女性にとって更年期は、大きな節目です。
そして心身ともに大きな転換期を迎え、不調となるのが更年期障害です。
これから更年期を迎える方、真っ最中の方も不安がらずに向き合うことが大切です。
そんな更年期障害とは、どんな症状があるのでしょうか?
本記事では更年期障害について以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期障害とは
- 更年期障害はなぜ生じるのか
- 更年期障害の治療法は
更年期障害について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
更年期とは
女性は、年齢とともに卵巣の活動が衰え、閉経を迎えます。
月経が12カ月以上来ない状態が続くと、月経が来なくなったときから閉経と位置付けます。
一般的な更年期は、閉経前の5年間、閉経後の5年間を通算して10年間を示します。
スポンサーリンク
更年期障害とは
更年期障害は、女性ホルモンのエストロゲンの急激な減少が原因です。
エストロゲンによってコントロールされてきた機能がうまく働かなくなってしまいます。
とくに自律神経に大きな影響を与え、障害を起こします。
更年期には、さまざまな症状があらわれます。
症状のあらわれ方は、非常に個人差が大きいのが特徴です。
軽度で生活に支障がない程度であれば、更年期症と呼ばれます。
症状が重くなると、日常生活もままならなくなるので、薬物治療が必要になります。
更年期障害の主な症状
ひとくちに更年期障害といっても、人によって以下のようにさまざまな症状があらわれます。
- ホットフラッシュ
- 頭痛
- 肩こり
- 慢性的な疲労
- 不眠
- イライラ
- うつ状態
- めまい
代表的な更年期障害の症状を紹介します。
ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)
ホットフラッシュは、更年期障害の中で最も多くの女性が経験する症状です。
何の前触れもなく急に顔が熱くなって、暑くもないのに汗が止まらなくなります。
これは、自律神経のコントロールが制御されなくなったことが原因です。
血管の収縮や拡張の調整ができず、暑さ寒さに関係なく起こる症状です。
頭痛
頭痛は、もともと女性に多い症状ですが、更年期に入って悪化するケースがあります。
更年期障害による頭痛は、脳血管の血管壁が収縮、あるいは痙攣して起こります。
エストロゲンの分泌が関係しているといわれています。
年齢的に脳卒中などの脳血管の疾病も疑われます。
病院を受診して、重篤な病気のサインでないことを確認しましょう。
肩こり
更年期になると、肩こりや首こりを訴える方が多くなります。
これは、自律神経の乱れによって症状を悪化させているためです。
慢性的な疲労
身体を休ませても「疲れてだるい」「何もする気が起こらない」という症状が出ます。
これは、更年期障害の特有の症状のひとつです。
周囲からはなかなか理解してもらえず、追い詰められて症状が悪化するケースもあります。
不眠
エストロゲンの減少に伴う自律神経の乱れによって、睡眠障害が起こります。
とくに更年期障害では不眠を訴える方が多い傾向にあります。
睡眠中に起こるホットフラッシュで、睡眠が妨げられることがあります。
また、不安や抑うつといった精神症状によっても、眠れなくなることがあります。
イライラ
更年期前には、それほど気にならなかったことに対してイライラするようになります。
感情のコントロールがうまくできず、怒りを爆発させてしまうこともあります。
神経を落ち着かせるホルモン「セロトニン」がエストロゲンの減少によって不足してしまうのが原因です。
また、取り巻く環境のさまざまなストレスにより、自律神経のバランスが崩れることも原因です。
うつ状態
エストロゲンの減少によって、精神神経症状があらわれることがあります。
主な症状としては、うつ状態です。
うつ状態から、本格的なうつ病を発症することも多くあります。
おかしいと思ったら、心療内科を受診しましょう。
めまい
めまいは、自律神経の乱れによって起こります。
血圧が不安定になり、高くても低くてもめまいは起こります。
急に立ち上がったり、身体の向きを変えたりしたときに、目の前が暗くなります。
更年期障害の原因は?
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が起こります。
すると、視床下部や下垂体の機能に変調をきたします。
自律神経だけでなく、
- 内分泌系
- 免疫系
- 精神神経
などに影響を及ぼします。
それだけではありません。
更年期は、社会的にも大きな節目を迎えます。
たとえば、子どもが巣立ったときの喪失感、親の介護による心身の疲労などです。
多くの女性は、これらの変化に対し葛藤し、受け入れながら更年期を乗り越えていきます。
しかし、一部の女性は、辛い更年期症状で日常生活もままならなくなってしまいます。
このように更年期障害の原因は、ホルモンバランスだけでなく、心理的な要因も複雑に絡み合っています。
更年期障害の治療・改善方法は?
