血糖値は、基準値以内に収めることが大切です。
それでは、血糖値の基準値とは具体的にどれくらいなのでしょうか。
血糖値が基準値内に収まらないと、一体どうなってしまうのでしょうか。
本記事では、血糖値基準値について以下の点を中心にご紹介します。
- 血糖値基準値とは
- 血糖値が基準値に収まらない場合の症状
- 血糖値異常で起こりやすい病気
血糖値基準値について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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血糖値って何?
そもそも血糖値とは、どういう値なのでしょうか。
まずは、血糖値の基本的な情報をご紹介します。
血糖値とは?
血糖値とは、血液中のブドウ糖の量を示した数値です。
血糖値は、基準値より高くても低くてもよくないとされています。
血糖値が基準値より高すぎる場合は、高血糖・糖尿病などと呼ばれます。
反対に、基準値より低すぎる場合は、低血糖が疑われます。
出典:厚生労働省【血糖値 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
血糖値が上昇する仕組み
血糖値は、体内にブドウ糖が入ってくると上昇します。
具体的には、血糖値が上昇するのは糖質(炭水化物)の食事を摂ったときです。
摂取された炭水化物は、胃・十二指腸で消化され、小腸で吸収されます。
小腸で吸収された糖は、分解されてブドウ糖に変化したのち、血液中に放出されます。
血液中のブドウ糖の量が増えると、血糖値が上昇するというわけです。
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血糖値基準値はどれぐらいが正常なの?
血糖値は、基準値より高くても低くても健康によくありません。
それでは、血糖値基準値とはどれくらいなのでしょうか。
血糖値基準値は、空腹時・食後や年齢によって異なります。
それぞれの血糖値基準値についてご紹介します。
空腹時の血糖値基準値
血糖値基準値の代表が空腹時血糖です。
まずは、空腹時の血糖値基準値についてご紹介します。
空腹時血糖とは?
空腹時とは、最低8時間以上絶食した状態で測る血糖値です。
健康診断で行われる血糖値検査は、空腹時血糖検査がほとんどです。
65歳未満の成人男女の空腹時血糖基準値
65歳以下の成人の空腹時血糖基準値は、100mg/dL未満です。
より詳細には、70mg/dl~99mg/dLが正常範囲とされています。
空腹時血糖が100mg/dL以上ある場合は、糖尿病が疑われます。
食後(随時血糖)の血糖値基準値
食後に測定する血糖値は、随時血糖と呼ばれています。
随時血糖についてご紹介します。
随時血糖とは?
随時血糖は、食後に随時測定する血糖値です。
一般的には食事から2時間以上経ったときの血糖値を測ります。
65歳未満の成人男女の随時血糖値基準値
随時血糖値基準値は、140mg/dL未満です。
随時血糖が140mg/dL以上ある場合は、食後高血糖が疑われます。
食後高血糖は、隠れ糖尿病のサインとも呼ばれています。
出典:厚生労働省【食後高血糖 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
高齢者(65歳以上)の血糖値基準値は?
