口内炎は、口腔内の粘膜に起こる炎症のことをいいます。
口内炎が長引く場合、他の病気の可能性もあります。
口内炎の薬には、どのようなものがあるのでしょうか?
口内炎の薬は、どのようにして選べば良いのでしょうか?
本記事では、口内炎の薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 口内炎とは
- 口内炎の薬の種類
- 口内炎の薬のおすすめの選び方とは
- 口内炎の薬によくあるトラブルとは
口内炎について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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口内炎とは?
口内炎とは、口腔内の粘膜に起こる炎症のことをいいます。
口内炎は、頬の内側や舌、唇など口腔内のさまざまな場所にできます。
口腔内の粘膜が炎症を引き起こすため、痛みを伴います。
口内炎ができると、食事や睡眠などにも影響を及ぼす場合があります。
口内炎の種類
口内炎には、どのような種類があるのでしょうか?
口内炎の種類について詳しく見てみましょう。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は身体の疲れやストレスにより、体内バランスが崩れたり、ビタミンB2不足になることであらわれます。
アフタ性口内炎の特徴は、楕円形や円形で白っぽい潰瘍になります。
アフタ性口内炎は、一般的に多く見られる口内炎です。
アフタ性口内炎には、ケナログ軟膏を使用することで痛みを軽減できます。
また、ビタミンB群、鉄分、亜鉛などを飲み薬で補充することで早く治せます。
カタル性口内炎
カタル性口内炎は、粘膜が擦れることで部分的に赤く腫れて口内炎となります。
カタル性口内炎の特徴は、赤い炎症や斑点、水ぶくれです。
また、刺激の強い食べ物でしみたり、ヒリヒリした痛みを感じやすい特徴もあります。
カタル性口内炎が悪化すると、赤く腫れて熱をもち、口腔内が荒れた状態になります。
カタル性口内炎を治すためには、原因を除去する必要があります。
歯の被せ物を調整したり、噛み合わせを確認しましょう。
カタル性口内炎には、ケナログ軟膏を使用することで効果が得られます。
ウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎は、身体バランスが崩れている際にウイルスや細菌に感染することでみられる口内炎です。
ウイルス性口内炎を治すためには、原因菌を特定し、抗ウイルス剤の軟膏や薬剤を使用する必要があります。
ウイルス性口内炎の原因菌を特定するためには、内科や皮膚科等で血液検査を受けましょう。
アレルギー性口内炎
アレルギー性口内炎は、金属の被せ物周辺が赤く腫れてできる口内炎になります。
アレルギー性口内炎を治すためには、原因となる金属を取り除く必要があります。
なかには、金属製の被せ物のみではなく、接着剤などに含まれる成分が原因の場合もあります。
ニコチン性口内炎
ニコチン性口内炎は、タバコが原因で見られる口内炎です。
長期間喫煙を続けることで、口腔内の粘膜に赤い発疹が見られるようになります。
赤い発疹は、徐々に白っぽくなり分厚くなると口蓋ニコチン性白色角化症になります。
痛みはそれほど感じませんが、食べ物がしみる場合があります。
ニコチン性口内炎を治すためには、禁煙またはタバコの本数を減らすことです。
また、歯磨きやうがいの回数を増やし、口腔内の清潔を保つことが必要です。
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口内炎の薬の種類
口内炎の薬には、どのような種類があるのでしょうか?
