更年期関節痛は、関節の痛みやこわばりなどの症状があらわれます。
また、ほてりやイライラといった更年期症状が同時に出ることもあります。
そもそも更年期関節痛は、なにが原因で痛みの症状が出るのでしょうか?
更年期関節痛の痛みを和らげる方法はあるのでしょうか?
本記事では、更年期関節痛について以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期関節痛になる原因と症状
- 更年期関節痛の検査方法や治療方法
- 更年期関節痛におすすめの漢方薬、サプリメント
- 更年期関節痛を和らげるには
また、関節リウマチとの見分け方についても解説していきます。
更年期関節痛について理解するためにも、最後までお読み頂ければ幸いです。
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更年期関節痛になる原因
更年期関節痛は、女性ホルモンのエストロゲンが減少することが原因で発症すると考えられています。
エストロゲンには軟骨の形成を促す作用があり、関節にある受容体に取り込まれることで効果を発揮します。
しかし、更年期になると受容体に取り込まれるエストロゲンの量が少なくなります。
エストロゲンの量が少なくなると、軟骨が減少してしまうのです。
軟骨は関節の動きをなめらかにし、衝撃から守るクッションのような役割を持っています。
関節が油が切れた機械のようになるのは、軟骨が減少し関節の柔軟性が低下したからです。
なめらかに動かせなくなった関節は悲鳴を上げ、痛みを伴います。
また、エストロゲンには関節の炎症を抑えたり、痛みを和らげる作用もあります。
関節の炎症が出やすくなったり、痛みを感じやすくなるのは、エストロゲンの減少が原因です。
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更年期関節痛の症状
更年期関節痛の症状について解説します。
手のこわばり
- 手足に力が入らない、物が握れない、しびれた感じがする
- 朝や起床後に「こわばり」などの症状が強くあらわれる
肘の痛み
- 肘に痛みやしびれがあり、曲げ伸ばしがスムーズにできない
- 重い荷物が持てない、雑巾を絞るなどの動作が難しい
指の痛み
- 指に痛みやしびれがあり、ばね指などの症状がある
- ペットボトルのフタが開けられない
膝の痛み
- 膝に痛みやしびれがあり、曲げ伸ばしがスムーズにできない
- イスから立ち上がったり、階段の上り下りをすると痛みが出る
足首の痛み
- 足首に痛みやしびれがあり、曲げ伸ばしがスムーズにできない
- かかとやアキレス腱に痛みを感じることもある
肩の痛み
- 頭や首、肩が重く痛みを感じる
- 腕などに痛みを感じることもある
更年期関節痛の検査方法
更年期関節痛は、ほかの病気の可能性がないか、3つの検査と問診内容から総合的に診断します。
採血
- リウマトイド因子などの免疫反応
- 赤血球やヘモグロビンの数値
- 炎症反応の数値
レントゲン
- 軟骨のすり減り具合
- 骨密度に異常はないか
- 骨の変形はないか
関節エコー
- 滑膜に炎症はないか
- 関節に水は溜まっていないか
更年期関節痛の治療方法
更年期関節痛の治療方法をご紹介します。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、更年期関節痛に効果的な治療方法です。
貼り薬や塗り薬、飲み薬の処方によって女性ホルモンを補充する治療のことです。
若い頃の分泌量にまで戻すのではなく、症状を改善できる必要最低限の量を補充します。
関節痛だけでなく、ほてりや自律神経の乱れの改善、骨粗鬆症の予防など更年期のあらゆる症状に治療効果を期待できます。
レーザー治療
鎮静効果のある低出力のレーザーを患部に当てる治療です。
痛みの伝達をブロックしたり、血流が改善して痛みが和らぐなどの効果が認められています。
週1〜2回の照射を継続することで痛みの症状が改善していきます。
星状神経節近傍照射
首の前面にある星状神経節に赤外線を照射する治療方法です。
星状神経節は上半身の血行を司る交感神経のひとつで、筋肉を緊張させたり血圧を上げる役割があります。
赤外線を照射すると、副交感神経が優位となり、筋肉の緊張がほぐれて血流の改善に繋がります。
そのほか、不眠やイライラなどの更年期症状にも効果を期待できます。
更年期関節痛におすすめの漢方薬
更年期関節痛におすすめの漢方薬を紹介します。
五積散(ごしゃくさん)
適用 | 効能 |
冷えがある人の胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒に効果を示す | ・胃腸の働きを高めて身体の痛みや冷えを取り除く ・気血の生産、流れを整える |
