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基礎代謝量の計算方法について
基礎代謝量は人間が生活していく上で最低限必要なエネルギー量のことです。
基礎代謝量は人によって差があり、計算方法も様々な種類があります。
では基礎代謝量の計算方法にはどのような種類があるのでしょうか。
今回の記事は主に以下のことを中心に解説していきます。
- 基礎代謝量の様々な計算式
- 年齢別の基礎代謝量
- 基礎代謝量を上げる方法
- 基礎代謝の変化による影響
最後に基礎代謝量が下がる原因をお伝えします。
ぜひ最後までご覧ください。
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基礎代謝とは?
基礎代謝とは、人間が生きていくため必要最低限のエネルギーのことをいいます。
例を挙げると、体温の維持や心臓を動かすこと、呼吸などです。
1日で消費する総エネルギー量のうち約6割は基礎代謝です。
総エネルギー消費量は基礎代謝量+身体活動量+食事誘発性熱産生で求められます。
基礎代謝を上げると、総エネルギー消費量も増えるためダイエット面で注目されているのです。
基礎代謝計算式
ここでは基礎代謝の計算方法を4つ紹介いたします。
ぜひ基礎代謝を計算してみてくださいね。
ハリス・ベネディクト式(日本版)
ハリス・ベネディクト式日本版の計算式は以下の通りです。
女性と男性で求め方が違います。
男性の基礎代謝量=66+13.7×体重+5.0×身長-6.8×年齢
女性の基礎代謝量=665.1+9.6×体重+1.7×身長-7.0×年齢
ハリスベネディクト式は、最も良く使われる計算式です。
100年以上前に提唱された考え方になります。
日本版とありますが、式の固定数字の部分が日本人に合わせて考えられた数値になっています。
元々は欧米人に合わせられた計算式であるため、日本版以外で計算すると数値が多めに出てしまうのです。
ミフリンセントジョー式(簡易版)
ミフリンセントジョー式はミフリンが提唱した比較的新しい計算式となります。
ミフリンセントジョー式の計算方法は以下の通りです。
男性の基礎代謝量=10×体重+6.25×身長-5×年齢+5
女性の基礎代謝量=10×体重+6.25×身長-5×年齢-161
使用される頻度は前述のハリス・ベネディクト式の方が多いです。
しかし正確さはミフリンセントジョー式が勝るといわれています。
1990年に提唱されたミフリンセントジョー式は近年の食生活の変化も踏まえて考えられたためです。
ハリス・ベネディクト式は1919年に提唱されたため、かなり時間が経ってしまっているのです。
なお簡易版は計算しやすいよう一部数字が変えられています。(9.99→10、4.92→5)
国立健康・栄養研究所式
国立健康・栄養研究所式は日本国内の国立・栄養研究所が提唱している計算式です。
具体的な計算式は以下の通りとなります。
男性の基礎代謝量₌(0.0481×体重₊0.0234×身長-0.0138×年齢-0.4235)×1000/4.186
女性の基礎代謝量₌(0.0481×体重₊0.0234×身長-0.0138×年齢-0.9708)×1000/4.186
国立健康・栄養研究所式は2000年以降に国立健康・栄養研究所で測定されたデータに基づいて作られました。
20〜70代の日本人男女を対象として基礎代謝のデータを集め、新しく上記の計算式を開発したのです。
日本人においては全ての年齢で比較的正確であるとされています。
キャッチ・マカードル(体脂肪率を考慮した計算式)
キャッチマカードルは体脂肪を考慮に入れた計算式になります。
なお計算式は以下の通りです。
基礎代謝量₌370₊21.6×除脂肪体重
※除脂肪体重の求め方は以下の通りになります。
除脂肪体重₌体重-(体重×体脂肪率)
キャッチ・マカードル式は男女とも求め方が同じです。
上記で紹介した3つの計算式は、体脂肪率を考慮していません。
そのため筋肉がある方は少し少なめ、脂肪の多い方は少し多めに数字が出るのです。
年齢別基礎代謝量の基準値
2020年度の年齢別基礎代謝量の基準値を紹介します。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
年齢(歳) | 基礎代謝基準値(kcal/kg 体重/日) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | 基礎代謝量基準値(kcal/kg 体重/日) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) |
1~2 | 61.0 | 11.5 | 700 | 59.7 | 11.0 | 660 |
3~5 | 54.8 | 16.5 | 900 | 52.2 | 16.1 | 840 |
