花粉の飛び交う時期はまだまだ先の1月だというのに、なぜか花粉症の症状がでてきていると、そんな症状にお困りの方も多いのではないでしょうか。
実は、1月でも花粉症を発症することがあるのです。
本記事では「1月の花粉症」について以下の点を中心にご紹介します。
- 1月も花粉症になる理由とは
- 風邪と花粉症の見分け方とは
- 花粉症の検査方法とは
1月の花粉症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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花粉症は春だけ?1月も花粉症になる?
花粉症といえば、春から初夏にかけて発症するものと考えている方も多いでしょう。
しかし、1月にも花粉を飛ばす植物があり、花粉症は発症する可能性があります。
花粉症の原因・どうして花粉症になるの?
花粉症は、スギ、ヒノキ、多年草などの花粉が原因で起こるアレルギー症状です。
花粉症の原因は、免疫機能のエラーによるものです。
人間の体には、細菌やウイルスなどの異物を排除する働きがあります。
この働きを免疫機能といいます。
免疫機能がなんらかの原因で、花粉など一度体内に入った物質を異物と勘違いします。
過剰に攻撃して、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、咳や熱などが現れる状態がアレルギー症状で、一般的に花粉症の症状といわれます。
春夏秋冬別・花粉の種類一覧
花粉には、木と草があります。
スギやヒノキといった花粉は非常に飛散距離が長いのが特徴です。
それに対してブタクサなどの草は飛散距離が短く、飛散場所は限られています。
自分が住んでいる地域の花粉の飛散時期を把握しましょう。
また、花粉の飛散時期や、花粉症の原因となる植物が自生している公園や河原には近づかないことです。
植物の種類 | 飛散時期 |
スギ | 10月~5月 |
ヒノキ | 2月~5月 |
イネ科 | 3月~10月 |
ブタクサ | 8月~10月 |
ヨモギ | 8月~10月 |
ハンノキ | 1月~6月 |
1月の花粉症の特徴
花粉症の代表とされるスギ・ヒノキ花粉などは、3月くらいがピークとなります。
1月にも花期を迎える木があります。
それがハンノキです。
ハンノキは、山や湿地、沼地に自生することが多い植物です。
飛散時期がスギやヒノキと一部重なることがあり、見逃されやすい植物です。
1月の花粉症症状の特徴として、飛散時期の違いがあります。
日本列島は南北に長く、気候にも時間差があります。
花粉症の原因となる植物の花粉飛散期も異なります。
そのため、地域によって1月に飛散することもあるのです。
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風邪と1月の花粉症の見分け方
風邪の症状と花粉症の症状には、共通した点があります。
違いがわかりにくいので、注意して観察しましょう。
症状 | 花粉症 | 風邪 |
くしゃみ | 発作的で連続する | よくある |
鼻水 | サラッとした水溶性 | 粘り気のある黄色い鼻汁 |
鼻づまり | よくある | よくある |
特徴 | ・朝方に強い症状が現われる ・花粉が飛翔する時期のみに起こる ・鼻のかゆみがある ・目がかゆく、涙が出る ・ニオイや味がわかりにくい ・熱はない、あっても微熱程度 | ・1年中しばしば起こる ・鼻やのどの不快感がある ・くしゃみ、鼻水、鼻づまりのほかにのどの痛みやかすれがある ・熱っぽさやだるさなど、身体全体の不調がある |
「風邪」と「花粉症」を見分けるのは、症状だけでは難しいかもしれません。
鼻水の透明度や色、粘性、くしゃみなどの症状の出る時間帯などを考えて判別しましょう。
風邪と花粉症では、用いる薬もかなり違ってきます。
適切な薬を使わないと、症状も長引いてしまうことがあります。
自分の症状をできるだけ正しく判断し、風邪なら内科、花粉症なら耳鼻科を受診してもらいましょう。
花粉症(1月)の検査方法
「花粉症かな?」と思ったら、まず病院で診断を受けます。
診断するときには、さまざまな検査を使って原因を突き止め、最も有効な処方が選ばれます。
花粉症の検査方法を見ていきましょう。
血液IgE検査
血液中に「IgE(あいじーいー)」が多いか少ないかを調べる検査です。
IgEというのは、体内に侵入した抗原に対して生じる抗体のことです。
一般的に、IgEの総量が多ければ多いほどアレルギー体質だと診断されます。
特異的IgE検査