口内炎の薬の種類について詳しく見てみましょう。
貼るタイプのもの
口内炎の患部に直接貼るタイプの薬は、凹凸の少ない部分にできた小さめの口内炎に適しています。
パッチタイプ等の貼るタイプの薬は、小さくて丸いシールのようになっています。
シートからシールを剥がし、患部に貼って数秒そのまま押して貼りつけます。
直接患部に貼ることで、飲食物による刺激から守ってくれます。
口の奥など貼りにくい場所には不向きですが、手軽に使用できる薬です。
塗り薬
口腔内の患部に直接塗るタイプの薬は、広範囲にできた口内炎に適しています。
塗り薬には、炎症を抑える成分や殺菌、消毒成分が含まれたものなどがあります。
口腔内の水分を軽くふき取ってから、清潔にした指や綿棒などで塗布しましょう。
軟膏を塗布することで患部を刺激から守ります。
塗り薬を塗布したあとは、飲食は控えるようにしましょう。
そのため、食後や就寝前に使用することをおすすめします。
スプレータイプ
口腔内の患部にスプレーするタイプの薬は、広範囲や口腔内の奥にできた口内炎に適しています。
貼り薬や塗り薬の使用が難しい口腔内の奥や広範囲の口内炎に手軽に散布できます。
食後など口腔内を清潔にしたあと、患部に直接スプレーしましょう。
スプレータイプは、以下のような方へもおすすめです。
- 貼り薬ははがれてしまって使いにくい
- 塗り薬は舐めてしまう
- 貼り薬や塗り薬は違和感がある
- 子供の口内炎の治療
飲み薬
口内炎が繰り返しできてしまう方や治りが悪い場合には、飲み薬やドリンクタイプが適しています。
飲み薬には、以下のようなものがあります。
- 体内バランスを整えてくれるビタミンB群や亜鉛の飲み薬
- 抗ウイルス薬
- 抗真菌薬
口内炎の種類に合わせて、飲み薬が身体の内側から口内炎を改善してくれます。
飲み薬やドリンクタイプのものは、貼り薬や塗り薬、スプレータイプとの併用も可能です。
ビタミン剤のサプリメント
口内炎が繰り返しできてしまう方には、ビタミン剤のサプリメントも適しています。
口内炎には、ビタミンB1、B2、B6を含んだサプリメントがおすすめです。
特にビタミンB2とB6は、皮膚や粘膜の新陳代謝を活性化させます。
サプリメントを服用することで、口内炎の原因となるビタミン不足を解消します。
ビタミン剤のサプリメントは、口内炎の治療のみではなく、予防効果もあります。
口内炎の薬のおすすめの選び方
口内炎の薬は、どのようにして選べば良いのでしょうか?
口内炎の薬の選び方について詳しく見てみましょう。
口内炎の大きさで変える
口内炎の大きさによって、塗りやすい薬は異なってきます。
口内炎の大きさが小さい場合は、貼るタイプの薬が適しています。
しかし、大きさが小さくても口腔内の奥にできた口内炎には、スプレータイプが良いでしょう。
また、口内炎の大きさが大きかったり、広範囲の場合には、塗り薬やスプレータイプが適しています。
口内炎の薬は、口内炎の大きさのみではなく、位置によっても適している薬が変わってきます。
口内炎の位置で決める
口内炎のできた位置によって、おすすめの薬は異なってきます。
口腔内の入り口付近で指が届きやすい範囲の場合は、貼り薬や塗り薬が適しています。
しかし、口内炎のできた位置が凹凸のある場合は、貼り薬を使用するとはがれやすくなってしまいます。
口腔内の入り口付近でも凹凸がある場合は、塗り薬を使用しましょう。
口腔内の奥で指が届きにくい位置にできた口内炎には、スプレータイプの薬が適しています。
スプレータイプの薬は、手が届きにくく広範囲にできた口内炎におすすめです。
舌にできている場合
口腔内の舌にできてしまった口内炎には、飲み薬が適しています。
舌は唾液に触れることが多いため、貼り薬を使用してもはがれてしまう場合があります。
また、塗り薬やスプレータイプのものを使用しても有効成分が流れてしまう場合があります。
口腔内の舌にできた口内炎には、体内から炎症を改善してくれる飲み薬が良いでしょう。
ステロイド系か非ステロイド系かを選ぶ
口内炎の薬は市販でさまざまなものが販売されており、気軽に購入できます。
市販薬の中には、ステロイド系と非ステロイド系の薬があります。
ステロイド系成分には、トリアムシノロンアセトニドがあります。
非ステロイド成分には、以下のようなものがあります。
- グリチルレチン酸
- 塩化セチルピリジニウム
- アズレンスルホン酸ナトリウム
- トラネキサム酸
- ビタミンB2
- ビタミンB6
自己判断でステロイド系の薬を使用する際は、副作用に十分注意する必要があります。
口内炎の薬を病院でもらうべき人とは?
口内炎の薬は、市販されています。
口内炎の症状がどのような場合、薬を病院でもらう必要があるのでしょうか?
