更年期には、さまざまな症状があらわれやすくなります。
女性ホルモンの減少に伴い、生理にも大きな変化が見られやすくなります。
更年期の生理の変化とは、どのようなものなのでしょうか。
本記事では、更年期の生理について以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期に見られる生理の変化
- 更年期に生理が変化する原因
- 更年期の生理の変化への対策
更年期の生理について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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更年期とは?
更年期とは、閉経の前後10年間をあわせた期間です。
更年期にはさまざまな不調があらわれやすくなります。
更年期障害の症状
更年期にあらわれる症状は、まとめて更年期障害と呼ばれています。
更年期障害の主な症状は次の通りです。
身体的症状 | ほてり・発汗・頭痛・めまい・肩こり・腰痛・倦怠感・不眠・吐き気・生理不順・血圧の変動 |
精神的症状 | イライラ・怒りっぽい・憂鬱 |
出典:厚生労働省【更年期障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
年齢
更年期の年齢には個人差があります。
閉経の年齢が個人で大きく異なるためです。
一般的には、45〜55歳が更年期に該当します。
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更年期の生理であらわれる生理の変化
更年期には、生理に変化があらわれることもあります。
更年期に見られる生理の変化について紹介していきます。
生理不順
更年期には、生理不順が起こりやすくなります。
たとえば月経周期が短くなるケースが代表的です。
反対に月経周期が長くなることもあります。
あるいは、月経日数が増減するケースも多く見られます。
たとえば平均的な月経日数は7日ですが、更年期には3日ほどで終わることもあります。
生理痛
更年期の生理痛は、若い頃より軽くなることが一般的です。
ただし人によっては、更年期に入って生理痛がひどくなる場合もあります。
更年期に生理痛がひどくなる原因の1つは、ストレスです。
更年期の方は年齢的に社会的責任が重くなることも多いため、仕事のストレスなどから生理痛がひどくなることがあります。
更年期は子宮内がんの好発年齢でもあります。
更年期障害だと思っていた生理痛が、実は病気のサインだった…というケースは少なくありません。
いずれにしろ、更年期になって生理痛がひどくなったと感じる場合は、婦人科で診察してもらうのがベストです。
ドバドバ出たりダラダラ出たりと出血の量が極端になりやすい
更年期には経血の量にも変化がみられます。
一般的には、更年期になると経血量は少なくなります。
一方で、更年期に経血量が増えるケースも少なくありません。
ショーツを汚すほど大量に出血したり、だらだらと出血し続けたりするケースもよくみられます。
閉経していく
更年期には閉経を迎えます。
更年期に入ると女性ホルモンが次第に減少していくためです。
閉経前は、閉経の前兆のような症状があらわれることが一般的です。
具体的には、徐々に生理の回数や経血量が減っていきます。
ただし人によっては、ある日突然生理が来なくなることもあります。
更年期生理不順の原因とは?
更年期には、生理不順が起こりやすくなります。
更年期の生理不順の主な原因を紹介していきます。
女性ホルモンの減少が関係している
更年期の生理不順の主な原因は、女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンは、月経をコントロールしているホルモンです。
更年期には卵巣の機能が低下し、同時に女性ホルモンの分泌量も減少していきます。
すると予定日が来ても月経が正常に開始されにくくなるため、生理の回数が減ることがあります。
あるいは女性ホルモンの分泌が不安定なために、予定日ではない日に突然月経が始まることもあります。
閉経が近づいているのが理由
更年期に生理不順が起こるのは、閉経に向けた準備ともいえます。
卵巣は少しずつ機能を落としながら、閉経を迎える準備を整えているのです。
