インスリンは血糖値を下げる作用がある重要なホルモンです。
糖尿病患者の方と切っても切れない関係にあるのがインスリンです。
本記事ではインスリンについて以下の点を中心にご紹介します。
- インスリンの働き
- 糖尿病の原因
- インスリン抵抗性について
インスリンについて理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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インスリンとは
インスリンは膵臓の「ランゲルハウス島のβ細胞」で作られ分泌されるホルモンです。
インスリンは人の身体で生成されるホルモンで、唯一血糖値を下げる作用を持つ重要なホルモンです。
インスリンの分泌が少ないあるいは全くないまたはインスリン抵抗性があると、血糖値の調整が困難となります。
インスリンの作用が不十分だと慢性的な高血糖をもたらし、糖尿病を患ってしまいます。
糖尿病になると、飲み薬やインスリン注射など治療を半永久的に継続していかねばなりません。
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インスリンの働き
ここではインスリンの働きについて解説していきます。
インスリンは血糖値を下げるだけでなく、様々な働きがあります。
インスリンの働きは主に以下の6つです。
- グルコースの取り込みを促し血糖値を下げる
- グリコーゲンの分解を抑える
- 脂肪の分解を促す
- 脂肪の分解抑制をする
- 胃臓からのナトリウム排泄を減らす
- 食欲を抑える
グルコースの取り込みを促して血糖値を下げる
グルコースはブドウ糖ともいわれ人間の活動源となる重要なものです。
血糖値はグルコース(ブドウ糖)がどれだけ含まれているかで決まります。
ブドウ糖を摂取するとインスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込むことを助けます。
血液中のブドウ糖を減らすことで血糖値を下げるのです。
細胞にはインスリンを受け取ることができる受容体があり、結合することにより細胞はグルコースを取り込むことができるのです。
蓄えたグリコーゲンの分解を抑える
グリコーゲンは糖の一種で普段肝臓や骨格筋などで蓄えられています。
急激な運動や空腹時の血糖値維持など万が一の場面で活躍します。
インスリンは、蓄えられたグリコーゲンが分解し放出されて血糖値が上がらないようにします。
そのため、インスリンはグリコーゲンの分解を抑える役割も持っているのです。
脂肪の合成を促す
インスリンは分泌されることでグルコースを様々な細胞に取り組むように働きます。
その上で取り込まれやすい順序があります。
1番目は筋肉、2番目は内臓、3番目は脂肪組織です。
多量のグルコースを食事で摂取すると、肝臓や筋肉で蓄えきれず脂肪組織に蓄えられることになります。
インスリンはその合成の際に受容体となって活躍します。
脂肪の分解抑制をする
脂肪に蓄えられたグルコースが血液中に放出されると、血糖値が上がってしまいます。
血糖値が上がらないよう、インスリンは分解抑制の役割も持っているのです。
実際にインスリンの分泌が不足している糖尿病の方の症状として脂肪が分解されることによる体重減少が見られる方も少なくありません。
インスリンが脂肪分解の抑制に役立っていることがわかります。
腎臓からのナトリウム排泄を減らす
ナトリウムは塩分にあたり食事を通じて摂取されます。
筋肉収縮や神経情報伝達、体内の水分バランス維持などの役割を持ち重要です。
インスリンは食事の際グルコースと一緒に取り込まれたナトリウムの排泄を減らす役割も持っています。
高血糖が続き過剰にインスリンが分泌されるようになると、ナトリウムの排出量も減ります。
ナトリウム排出量が減少すると、尿量もあわせて少なくなるのです。
食欲を抑える
食欲は脳の視床下部にある摂食中枢が活発に動くと食欲が湧く仕組みです。