口内炎の薬を病院でもらうべき人について詳しく見てみましょう。
口内炎の症状が続いている人
一般的な口内炎は、約1〜2週間で治ります。
しかし、以下のような場合は病院を受診しましょう。
- 口内炎があまりにも痛くて食べ物が食べられない
- 口内炎の痛みが全くないが、良くならない
- 口内炎のような症状が2週間以上続いており、症状が軽減しない
- 口内炎が治らず、発熱も見られる
病院を受診し、医師の診察を受け、口内炎の原因を特定してもらいましょう。
口内炎の原因を取り除くためにふさわしい薬を医師が処方してくれます。
舌にしびれやしこりを感じる人
口内炎以外に舌にしびれやしこりを感じる場合は、病院を受診しましょう。
舌のしびれやしこりを感じる症状は、他の病気の可能性があります。
口内炎は、何もしなくても痛みがあったり、何かに触れたときに痛みを感じます。
他の病気の場合は、舌の粘膜に色の変化はみられますが初期の段階では痛みを感じない場合もあります。
舌のしびれやしこりは口内炎の症状とは異なる可能性があるため、早めに病院を受診しましょう。
口内炎の範囲が大きい人
口内炎が広範囲にわたる場合は、市販の薬でも対処が難しくなります。
口内炎が広範囲にわたると痛みが強く、食事がうまく摂取できません。
食事がうまくできないと、栄養状態の低下を招く可能性もあります。
栄養状態の低下は、口内炎の悪化を招いてしまいます。
早期に病院を受診し医師の診察を受け、適切な治療を受けましょう。
口内炎の症状などで病院を受診する際は、歯科もしくは口腔外科を受診しましょう。
歯科、もしくは口腔外科がない場合は、耳鼻咽喉科や皮膚科、内科でも受診できます。
口内炎の薬を子供に使うときはどうする?
口内炎の薬を子供に使うときには、どのような点に注意すればいいのでしょうか?
口内炎の薬を子供に使うときの注意点について詳しく見てみましょう。
スプレータイプの薬がおすすめ
子供の口内炎の治療には、スプレータイプの薬がおすすめです。
子供の場合、違和感があるため、貼る薬ははがしてしまったり、塗り薬は舐めてしまいます。
スプレータイプならば、一瞬で広範囲に薬を塗布できます。
タンペイ製薬のコウナキッズは、口内炎のスプレータイプのお薬ですが、ぶどうの味がします。
子供でも痛がらずに口内炎の薬の塗布ができるでしょう。
子供に使用する市販薬を選択する際は、薬の適用年齢を確認することが大切です。
薬の前に口腔内環境を清潔にすることが大事
子供の口内炎の場合は、口腔内の環境を清潔にするだけでも口内炎が改善されることがあります。
食後、口内炎の薬を使用する前には必ず歯磨きして、口腔内の清潔を保ちましょう。
また、子供の口内炎において、原因の1つに食生活の偏りも見られます。
ビタミンB2やB6、鉄分や亜鉛を多く含んだものを摂取させるようにしましょう。
タブレットタイプのサプリメント等を使う
子供の口内炎の治療には、サプリメントを使用してみるのも良いでしょう。
錠剤タイプのサプリメントは飲み込みにくく、子供には適していません。
子供の場合は、タブレット型のサプリメントを使用しましょう。
口内炎の薬によくあるトラブルと解決法
口内炎の薬では、どのようなトラブルが見られる可能性があるのでしょうか?
口内炎の薬によくあるトラブルと解決方法について詳しく見てみましょう。
パッチがはがれやすい
貼るタイプの薬は、パッチがはがれてしまうというトラブルも見られます。
パッチを貼る際は、貼る部分の水分をしっかりふき取り、清潔な指で貼りましょう。
パッチを貼った際は、そのまま数秒押して貼りつけます。
パッチを誤飲や誤嚥してしまうと心配な方へは、
- パッチ自体を飲み込んでしまっても大丈夫なタイプのもの
- パッチが溶けるタイプのもの
などを利用すると良いでしょう。
舌で舐めて薬が取れる
貼るタイプや塗るタイプの薬は違和感があるため、舌で舐めて薬が取れてしまうというトラブルも見られます。
貼るタイプの薬は貼る部分の水分をふき取り、乾いた清潔な指で貼ることで取れにくくはなります。
塗り薬は、気になって意識すればするほど、舌で舐めてしまうかもしれません。
このような場合は、飲み薬がおすすめです。
飲み薬は、体の内側から口内炎を治してくれます。
口内炎ができているところに薬が塗りづらい
口内炎が口腔内の奥など指が届きにくい場所にできた場合は、薬を塗りづらいというトラブルがあります。
薬を塗りづらい場合は、綿棒やガーゼを使うと良いでしょう。
また、薬が塗りづらい部分にできてしまった口内炎には、スプレータイプの薬がおすすめです。
スプレータイプの薬は、手の届きにくい部分でも噴霧することで広範囲に簡単に薬を塗布できます。
薬の副作用による口内炎とは?
