落ち込んでしまったり、やる気がなくなったり、イライラしたりすることは誰にでもあります。
しかしそれがあまりに長く続いたり、頻繁に起きて日常生活にも支障が出るほどであれば、うつ病の初期症状なのかもしれません。
家族や友人など、周囲の人の様子の変化が気になっているという場合もあることでしょう。
そこで本記事では、うつ病の初期症状について以下の点を中心にお伝えします。
- うつ病の初期症状について
- うつ病の初期症状はどのように治療するのか
- 高齢者のうつ病の初期症状とは
うつ病の初期症状について理解するためにも、参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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うつ病とは
うつ病とは気分障害の1つです。
うつ病になると、いろいろな精神症状や身体症状が現れます。
症状が重くなると、日常生活にも大きな支障が出ます。
うつ病の原因ははっきり分かっていません。
おもに、
- 精神的ストレス
- 身体的なストレス
が背景にありますが、何らかの病気や病気の治療薬が原因でうつ病を発症する場合もあります。
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うつ病初期症状に見られること
うつ病になるとどのような症状が現れるのでしょうか。
以下のような状態が何週間も続くようであれば注意が必要です。
詳しく見ていきましょう。
食欲がなくなる
うつ病になると食欲がわかなくなったり、少ししか食べられなくなったりすることがあります。
中には、食事をした後に、胸やけや吐き気を起こす場合もあります。
また、食事の量が減って、周りからも分かるくらい痩せてしまうという方もいます。
理由もなく泣きたくなる
涙もろくなることも、うつ病の初期症状の1つです。
感情のコントロールが上手くできず、特別な理由もないのに涙が出てしまうということもあります。
理由もなくイライラする
うつ病になるとイライラする感情もコントロールしにくくなります。
ささいなことで不機嫌になったり、怒りを爆発させたりしてしまいます。
イライラを放置して対処しないでいると、うつ病が進行する可能性が高くなるので注意が必要です。
集中力が切れやすくなる
集中力を保つのが難しくなるという症状も見られます。
会話をしていても話を聞いていなかったり、ボーっとしている時間が多くなります。
集中力がなくなると仕事や家事でミスを繰り返すようになります。
また、大切な予定を忘れてしまうということも起こり得ます。
眠れなくなる・過眠
うつ病に多く見られる睡眠障害には、4つのタイプがあります。
- 朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒
- ぐっすり眠った感じがしない熟眠障害
- 寝つきが悪くなる入眠困難
- 寝ている途中で目が覚めてしまう中途覚醒
うつ病の方に特に多いのは入眠困難で、眠りにつくまでに30分以上かかる場合は要注意です。
また睡眠時間が異様に長くなったり、昼間も寝込んでしまったりといった過眠症状がでる方もいます。
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うつ病の初期症状である吐き気の原因と対処法
うつ病の初期症状の1つに吐き気があります。
なぜ吐き気が起こるのか、どのように対処すればよいのかをお伝えします。
セロトニンが欠乏している
うつ病にはセロトニンの欠乏が関係しています。
セロトニンは脳内で心のバランスを保つ働きをします。
セロトニンは消化器官の粘膜にも存在しています。
消化を促す作用のあるセロトニンが欠乏することで、消化が上手くできなくなり、吐き気が起こります。
薬による副作用
うつ病の治療薬の中には、副作用で吐き気が起こるものもあります。
脳内のセロトニンの濃度を高めるための治療薬が、胃粘膜のセロトニン受容体にも作用してしまい、吐き気が起こります。
うつ病の治療が大事
うつ病によるセロトニン不足が原因で吐き気が起こる場合は、うつ病を治療することが大切です。
うつ病の治療によりセロトニン不足が解消されれば、吐き気も治まります。
消化に良い物を食べる
吐き気がするときには、無理にいつも通りの食事をしようとせず、消化に良いものを食べるようにしましょう。
食べやすいゼリータイプの飲料など、消化に負担がかからないもので栄養を補給するようにしてください。
うつ病の初期症状の治し方
うつ病の初期症状が見られたら、放置せずに早めに対処することが大切です。
以下の対処方法を実践してください。
休養する
うつ病の治療の第一歩は、十分に休養することです。
忙しすぎてなかなか休めないという方は、
- 仕事の量を調整する
- 残業をしないようにする
などの調整が必要かもしれません。
職場の同僚にも理解を求めて、休養できるように協力してもらいましょう。
病院へ受診する
うつ病の治療は心療内科や精神科のある病院で行うことができます。
メンタルクリニックやこころのクリニックと表示されているところもあります。
自己判断は症状を悪化させることがあるので、専門の医師に相談をしましょう。
食事を変えてみる
1日3回きちんとバランスの取れた食事ができているか、考えてみましょう。
ダイエットなどで食事の量が少なすぎると、体に必要な栄養素も不足してしまいます。
うつ病の治療に良い栄養素には次のようなものが挙げられます。
- ビタミンB群
- ビタミンD
- EPA、DHA
- 鉄
- 亜鉛
- アミノ酸
これらの栄養素が摂れるような食材を意識して取り入れるようにしましょう。
食欲がなくて食べられないという方は、医師に相談してください。
睡眠
うつ病を治療するためには、規則正しい十分な睡眠が必要です。
夜更かして睡眠時間が短くなっているのであれば、生活習慣を見直してみましょう。
寝る直前までパソコンやスマホの画面を見ていると、寝つきが悪くなります。