ヨク苡仁湯(よくいにんとう)
適用 | 効能 |
関節や筋肉に腫れや痛みがある人の関節痛、筋肉痛、神経痛に効果を示す | ・身体に溜まった水分を取り除いて痛みを取る ・気血を補い、気の流れを整える |
麻黄湯(まおうとう)
適用 | 効能 |
ふしぶしの痛みや悪寒に効果を示す | ・気の流れを良くして痛みを発散する ・体の表面の働きを整える(発汗作用 |
更年期関節痛におすすめのサプリ
更年期関節痛には「エクオール」などが含まれたサプリメントがおすすめです。
エクオールとは、大豆イソフラボンが腸内細菌の働きで変化したものです。
エストロゲンと似た作用を持っていますが、日本人のほとんどは体内に変換酵素を持っていません。
エクオールをサプリメントで摂取することで、更年期の関節痛をはじめとした症状に効果を期待できます。
更年期関節痛を和らげるには
更年期関節痛を和らげるための対策を紹介します。
適度な運動
10〜20分程度の散歩や、軽いストレッチなどの適度な運動が効果的です。
痛みがある場合は、その場で足踏みしたり、椅子に座って足を上げ下げしてみましょう。
手のこわばりには、手を握って開く「グーパー体操」を30秒ほど行うことが適しています。
関節を温める
シャワー浴ではなく、湯船にしっかり入浴して関節を温めましょう。
手足の痛みが強い場合は、ボウルや桶にお湯を溜めて手足を浸す部分浴をしてもいいでしょう。
カルシウムやビタミンの摂取
カルシウムには骨を丈夫にする作用があります。
ビタミンDにはカルシウムなどの吸収を活性化させ、骨に蓄えられることを助ける働きがあります。
カルシウムとビタミンDは併せて摂取するように心がけてください。
また、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEには、血行を促進して骨や関節を維持する効果を期待できます。
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更年期関節痛と関節リウマチの見分け方
関節リウマチとは、自己免疫性の疾患です。
関節内の滑膜が増殖して炎症が発生することで、痛みや腫れなどの症状があらわれます。
更年期関節痛との大きな違いは、ほかの更年期症状が現れているかどうかです。
また、リウマチの場合は症状が左右対称に現れ、寒い季節に症状が出やすいという特徴があります。
しかし、関節の痛みや腫れなど、症状が似ていることから自分で判断することは難しいでしょう。
関節リウマチは放置することで悪化する可能性があるため、自己判断で更年期のせいだと思い込まないことが大切です。
痛みや腫れ、こわばりなどの症状が気になる場合は整形外科やリウマチ内科などの医療機関を受診しましょう。
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更年期関節痛に関する意識調査
更年期とは、閉経前後10年間ほどのことをいいます。
個人差があるものの、40代・50代で更年期の症状が出ることが多いとされています。
40代・50代で、更年期に痛みの症状があると答えた人は60%以上です。
また、ほかの年代よりも痛みを感じている割合が多いことがわかります。
更年期は顔のほてりやイライラを始めとして、関節の痛みなどのつらい症状があらわれます。
症状がつらい場合は我慢せず、医療機関を受診してホルモン補充療法などをしましょう。
カルシウムやビタミン、エクオールなどのサプリメントの摂取もおすすめです。
出典:厚生労働省【女性の年代別 更年期症状(肩こり、腰痛、手足の痛みがある)】
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更年期の関節痛まとめ
ここまで更年期関節痛についてお伝えしてきました。
更年期関節痛について要点をまとめると以下のとおりです。
- 更年期関節痛になる原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少によるもの
- 更年期関節痛の症状は手のこわばりや関節の痛み、腫れ
- 更年期関節痛の検査方法は採血・レントゲン・エコーの3種
- 更年期関節痛の治療方法はホルモン補充療法・レーザー治療・星状神経節近傍照射
- 更年期関節痛におすすめの漢方薬は五積散・ヨク苡仁湯・麻黄湯
- 更年期関節痛におすすめのサプリメントは「エクオール」
- 更年期関節痛を和らげるには「適度な運動」「関節を温める」「カルシウムやビタミンの摂取」をする
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。