6~7 | 44.3 | 22.2 | 980 | 41.9 | 21.9 | 920 |
8~9 | 40.8 | 28.0 | 1,140 | 38.3 | 27.4 | 1,050 |
10~11 | 37.4 | 35.6 | 1,330 | 34.8 | 36.3 | 1,260 |
12~14 | 31.0 | 49.0 | 1,520 | 29.6 | 47.5 | 1,410 |
15~17 | 27.0 | 59.7 | 1,610 | 25.3 | 51.9 | 1,310 |
18~29 | 23.7 | 64.5 | 1,530 | 22.1 | 50.3 | 1,110 |
30~49 | 22.5 | 68.1 | 1,530 | 21.9 | 53.0 | 1,160 |
50~64 | 21.8 | 68.0 | 1,480 | 20.7 | 53.8 | 1,110 |
65~74 | 21.6 | 65.0 | 1,400 | 20.7 | 52.1 | 1,080 |
75以上 | 21.5 | 59.6 | 1,280 | 20.7 | 48.8 | 1,010 |
基礎代謝量基準値とは1日1kg・1kcalあたりの値になります。
上記の表をみると、基礎代謝量自体男性は15〜17歳が最も多いです。
女性は12〜14歳が最も多くなっています。
成長のため代謝が良くなっているためです。
しかし基礎代謝基準値自体は男女ともに1〜2歳が最も多いです。
また歳を重ねるにつれて基礎代謝量、基礎代謝基準値ともに減少していきます。
減少の理由は骨格筋量の減少だといわれています。
基礎代謝量を上げる良い方法
ここでは基礎代謝量を上げる方法を5つ紹介します。
簡単な方法もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
筋肉量を増やす
基礎代謝で消費するエネルギーは臓器や筋肉、脳などで消費されています。
臓器や脳などで消費するエネルギーはほぼ変えられません。
一方、筋肉で消費するエネルギーは、筋肉量を増やすことで増やすことが可能です。
消費するエネルギーを増やすと基礎代謝量も増えます。
筋肉量を増やすには筋肉トレーニングが有効です。
筋肉は短期間では増えないため、無理ない範囲で継続することが最も大切です。
まずは自重トレーニングから始めていきましょう。
スクワットや腕立てでお尻や太もも、背中の筋肉など大きな筋肉を鍛えると効果的です。
ストレッチ
ストレッチは血行が良くなり代謝が良くなるためおすすめです。
特に起床後のストレッチをおすすめします。
起床後にストレッチを行うと、目覚めが良くなり身体を動かしやすくなります。
日光を浴びると自律神経を整えることも可能です。
自律神経の乱れは低体温を引き起こします。
低体温は代謝が下がる原因となるのです。
ストレッチする部位は、下半身がおすすめです。
下半身は血流を良くするポンプのような役割があります。
毎日の入浴
入浴も基礎代謝量を上げることができます。
入浴は体温の上昇や自律神経を整える効果が期待されるためです。
入浴の際はシャワーだけでなく、湯船に浸かるようにしましょう。
湯船に浸かる効果は以下の通りです。
- 温熱作用
- 水圧作用
温熱作用により湯船につかって体温が上昇することで、皮膚の毛細血管が広がって血行が良くなります。
水圧作用は血管に水圧による圧力がかかり血液が押し上がり心臓の働きを活発にする効果が期待されます。
お湯の温度は熱すぎない40〜41℃がおすすめです。
熱すぎると、急激に体温が上昇し過ぎることで身体は体温を下げようとします。
そうなると結果的に身体が温まりません。
腸内環境を整える
腸は脳の次に重要な臓器だともいわれています。
腸が正常で活発な状態であれば、栄養の吸収率があがり、エネルギーに変換されやすくなります。
活動源となるエネルギーが多いと、基礎代謝量も上がっていくのです。
腸内環境が悪化すると、基礎代謝量・免疫力の低下など身体に悪影響が生じます。
腸内環境を良くするには、善玉菌を増やすことが有効です。
食物繊維は、善玉菌の餌となってくれるため食物繊維が多く含まれている食材を摂取しましょう。
納豆などの発酵食品や野菜を積極的に食べるようにしましょう。
水分を多くとる
人間の身体を流れる血液は、半分以上の成分が血漿からできています。
さらに血漿は約91%以上が水分で構成されているのです。
このことから水分を摂取すると、血流が良くなるといわれています。
しかし多すぎる水分補給は尿として排出されます。
水分においても適切量を摂ることが重要です。
また冷たい飲み物より温かい飲み物を飲むことをおすすめします。
温かい飲み物は胃腸を温め、内臓の働きを良くするためです。
必要な水分量は30〜55歳の方の場合体重×35mlで求められます。
30歳未満は体重×40ml、56歳以上は体重×30mlです。
