夜中に十分睡眠をとっているのに日中に強い眠気に襲われることはありませんか?
また、ストレスを抱えているときに眠気が強くなることはありませんか?
上記の症状が見られた場合、うつ病が原因になっているかもしれません。
うつ病になると眠いと感じる原因は何でしょうか?
眠い症状が見られた場合はどのような対処法があるのでしょうか?
本記事ではうつ病で眠いことについて以下の点を中心にご紹介します。
- うつ病になると眠い理由とは
- うつ病が原因で眠いときの対処法とは
- うつ病を改善させる方法とは
うつ病で眠いことについて理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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うつ病とは
うつ病とは気分の変化により日常生活に影響を及ぼす気分障害の1つです。
うつ病になると、常に落ち込んでいたり、食欲が低下したりといった、さまざまな精神的・身体的症状があらわれます。
うつ病はまだはっきりとした原因は特定されていません。
ストレスや環境の変化などが原因で脳の働きが不調になると発症すると考えられています。
また、うつ病は100人の内6人が発症すると言われており、決して珍しい病気ではありません。
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うつ病はどのように判断すれば良い?
うつ病の早期発見は、円滑に治療を進めるうえでとても重要です。
うつ病のセルフチェック方法や、うつ病を疑ったときの対応を見ていきましょう。
うつ病のセルフチェック
うつ病を疑った場合、チェックシートを用いて自己評価することができます。
代表的なセルフチェック方法のうち、東邦大学が開発した「自己診断チェックシート(SRQ-D)」をご紹介します。
質問は18項目あり、各項目に対して
- いいえ(0点)
- ときどき(1点)
- しばしば(2点)
- つねに(3点)
の4段階で答えます。
点数の合計から、軽度うつ状態を判断することができます。
なお、質問2,4,6,8,10,12は、当てはまったとしても0点で計算してください。
質問項目は以下の通りです。
- 質問1:体がだるく疲れやすいですか
- 質問2:騒音が気になりますか
- 質問3:最近気が沈んだり気が重くなることがありますか
- 質問4:音楽を聞いて楽しいですか
- 質問5:朝のうち特に無気力ですか
- 質問6:議論に熱中できますか
- 質問7:くびすじや肩がこって仕方がないですか
- 質問8:頭痛持ちですか
- 質問9:眠れないで朝早く目ざめることがありますか
- 質問10:事故やけがをしやすいですか
- 質問11:食事がすすまず味がないですか
- 質問12:テレビをみて楽しいですか
- 質問13:息がつまって胸苦しくなることがありますか
- 質問14:のどの奥にものがつかえている感じがしますか
- 質問15:自分の人生がつまらなく感じますか
- 質問16:仕事の能率があがらず何をするのもおっくうですか
- 質問17:以前にも現在と似た症状がありましたか
- 質問18:本来は仕事熱心で几帳面ですか
結果の判定は以下の通りです。
- 16点以上:うつ状態が疑われる
- 11~15点:境界領域
- 10点以下:うつ状態はなく落ち着いている
うつ病だと思ったら
上記セルフチェックなどでうつ状態が疑われた場合、専門医の受診が必要です。
また、うつ症状が2週間以上続いているかどうかも、受診を決めるポイントの1つです。
うつ病に対応する診療科は、
- 精神科
- 心療内科
- 内科
などがあります。
うつ病疑いで受診することに抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれませんが、病状が悪化する前に、受診してカウンセリングや検査を受けてみましょう。
