カルニチンは脂肪燃焼効果があることから、ダイエッターなどに注目を集める成分です。
カルニチンは生命維持に欠かせない物質でもあり、極端に不足すると欠乏症を起こすこともあります。
カルニチン欠乏症とはどのような病気なのでしょうか。
本記事では、カルニチン欠乏症について以下の点を中心にご紹介します。
- カルニチン欠乏症の症状
- カルニチン欠乏症の原因
- カルニチン欠乏症の治療法
カルニチン欠乏症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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カルニチンとは
カルニチンとはアミノ酸の1種です。
カルニチンは人間の身体のほぼすべての細胞に存在しています。
カルニチンの主な役割はエネルギーの産生です。
具体的には、カルニチンは脂肪酸をミトコンドリア内に運搬・燃焼させる働きがあります。
脂肪の燃焼を促すことから、カルニチンには減量効果も期待されています。
カルニチンは主に筋肉内で作用するため、心臓の働きをサポートする役割も期待できます。
その他にも、カルニチンには男性ホルモン「テストステロン」を活性化させる役割が知られています。
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カルニチン欠乏症とは
カルニチン欠乏症とは、体内のカルニチンが極端に不足した状態です。
通常であれば、人体に必要なカルニチンは食事から補給されたり、体内で産生されたりします。
しかし、なんらかの原因によって、稀に体内のカルニチンの量が不足することがあります。
カルニチン不足が起きやすい原因は次の通りです。
- 病気
- 体質
- 食習慣の乱れ
カルニチン欠乏症ではさまざまな症状があらわれます。
具体的な症状は次項でご紹介します。
タンパク質について筋肉づくりや維持の為に、タンパク質を凝縮したプロテインを摂取する方も多いでしょう。しかし、タンパク質の特徴や過不足などを知らないと、健康のためのタンパク質摂取が逆効果になってしまうことがあることをご存じでしょうか。[…]
カルニチン欠乏症の症状
カルニチン欠乏症の主な症状は次の通りです。
- けいれん
- 頻回嘔吐
- 精神・運動発達の遅延
- 貧血
- 倦怠感
- 筋肉の異常
カルニチン欠乏症は次のような重篤な症状・病気を引き起こすこともあります。
- 意識障害
- 横紋筋融解症
- 脳症
- ミオグロビン尿症
- 脂質蓄積性ミオパチー
- 心肥大・心筋症・心機能低下および突然死
カルニチン欠乏症の代表的な症状は筋肉の異常です。
たとえば筋緊張低下・筋力低下・重度のこむらがえりなどが代表的です。
理由は、カルニチンは筋肉の代謝に関わる成分であるためです。
心臓も筋肉でできている器官です。
そのためカルニチン欠乏症によって筋肉に異常が出ると、心筋症などのリスクが高まります。
最悪の場合は、心機能の低下による突然死が起こることもあります。
カルニチン欠乏症の原因
カルニチン欠乏症の原因は大きく、先天性・後天性の2つに分けられます。
先天性の原因としては、先天性代謝異常症が代表的です。
先天性代謝異常症とは、簡単にいえば、生まれつき細胞内のカルニチンの輸送回路に異常があることです。
カルニチン欠乏症の後天的な原因としては、次のようなものが挙げられます。
摂取不足 | ダイエット・食事制限・偏った食生活・経管栄養・完全静脈栄養・牛乳アレルゲン除去調製粉乳などによる栄養管理 |
病気 | (透析を必要とする)腎臓病・肝臓病・筋ジストロフィー・筋萎縮性側索硬化症・Fanconi症候群 |
薬剤の副作用 | バルプロ酸服用・ピボキシル基含有抗菌薬・抗がん剤 |
老化もカルニチン欠乏症の原因の1つです。
体内のカルニチンの量は年齢と共に低下しやすくなります。
カルニチン欠乏症を予防するための基礎知識
カルニチン欠乏症の予防のポイントをご紹介します。
カルニチン不足が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
推奨摂取量
全米アカデミーズの食品栄養委員会は、1日のカルニチンの推奨摂取量を定めていません。
日本においては、厚生労働省が1日の摂取上限の目安量を約1000mgと定めています。
上記の数値が設定された主な目的は、カルニチンの過剰摂取を防ぐことです。
カルニチンは不足してもいけませんが、過剰摂取しても健康を損なうおそれがあるためです。
1日に必要なカルニチンは、約25%が体内で合成され、75%は食品から補給されることが一般的です。
カルニチンは肉類・魚類を中心に幅広い食品に含まれます。
そのため一般的な食事をしていれば、欠乏症が起こるほどカルニチンが不足することはほとんどありません。
出典:【健康・栄養フォーラム – 健康影響評価:カルニチン】
カルニチンを含む食べ物
カルニチン不足が気になる場合は、食品から補うのも1つの方法です。
カルニチンが豊富なのは動物性の食品です。
たとえば肉類・魚類などが代表的です。
肉類・魚類の中でも特にカルニチンが豊富なのは、赤身です。
たとえば牛肉は、サーロインよりも、もも肉などの赤身のほうがカルニチンが豊富です。
魚であれば、鯛などの白身魚より、マグロ・カツオなどがカルニチン摂取に適しています。
食事以外の対策と予防法
食事からのカルニチン摂取が難しい場合は、サプリメントや栄養剤を利用するのも良い方法です。
特に長期にわたって経管栄養などの栄養管理を受けている方は、カルニチンが欠乏しやすくなります。
長期の経管栄養などを行う場合は、開始時から栄養剤にカルニチンを加えておくと、カルニチン欠乏症を防ぎやすくなります。
あるいは、経管栄養の中途からカルニチンを栄養剤に混ぜる方法もあります。
カルニチン欠乏症の治療法
カルニチン欠乏症の治療のポイントは次の通りです。
- 栄養バランスのよい食事
- 激しい運動を控える
- 栄養剤・サプリメントなどの活用
- 治療薬の服用
カルニチン欠乏症を治すには、まずカルニチンを適切に補給することが大切です。
たとえば栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
食品からの摂取が難しい場合は、カルニチンを含んだ栄養剤なども利用してください。
カルニチン欠乏症の治療中は激しい運動は避けましょう。
エネルギー消費の大きい行動をすると、体内のカルニチンが大量に消費されるためです。
カルニチン欠乏症の治療には薬剤が利用されることもあります。
代表的なのはエルカルチンFFなどで、主な作用はカルニチンを補給することです。
カルニチン過剰摂取の場合の健康リスクは?
カルニチンが不足すると欠乏症があらわれます。
反対にカルニチンを過剰摂取した場合も、健康を損なう恐れがあります。
カルニチンの過剰摂取であらわれやすい症状は次の通りです。
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹部痙攣
- 下痢
- 体臭
過剰摂取による副作用があらわれやすいのは、たとえばサプリメントを利用したときです。具体的には、サプリメントで1日に約3g以上カルニチンを摂取すると、副作用があらわれやすくなります。
なお、厚生労働省は1日のカルニチン摂取量の上限を約1000mgとしています。
出典:【健康・栄養フォーラム – 健康影響評価:カルニチン】
出典:厚生労働省【eJIM | カルニチン | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 医療関係者の方へ】
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カルニチン欠乏症についてのまとめ
ここまでカルニチン欠乏症についてお伝えしてきました。
カルニチン欠乏症の要点を以下にまとめます。
- カルニチン欠乏症の症状は筋肉の異常・心筋症や意識障害・けいれんなど
- カルニチン欠乏症の原因は、食事制限・病気・薬剤の副作用など
- カルニチン欠乏症の治療法は薬物療法・激しい運動の回避・食事の改善など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。