特異的IgE検査とは、固有のIgE抗体があるかどうかを調べる検査です。
IgE抗体はさまざまなアレルゲンに対して、それだけに反応する「特異的」抗体として体内に作られます。
特異的IgE検査によって、原因アレルゲンがわからない場合、スクリーニングができます。
皮膚反応検査
皮膚反応検査は大きく分けて、以下の4種類があります。
- プリックテスト
- スクラッチテスト
- 皮内テスト
- パッチテスト
プリックテスト
皮膚の表面に小さなキズを付けて、微量のアルゲン物質を垂らし、反応を見る検査です。
キズの部分が赤く腫れあがるなどの症状を観察し、原因を特定できます。
スクラッチテスト
皮膚にアルゲン物質を垂らし、5㎜くらいのひっかきキズを作って反応を見ます。
ほとんど痛みはないので、小さな子どもでも検査できます。
皮内テスト
プリックテストやスクラッチテストで、はっきり原因がわからない場合に行う検査です。
腕に微量のアレルギー物質を注射器で注入します。
20分ほどで反応が出たときにアレルゲンを確定します。
体内に直接アレルゲンを注入する検査ですから、反応が強く出てしまう危険性があります。
パッチテスト
フィルムや絆創膏にアレルゲンを塗って、背中や腕に貼る検査です。
通常1〜2日で反応が見られます。
鼻粘膜好酸菌検査
鼻水を採取して「鼻汁好酸球検査」をします。
好酸球は、炎症が起こると増える白血球のことです。
好酸球は血液よりも鼻の粘膜で反応が起こりやすいため、風邪と花粉症の区別がつきます。
鼻粘膜誘発検査
アレルゲンと思われる花粉エキスを鼻の粘膜に貼り付ける検査です。
鼻水や鼻づまりなど花粉症の症状が出るか観察します。
花粉症(1月)の治療方法
花粉症は、1月でも発症する場合があります。
花粉症の治療方法は、症状に合わせて行うことが大切です。
内服薬
花粉症の治療のベースとなるのが「抗ヒスタミン薬」です。
アレルギー反応を起こすヒスタミンの働きをブロックする効果があります。
職業によっては、抗ヒスタミン薬は眠気が心配だという方もいます。
第1世代抗ヒスタミン薬は、即効性がありますが、眠気などの副作用があります。
眠気などの副作用が軽減された「第2世代抗ヒスタミン薬」を選ぶようにしましょう。
点眼薬
1月でも花粉症で目がかゆくなってしまうことがあります。
まず、「抗アレルギー点眼薬」を選びましょう。
抗アレルギー点眼薬のなかでも抗ヒスタミン作用を持つ点眼薬は、即効性があります。
花粉症で目のかゆみがひどくなってしまった場合には、「ステロイド点眼薬」を併用します。
ステロイド点眼薬は、眼圧などの定期的な検査が必要なため、医師の処方になります。
点鼻薬
「ステロイド点鼻薬」は、即効性はないものの、1日1回の使用で効果が出るという特徴があります。
点鼻薬として局所的に使うため、副作用の心配もありませんが病院の処方が必要です。
病院で処方される「点鼻薬」には以下の3種類があります。
- ステロイド点鼻薬
- 抗ヒスタミン点鼻薬
- 血管収縮点鼻薬
「抗ヒスタミン点鼻薬」は即効性があり、市販されています。
1日に3〜4回まで使えます。
「血管収縮点鼻薬」は、市販の点鼻薬によく見られます。
鼻の血管を収縮させることで、鼻づまりなどを解消し、即効性があります。
しかし、有効時間が非常に短く、何度も使うことになります。
長期間使用することで、まれに薬剤性鼻炎を引き起こす危険性があります。
濫用は控えたい点鼻薬です。
貼り薬
飲み薬と同じ第2世代の抗ヒスタミンを使った貼り薬です。
鼻水、くしゃみ、かゆみなどのアレルギー症状を抑えます。
皮膚から抗ヒスタミン成分が吸収されるので、胃腸や肝臓に負担をかけません。
1日1回貼るだけで効果が24時間持続するというメリットもあります。
薬を飲むのが苦手な方や嚥下障害のある方などに向いています。
レーザー治療
CO2を使ったレーザーで鼻粘膜表面を変性させ、花粉症の症状を抑えます。
鼻づまりには90%、鼻水・くしゃみには60%の改善が期待できます。
一般的に治療してから、1〜2年程効果が持続するといわれています。
花粉症の症状があらわれてからの治療には効果がなく、花粉シーズン前に治療します。
遅くとも、1月中旬までには治療を終えておいた方がよいでしょう。
注射治療
花粉症の治療には、注射が使われることもあります。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)
花粉症の症状を改善するためには、ヒスタミンの放出を抑える必要があります。
アレルゲン免疫療法は、アレルギーを起こす成分を少しずつ体内に注射する方法です。
