脳ドックを受けることで、脳の動脈瘤や脳腫瘍などの病気を早期発見できます。
また、事前に脳の状態を把握できるので、脳梗塞や脳出血などの病気を予防できます。
そもそも、脳ドックではどういったことがわかるのでしょうか?
脳ドックでは、どのような検査をするのでしょうか?
本記事では、脳ドックでわかることや検査内容について以下の点を中心にご紹介します。
- 脳ドックでわかることは
- 脳ドックの必要性とは
- 脳ドックの検査方法とは
脳ドックでわかることや検査内容について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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脳ドックとは
脳ドックは、人間ドックで実施する検査項目の一つです。
MRIやMRAで脳血管の状態を把握し、病気を早期発見します。
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脳ドックでわかること
脳ドックを受けることで、早期に脳の病気を発見できます。
検査方法や検査でわかる病気について、下記で説明するので参考にしてください。
頭部MRI検査
MRI検査は強力な磁場を体に当てながら、脳の断面図を撮影する方法です。
さまざまな角度から撮影でき、病気の早期発見ができます。
頭部MRIで撮影してわかる病気は、主に以下のようなものです。
大脳白質病変
大脳白質病変は、脳深部にある大脳白質への栄養供給が低下する病気です。
血圧が高いと発症する場合があります。
MRI画像では、脳内に白く映るのが特徴です。
無症候性脳梗塞
無症候性脳梗塞は高血圧などにより、脳の小さな血管が詰まってしまう病気です。
MRI上では脳梗塞所見がありますが、運動麻痺や感覚障害などの症状が見られません。
無症候性脳出血
無症候性脳出血は、高血圧が原因で脳の細い血管が破れて出血してしまう病気です。
MRI上では脳出血所見が見られますが、運動麻痺や感覚障害などの症状が見られません。
脳腫瘍
脳腫瘍は脳内に腫瘍ができる病気で、良性と悪性のものがあります。
脳腫瘍の影響で、脳がむくんでしまい、運動麻痺や感覚障害を引き起こすのが特徴です。
脳の萎縮
脳の萎縮は、脳の容量が減ってしまう状態です。
加齢や脳梗塞などが影響して、脳内の萎縮が進んでいきます。
認知症の方がMRIの画像を撮影した際に、脳が萎縮して見られる場合があります。
頭部MRA検査
頭部MRA検査は、脳の血管のみを撮影する方法です。
くも膜下出血や脳動脈瘤を早期発見できます。
下記にMRA検査を撮影して見られる病気をまとめたので参考にしてみてください。
未破裂脳動脈瘤
未破裂脳動脈瘤は、動脈瘤が破裂寸前の状態をいいます。
動脈瘤は脳の血管壁がもろくなってコブ状の形を形成する病気です。
破裂するとくも膜下出血を発症し、重度な運動麻痺や感覚障害が残ります。
頭蓋内動脈狭窄
頭蓋内動脈狭窄は、動脈硬化によって脳内の太い動脈が狭くなる病気です。
脳内血管が詰まって、運動麻痺や感覚障害を引き起こすのが特徴です。
動脈硬化でできた血栓が剥がれて、他の血管が詰まる可能性もあります。
脳動脈硬化
脳動脈硬化は、動脈硬化により脳血管が厚くなりながら、血管壁が細くなる病気です。
脳の血管が細くなると、脳卒中や脳の萎縮を引き起こす場合があります。
脳血管閉塞
脳の血管が動脈硬化や血栓で詰まってしまう状態です。
脳血管が閉塞すると、脳が虚血状態になり脳梗塞を発症します。
脳梗塞になると、手・足の運動麻痺と感覚障害が起きます。
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脳ドックの必要性
脳ドック検査は、とても重要な検査です。
脳血管疾患は日本の死亡要因では4位になっており、要介護状態にもなりやすいです。
脳梗塞や脳出血を早期発見することで、介護や死亡するリスクを下げられます。
脳ドックをすすめたい方
脳ドック検査は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を有している人へおすすめです。
また家族内で脳卒中を発症している場合、遺伝することがあります。
脳ドックをすすめたい方について以下で説明するので参考にしてみてください。
病気の治療や経過観察している方
高血圧や糖尿病、動脈硬化で治療や経過観察されている方は、脳ドックがおすすめです。
無症候性脳梗塞や微小出血などの病気を引き起こしている場合があります。
飲酒・喫煙の習慣がある方
飲酒・喫煙の習慣がある方は、脳ドック検査をおすすめします。
大量飲酒や喫煙をされていると、脳卒中を発症するリスクが高いと報告されています。
家族に脳疾患患者がおられる方