うつ病は、100人に6人、16人に1人という割合でかかる病気です。1日中気分が落ち込む状態が1カ月以上続いていたら、うつ病かもしれません。本記事ではうつ病について以下の点を中心にご紹介します。 うつ病の典型的な症状とは う[…]
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うつ病になると眠い理由
うつ病になると睡眠障害として眠気が生じてしまう場合があります。
うつ病になると眠くなる理由には、以下が挙げられます。
- 睡眠が浅くなる
- 寝逃げが生じる
詳しく見ていきましょう。
うつ病になると眠い理由|睡眠が浅くなるため
うつ病になると、
- 夜中に目が覚めて寝付けなくなる(中途覚醒)
- 予定よりも2時間以上早く起きてしまう(早朝覚醒)
ということが起こりやすくなります。
なぜ睡眠が浅くなってしまうのでしょうか。
原因には、セロトニン不足が考えられます。
- 不安などストレスを感じるとセロトニンの分泌が減少する
- 浅い睡眠であるレム睡眠が優位に働き睡眠の質が下がる
- セロトニンの分泌の抑制が続くと集中力の低下や眠気が出現しやすくなる
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれています。
セロトニンは精神の安定や脳の活性につながる脳内物質ですが、以上のとおり、睡眠の質の維持にも重要な役割を果たしているのです。
うつ病になると眠い理由|寝逃げが生じるため
前述のとおり、うつ病の原因の1つにストレスがあります。
人は過度なストレスを体感すると防衛本能が働き、その場から逃げ出したい欲求が生じます。
防衛本能の1つとしての眠気の反応が、寝逃げです。
寝逃げには、脳を休ませることでストレスを和らげてリセットする働きがあります。
うつ病の方が眠気を感じるときは、防衛本能が働いている場合もあるのです。
日本人の5人に1人が、不眠など何らかの睡眠問題を抱えています。また、うつ病をはじめとするこころの病気の多くが、不眠や過眠などの睡眠障害をともないます。出典:厚生労働省【e-ヘルスネット】睡眠障害はどのような方にみられるのでし[…]
うつ病が原因で眠いときはどうすれば良い?
うつ病が原因で眠いときは、適切に対処することが重要です。
- 仮眠をとる
- カフェインはNG
ということについて、詳しく見ていきましょう。
うつ病が原因で眠い時の対処法|仮眠をとる
眠気が生じているときは冷静な判断ができず、些細なことでミスが発生しやすくなります。
眠気を抑える、又は予防するには適度な仮眠をとることが大切です。
仮眠の時間は、15分くらいを目安にしてください。
15分くらいであれば、仮眠により脳が落ち着くとの報告があります。
なお、30分以上仮眠をとると日内リズムが乱れる可能性があります。
仮眠をとりすぎないように、アラームを利用するのも良いでしょう。
うつ病が原因で眠い時の対処法|カフェインはNG
緑茶やコーヒーなどに含まれるカフェインは、覚醒を促す作用があります。
カフェインを摂取すると、短期的には眠気予防に効果を発揮します。
しかし、カフェインを過剰摂取することで自律神経が乱れ、
- 頭痛や吐き気などの身体症状
- 不安や抑うつなどの精神症状
があらわれる場合もあります。
また、カフェインは精神刺激による依存症が出現しやすい特徴があり、結果的にうつ病の病状が悪化する可能性があります。
カフェインを摂取するにしても過剰摂取は避け、常用しないようにしましょう。
うつ病によって過眠が続く場合は?
うつ病では、ストレスから寝逃げが生じることもご紹介しました。
寝逃げから、過眠が続く場合があります。
過眠傾向にあると、思考力や判断力が低下して仕事のミスが増え、事故やトラブルの原因になることもあります。
ミスやトラブルを防ぐために休職して治療に専念することも、選択肢の1つです。
一方で、休職による減給が気になる方もいらっしゃるでしょう。
うつ病は診断書を発行してもらえることはご存じでしょうか?