花粉を摂取し続けることによって、免疫機能をマヒさせる目的があります。
花粉症の治療効果が高い一方で、治療期間が3〜5年と長いのがデメリットです。
ステロイド注射
ステロイドは、免疫機能を抑制する働きがあります。
そのため、花粉が異物として認識されにくくなり、症状が緩和されます。
ステロイド注射は、1回で2〜3ヶ月持続することがメリットです。
しかし、免疫機能が抑えられるため、風邪などの感染症にかかるリスクが高まります。
花粉症に効く薬・漢方・サプリメント
1月の花粉症は、それほど重症化することも少ないかもしれません。
病院にかかるほどではないけれど、花粉症の症状を少しでも緩和したい。
そのようなときに利用したいのが市販の薬や漢方薬、サプリメントです。
1月の花粉症に効く薬
花粉症の症状を抑えるためには、抗ヒスタミン薬配合の市販薬よいでしょう。
開発された時期で、「第1世代」、「第2世代」の2種類があります。
現在は、眠気や口が乾くなどの副作用の少ない「第2世代」の抗ヒスタミン薬が主流となっています。
1月の花粉症に効く漢方
職業によっては、花粉症の薬は眠くなるから飲まないという方もいるでしょう。
そのような方には、以下のような「漢方薬」がおすすめです。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
鼻水や、くしゃみといった花粉症の症状を抑える漢方薬です。
アレルギー性鼻炎の漢方薬として有名です。
とくに、水溶性の鼻水に効果があります。
その他、体を温める発汗作用、咳や痰を鎮める作用などに効果があります。
麻黄附子細辛湯(まおう・ぶし・さいしんとう)
水溶性の鼻水に効果のある、漢方薬です。
手足の冷え、身体のだるさを伴う場合にも処方されます。
花粉症のアレルギー症状が強く、小青竜湯出で改善が見られない場合には試してみるとよいでしょう。
1月の花粉症に効くサプリメント
花粉症は、「腸内環境」の悪化がひとつの原因であるといわれています。
サプリメントで腸内環境を整えて、免疫機能を正常に戻す栄養素を補いましょう。
DHA・EPA
DHA・EPAは、体内の免疫反応を調整する働きがあります。
マグロ、サバ、サケ、サンマなどに多く含まれる栄養素です。
アレルギー症状だけでなく、脂肪燃焼、高血圧の予防や改善にも効果が期待できます。
魚が苦手という方は、サプリメントで手軽に摂取できます。
ビタミン
花粉症の改善には、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンDを積極的に摂取しましょう。
ビタミンB群には粘膜の保護、ビタミンCには抗炎症作用、ビタミンDには免疫力を高める働きがあります。
食品で補う場合はいろいろな食品が必要になります。
サプリメントで補うと手軽です。
亜鉛
亜鉛は、免疫機能を正常にする働きがあります。
亜鉛は体内では作れないため、食事から摂取するしかありません。
牡蠣やレバーなどに多く含まれますが、これらを毎日食べるのは大変です。
また、好き嫌いも分かれるところでしょう。
サプリメントなら、手軽に亜鉛を摂取できます。
乳酸菌
腸内環境は、免疫機能に大きく関わっています。
乳酸菌を積極的に摂ることで、腸内フローラのバランスを整えられます。
しかし牛乳やヨーグルト、チーズなど大量に摂取するとカロリーオーバーになる可能性もあります。
カロリーを気にする方は、乳酸菌の配合されたサプリメントをおすすめします。
食物繊維
食物繊維のなかでも水溶性食物繊維は、腸内環境を整える栄養素です。
水溶性食物繊維を多く含む食品は意外に少ないため、サプリメントで摂取しましょう。
便秘気味の方におすすめです。
花粉症の症状緩和のためにすべきこと
花粉症の症状を緩和するためには、毎日の食生活や習慣が大切になります。
日常的にできる対策を紹介しましょう。
食生活の見直し
毎日の食事は、「腸内環境」に直接影響します。
腸内環境を整えることにより、花粉症によるアレルギー症状を緩和します。
花粉症対策のために積極的に食べるべきもの
花粉症対策のために積極的に食べたいものは、以下の食べ物です。
- ヨーグルト
- 食物繊維が豊富な食品
- 魚
- お茶
ヨーグルトは乳酸菌が多く含まれており、腸内環境を整えてくれます。
乳酸菌のエサであるオリゴ糖が含まれた食品と一緒に食べると、より高い効果が期待できます。
食物繊維が豊富な食品は、腸内環境を整える働きがあります。
キノコ類、ゴボウ、海藻などを積極的に食べるとよいでしょう。
魚は、とくに青魚がおすすめです。
アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きをDHA・EPAが抑えます。
安定購入できるサバやイワシなどの缶詰を活用してもよいでしょう。
緑茶には、ヒスタミンの働きを抑えるカテキンが多く含まれています。
紅茶など発酵させたお茶よりも、緑茶のように発酵させていないお茶の方が、効果があるといわれています。
花粉症対策のために避けるべき食べもの
花粉症対策のために避けたい食べものは、以下の食べ物です。
- 高脂質なもの
- メロンやスイカ
- トマト
- アルコール
高脂質の食べ物は、腸内の悪玉菌を増やす原因となります。
ジャンクフード、スナック菓子などはトランス脂肪酸などが多く含まれています。
脂身の多い肉や揚げ物が好きという方も注意が必要です。
イネ科のブタクサが原因の花粉症では、メロンやスイカは避けた方がよいでしょう。
ウリ科であるメロンやスイカは、イネ科のアレルゲンと構造が似ているからです。
また、トマトのタンパク質もスギの花粉に含まれるアレルゲンの構造と似ています。
トマトを食べて、のどがイガイガする場合には、避けた方がよいいでしょう。
アルコールは、体内で解毒されるときにアセトアルデヒドを産出します。
アセトアルデヒドは、アレルギーを引き起こすヒスタミンの放出を促進します。
花粉の飛び交う時期は、アルコールを控えた方が安心です。
日常生活における対策
花粉症対策には「花粉を吸わない」「花粉を付けない」「花粉を持ち込まない」が大切です。
1月という季節であっても、症状が強く現れることがあります。
とはいっても、家から1歩も出ないということは現実的ではありません。
ひとつでも多く対策しておくことで、症状の緩和につながります。
日常生活でも、花粉症を悪化させないための習慣があるので紹介します。
- 外出時にはマスクやメガネを着用する
- 帰宅したら、手洗い、うがい、洗顔する
- 花粉が多く飛散しているときには外出を控える
- 洗濯物は外に干さずに部屋干し、または乾燥機にかける
- 窓を閉めて、エアコンなどを活用する
- 帰宅したらシャワーを浴びて、服を着替える
- 車に乗るときにも窓は閉める
- 服装は、花粉ができるだけ付かないツルツルした素材にする
- 空気清浄機を活用する
- 屋外作業はできるだけ避ける
- 肌バリア機能をアップさせるため保湿を心がける
花粉症の治療方法「ゾレア」って何?
「ゾレア(一般名:オマリズマブ)」は、2009年に発売された喘息の皮下注射薬です。
気管支喘息や慢性蕁麻疹の治療薬でしたが、2019年12月に「季節性アレルギー性鼻炎」の適応が追加されました。
一般的な医薬品は、化学合成で作られています。
しかし、ゾレアはタンパク質などの物質から作られ、生物学的製剤と呼ばれています。
1月の花粉症では、重症化する人は少ないようですが、稀に重症化する方もいます。
花粉症の治療方法「ゾレア」は、主に重症化する人に用いられる治療法です。
治療までの流れ
ゾレアは、ほかの抗アレルギー薬とは異なり、厳しい投与基準と量、タイミングが決められています。
まず、投与できるのは、12歳以上となります。
問診の上、重度の花粉症であるかどうか診断を受けます。
抗アレルギー剤など既存の治療を1週間以上続けます。
既存の治療法では効果が認められない場合に限って、ゾレア治療を検討します。
採血などの検査で、投与可能かどうかをチェックします。
再診3回目でゾレア治療を開始します。
2週間、または4週間ごとに接種します。
治療費
ゾレア治療に使われる薬は、非常に高価です。
3割保険適用でも薬剤費だけで1ヶ月あたり約4,500円〜7万円かかります。
さらに、受診料や検査費用、同時に服用する抗ヒスタミン薬などがかかります。
検討する場合には、高額療養費、医療費控除などの公的制度を利用することも考えましょう。
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1月の花粉症の特徴と対策・まとめ
ここでは、1月の花粉症について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 1月も花粉症になる理由は、地域によって花粉の種類や飛散時期が違うため
- 風邪と花粉症の見分け方は、鼻水の状態や身体全体の不調の有無
- 花粉症の検査方法は、血液IgE検査、皮膚反応検査、鼻粘膜誘発検査など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。