家族に脳疾患患者がいらっしゃる方は、脳ドック検査がおすすめです。
近年の報告では、親族に脳卒中の方がいると遺伝すると報告されています。
頻繁に頭痛に悩まされている方
脳卒中発症直後の症状として、頭痛症状が見られる場合があります。
頻繁な頭痛症状に悩まされている方は、脳ドック検査を受けてみましょう。
めまいや耳鳴りのある方
脳卒中の症状としては、めまいや耳鳴りといったものが現れる場合があります。
めまいや耳鳴りが強い方は、脳の疾患のリスクがあるので脳ドック検査を受けてみましょう。
脳ドックの検査方法
脳ドック検査の際には、さまざまな検査をします。
検査方法について、下記にまとめたので参考にしてみてください。
頭部MRI検査
頭部MRI検査は、強力な電磁場を頭部に当てて、脳の断面図を撮影する方法です。
脳梗塞や脳出血の有無を調べられます。
頭部MRA検査
頭部MRAは、頭部に強力な電磁場を当てながら、脳血管を立体画像で撮影する方法です。
動脈瘤やくも膜下出血の有無を調べられます。
頸部MRA検査
頸部MRA検査は、頸部に電磁場を当てながら、首の血管を立体的に撮影する方法です。
造影剤やX線を使用せずに、首の血管を撮影できます。
頸動脈エコー検査
頸動脈エコー検査は、首の血管の狭窄具合を撮影していきます。
首の血管が狭窄すると、脳への血液循環が悪くなり、脳卒中になる可能性が高いです。
心電図検査
心電図検査は、心房細動や心筋梗塞などの不整脈がないか調べる検査方法です。
心臓でできた血栓で、脳梗塞を発症する場合があります。
血液検査
血液検査は、脳卒中の危険因子となる病気について把握できます。
採血することで、危険因子である糖尿病や脂質異常症、腎機能障害などの把握が可能です。
血圧測定
血圧測定を実施すると、脳卒中の危険因子である高血圧の把握が可能です。
血圧が高いと、脳卒中になる確率が高くなります。
ABI検査
ABI検査は、血管の狭窄具合を確認する検査です。
足首と腕の血圧を測定し、血圧の差を測ります。
通常は腕よりも、足首の血圧の方が高いです。
脳ドックを受けたほうが良い年齢と頻度
年を重ねることでさまざまな病気のリスクが上がります。
脳ドックを受けた方が良い年齢について以下で説明するので、参考にしてみてください。
脳ドックを受けてほしい年齢
40歳代以上の方は脳ドックを受診するのをおすすめします。
脳卒中の発症率は40歳代で高く、生活習慣病などの病気があるとさらに発症しやすいためです。
そのため、40歳代で生活習慣病をお持ちの方は、早めの受診をおすすめします。
なお、持病をお持ちの方は40歳以下であっても早めに脳ドックを受けましょう。
脳ドックの受診頻度
脳ドックの受診頻度は、2〜3年に1回がおすすめです。
脳ドックで脳に指摘があった方は、脳ドックを受ける頻度が変わるので注意しましょう。
脳に指摘があった場合、1~2年ごとに受診する方が無難です。
脳ドックにかかる時間と費用
実際に脳ドックを受ける方は時間や費用が気になるでしょう。
検査時間や必要な費用を知ることで、スムーズに検査を受けられます。
脳ドックにかかる時間と費用について、下記にまとめたので参考にしてみてください。
検査時間
脳ドック検査の所要時間は、検査数やプランによって変わってきます。
受付から会計が終わるまでの所要時間は、約90〜240分です。
検査費用
脳ドックの検査費用は各医療機関で変わってきますが、相場は1万5,000〜3万円です。
精密な検査を実施すると、4万〜5万円かかる場合もあります。
検査へ行かれる際は、事前に確認をしましょう。
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脳ドックで気をつけること
脳ドックを受ける際には注意点があり、検査できないケースもあります。
脳ドックを受ける際に、気をつけることを下記にまとめたので参考にしてみてください。
検査にあたっての注意点
脳ドック検査は強力な磁場を使用するため、金属類は装着できません。
身に着けられないものの一例を以下に列挙するので参考にしてください。
ヒートテック | 補聴器 | 義歯 |
携帯電話 | 湿布 | カイロ |
腕時計 | 安全ピン | ペン |
これはあくまでも一例なので、心配な場合には医療スタッフにご確認ください。
検査できない可能性のある方
MRIやMRAは、場合によっては検査が受けられない方もいます。
次のような方は検査を受けられないことがあるのでご注意ください。
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- ペースメーカーを入れている方
- 体内にボルトなどの金属を埋め込んでいる方
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脳ドックで認知症は発見できるの?