もちろん運動を良くされている方などは、上記の数字より多く摂取しなければなりません。
食事から1Lの水分を摂取し、体内で0.3Lの水分を作り出すといわれています。
体重が60kgの30歳男性の場合は、2.1Lが必要ですが、1.3Lは食事や体内から既に摂ることができています。
後0.8Lを飲料から摂る必要があるのです。
しかし人間は一度に200〜250mlしか吸収できません。
一気に水分を補給するのではなく、こまめに摂ることが重要です。
基礎代謝を上げる運動量の目安
基礎代謝を上げるために適している運動量は、年齢によって違います。
運動量の考え方は、日常生活で身体を動かす量と、スポーツなどの本格的な運動で身体を動かす運動量の2通りです。
ここではまず日常生活で動かす運動量の基準を紹介します。
基準にはメッツという値が用いられます。
メッツとは、安静時の何倍の強さの動きをしているかを示すものです。
座って安静にしている状態が1メッツで、基準となる数値になります。
メッツ・時は、運動強度(メッツ)×運動実施時間(時)を指します。
そのため3メッツの運動を1時間行った場合は、3メッツ×1時間で3メッツ・時となるのです。
18〜64歳の身体活動量の基準は、強度が3メッツ以上の運動を23メッツ・時/週行うことです。
速歩(75〜85m/分)を毎日1時間行うと良いでしょう。
65歳以上の方の場合は、生活活動量・運動量合わせた基準で強度を問わず身体活動を10メッツ・時/週行います。
横になったり座ったりなど安静時の体勢以外で、何かしらの運動を毎日40分程度行いましょう。
3メッツ以上の生活活動の例は以下の表の通りです。
メッツ | 生活活動例 |
3.0 | 普通歩行(平地、67m/分)/電動アシスト自転車に乗る/家財道具の片付け/子どもの世話(立位)/台所の手伝い/大工仕事/梱包/ギター演奏(立位) |
3.3 | カーペット掃き/フロア掃き/掃除機/電気関係の仕事/身体の動きを伴うスポーツ観戦 |
3.5 | 歩行(75~85m/分)/自転車(8.9km/時)/階段を下りる/荷造り/モップがけ/床磨き/風呂掃除/庭の草むしり/車いすを押す/釣り/スクーター・オートバイの運転 |
4.0 | 自転車(16km/時未満)/階段を上る(ゆっくり)/介護(身支度、風呂、ベットの乗り降り) |
5.0 | かなり速歩(107m/分) |
5.5 | シャベルで土や泥をすくう |
5.8 | 子どもと遊ぶ(歩く、走る)/家具の移動・運搬 |
6.0 | スコップで雪かき |
7.8 | 農作業(ほし草をまとめる、納屋の掃除) |
8.0 | 重荷の運搬 |
8.8 | 階段を上る(速く) |
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」より一部改変
次に年齢別に適している運動量(スポーツや体力づくり運動など本格的な運動)を厚生労働省が2013年に発表したデータを参考に解説していきます。
まず18〜64歳の運動量の基準は、強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週行うことです。
3メッツ以上の運動例は以下の通りです。
メッツ | 運動例 |
3.0 | ボウリング/バレーボール/社交ダンス/ピラティス/太極拳 |
3.5 | 自転車エルゴメーター(30~50ワット)/自重トレーニング/体操(家で行うもの)/ゴルフ(手引きカートを使用)/カヌー |
4.0 | 卓球/パワーヨガ/ラジオ体操第1 |
4.5 | テニス(ダブルス)/水中歩行/ラジオ体操第2 |
5.0 | かなり速歩(平地107m/分)/野球/ソフトボール/サーフィン/バレエ |
5.5 | バドミントン |
6.0 | ゆっくりしたジョギング/ウエイトトレーニング(高強度)/バスケットボール/水泳(のんびり泳ぐ) |
6.5 | 山を登る(0~4.1kgの荷物を持って) |
7.0 | ジョギング/サッカー/スキー/スケート/ハンドボール |
7.3 | テニス(シングルス)エアロビクス/山を登る(約4.5~9.0kgの荷物を持って) |
8.0 | サイクリング(約20km/時) |
8.3 | ランニング(134/m)/水泳(クロール46m/分未満)/ラグビー |
9.0 | ランニング(139/m) |
10.0 | 水泳(クロール69m/分) |
10.3 | 武道・武術(柔道、柔術、空手、キックボクシング、テコンドー) |
11.0 | ランニング(188m/分)/自転車エルゴメーター(161~200ワット) |
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」より一部改変
18歳未満に関しては十分な根拠が集まらなかったため、現段階では基準が定められていません。