一方で満腹中枢が活発に動くと満腹感を感じ食欲が抑えられる仕組みです。
視床下部は血糖やインスリンなどの濃度を監視しています。
インスリンの濃度が高くなると満腹中枢は活発に動き食欲が抑えられるといった仕組みです。
インスリンは食欲にも影響を与えるのです。
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インスリンが血糖値を下げる仕組み
インスリンの分泌は「基礎分泌」と「追加分泌」の2つにわけられます。
インスリンは血糖値を上昇させるホルモンから血糖値を一定に保つため常に働いており基礎分泌といいます。
追加分泌は食後など急に血糖値が上昇した際にインスリンが分泌されることです。
ここではインスリンが血糖値を下げる仕組みを6つの段階に分けて解説していきます。
血糖値の上昇に反応してインクレチンが分泌される
インクレチンとは膵臓のランゲルハンス島β細胞を刺激し、インスリンの分泌を増加させる作用を持つ消化管ホルモンの総称です。
食事などで糖を摂取して血糖値が上がると、まず小腸の一部の細胞が刺激され消化管ホルモンが分泌されます。
近年ではインクレチンがインスリン分泌に役立つ作用に注目されています。
インクレチン製剤が糖尿病の方の治療に利用されることも多いです。
膵臓からインスリンが分泌される
インクレチンの援助を受けてインスリンはグルコースが膵臓に入ってきた際にその濃度に合わせて分泌されます。
常に高血糖の状態が続くと、膵臓は疲労がたまり、インスリンの分泌されにくくなってしまい糖尿病になってしまうのです。
運動などでエネルギー源であるブドウ糖を使用する場合インスリンを介しませんが、血糖値は下がります。
インスリン受容体にインスリンが結合する
身体を構成している各細胞にはインスリンを受け入れるための受容体があります。
インスリン受容体はわかりやすくいうと細胞の鍵穴です。
インスリンは血液中を流れ全身に伝っていきます。
細胞の鍵穴であるインスリン受容体にインスリンがぴったり結合することでエネルギー源であるブドウ糖を送るのです。
血液中のグルコースを細胞に取り込む
鍵穴であるインスリン受容体にインスリンがぴったりはまると、細胞のドアは開きます。
ドアが開けば中にエネルギー源(グルコース)を取り込むことが可能です。
取り込まれた際に余ったグルコースは、足りなくなった場合に備えて蓄えられます。
筋肉や脂肪細胞はインスリンの働きがないとグルコースを取り込むことができないのです。
余ったグルコースをグリコーゲンに変える
細胞に取り込まれず余ったグルコースはグリコーゲンに変化させ肝臓や筋肉に一時的に貯蔵します。
グリコーゲンはエネルギーとして貯蓄され急に運動する際のエネルギー源として活躍します。
また睡眠時などでも脳や心臓は動くためエネルギーが必要です。
エネルギーを消費して下がった血糖を維持するためグリコーゲンは利用されグルコースとして再生します。
余ったグルコースを中性脂肪に変える
肝臓や筋肉で蓄えられるグリコーゲンは一時的なもので長期保存には向きません。
中性細胞はグルコースを蓄えるにあたり保存が効きます。
肝臓や筋肉にも貯蔵されず余った場合は脂肪として蓄えられます。
甘い物をよく食べたり、食事の糖分摂取が多い方はそうして脂肪細胞は大きくなっていき、肥満になっていくのです。
インスリンと糖尿病の関係
インスリンと糖尿病の間には切っても切り離せない関係があります。
インスリンが血糖値の低下に役立つことはわかりました。
しかし糖尿病とインスリンはどのように関係しているのでしょうか。
ここでは糖尿病の概要と主な3つの原因、4つの治療方法について解説していきます。
症状やリスクについても説明するため、糖尿病について知りたい方はぜひご覧ください。
糖尿病とは高い血糖値が続く疾患
糖尿病情報センターによると、糖尿病はインスリンが十分に働かないため血液中のブドウ糖が増えてしまう=高血糖が続く病気とされています。