口内炎は、薬の副作用によって見られる場合もあります。
口内炎は、どのような薬の副作用として見られる可能性があるのでしょうか?
口内炎がみられる可能性のある薬について詳しく見てみましょう。
抗がん剤
抗がん剤の副作用として見られる口内炎は、頻度が高く約40%を占めるといわれています。
抗がん剤の副作用として見られる口内炎が重症化すると、抗がん剤治療を継続することが困難になってしまいます。
また、口内炎からの感染が全身に広がり、全身状態が悪化してしまうということもあります。
抗がん剤の副作用として見られる口内炎は、抗がん剤投与後2〜4日目に多く見られます。
通常は、口腔粘膜が再生する10日目から2週間以内に改善します。
口内炎が見られやすい抗がん剤の種類としては、以下のようなものがあげられます。
- 5-FU(フルオロウラシル)
- メソトレキセート(メトトレキサート)
- アドリアシン(ドキソルビシン)
口内炎の重症化を予防するためには、以下のような対処法があります。
- 口腔ケアを確実に行う(歯磨きやイソジンなどによる含嗽)
- 刺激物の飲食を防ぐ(辛いもの、熱いもの、酸味の強いものなど)
- 5-FUの急速静脈注射には、クライオセラピー(口腔内に氷を入れてなめる)が有効
- メソトレキセートを使用する場合は、投与翌日ロイコボリン(ホリナートカルシウム)を6時間ごとに服用または点滴
鎮痛剤
鎮痛剤の副作用により胃の粘膜が弱まることで口腔内の粘膜も弱くなり、口内炎が見られる場合があります。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛み止めとして処方されることが多いです。
また、血液を固まりにくくする効果が期待できるアスピリンもNSAIDsの1つです。
NSAIDsには、胃の粘膜を保護する粘液を抑える作用があります。
そのため、胃酸を通しやすくなり、粘膜が傷つきやすくなります。
NSAIDsの服用で、口腔内の粘膜も弱くなり、傷つきやすくなってしまう場合があります。
同じ成分が配合されている薬は市販薬でも購入できるため、注意が必要です。
薬物性口内炎
薬剤性口内炎とは、薬剤の副作用によって見られる口内炎をいいます。
薬剤性口内炎は、以下のような薬で起こることがあります。
- 抗がん剤
- 鎮痛剤(痛み止め)
- 抗菌薬(抗生物質)
- 抗てんかん薬
- 市販の感冒薬(かぜ薬)
薬剤性口内炎は、唇から口腔内まで広範囲にわたってただれます。
口腔内のみではなく、口周囲に湿疹ができたり、目や鼻の粘膜もただれます。
38度以上の高熱を伴う場合もあり、重篤な状態になる可能性もあります。
薬剤性口内炎の発症メカニズムは、いまだ統一されていません。
しかし、医薬品により生じた免疫やアレルギー反応によるものと考えられています。
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口内炎の薬や治療が難しい高齢者の場合
要介護高齢者が在宅や施設で受けられる診療に、訪問歯科診療があります。
要介護高齢者の多くは、歯科的な問題を抱えているといわれています。
高齢者の中でも特に在宅で過ごしている人の中には、口内炎などの口腔内でのトラブルが生じても薬を使用しなかったり、治療せずに放置している可能性があります。
歯科治療をはじめとする口腔機能の維持は、生きる力やQOLの向上に寄与しています。
通院が困難な場合は訪問歯科診療を利用し、薬の処方や治療をあきらめないことが大切です。
出典:厚生労働省【e-ヘルスネット「訪問歯科診療」】
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口内炎の薬のまとめ
ここまで口内炎の薬についてお伝えしてきました。
口内炎の薬についての要点を以下にまとめます。
- 口内炎とは、口腔内の粘膜に起こる炎症のこと
- 口内炎の薬の種類には、貼るタイプ、塗るタイプ、スプレータイプなどがある
- 口内炎の薬のおすすめの選び方は、口内炎の大きさや位置などで選択する
- 口内炎の薬によくあるトラブルには、はがれてしまう、舐めて薬がとれるなどがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。