結果として、生理が来なくなるなどの症状が見られることがあります。
卵巣の機能が落ちている
更年期の生理不順の理由の1つとして、卵巣の機能低下が挙げられます。
機能低下の大きな原因は「老化」です。
卵巣の活動は20代頃にピークを迎え、その後次第に低下していきます。
更年期になると卵巣機能は急激に低下し、やがてほとんど機能しなくなります。
老化によって卵巣がほとんど機能しなくなった状態が、閉経にあたります。
更年期における生理の変化への対策
更年期には、生理の変化に悩まされることも少なくありません。
更年期の生理の変化に対して、どのように対策すればよいのかをご紹介します。
生理の期間が10日未満なら自然に止まる可能性もある
更年期には、生理不順が起こることがあります。
突然生理が来た場合、どう対策したらよいのでしょうか。
1つの方法は、とりあえず様子を見ることです。
生理は自力では止めることはできません。
生理の期間は長くても10日程度です。
10日ほど様子を見て、生理が終わるかどうか確かめましょう。
もし10日以内に生理が止まるのであれば、さほど問題はありません。
ただし、もしご自分の生理の状況に不安がある場合は、10日以下であっても婦人科に相談してください。
また、10日経っても生理が続く場合も、念のため婦人科で診察してもらいましょう。
更年期で生理が止まらない場合は、子宮の病気の可能性もあるためです。
更年期の症状に向けて対策法する
更年期の生理の変化に悩んでいる場合は、根本原因である更年期にアプローチするのも1つの方法です。
代表的なのは「ホルモン補充療法」です。
ホルモン補充療法とは、女性ホルモンを薬剤で補うという治療方法です。
更年期症状の原因の多くは女性ホルモン減少です。
ホルモン補充療法で不足したホルモンを補うことで、生理不順を含めた更年期症状が緩和することもあります。
病院に行く
更年期の生理の変化が気になる場合は、ひとまず婦人科で診察してもらいましょう。
更年期は病気が起こりやすい年齢でもあります。
更年期症状だと思っていた生理不順が、実は他の病気の可能性もあります。
生理不順の原因が更年期なのかどうかを確かめるためにも、一度病院で検査を受けるのがおすすめです。
生活習慣を見直す
生理不順に限らず、更年期症状は生活習慣の乱れで悪化することがあります。
理由は、自律神経が乱れやすくなるためです。
自律神経は身体のさまざまな働きを調整している神経系です。
自律神経は女性ホルモンの司令塔のそばに存在しており、お互いに影響を与え合う関係です。
生活習慣の乱れが原因で自律神経がバランスを崩してしまうと、女性ホルモンの司令塔も悪影響を受けやすくなります。
結果として、生理不順などの不調があらわれることがあります。
普段の生活習慣に問題がある方は、まず規則正しい生活を心がけてみましょう。
栄養バランスのよい食事・適度な運動も、更年期症状の緩和に大切なポイントです。
更年期で生理が止まらない場合
更年期には、生理の出血が止まらなくなることもあります。
更年期に生理が止まらなくなった場合の対策をご紹介します。
不正出血の可能性がある
生理が止まらなくなった場合、「不正性器出血」が疑われます。
不正性器出血とは、生理でないのに性器から出血することです。
不正性器出血には、機能性出血と器質性出血の2種類があります。
機能性出血は、主にホルモンバランスの乱れなどが原因で起こります。
たとえば更年期・ストレスなどによる不正性器出血が代表的です。
更年期の機能性出血は、閉経に向けた準備とも捉えられます。
対して器質性出血は、子宮・卵巣の異常が原因で起こります。
代表的なのは子宮筋腫・子宮がんなどです。
子宮がんは更年期に起こりやすい婦人科系トラブルの1つです。
不正性器出血の原因が機能性なのか器質性なのかは、自分では判断できません。
原因を突き止めるためにも、不正性器出血が続く場合は婦人科で診察してもらいましょう。
子宮や卵巣の病気が隠れている可能性
更年期に出血が止まらない場合は、子宮や卵巣の病気のサインの可能性があります。
特に子宮がんは更年期である40代後半からリスクが増大する病気です。
もし10日以上生理が続く場合は、一度婦人科で検査を受けましょう。
更年期生理が来ないさまざまな悩みとは?