糖尿病により、慢性的に高血糖が続くと心臓病や失明、足の壊死など深刻な合併症を引き起こす可能性が高いです。
症状としては、喉が渇くことや頻尿、体重の減少など様々です。
糖尿病の原因3選
糖尿病の発症の原因にはインスリンが関係します。
糖尿病の原因は大きく分けて以下の3つです。
- インスリンが分泌されない
- インスリンの分泌が低下する
- インスリン抵抗性がある
以下の見出しで詳しく解説していきます。
インスリンが分泌されない
糖尿病の種類はⅠ型糖尿病とⅡ型糖尿病の2種類です。
Ⅰ型糖尿病では急に症状があらわれるケースが多いです。
膵臓でインスリンを生成するβ細胞が突然壊れてしまうため、インスリンが分泌されなくなります。
なおβ細胞が壊れてしまう原因は自己免疫異常などの説がありますが、まだ明らかになっていません。
インスリンが分泌されなくなることで、血糖値が高い状態が続き糖尿病になってしまうのです。
インスリンの分泌が低下する
2つ目の原因はインスリンの分泌が低下することによるもので、Ⅱ型糖尿病が当てはまります。
インスリンの分泌が低下する原因としては、高血糖の食事を続けるなど生活習慣によるものと遺伝的影響です。
高血糖の食事を続けると、膵臓が疲弊しインスリンを分泌しにくくなります。
先ほどと同様にインスリンが分泌されなくなることで、血糖値が高い状態が続き糖尿病になってしまうのです。
インスリン抵抗性がある
3つ目はインスリン抵抗性です。
インスリン抵抗性とは簡潔にいうとインスリンの働き具合のことです。
インスリンが十分に分泌されたとしても、働きが悪くなってしまえばグルコースを処理しきれず高血糖状態になってしまいます。
インスリン抵抗性の原因として以下があげられます。
- 遺伝によるもの
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
- 食生活
糖尿病の治療方法
糖尿病になってしまうと必ずインスリン注射をしなければならないわけではありません。
症状の程度などによっても治療方法は様々です。
また1つの治療法だけで治療するのではなく、複数の治療法を並行して行う場合もあります。
主な治療方法は以下の通りです。
- 食事療法
- 運動療法
- インスリン注射
- 経口血糖降下剤
以下の見出しでそれぞれの治療方法について詳しく解説していきます。
食事療法
糖尿病では血糖値が上がりやすいため、食事療法は非常に重要な治療方法となります。
食事は栄養をバランスよく摂取して朝・昼・晩3食を食べすぎず、腹八分目を心がけましょう。
また食物繊維は食後の血糖値上昇を抑える役割があります。
高血圧や腎症など他の病気を併発している場合は摂ってはいけない栄養素があります。
当てはまる方は医師に相談することが必要です。
運動療法
Ⅱ型糖尿病の原因に運動不足が含まれるということもあり、運動は非常に有効な治療方法です。
運動によりエネルギー(ブドウ糖)を消費することで、肥満を解消します。
また食後1時間の運動は血糖値の低下に高い効果があるため、おすすめです。
Ⅰ型糖尿病の方にはあまり効果がありませんが、ストレス解消という意味では役立ちます。
インスリン注射
2つ目の治療方法はインスリン注射です。
糖尿病の方が不足しているインスリンを注射で身体の外から補います。
またインスリン注射は主に食前など血糖値が上がる前に行うことが多いです。
なおタイミングや回数は個人の血糖値やインスリン分泌量によって異なります。
Ⅱ型糖尿病はインスリンを分泌する細胞が壊れてしまっているため、インスリン注射が必要となります。
経口血糖降下薬
経口血糖降下剤は運動療法や食事療法を行っているのにも関わらず高血糖の状態が続いている方が対象となる治療方法です。
また経口血糖降下剤で効果が期待できる方はインスリン分泌能力が残っているⅡ型糖尿病の方となります。改善が見込めない場合は、インスリン注射で直接インスリンを補うことが必要となります。
インスリン注射の種類と特徴
