 12.7% | 16.7% | 25.4% | 45.2% |
60~69歳 | 12.4% | 9.7% | 23.0% | 54.8% |
更年期障害があらわれやすいのは50代です。
表を見ても、最も睡眠のトラブルを感じているのは50~59歳の更年期世代の方であることが分かります。
50代では、半分以上の方が多かれ少なかれ睡眠にトラブルを抱えています。
出典:厚生労働省【「更年期症状・障害に関する意識調査」 基本集計結果 (2022 年7月 26 日)】
更年期の睡眠障害を改善するには
更年期で眠いと感じるのを改善するには、自律神経を整えることが大切です。
自律神経が整うと、夜間に副交感神経が優位になりやすいため、質の良い睡眠を得やすくなります。
ここからは自律神経を整えて更年期の眠気を改善する方法をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
生活習慣を改善する
更年期の眠気を改善するには、まず生活習慣を見直すことが大切です。
具体的には、規則正しい生活を心がけましょう。
生活リズムが整うと、睡眠のリズムも整いやすくなります。
睡眠リズムが整えば、毎日決まった時間にスムーズに入眠しやすくなります。
休日もできる限り寝坊などはせず、毎日決まった時間に起床・就寝するクセをつけましょう。
入眠前の習慣の見直しも大切です。
たとえばスマホ・PCから発せられるブルーライトは、脳を興奮させて眠気を覚ます作用があります。
入眠の少なくとも1時間前は、デジタル機器の使用は控えましょう。
また、食事・入浴・運動も睡眠の最低2時間前に終わらせておくと、スムーズに寝付きやすくなります。
参考:https://panasonic.jp/life/air/170061.html
https://www.mep-minamiaoyama.com/good_sleep/
https://www.fracora.com/ageless/2699/
食生活を見直す
自律神経を整えて更年期の眠気を防ぐには、食生活の見直しも大切です。
まず第1に、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
たとえば一汁三菜を心がけると、品数が増えるため栄養バランスが整いやすくなります。
更年期障害を和らげてくれる食材を摂るのもよい方法です。
代表的なのは大豆・大豆製品です。
大豆には女性ホルモンに似た働きをする植物性エストロゲンが含まれます。
摂取することで女性ホルモンを補えるため、眠い症状が緩和されることもあります。
参考:https://www.fujingaho.jp/lifestyle/beauty-health/g34613782/foods-help-the-menopause/
https://ko-nenkilab.jp/countermeasure/meal.html
https://karadano-monosashi.jp/column/1kounenki0626/
適度な運動をする
運動も自律神経を整えるうえで有効です。
おすすめなのは、ウォーキング・水泳のような有酸素運動です。
運動する気になれない…という方は、気分転換のつもりで少し散歩するだけでもOKです。
身体を動かすと血流が良くなるため、副交感神経が優位になりやすくなります。
また身体を動かして適度に疲労すると、夜はぐっすり眠りやすくなります。
参考:https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/22/
https://www.cocofump.co.jp/articles/kaigo/39/#30
病院で治療をする
更年期による眠気などがひどい場合は、病院で治療を受けるのも1つの方法です。
更年期障害の診療科は婦人科が一般的です。
かかりつけ医がいる場合は、まず相談してみてもよいでしょう。
更年期障害の主な治療法はホルモン補充療法・薬物療法です。
ホルモン補充療法とは、減少した女性ホルモンを薬で補う方法です。
薬物療法は、夜の不眠や精神症状がある場合に利用されることが一般的です。
たとえば眠気の原因が不眠の場合は、睡眠導入剤が処方されることもあります。
不安・憂鬱などの精神症状が重い場合は、向精神薬なども検討されます。
参考:https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/qa/menopause_Q12.html
https://www.hisamitsu.co.jp/hrt/treatment/methods.html
漢方薬を試す
更年期の眠気には漢方薬が効くこともあります。
たとえば自律神経を整える漢方薬や、寝つきをよくするような漢方薬がおすすめです。
不安・焦りで寝つきが悪くなっている場合は、気持ちをリラックスさせる漢方薬を試してみましょう。
更年期の眠気に効く漢方薬には、たとえば次があります。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
- 半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
- 香蘇散(コウソサン)
- 温経湯(ウンケイトウ)
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
参考:https://www.kamposupport.com/kentame/archives/10884#i-6
https://www.kampo-view.com/trouble/kounenki
更年期の他の症状
更年期には眠気以外にもさまざまな症状があらわれます。
代表的な症状は次の通りです。
身体的症状 | 肩こり・腰痛・頭痛・吐き気・動悸・息切れ・ほてり・熱感・めまい・便秘・下痢 胃もたれ・胸やけ・むくみ・関節痛・頻尿・月経異常・耳鳴り・不眠 |
精神的症状 | イライラ・不安・憂鬱・抑うつ・無気力 |
更年期障害の症状のあらわれ方は個人差が大きいのが特徴です。
複数の重い症状があらわれることもあれば、まったく症状が出ないこともあります。
https://ko-nenkilab.jp/symptom/
更年期以外の可能性
強烈な眠気の原因は更年期以外の病気の可能性もあります。
たとえば次のような病気が代表的です。
- 過眠症
- 低血糖
- 睡眠時無呼吸症候群
- うつ病
- PMS
眠気の原因はご自身では特定しづらいのが実情です。
生活に支障が出るほど眠い場合は、一度病院で診てもらいましょう。
参考:https://www.angfa.jp/karada-aging/practice/low-blood-sugar/
https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/hypersomnia/
https://www.nishikawa-mimi.com/sas/daytime/
更年期で眠いまとめ
ここまで更年期で眠い事柄についてお伝えしてきました。
更年期で眠い事柄の要点を以下にまとめます。
- 更年期で眠いと感じる原因は、女性ホルモンの乱れによる自律神経の乱れや、加齢による睡眠の質の低下
- 更年期の眠気を改善する方法は、栄養バランスのよい食事・適度な運動・規則正しい生活など
- 眠い以外の更年期の症状は、頭痛・めまい・ほてりなどの身体的症状や、イライラ・憂鬱などの精神的症状
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。