質の良い睡眠を取れるようにするために、
- 入浴
- ストレッチ
- マッサージ
などを行うのも効果的です。
運動
心臓に負担がかからない程度の有酸素運動をすることも勧められています。
運動をすることで、セロトニンの分泌を促すことができます。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
などで爽やかに汗をかけば、ストレス発散にもなります。
運動することで体が疲れると眠りやすくなります。
そのため、睡眠障害に悩んでいる方にも効果的です。
アンガーマネジメントなどで対処することもできる
アンガーマネジメントとは、怒りやイライラをコントロールすることです。
アンガーマネジメントは最近注目されている対処方法で、職場でのストレスを減らす目的でも取り入れられています。
アンガーマネジメントを身につけられるようにトレーニングすれば、すぐにイライラしたり怒りを爆発させたりしないように対処できます。
うつ病の初期症状に気づく仕事の同僚や家族
うつ病の初期症状は、周りの人も気づきやすいサインとなります。
身近な人にうつ病の初期症状が見られたら、治療できるようサポートをしましょう。
仕事の同僚
職場でうつ病の初期症状に見られるものとしては、
- 遅刻や無断欠勤が多い
- 同じミスを繰り返す
- 大切なスケジュールをよく忘れてしまう
などがあります。
社交的だった人が会話に加わらなくなったり、会議で発言しなくなったりといった変化もうつ病の現れかもしれません。
家族
一緒に暮らしている家族は、生活上のちょっとした変化にも気づきやすいでしょう。
以前よりも食事の量が減ったり、食後に不調を訴えることがあるかもしれません。
また寝る時間が遅くなったり、いつまでも起きてこなかったりといった睡眠障害の症状も気づきやすいポイントです。
友人
うつ病の初期症状には、以前楽しめていたことが楽しくなくなるということもあります。
友人であれば、普段と様子が違うことに気づくことでしょう。
会話が弾まなくなったり、一緒に出かける機会が少なくなるかもしれません。
高齢者のうつ病と初期症状
うつ病はどの年代の人も発症する病気なので、高齢者もうつ病になる可能性があります。
高齢者の場合は、うつ病の初期症状にも特徴が見られます。
認知症と勘違いされやすい
高齢者の場合、うつ病の初期症状は認知症と似ているので気づきにくいのが特徴です。
うつ病が原因で、
- 記憶力が低下する
- 判断能力がなくなる
といった認知症でもあらわれる変化が見られます。
認知症とうつ病では治療方法が異なるので、早めに対処することが必要です。
老人性うつという名前がついている
老人性うつは正式な病名ではありませんが、65歳以上の高齢者がかかるうつ病は老人性うつと呼ばれます。
うつ病と本質的に違いはありませんが、若い人とは違う特有の症状もあります。
身体的不調を訴えやすい
若い人の場合はうつ病の初期症状として精神症状が目立ちますが、高齢者の場合は身体的な不調を訴えることが多くあります。
頭痛や肩こり、吐き気など、なんとなく体の調子が悪いと訴えることが増えます。
高齢だから仕方がない、と放置するとうつ病が悪化することがあるので早めに医師に相談するようにしましょう。
気づきやすいうつ病の初期症状は泣くこと
うつ病には突然涙が出るという初期症状があります。
泣くことでなぜうつ病と気づきやすいのか見ていきましょう。
本人が自覚しやすい
うつ病の精神症状は本人もなかなか気づきにくいかもしれません。
しかし涙が出るという症状は分かりやすいので、いつもと違うということを自覚しやすいでしょう。
周りから見ても異常を感じやすい
今まで泣いているのを見たことがない人が突然泣き出したりすれば、当然異変を感じます。
理由もなく泣くことは、周りの人にとっても分かりやすいうつ病の初期症状のサインと言えます。
泣いた原因を探ることが大事
周りの人には突然理由もなく泣き出したように思えても、実は何か理由があるということもあります。
また、うつ病以外にも
- 不安症
- 更年期障害
が原因で涙が出るということもあるので、うつ病だと決めつけずにまずは話を聞いてみましょう。
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うつ病の初期症状に悩んだ時の相談窓口
うつ病の初期症状が見られたら、自己判断せずに専門家に頼るのが大切です。
かかりつけの病院があれば、まずは主治医に相談してみましょう。
かかりつけの医師がいない場合は、前述した通り心療内科や精神科のある病院で診察してもらうことができます。
また、保健所や精神保健福祉センターにある相談窓口も利用できます。
産業医への相談やストレスチェック制度
企業に勤めている場合は、産業医に相談することもできます。
産業医と面談した結果、精神科の受診を勧められることもあります。
症状によっては休職指示が出る可能性があります。
また企業にはストレスチェック制度があります。
ストレスチェック制度はうつ病などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。
ストレスチェックの結果で医師による面談指導が必要と判断されることもあります。
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うつ病の初期症状のまとめ
ここまでうつ病の初期症状についてお伝えしてきました。
うつ病の初期症状について以下にまとめます。
- うつ病の初期症状には食欲不振、睡眠障害、イライラや集中力の低下、涙もろくなるといったものがある
- うつ病の初期症状が見られたら、病院を受診し、食事や睡眠運動などの生活習慣を見直してゆっくり休養する
- 高齢者の場合、うつ病の初期症状は認知症と間違えられやすいが、身体的な不調を訴えやすいのが特徴
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。