インスリン注射はⅠ型糖尿病・Ⅱ型糖尿病の方いずれにも有効であり、種類としてはインスリン分泌を促す製剤とインスリン製剤の2つです。
GLP-1受容体作動薬はインスリン分泌を促す製剤です。
またインスリン製剤は6つの種類があり、作用の早さや注射のタイミングが異なります。
以下の見出しで詳しく解説していきます。
GLP-1受容体作動薬はインスリン分泌を促す
GLP-1受容体作動薬は、日本ではⅡ型糖尿病の方の治療で承認されている製剤です。
GLP-1は先ほどのインクレチンの1種で血糖値の上昇を察知すると小腸のL細胞から分泌されます。
膵臓のβ細胞にある受容体に結合することでインスリンを分泌させます。
直接インスリンを分泌するわけではないため、インスリン注射と異なり低血糖を起こしにくいです。
インスリン製剤
インスリン製剤とはインスリン注射のことで種類としては6つです。
効果があらわれるタイミングや持続時間がそれぞれ異なります。
治療に使用する製剤については症状や普段からの血糖値の推移、合併症の有無などで決められます。
どのインスリン製剤にも共通する副作用として低血糖があるため、普段から自身で血糖値を測定するなどしましょう。
超速効型インスリン製剤
超速効型インスリン製剤は他の製剤と比べて作用時間が10〜20分と短いです。
作用時間が短いことから注射のタイミングは主に食前となります。
作用時間が短い一方で持続時間も3〜5時間と短いため、空腹時や夜間の低血糖のリスクが低いです。
超速効型インスリン製剤はライフスタイルが不規則である方などが利用することが多いです。
速効型インスリン製剤
速効型インスリン製剤は食事の直前ではなく、食事の30分前に自身で皮下注射により投与します。
超速効型インスリン製剤と比べてゆっくりと効果があらわれます。
持続時間も8時間と長いため、インスリンの基礎分泌にも対応可能です。
次の食事までに低血糖を起こさないようにするためにも投与量は重要です。
中間型インスリン製剤
中間型インスリン製剤は1日の決まったタイミングで1日1〜2回投与します。
効果が出るまでの時間は1〜3時間で、持続時間は18〜24時間と長いです。
ゆるやかに効果があらわれるため、インスリンの追加分泌ではなく、基礎分泌に有効です。
また中間型インスリン製剤は成分が液体中で分散していることが多いため、よく振ってから使用しましょう。
持効型インスリン製剤
持効型インスリン製剤も1日の決まったタイミングで1日1〜2回投与します。
効果があらわれるまでの時間は1時間ほどで、持続時間はほぼ1日とかなり長いことが特徴です。
インスリンの基礎分泌に効果があり、空腹時血糖の上昇を抑え、1日中血糖値を安定させます。
中間型インスリン製剤と比べて夜間低血糖を起こす可能性が少なくなります。
混合型インスリン製剤
混合型インスリン製剤はこれまでにあげた様々なインスリン製剤を組み合わせて混合した製剤です。
そのためインスリンの基礎分泌と追加分泌両方に効果があります。
作用時間は10〜20分であるため、投与のタイミングとして食事の直前がベストです。
持続時間は混合した製剤の割合によっても異なりますが、18時間〜1日ほどになります。
配合溶解製剤
配合溶解製剤は超速効型製剤や持効型製剤だけを組み合わせた製剤です。
インスリンの基礎分泌と追加分泌両方に効果があります。
作用時間は10〜20分ほどで、持続時間としては18時間〜1日ほどです。
作用時間が短いため、食前に1日1回か2回投与します。
混合型インスリン製剤と異なり、投与前に注射器をよく振る動作は不要です。
インスリン抵抗性を改善すると健康になる
インスリン抵抗性は、インスリン濃度が高いにも関わらず、それに見合った働きをしていない状態です。
インスリン抵抗性は糖尿病の原因の1つであるため、改善することで血糖値が安定するようになり健康になるともいえます。
ここではインスリン抵抗性の5つの原因とインスリン抵抗性を改善する4つのメリット、6つの改善方法について詳しく解説していきます。