だからといって運動しなくても良いわけではなく、積極的に運動することが重要です。
子どもの頃から運動する習慣を持てば、生涯に通じる健康づくりに役立つと考えられているためです。
基礎代謝が上がる・下がる事による影響
ここでは基礎代謝の増減によって起きる影響をプラス面とマイナス面に分けて紹介します。
基礎代謝が上がる場合
基礎代謝が上がることによる影響は主に2つです。
1日の消費カロリーが増える
基礎代謝量が増えると、増えた分だけ1日の総消費カロリーが増えます。
1日の消費カロリーの約7割は基礎代謝によるものです。
基礎代謝を増やすことは、ダイエットにも有効なのです。
食事を制限してカロリーの摂取を減らすことも必要となります。
しかし基礎代謝を上げて消費カロリーを増やすとより効率的にダイエットすることができます。
体温を維持しやすい
基礎代謝が上がると、血流が良くなるため、体温を維持しやすいです。
体温が上がると、免疫力アップや消費カロリーの増加などの効果が期待されます。
免疫がしっかりと働く体温は、36.5〜37.1℃で体温が1℃下がると白血球の働きが30%以上悪くなります。
体温が1℃上がると、免疫力は一時的ですが、5倍以上になるのです。
また体温が上がると、消費カロリーが増加します。
体温が1℃上がると、基礎代謝量も13%増えるのです。
基礎代謝が下がる場合
基礎代謝が下がることによる悪影響は主に3つです。
1日の消費カロリーが減る
消費カロリーが少ない状態が続くと、少ないカロリーで生活できるよう対応していくのです。
基礎代謝量が減ると、減った分だけ1日の総消費カロリーが減少します。
先ほどの通り1日の消費カロリーの約7割は基礎代謝によるものです。
消費カロリーが減ると、痩せにくい体質にもつながるため、厄介です。
体温が維持しにくい
筋肉は様々な場面で熱を発生させる役割を持っています。
基礎代謝量が減ることで、筋肉量が減少し体温を維持しにくくなるのです。
また体温が低下することで、免疫力も落ちます。
先ほどの通り体温が1℃下がると白血球の働きが30%以上悪くなります。
体温を維持しにくいと血液の流れが悪くなり、冷え性などが引き起こされることも少なくありません。
脂肪が溜まりやすい
基礎代謝が悪くなることで消費されなかったエネルギーは脂肪として蓄えられ、肥満の原因にもつながります。
また基礎代謝が悪くなって体温が維持されにくくなると、身体を温めようと皮下脂肪を蓄えるのです。
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基礎代謝が下がる原因
基礎代謝が下がる原因は様々ですが、主に3つです。
その原因と理由を解説していきます。
加齢
人間は老化によって筋肉量が低下していきます。
筋肉は何もしなくともエネルギーを消費するため、筋肉量が減ってしまえば基礎代謝も下がってしまうのです。
また加齢によりそもそもの活動量が減っていることなども原因です。
基礎代謝が下がらないよう、無理のない範囲で運動することが重要です。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、食生活の乱れや運動不足、睡眠不足などが挙げられます。
食生活の乱れによって、腸内環境が乱れると胃腸の働きが悪くなります。
胃腸の働きが悪ければ、エネルギーを消費する効率が悪くなって基礎代謝が下がってしまうのです。
運動不足は筋肉量の低下を引き起こします。
前述の通り筋肉は何もしなくともエネルギーを消費するため、筋肉量が減ってしまえば基礎代謝も下がってしまうのです。
睡眠中には、基礎代謝を良くするホルモンが分泌されています。
しかし睡眠不足が続くと、ホルモンが分泌されにくくなるのです。
分泌されにくくなると、代謝が悪くなるため、1日6時間は睡眠不足を確保することが重要です。
過剰なダイエット
過剰なダイエットも基礎代謝が下がる原因になります。
特に食事制限ダイエットです。
食事制限により栄養バランスが乱れると、腸内環境の悪化や筋肉量の低下などのリスクがあります。
上記のリスクが出ると、基礎代謝が下がりやすくなるのです。
栄養バランスを考えた食事+十分な睡眠時間の確保+適度な運動こそが最もダイエットで重要なのです。
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基礎代謝計算まとめ
今回は基礎代謝量の計算方法についてお伝えしてきました。
解説した中で特に重要な要点は以下の通りです。
- 基礎代謝の求め方で最もオーソドックスなのはハリス・ベネディクト式
- 基礎代謝を上げるには、筋肉量を増やすことや腸内環境を良くすることが重要
- 基礎代謝が上がると免疫力が上がり、痩せやすくなる
- 基礎代謝は過剰なダイエットでも悪くなる場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。