健康診断の結果で気になる項目の1つが中性脂肪の値です。
中性脂肪が高い場合は、医師の治療や生活指導が必要になることもあります。
なぜ中性脂肪が高いと問題になりやすいのでしょうか。
本記事では、中性脂肪が高い事柄について以下の点を中心にご紹介します。
- 中性脂肪が高い場合のリスク
- 中性脂肪の基準値
- 中性脂肪の下げ方
中性脂肪が高い事柄について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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中性脂肪とは
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中性脂肪は脂肪の1種で、主に血液中に存在しています。
トリグリセリドとも呼ばれており、体脂肪の大部分は中性脂肪が占めています。
中性脂肪は、生き物の重要なエネルギー源です。
たとえば主要なエネルギー源であるブドウ糖が不足している場合は、中性脂肪が補助的に利用されます。
一方で、中性脂肪が増えすぎると身体にはさまざまな悪影響が出やすくなります。
そのため中性脂肪値は、適正範囲内に収めることが重要です。
出典:厚生労働省【中性脂肪 / トリグリセリド | e-ヘルスネット】
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中性脂肪の数値が高いとどんな影響がある?
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中性脂肪とは、血液中の中性脂肪の量を示すものです。
中性脂肪が高い場合には、さまざまな健康リスクが生じます。
代表的なのは肥満です。
余剰分の中性脂肪は、皮下脂肪や内臓脂肪として体内に蓄えられるため太りやすくなります。
また、中性脂肪が高いと、生活習慣病のリスクが高くなるとも指摘されています。
たとえば、中性脂肪が150mg/dl以上になると「高トリグリセライド血症」と診断されます。
中性脂肪が高い方は、動脈硬化のリスクも高くなります。
中性脂肪は、血液中に悪玉コレステロールを増やして、血管にダメージを与えるためです。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中に発展することもある病気です。
中性脂肪が高い方には、その他にもさまざまな病気のリスクが挙げられます。
ここからは、主な病気をご紹介します。
糖尿病
中性脂肪が高い場合には、糖尿病のリスクが上がります。
理由は、中性脂肪はインスリンの効きを悪くする作用があるためです。
特に内臓脂肪が多い方は、インスリンの機能が低下しやすいと指摘されています。
インスリンの機能が低下して血糖値が下がりにくくなった状態が糖尿病です。
糖尿病の主な症状は、疲れやすさ・多尿・多飲などです。
重症化すると失明することもあります。
中性脂肪が高い場合は、すでに糖尿病を患っている可能性があります。
できればすぐに病院で検査を受けましょう。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、名前の通り甲状腺の機能が低下する病気です。
甲状腺機能低下症は、橋本病とも呼ばれています。
主な症状はむくみ・倦怠感・気分の落ち込みなどです。
また、甲状腺機能低下症では悪玉コレステロールの値が高いこともわかっています。
悪玉コレステロールは、中性脂肪が高い場合に増えやすくなります。
中性脂肪や悪玉コレステロールが高い場合は、念のため甲状腺の検査を受けるのがおすすめです。
ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群は、たんぱく質が大量に尿の一部として流れ出てしまう病気です。
体内のたんぱく質の量が少なくなるため、むくみなどの症状が出やすくなります。
重症化すると、腎不全・心筋梗塞・脳梗塞・感染症などの合併症のおそれもあります。
ネフローゼ症候群の方は、血液中のコレステロールなどが多い傾向がみられます。
中性脂肪・コレステロールが高い場合にはネフローゼ症候群が疑われるため、医療機関で検査を受けましょう。
脂質異常症
脂質異常症とは、血液中の脂質の量が異常になっている病気です。
中性脂肪が高い場合は、脂質異常症の中でも「高トリグリセライド血症」が疑われます。
脂質異常症は、動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞に発展するおそれもある病気です。
一方で、脂質異常症は自覚症状が出にくいのが特徴です。
そのため、病気に気づかずに放置してしまい、気が付いたときはかなり進行していた…というケースも少なくありません。
心筋梗塞などを防ぐためにも、脂質異常症が疑われる場合は医療機関を受診しましょう。
脂質異常症を疑うべきタイミングとは、健康診断などで中性脂肪値が高いと指摘された場合などです。
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中性脂肪の基準値とBMI値の計算方法!
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そもそも中性脂肪が高いとは、どのくらいの数値を指すのでしょうか。
ここからは、中性脂肪の基準値についてご紹介します。
あわせて、肥満の尺度となるBMI値の計算方法についてもご紹介します。
中性脂肪の基準値
中性脂肪の基準値は、空腹時の計測で30〜149mg/dlです。
つまり、中性脂肪値が150mg/dl以上になると「高い」といえます。
ちなみに中性脂肪値が150mg/dl以上の状態は「高トリグリセライド血症」と呼ばれています。
正確な中性脂肪を測るには、10時間程度の絶食が必要です。
中性脂肪は、食後に大きく変動するためです。
BMI値の計算方法
正確な中性脂肪の値は、血液検査を受けなければ分かりません。
しかし、もっと簡単に中性脂肪が多いかどうかを判断する方法があります。
具体的には、肥満の度合いを測ってください。
一概にはいえませんが、肥満の方は中性脂肪が多い傾向がみられます。
肥満になっているかどうかは、BMIの結果からわかります。
BMIの求め方は次の通りです。
【計算方法】
BMI=自分の体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
【結果の見方】
18.5未満→やせ型
18.5~25未満→標準
25~30未満→肥満
30以上→重度の肥満
たとえば、身長160㎝・体重60㎏の方のBMIは次のようになります。
60(kg)÷1.6(m)÷1.6(m)=23.4375
BMIは約23ですから、標準ということがわかります。
つまり、中性脂肪はさほど多くないと考えられます。
反対に、BMIが25以上の肥満に当たる場合は、中性脂肪も多いと予想できます。
ただし、BMIはあくまで肥満度を示す値であり、中性脂肪を正確に表すものではありません。
正確な中性脂肪値を知りたい場合は病院で血液検査を受けることが大切です。
出典:厚生労働省【BMI | e-ヘルスネット】
中性脂肪を下げるために行うとよいこと!