うつ病で休職する際には、以下の支援制度が利用できます。
- 傷病手当金制度
休職中に給与の代わりに手当金が支給される制度 - 自立支援医療制度
うつ病で継続的に通院する場合に医療費が軽減される制度
過眠により仕事に支障が出そうな方は、休職という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
うつ病と仕事についてうつ病は見た目では分かりにくい病気です。気分が落ち込んでいるときや体調が不調のときは仕事にも影響します。うつ病になっても仕事は続けられるのでしょうか?本記事ではうつ病と仕事について以下の点を中[…]
睡眠障害とうつ病の割合
令和元年の国民健康・栄養調査結果によると、男女ともに40~50代において、約4割の方が睡眠時間が6時間未満と答えています。
また、厚生労働省の調査では、気分障害などのこころの病気の患者数は、40代と50代を合わせると約40%にのぼりました。
出典:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
厚生労働省「こころの病気の患者数の状況」
40代は、社会的にも肉体的にも、以下のように負担が増えやすい年代です。
社会的には、
- 職場で重要な仕事を任されることが多くなる
- 女性の場合、仕事と家事の両立や子供の進学が重なることがある
といった負担が挙げられます。
肉体的には、
- 性ホルモンの分泌量が減少し、イライラや不眠など自律神経失調症に似た症状があらわれる
と言った負担が挙げられます。
不眠は、うつ病発症リスクのひとつと言われています。
社会的・肉体的ストレスに不眠が加わることで、うつ病発症リスクはより高まりやすいと言えるでしょう。
ストレスをため込まないよう、趣味やリラックスできる時間を見つけ、上手にストレスを発散していけると良いですね。
うつ病以外の睡眠障害は?
眠気の原因がうつ病か判断するためには、類似した疾患を除外する必要があります。
症状として眠気が出る疾患を、具体的に見ていきましょう。
うつ病以外の睡眠障害|睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上の無呼吸が何度も続く病気です。
無呼吸により中途覚醒を繰り返すため熟睡できず、不眠や眠気の原因になります。
うつ病以外の睡眠障害|自律神経失調症
自律神経失調症は、ストレスや環境変化などが原因で自律神経のバランスが乱れる病気です。
不眠症状以外に、
- 動悸
- 頭痛
- 疲労感
など、様さまざまな身体症状が見られます。
一方で、身体症状が見られても、内臓や神経などには特に病気が見られないという特徴があります。
うつ病以外の睡眠障害|ナルコレプシー
ナルコレプシーは、日中に突然眠気が生じて居眠りをしてしまうことを繰り返す睡眠障害です。
喜怒哀楽の強い感情が見られたときに脱力発作があらわれるという特徴もあります。
うつ病以外の睡眠障害|PMS(月経前症候群)
PMSは月経前に様々な精神症状や身体症状が出現する病気です。
原因には女性ホルモンの変動が関わっていると考えられており、月経が始まると症状は改善します。
不眠症状以外に、
- 情緒不安定
- 抑うつ症状
- めまい
- 腹痛
など、さまざまな症状が見られます。
日本人の5人に1人が何らかの睡眠の問題を抱えているといわれています。60歳以上では約3人に1人が睡眠障害であるというデータもあり、睡眠障害は国民病ともいわれています。睡眠障害ではどのような症状がみられるのでしょうか?睡眠障害はどのよ[…]
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うつ病を改善する方法は?
うつ病を改善させるためには、生活習慣の改善と定期的な服薬が必要です。
具体的に見ていきましょう。
うつ病改善法|運動をする
うつ病の予防や治療に運動療法は効果的です。
運動習慣があるとうつ病が発症しにくく、予防にもつながります。
運動後の程良い疲れは、スムーズな入眠にもつながるでしょう。
また、うつ病と運動には、以下のような関係があると言われています。
- 運動療法の効果と抗うつ剤の効果はほぼ同等
- 運動療法を継続するとうつ病の再発率を低下させる
- 主観的な楽しさを伴う活動は生活パターンの改善に影響する
うつ病を改善するために運動する際には、何と言っても、楽しく続けられるかが重要です。
苦しい運動を続けたからと言って、その分うつ病治療の効果が上がるわけではありません。
自分にあった運動を見つけ、無理せず楽しみながら続けていきましょう。
うつ病改善法|入浴をする
入浴は自律神経に作用し、さまざまな効果をもたらします。