更年期には閉経を迎えることが一般的です。
つまり生理が来なくなります。
では、生理が来なくなったら閉経したと考えてもよいのでしょうか。
ここからは、更年期に生理が来ない事柄に関するお悩みや考え方を紹介していきます。
生理に関するおりもの
更年期には、生理が来ないにもかかわらず、おりものが出ることがあります。
更年期のおりものの考え方について紹介していきます。
閉経してもおりものが完全に無くなるわけではない
おりものは、生理の前後に出る傾向があります。
そのため、閉経後はおりものの量は少なくなることが一般的です。
だからといって、閉経後はおりものが完全になくなるわけではありません。
なにかの拍子に閉経後もおりものが出ることはよくあります。
そのため、閉経後におりものが出たからといって焦る必要はありません。
特に無色透明のサラサラしたおりものが一時的に出る場合は、すこし様子を見てもよいでしょう。
生理ではなくてもおりものが多いこともある
閉経すると、おりものの量は少なくなることが一般的です。
ただし、ときには閉経後も大量のおりものが出ることもあります。
たとえ経血の量が多くても、分泌が一時的であれば特に問題はありません。
反対に、大量のおりものが長期間続く場合は、なんらかの病気が疑われます。
おりものが大量に出たり、下腹部に痛みがあれば病気の可能性も
閉経後もおりものが出ることはよくあります。
ただし、次のような特徴がある場合は、子宮や卵巣の病気の可能性があります。
- 茶色い
- 粘り気がある
- 異臭
- 大量に出る
- 腹痛がある
可能性がある病気は卵管がん・子宮がん・クラミジア膣炎などです。
クラミジア膣炎は膣にクラミジア菌が感染する感染症で、更年期の方には比較的起こりやすい病気です。
おりものの異常の原因は、自分で特定するのが難しいので、おりものに何らかの不安がある場合は、一度婦人科を受診しましょう。
生理前の期間や閉経までの期間
更年期の生理周期や閉経までの期間についてご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
生理が終わるまでの期間が長いこともある
日本人の平均的な閉経年齢は50歳です。
ただし、閉経を迎える年齢は個人によって大きく異なります。
たとえば40代前半で閉経することもあれば、50代後半で生理が終わる方もおられます。
そのため、閉経が早い・遅い場合でも特に心配はいりません。
生理周期が短いときや遅れるときがある
更年期は女性ホルモンが不安定になるため、月経周期も乱れがちになります。
たとえば生理が1月に2回来たり、反対に数ヶ月来なかったりするケースが見られます。
生理がいつ来るかわからない不安定な生理不順がある
更年期には、月経周期が乱れやすくなります。
予定日外に突然生理が来て慌てる…というケースも少なくありません。
対策としては、いつも生理用ナプキンを持ち歩いておく方法がおすすめです。
あるいは、おりもの用の薄手のショーツを常につけておく方法もあります。
生理が終わらないと感じる
更年期に入っても、なかなか閉経しない方も少なくありません。
終わったと思ったら数ヶ月後に生理が来た…というケースはよく見られます。
更年期には、月経周期が乱れがちになります。
そのため生理が来なくなったと思っても、実は遅れているだけということがあります。
生理の間隔が空くのは更年期による生理不順の1種であるため、特に心配はいりません。
鮮血の状態を見る
更年期には、経血の状態を観察することも大切です。
たとえば次のような経血が出る場合は子宮や卵巣の病気が疑われます。
なお、経血量の減少については、さほど心配はいりません。
茶色
経血の色が茶色っぽい場合、「不正性器出血」の可能性があります。
ただし、生理の前後に茶色っぽい経血が出ることはよくあります。
生理の前後は出血量が少なく、経血が外に出るまでに時間がかかるためです。
排出されるまでに時間がかかると、経血は酸化して茶色っぽく変色しやすくなります。
もし生理の前後以外で茶色っぽい経血が出る場合は、念のため病院で診察してもらいましょう。
レバー状の塊
経血にレバー状の塊が混じる場合は、子宮や卵巣の異常の可能性があります。
代表的なのは子宮筋腫や子宮がん、子宮・卵巣の血行不良です。
特に10円玉サイズ以上の塊が出る場合、病気の可能性があります。
小さな粒のような血の塊がたくさん出る場合は、すこし様子を見てもかまいません。
その他の身体の症状
更年期の生理に伴うその他の身体の症状をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
生理がないのに胸が張る
生理中はホルモンバランスの関係から乳房の張り・痛みが出やすくなります。
更年期になると、生理中以外にも乳房に張り・痛みが出ることがあります。
生理以外の乳房の張りの原因は、女性ホルモンのバランスの乱れです。
特にストレス・疲労が溜まっている方は女性ホルモンが乱れやすくなるため、乳房の張りを感じやすくなります。
下痢になる
生理の前後に下痢になる方は少なくありません。