認知症の発見は、脳ドックで撮影するMRIやMRAでは不十分です。
認知症の診断で使用される検査方法について、以下で説明していきます。
頭部CT検査
頭部CTは、X線を使って体の断面図を複数の方向から細かく撮影する方法です。
脳出血と脳梗塞を鑑別する際に使用されます。
VSRAD
VSRAD検査は、MRI画像を解析しながら脳の萎縮状態を把握する方法です。
アルツハイマー型認知症を鑑別する際に利用されます。
HDS-R
HDS-R検査は、認知機能の低下を早期に発見する際に使用される検査方法です。
認知症を早期に発見できるので、進行を遅らせられます。
MMSE
MMSE検査は、認知機能の進行具合を把握するのに使用される検査方法です。
記憶力を見る以外にも、指示に対して適切に遂行できるのかどうかを確認します。
ADAS-J
アルツハイマー型認知症の病状や進行具合を把握するための検査方法です。
薬に対しての効果を鑑別するのにも使用される方法になります。
MCIスクリーニング
MCIスクリーニングは、脳内に認知症の原因物質が蓄積されているかを把握する検査です。
自分の将来を把握することで、生活習慣を見直すきっかけになります。
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脳疾患の死亡率について
死因については、性別によってある程度傾向があります。
以下で説明するので参考にしてください。
性別に見た死因順位と脳疾患患者数
性別で見た死因順位は、男女共に悪性新生物(腫瘍)と心疾患が上位であるのが特徴です。
脳疾患患者数で見ると、男性で3位、女性で4位となっています。
以下にまとめるので、参考にしてください。
死因順位 | 男性 | 女性 |
1位 | 悪性新生物(腫瘍) | 悪性新生物(腫瘍) |
2位 | 心疾患 | 心疾患 |
3位 | 脳血管疾患 | 老衰 |
4位 | 肺炎 | 脳血管疾患 |
5位 | 老衰 | 肺炎 |
出典:厚生労働省【令和2年(2020)人口動態統計】
脳血管疾患の死亡数は、男性よりも女性の死亡人数の方が高いです。
また、脳梗塞やくも膜下出血の死因人数も、女性の人数の方が多いです。
死因順位 | 男性(5万390人) | 女性(5万2588人) |
1位 | 脳梗塞(2万7218人) | 脳梗塞(2万9646人) |
2位 | 脳内出血(1万7790人) | 脳内出血(1万4207人) |
3位 | くも膜下出血(4,144人) | くも膜下出血(7,302人) |
4位 | その他の脳血管疾患(1,268人) | その他の脳血管疾患(1,433人) |
出典:厚生労働省【令和2年(2020)人口動態統計】
主な脳疾患の種類
脳疾患は、梗塞や出血などの病気が複数あるのが特徴です。
梗塞や出血する場所によって、病気の重症度が変わってきます。
主な脳疾患について解説します。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の動脈が虚血状態になり、脳が壊死してしまう病気です。
手足へ運動麻痺や感覚障害を引き起こします。
脳出血
脳出血は、脳の動脈が破裂して、脳の組織内へ血流が流れる病気です。
脳内が腫れてしまい、運動麻痺や感覚障害が重症になる可能性があります。
くも膜下出血
くも膜下出血は、脳の主要な動脈が破裂して、くも膜下腔へ血液が流れ込む病気です。
元々あった動脈瘤が破裂することが多く、場合によっては死に至る可能性があります。
一過性脳虚血発作
一過性脳虚血発作は、脳の動脈が一時的に虚血状態になる病気です。
神経症状が一時的に出現しますが、血液が再貫通すると症状がなくなります。
脳ドックでわかることのまとめ
ここまで脳ドックでわかることや検査内容についてお伝えしてきました。
脳ドックについて要点を以下にまとめます。
- 脳ドックで早期に脳の病気を発見できる
- 脳ドックで早期に脳梗塞や脳出血を発見し、介護や死亡するリスクを下げられる
- 脳ドックはMRIやMRA、心電図などの検査方法がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。