糖尿病を患う65歳以上の高齢者で、かつ認知症でない場合の血糖値基準値はHbA1cであらわされます。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、糖化ヘモグロビンの割合を示した数値です。
HbA1cは、過去2ヶ月の血糖値の指標とされています。
高齢の方で糖尿病であり、かつ認知症でない方のHbA1cの血糖値基準値は7%です。
軽度認知症の場合は7%、中等度以上の認知症の方は8%です。
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血糖値異常がもたらす症状
血糖値が血糖値基準値よりも高すぎたり低すぎたりすると、さまざまな症状が出やすくなります。
血糖値の異常によって引き起こされる主な症状をご紹介します。
血糖値が基準値より下がった場合の症状
血糖値が血糖値基準より低い状態は、低血糖と呼ばれます。
低血糖であらわれやすい症状は、次の通りです。
思考力の低下
低血糖になると頭がボンヤリしやすくなります。
具体的には、思考力・注意力・集中力の低下などがみられます。
場合によっては、
- 仕事
- 勉強
- 運転
などに支障をきたすこともあります。
空腹・発汗
低血糖になると、強烈な空腹感に襲われることがあります。
あるいは、
- 冷や汗をかく
- 熱感・悪寒を感じる
などの症状があらわれることもあります。
疲労・脱力感
低血糖では、疲労・脱力感を感じることもあります。
疲労・脱力感は、低血糖が進行するにつれて強くなることが一般的です。
その他の症状
低血糖のその他の症状には、次があります。
- めまい
- 動悸
- 混乱
- 意識の混濁
- 昏睡
症状のあらわれ方は、個人によって差があります。
血糖値が基準値より上がった場合の症状
血糖値が血糖値基準値よりも高い場合は、次のように呼ばれます。
- 高血糖
- 糖尿病
高血糖時などにあらわれやすい症状をご紹介します。
手足のしびれ
高血糖時には、手足などに
- しびれ
- 麻痺
を感じることがあります。
手足のしびれの原因として、高血糖状態による血管のダメージが指摘されています。
血管は、ダメージを受けると細くなったり詰まったりしやすくなります。
簡単にいえば、血流が滞りやすくなるのです。
手足の血管が詰まった場合には、しびれなどの症状があらわれやすくなります。
皮膚の乾燥・かゆみ
高血糖になると、皮膚の乾燥が起こりやすくなります。
皮膚の乾燥は、かゆみを引き起こすこともあります。
高血糖で皮膚の乾燥・かゆみが起こる理由は、細胞の糖化です。
糖化とは、糖とたんぱく質などが結合する状態です。
細胞の糖化は、皮膚の老化を招きます。
皮膚が老化すると潤いを保つ能力が低下するため、乾燥が起こりやすくなります。
頻尿・多尿・多汗等
高血糖になると、汗や尿の量・回数が増えやすくなります。
理由は、身体が過剰なブドウ糖を汗・尿と一緒に排出しようとするためです。
高血糖のときは、多飲もよくみられます。
理由は、尿・汗の量・回数が増えて体内の水分が大量に失われるためです。
簡単にいえば喉が渇きやすくなるため、自然と水を飲む量・回数が多くなります。
その他の症状
高血糖のその他の症状は、次の通りです。
- 体重減少
- 倦怠感
- 空腹感
- 集中力の低下
高血糖の症状があらわれやすいのは、血糖値が300mg/dLを超えたときです。
血糖値異常によって引き起こされる病気
血糖値の異常によって、起こりやすい病気をご紹介します。
病気のリスクが高まるのは、血糖値異常の中でも「高血糖」です。
糖尿病
糖尿病は、血糖値が高くなった場合に起こりやすい病気です。
糖尿病とは、インスリンの効きが悪くなることで血糖値が下がりにくくなった状態です。
高血糖になると、血糖値を下げようとして膵臓から大量のインスリンが分泌されます。
高血糖状態が長く続くと、膵臓は次第に疲れていきます。
最終的に膵臓が十分なインスリンを分泌できなくなると、糖尿病に至ります。
心臓病・心筋梗塞
高血糖は、心筋梗塞などの心疾患のリスクを上昇させます。
理由は、高血糖は動脈硬化を引き起こしやすいためです。
血液中にブドウ糖が増えすぎると、血管がダメージを受けて硬くなります。
心臓の血管が動脈硬化を起こすと、心疾患の可能性が高まります。
肝硬変
高血糖は、肝硬変をはじめとする肝臓の障害のリスクをあげます。
肝臓は、血糖値をコントロールする器官です。
高血糖が続くと肝臓に大きな負担がかかるため、肝硬変などの重大な疾病が起こりやすくなります。
糖尿病の方は、糖尿病でない方に比べると肝臓がんのリスクが高いとも指摘されています。
膵臓の病気
高血糖は、膵臓の病気を招くこともあります。
膵臓は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌元です。
高血糖状態が長く続くと、膵臓には大きな負担がかかります。
結果として、膵臓が重大な疾病を起こす可能性があります。
その他の病気
高血糖によってリスクがあがる病気は、次の通りです。
- 神経障害
- 網膜症
- 腎臓障害
- 脳梗塞
血糖値基準値を維持するための対策
健康を守るためにも、血糖値は正常範囲で維持することが大切です。
血糖値基準値の守り方をご紹介します。
血糖値基準値より高い場合
血糖値が高い場合は、血糖値をこれ以上上げないような工夫が必要です。
具体的な内容をみていきましょう。
血糖値が上がるのはどんなとき?