特に更年期の方は、下痢が起こりやすい傾向があります。
原因の1つは、自律神経の乱れによって腸の運動が異常になることです。
下痢ではなく便秘になることもあります。
更年期で生理が終わったと思ったら鮮血がある
更年期で生理が終わったと思っていたら、突然出血することがあります。
閉経後の出血の原因・対策をご紹介します。
機能性出血になっている可能性
閉経後に出血がある場合は、機能性の不正性器出血の可能性があります。
閉経は迎えているものの、ホルモンバランスの乱れなどが原因で出血してしまうのです。
閉経後の出血が一時的なものであれば、しばらく様子を見てもかまいません。
もし閉経後に10日以上の出血が続く場合は病気が疑われるため、病院を受診してください。
鮮血がサラサラや大量の場合放置は危険
閉経後に不正出血した場合は、しばらく様子を見てもかまいません。
ただし、次のような特徴が見られる場合は注意が必要です。
- 水っぽい
- 大量出血
- 色が茶色・黒っぽい・ピンク色
- 出血が10日以上続く
上記のような経血が出る場合、子宮や卵巣の病気の可能性があります。
すぐに病院を受診してください。
更年期止血剤を使うこともある
閉経後に出血が止まらず、かつ卵巣や子宮に問題がない場合は、更年期止血剤が処方されることもあります。
あるいは、ホルモン療法や偽閉経療法で対処することもあります。
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更年期の生理閉経後で生理痛があるとき
閉経後に、生理痛のような痛みに悩まされることがあります。
閉経後の生理痛に似た痛みの原因や対策をご紹介します。
病気なのかどうか
閉経後の生理痛の原因を紹介します。
心当たりがないか、ぜひ参考にしてください。
腹痛として生じている痛み
生理痛に似た痛みは、腹痛の可能性があります。
特にストレス・疲労などが溜まっている方や冷え症の方は腹痛が起こりやすくなります。
あるいは、更年期症状として腹痛が出ている可能性もあります。
たとえば次のような特徴がある場合は、生理痛ではなく腹痛が疑われます。
- 鈍い痛み
- 重い痛み
- チクチクした痛み
- 痛みが数分で収まる
排尿痛や血尿が同時に出ている場合は注意
生理痛に加えて、排尿痛・血尿がある場合は泌尿器系の可能性があります。
代表的なのは膀胱炎・腎盂腎炎・尿路結石などです。
もし痛みの他に気になる症状がある場合は、放置せずに病院にいきましょう。
痛みがひどい、強くなる場合は注意
閉経後に生理痛に似た痛みがひどくなる場合や、だんだん強くなる場合は、卵巣・子宮の病気が疑われます。
少しでも痛みに不安を感じる場合は、一度婦人科で検査を受けてください。
生理痛があるときの対策
閉経後に生理痛に似た痛みがある場合の対策をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
おなかを温める
生理痛に似た痛みがある場合、お腹や腰を温めるのがおすすめです。
温めることでお腹周りの血行が促進されるため、痛みが緩和されやすくなります。
たとえば腹巻きをしたり、温かい湯船に浸かったりする方法がおすすめです。
身体を冷やさないために、冷たい飲食物はできる限り控えましょう。
ショウガや根菜は身体を温める作用があるため、腹部痛の軽減に役立ちます。
質のよい睡眠をとる
腹部痛を和らげるには、質のよい睡眠を取ることも大切です。
質のよい睡眠を取ると自律神経が整いやすくなるため、更年期の症状が緩和されやすくなります。
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更年期で生理の変化と共に膣も乾燥する
更年期には生理だけでなく、性器自体にも変化が見られます。
代表的なのは、膣内の乾燥です。
更年期の膣が乾燥する原因は、女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンには膣の潤いを保って受精しやすくする作用があるためです。
膣内が乾燥すると、かゆみ・痛みを感じることがあります。
さらに膣のバリア機能も低下するため、感染症のリスクも高まります。
代表的なのはクラミジア膣炎です。
膣の感染症を防ぐためにも、性器は常に清潔にするように心がけましょう。
出典:厚生労働省【ドライシンドローム(ドライマウス・ドライアイ・腟の乾燥) | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ】
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更年期の生理のまとめ
ここまで更年期の生理についてお伝えしてきました。
更年期の生理の要点を以下にまとめます。
- 更年期に見られる生理の変化は、生理不順・経血量の増減・生理痛の増減
- 更年期に生理が変化する原因は主に女性ホルモンの減少
- 更年期の生理の変化への対策は、病院に行く・生活習慣の改善など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。