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中性脂肪は、日々の生活習慣の見直しで改善できる場合もあります。
中性脂肪を下げる方法をご紹介します。
適度な運動
中性脂肪を下げるには、適度な運動が有効です。
そもそも中性脂肪とは、血液中に存在する脂肪です。
つまり、身体に脂肪として蓄積する前の脂肪が中性脂肪なのです。
血液中の脂肪は、身体についた脂肪よりも優先的にエネルギーとして消費されやすいです。
このことから、運動によって消費エネルギーを増やすことで、中性脂肪が減りやすくなるというわけです。
中性脂肪の改善に役立つのは、運動の中でも有酸素運動です。
たとえば、水泳・ウォーキングなどに取り組んでみましょう。
筋トレなどのハードワークも中性脂肪の改善におすすめです。
大切なのは、運動を継続的に行うことです。
ときどき激しい運動をするのではなく、毎日軽めの運動をすることを心がけましょう。
生活習慣の改善
ストレスや睡眠不足は、中性脂肪を上げる要因です。
理由は、ストレスや睡眠不足が続くと交感神経という神経系が刺激されるためです。
交感神経が過度な刺激を受けると、血液中に脂質を増やすホルモンの分泌量が増加します。
結果として、血液中に中性脂肪が増えやすくなるのです。
中性脂肪値を下げるためにも、睡眠習慣の改善やストレスの発散を心がけましょう。
バランスのよい食事
中性脂肪値を改善するには、バランスのよい食事を心がけましょう。
たとえば、甘いもの・脂っこいものの摂りすぎは控えることをおすすめします。
代わりに積極的に摂りたいのが食物繊維です。
食物繊維には、腸内での脂質・糖質の吸収をゆるやかにする作用があるためです。
食物繊維は、野菜・海草・根菜などに豊富に含まれます。
中性脂肪が高い方は、アルコールの摂取も控えましょう。
アルコールは、中性脂肪を増やす原因であるためです。
ちなみに、お酒のつまみとして脂っこいものを食べると、ますます中性脂肪が増えやすくなります。
中性脂肪を改善するには、食事の内容だけでなく摂り方・調理の仕方も工夫しましょう。
たとえばよく噛んでゆっくり食べることを意識してください。
よく噛むと満腹中枢が刺激されるため、食べすぎによる肥満を防ぎやすくなります。
また調理の際は、できるだけ脂質をカットすることを意識してください。
肉の脂身をカットしたり、脂を使わない調理法に変えたりする方法があります。
中性脂肪を減らす飲み物は緑茶がおすすめ!
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緑茶には中性脂肪を減らす効果が期待できます。
中性脂肪の減少に役立つのは、緑茶に含まれる「カテキン」というポリフェノールです。
一説では、カテキンには脂肪の吸収を抑える作用があると指摘されています。
また、カテキンは脂肪の燃焼効率を上げることで、身体についた脂肪を減らすという意見もあります。
カテキンには主に次の4種類があります。
- エピカテキン
- エピガロカテキン
- エピカテキンガレート
- エピガロカテキンガレート
中性脂肪への作用が高いのは、エピカテキンガレート・エピガロカテキンガレートです。
なお、ガレート型のカテキンには動脈硬化を予防する作用も見込めます。
カテキンの摂取に向いているのは、緑茶の中でも煎茶です。
理由は、カテキンは日光にあたることで増加するからです。
煎茶は日光を遮らずに製造されるため、玉露などよりもカテキンが豊富です。
中性脂肪を下げるのに効果的なサプリは?
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中性脂肪を下げるには、サプリメントを利用するのも1つの方法です。
最近は「中性脂肪を下げる」と謳うサプリメントも多数登場しています。
代表的なのはDHA・EPAを主体にしたサプリメントです。
DHA・EPAは中性脂肪やコレステロールを下げる作用があります。
タウリンやオルニチン配合のサプリメントもおすすめです。
タウリンには胆汁の分泌を促すことで、中性脂肪値やコレステロール値の上昇を抑制する作用が期待できます。
オルニチンは肝臓の働きをサポートして、中性脂肪値などを改善する作用があります。
まとめ
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ここまで中性脂肪が高い事柄についてお伝えしてきました。
中性脂肪が高い事柄の要点を以下にまとめます。
- 中性脂肪が高い場合のリスクは、肥満・動脈硬化・糖尿病・甲状腺の異常・脂質異常症など
- 中性脂肪の基準値は空腹時で30~149m/dl
- 中性脂肪の下げ方は、適度な運動・食事の見直し・生活習慣の改善など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。