血糖値が上がるのは、糖質が多い食品を摂取したときです。
あるいは、ストレス・緊張を感じたときも血糖値が上がることがあります。
血糖基準値が高い場合の看護のポイント
高血糖の場合の看護のポイントは、次の通りです。
- 適切な食事
- 適度な運動
- ストレスの解消
糖尿病がある方に対しては、合併症を発症していないかどうかの観察も必要です。
血糖値基準値より低い場合
低血糖の方は、血糖値を適正範囲まで上げるような工夫が必要です。
具体的なポイントなどをご紹介します。
血糖値が下がるのはどんなとき?
血糖値が下がるのは、糖質の摂取量が足りないときです。
たとえば無理なダイエット・食事制限などが該当します。
糖尿病の方の場合は、糖尿病治療薬・インスリン注射の効きすぎによって低血糖に陥ることもあります。
血糖基準値が低い場合の看護のポイント
低血糖の方の看護のポイントは、次の通りです。
- 適切な食事
- 血糖値の把握
- 薬の服用の管理
糖尿病の方は、薬によって低血糖を起こすことが多いです。
頻繁に低血糖を起こす場合は、糖尿病治療薬の量・回数の見直しなどを行いましょう。
血糖値の異常で糖尿病を疑われたら
血糖値が高すぎる場合は、糖尿病が疑われます。
糖尿病が疑われる場合の検査方法・治療方法などをご紹介します。
出典:厚生労働省【糖尿病|厚生労働省】
出典:厚生労働省【糖尿病に関する留意事項】
糖尿病の検査方法
糖尿病の検査では、主に血液検査を行います。
具体的な検査方法は、次の通りです。
- 空腹時血糖検査
- 随時血糖検査
- 75gOGTT
75gOGTはブドウ糖水溶液を飲み、2時間後の血中ブドウ糖濃度を測定する検査です。
糖尿病の治療方法
糖尿病の治療方法は、進行の仕方・症状などによって異なります。
次のような治療法を組み合わせることが一般的です。
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
薬物療法は、血糖値降下剤やインスリン注射などが代表的です。
糖尿病治療と並行して、合併症の予防・治療が行われることも多いです。
糖尿病がもたらす合併症
糖尿病には合併症のリスクがあります。
主な合併症には、次があります。
- 神経障害
- 網膜症
- 腎症
- 動脈硬化
特に目立つのは、動脈硬化です。
動脈硬化は、
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
に発展することもあります。
かくれ血糖ってどんな症状?原因は何?
近年問題視されているのが「かくれ血糖」です。
かくれ血糖は、
- 「隠れ高血糖」
- 「隠れ糖尿病」
などと呼ばれることもあります。
かくれ血糖とは、隠れていて見つかりにくい血糖値異常です。
たとえば、食後のみ高血糖になる場合がかくれ血糖に該当します。
平時の血糖値には問題がないことが多いため、健康診断でみつかりにくいのが特徴です。
かくれ血糖には、「隠れ低血糖」も含まれます。
隠れ低血糖は、夜間・睡眠中の低血糖が該当します。
意識があるときに低血糖になっているにもかかわらず、自覚できない場合も含まれます。
通常は、低血糖になるとさまざまな自覚症状があらわれます。
しかし隠れ低血糖は、症状が出ない・出ていても自覚しづらいのが特徴です。
無自覚のまま低血糖を繰り返すと、心臓や認知機能に悪影響が出ることもあります。
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血糖値基準値まとめ
ここまで血糖値基準値についてお伝えしてきました。
血糖値基準値の原因の要点を以下にまとめます。
- 成人の空腹時の血糖値基準値は100mg/dL未満
- 血糖値が基準値に収まらない場合の症状は、低血糖では手足の震え・思考力の低下など、高血糖では多尿・多飲・皮膚の乾燥などの症状が出やすい
- 血糖値異常で起こりやすい病気は糖尿病・動脈硬化・心筋梗塞・肝硬変など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。