インスリン抵抗性の原因5選
インスリン抵抗性には主に5つの原因があげられます。
遺伝以外の原因全てが生活習慣によるものです。
原因を理解しておくと改善方法の意義を知ることにも繋がります。
インスリン抵抗性がある状態が続くと、血糖値に限らず血圧などにも異常を生じさせ様々な合併症を引き起こします。
遺伝
1つは遺伝によるものです。
糖尿病やインスリン抵抗性そのものが遺伝するというわけではありません。
しかしなりやすい体質は遺伝するということになります。
インスリン抵抗性の原因を理解して普段から生活習慣に気を付けてさえいれば、インスリン抵抗性がある状態になる可能性は低いです。
肥満体型
内臓脂肪が多く蓄積されると、脂肪から「アディポカイン」というタンパク質が放出されます。
アディポカインはインスリンの働きを阻害することから、インスリン抵抗性を引き起こしてしまいます。
しかし日本人の糖尿病患者のBMIは25ほどで肥満とはいえません。
元々日本人のインスリン分泌能力は高くなく、肥満にはより気を付けなければなりません。
運動不足
総エネルギー消費量の約3割は運動などによるエネルギー代謝量です。
運動不足状態が続くとエネルギー消費量が減るため、肥満体型になりやすいです。
運動不足で血流が悪くなると、ブドウ糖は細胞に取り込まれずらくなります。
その結果インスリンの効果が弱まります。
インスリンホルモン以外で血糖値を下げることが可能な手段は運動だけというほど運動は重要なのです。
脂質の割合が高い食事
脂質の割合が高い食事を続けることで脂質異常症を引き起こす可能性があります。
脂質異常症は血液中の脂質濃度が高まった状態で中性脂肪がたまりやすい状態です。
脂質異常症になることで、脂肪が増えるためインスリンの効き目を悪くします。
逆もしかりで脂質異常症と糖尿病は相互に悪影響を与えあうのです。
ストレス
糖尿病の治療を行っている方は継続的に治療を行っていかなければいけない大変さから、ストレスがたまりやすいです。
心がストレスを抱えるとグルカゴンやコルチゾールなどの血糖値を上昇させる作用を持つホルモンを増やします。
さらにインスリン抵抗性を引き起こすホルモンの分泌も増やします。
ストレスの対処はインスリン抵抗性を改善する上でも重要です。
インスリン抵抗性があると血糖値は下がりにくい
脂肪細胞は異物を捕食するマクロファージという細胞を呼び込みます。
マクロファージはインスリンを邪魔する悪玉ホルモンを放出することでインスリン抵抗性が引き起こされるのです。
インスリン抵抗性があると、インスリンはインスリン受容体への作用不全と細胞情報伝達の異常などを起こします。
するとその濃度に見合う働きができなくなるため、血糖値は下がりにくくなるのです。
インスリン抵抗性を改善するメリット
実際にインスリン抵抗性は血糖だけでなく、脳の記憶力や認知力の低下を招くなどその影響ははかり知れません。
インスリン抵抗性を改善することには多くのメリットが存在します。
メリットは大きく分けて以下の4つです。
- 血糖値が下がりやすくなる
- 糖尿病の進行を遅らせる
- 合併症のリスク軽減
- 健康寿命の延伸
以下の見出しで詳しく解説していきます。
血糖値が下がりやすくなる
インスリン抵抗性は糖尿病の原因となる厄介なものです。
インスリン抵抗性が改善され、インスリンが本来の働きを取り戻すことで血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれやすくなり、血糖値が下がりやすくなります。
血糖値の低下は他にも様々な効果を期待でき、全ての起点となるものです。
糖尿病の進行を遅らせることができる
糖尿病の完治は難しいことであるものの、糖尿病の進行を遅らせることは十分に可能です。
糖尿病の原因であるインスリン抵抗性を改善することで、インスリンが働きやすくなります。
インスリンがしっかり働いてくれるとなると、糖尿病の進行を遅らせることができます。
糖尿病になったからと諦めないことが重要です。