更年期障害の治療・改善方法を紹介します。
薬物療法
更年期障害の主な原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少にあります。
そこで、少量のエストロゲンを補うという治療方法が「ホルモン補充療法(HRT)」です。
これによって、ホットフラッシュなどが改善されます。
この治療方法は、
- 飲み薬
- 貼り薬
- 塗り薬
など、いろいろなタイプがあるので自分に合ったものを選びます。
また、気分の落ち込みやうつ症状、精神的に不安定だという場合は、向精神薬が処方されます。
不眠の場合には睡眠薬など、症状に合わせた薬で更年期障害を楽にすることができます。
漢方療法
漢方薬は、その人の体質や症状に合わせて、さまざまな生薬を組み合わせます。
とくに更年期に効果があるとされているのは、
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
この3つの漢方薬は、「婦人科三大処方」とも呼ばれているものです。
規則正しい生活をする
更年期障害は、女性ホルモンの減少だけでなく、ストレスも大きく関係しています。
ストレスに強くなるためには、規則正しい生活が大切です。
バランスの取れた食事や適度な運動、良質な睡眠を基本に、ストレスの解消もしましょう。
毎日の生活で、自律神経を整えることが更年期障害を乗り切るポイントになります。
更年期障害はいつごろ治まる?
更年期障害は、いつになったら辛い症状が治まるのでしょうか?
更年期障害の症状は、個人差が大きいため一概にはいえません。
一般的には50代の後半から60代の前半にかけて、更年期を乗り越えたと感じる方が多いようです。
更年期障害は男性でも生じる?
更年期障害は、女性だけのものではありません。
男性も、加齢によって男性ホルモンが減少すると更年期障害を生じます。
症状としては、
- 極度の不安
- やる気の低下
- 記憶力の低下
- 性欲の低下
などがあります。
女性は、閉経をもって更年期に突入したことが自覚できます。
しかし、男性は徐々に男性ホルモンが減少していくため、自覚や診断が困難になります。
また、女性の更年期障害は、ときとともに回復に向かいます。
男性の更年期障害は、何もしないで回復することはありません。
男性の更年期障害は、重症になると男性ホルモンを注射で補充することが必要になります。
まずは、泌尿器科を受診してみましょう。
スポンサーリンク
更年期障害だと自己判断しないこと
40代以降になると、更年期障害がグッと身近になってきます。
更年期障害の症状をみて、どれも自分に当てはまるような気がするのではないでしょうか。
身体の不調を感じたとき、「更年期だからしょうがない」と自己診断するのは危険です。
40代から50代は、年齢からくる病気に注意しなくてはなりません。
たとえば、お腹が痛い場合、卵巣に問題があるかもしれません。
頭痛が続く場合、脳梗塞やくも膜下出血の前兆かもしれません。
身体の不調を感じたら、必ず病院を受診しましょう。
もしかすると、更年期に関係のない病気が隠れているかもしれません。
スポンサーリンク
更年期障害・症状の受診率
更年期障害を抱えている方は、非常に多くいます。
しかし、更年期の症状を自覚した方の約7割は病院を受診しなかったと答えています。
なぜ、病院を受診しなかったのでしょう。
受診しない理由で最も多かったのが「病院に行くほどのことではないと思うから」です。
また、次に多かったのは、女性で「がまんできるから」、男性では「とくにない」でした。
これらの数字をみてみると、更年期障害は病院に行っても治らないものだから仕方がない。
あるいは、がまんすれば何とかなると考えている方が多いことを示しています。
日常生活に支障が出てしまうような辛い更年期障害は、病院で軽くしてもらえます。
がまんせず、積極的に病院を受診しましょう。
出典:厚生労働省【更年期症状・障害に関する意識調査】
スポンサーリンク
更年期障害まとめ
ここでは、更年期障害について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 更年期障害とは、更年期に発生し、生活に支障が出る症状
- 更年期障害は、女性ホルモンが激減するために起こる
- 更年期障害の治療法は、ホルモン剤などの薬物治療や漢方薬など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。