以下に、うつ病の症状に応じた入浴方法をまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
イライラや焦燥感などストレス症状が見られる場合 | 抑うつ症状が強く、活気が低下している場合 | |
温度 | 38~40度のぬるま湯 | 42度ほどの熱めのお湯 |
入浴時間 | 約20分ほど | 約5分ほど |
効果 | 副交感神経に作用し、リラックス効果が得られる | 交感神経に作用し、脳の活性化が図れる |
うつ病改善法|食生活を見直す
うつ病の病状は、以下のように食生活にも左右されます。
- うつ病改善傾向:野菜や魚介類、穀物中心の食事
- うつ病発症リスク増加:肉や加工食品、糖質の多い食事
また、うつ病の方には、以下の栄養素が不足しがちとされています。
- ビタミンB群
- アミノ酸
- 脂肪酸
- ミネラル
なかでも、
- 葉酸(緑黄色野菜、納豆、レバーなど)
- トリプトファン(牛乳、肉、魚、卵など)
- 鉄分(レバー、赤身の肉、魚介類など)
は、日本人には特に不足していることが多いです。
バランスのとれた食事を摂ることは大切ですが、不足しがちな栄養素も積極的に摂取しましょう。
うつ病改善法|生活習慣の改善
規則正しい生活を送ることは、うつ病の予防や改善に効果的です。
具体的には、
- 早寝早起き
- 十分な睡眠(6時間以上)
- 体内リズムを整える(就寝・起床時間を一定にする)
- 起床後に太陽の光を浴びる
などが挙げられます。
とくに、日光浴はセロトニンの分泌を高め、精神を安定させ脳を活性化させる作用があります。
1日の始まりには、ぜひ日光浴をしましょう。
うつ病改善法|薬物治療
うつ病治療の第1選択は薬物療法と言われています。
薬物療法で用いられる薬は抗うつ薬が中心となります。
抗うつ薬は、短期的な服用では十分な効果が得られません。
また、副作用として便秘やめまいなどが生じる可能性もあります。
一方、眠気の原因がうつ病かどうか判断がつかない場合は、睡眠導入剤が検討されます。
睡眠導入剤を服用することで不安が和らぎ、穏やかな眠りが期待できるでしょう。
なお、睡眠導入剤の副作用として、翌日に眠気が残ることがあります。
抗うつ薬も睡眠導入剤も、もし自分に合わないと感じても、薬の量は自己判断で調整しないようにしましょう。
医師と相談しながら、指示どおりに服用を続けてください。
様々なストレスを避けることは困難であり、うつ病を患ってしまう方も多くいます。自分がうつ病と診断された場合、どのように治療されるのでしょうか?もし家族がうつ病になってしまったら、どのような対応を取れば良いのでしょうか?家族[…]
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うつ病 眠い についてよくある質問|Q&A
うつ病の人は常に眠いのですか?
うつ病の患者さん全員が常に眠いわけではありませんが、多くの患者さんが過度な眠気や疲れを感じることがあります。
これは、うつ病による体のエネルギーの低下や、脳の化学物質のバランスの乱れに起因することが多いです。
うつ病の症状としての眠気と、普通の疲れによる眠気との違いは何ですか?
うつ病の症状としての眠気は、十分な睡眠をとってもなかなか取れない持続的なものであり、日常生活に大きな影響を及ぼすことが多いです。
一方、普通の疲れによる眠気は、休息を取ることで改善されることがほとんどです。
うつ病の眠気は、日中だけでなく夜も続くのですか?
うつ病の患者さんは、日中の眠気だけでなく、夜間の不眠も経験することがあります。
眠気と不眠は矛盾しているように思えますが、うつ病の複雑な症状の一部として同時に現れることがあります。
うつ病の眠気を和らげるための自宅での対処法はありますか?
はい、日常生活の中でのリラクゼーション、適度な運動、バランスの良い食事、規則正しい生活リズムの維持などが、眠気の軽減に役立つことが知られています。
また、リラックスできる音楽を聴く、深呼吸や瞑想をすることも効果的です。
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うつ病で眠いまとめ
ここまでうつ病で眠いことについてお伝えしてきました。
うつ病で眠いことの要点をまとめると以下のとおりです。
- うつ病になると眠いのは、ストレスによるホルモンバランスの変化と寝逃げが原因
- うつ病が原因で眠いときの対処法は、仮眠をとる、カフェインを控えるなど
- うつ病を改善させる方法は、運動や食事など生活習慣の見直し、薬物療法など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。