合併症のリスクが低減する
糖尿病は先ほどの脂質異常症や高血圧など多くの合併症のリスクを抱えています。
合併症は大きく分けて「細い血管が傷ついて起きる病気」と「太い血管が傷ついて起きる病気」の2つです。
細い血管が傷ついて起きる病気は血糖コントロール状況に大きく作用するため、インスリン抵抗性が改善されると発症のリスクが低減します。
健康寿命が延伸する
糖尿病の方は心筋梗塞や脳梗塞など重大な合併症を発症する可能性が高いです。
実際に平均寿命は男性が69歳、女性が72歳と健康な方と比べて10年以上早いです。
平均寿命が短いため、健康な方に比べて健康寿命も短いといえるでしょう。
インスリン抵抗性が改善され糖尿病が改善されると寿命の延伸にも効果的です。
インスリン抵抗性の改善方法
インスリン抵抗性を改善することで様々なメリットがあることがわかりました。
ここからは実際にインスリン抵抗性を改善させる方法について解説していきます。
中でも運動療法が効果的です。
おすすめの運動方法や具体的なエクササイズ名もあわせて紹介するのでぜひ最後までご覧ください。
毎日体を動かす
運動により多くのブドウ糖が消費されるため、運動するだけで血糖値を下げることが可能です。
毎日運動することが非常に重要です。
運動することでインスリン抵抗性は改善するものの、その効果は一時的なものです。
運動をやめてしまうと、3日ほどで失われていきます。
また脂肪を燃焼させる意味でも毎日身体を動かすことは重要です。
始めは週3〜5日からでもOK
毎日身体を動かすことが理想ではありますが、慣れないうちは週3〜5日からでもOKです。
先ほどの通りインスリンの抵抗性改善は3日ほどで失われるため、週3〜5日の運動でも問題ありません。
運動する習慣がなかった方が毎日運動することはストレスにつながる可能性があり、そうなると本末転倒になります。
20〜60分間を1回の運動の目安にする
また運動は20〜60分間を1回の運動の目安にしましょう。
長時間の運動は逆に糖を多く消費しすぎてしまい、低血糖の恐れもでてきます。
まとまって運動する時間がないという方は10〜30分を1回として1日2回にわけての運動でも有効です。
なお運動方法は有酸素運動でも無酸素運動でも効果があります。
息が弾む程度の強度で運動する
運動は息が弾む程度の運動がおすすめです。
特に有酸素運動がおすすめで、ジョギングは負担が少なく始めやすいです。
普段から忙しく外出する暇がないという方は自宅でヒットトレーニングというインターバルトレーニングがおすすめです。
YouTubeでは様々なヒットトレーニングが配信されているため、気になる方はぜひチェックしてみてください。
全身を使った有酸素運動をする
全身を使った有酸素運動は全身の筋肉をまんべんなく鍛えることができます。
さらに多くのエネルギーを消費することができるためおすすめです。
特に水泳などは短時間で多くのエネルギーを消費できる有酸素運動です。
関節痛や腰痛などを抱えている方は無理せず自身が続けられそうな運動を行うことが重要です。
週に2〜3回の筋力トレーニングも行う
有酸素運動だけでなく、無酸素運動である筋肉トレーニングも有効です。
足や腰、背中など大きな筋肉がある箇所を重点的に行いましょう。
特にスクワットは足の筋肉を中心に様々な筋肉を鍛えられるためおすすめです。
10回を1セットとして無理なく行うようにしましょう。
筋肉トレーニングで血圧が上がるとかえって危険であるため、医師に相談することをおすすめします。
インスリンまとめ
ここまでインスリンの働きや糖尿病の仕組みついてお伝えしてきました。
インスリンの要点をまとめると以下の通りです。
- インスリンの働きは血糖値を下げるだけでなく様々ある
- 糖尿病の主な原因はインスリン抵抗性とインスリンの分泌不足
- インスリン抵抗性の改善には運動が有効
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。