更年期になると、まず気づくのがイライラです。
理由もなくイライラして、家族や周辺の人に当たり散らしていませんか?
更年期でイライラする原因や改善方法を知っておけば、ムダな衝突も防げるはずです。
本記事では更年期のイライラについて以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期のイライラはなぜ起こるのか
- 更年期のイライラを和らげる方法とは
- 更年期障害の治療法とは
更年期のイライラについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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更年期とは
更年期は生理が止まる「閉経」を境にして前後5年間、トータル10年間のことを指します。
たとえば、日本人の平均的な閉経時期は50歳ですから、45~55歳を更年期といいます。
更年期になると、女性ホルモンが徐々に減っていきます。
その影響によって、神経、精神、肉体的にさまざまな不調が起こります。
更年期のイライラも、不調のひとつです。
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更年期におけるイライラの症状
更年期を迎え、以下のようなイライラの症状を自覚することがあるのではないでしょうか。
- ささいなことでイライラすることがある
- 怒りっぽくなった
- 声を荒げることが多くなった
- 先のことを考えると不安になる
- 何となく気分がふさぐ
- 何でもないことで悲しくなって、涙が出る
これらの症状は、本人が一番自覚しているものです。
イライラして家族や周囲に八つ当たりをして、あとから自分を責めてしまいます。
自責の念から、さらに気分がふさぎ、イライラしてしまうという悪循環が起こります。
イライラは、情緒不安定になっている証拠です。
情緒不安定は、女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経の乱れが原因で起こります。
これらの症状は、更年期に限らず起こることがあります。
病気が潜んでいるのか、更年期なのかをハッキリさせるためにも、病院を受診することをおすすめします。
更年期におけるイライラの原因
更年期には、なぜイライラの症状が出てしまうのでしょう。
それは、エストロゲンという女性ホルモンが深く関係しています。
閉経を迎えた女性は、女性ホルモンであるエストロゲンが徐々に減少していきます。
エストロゲンは、脳の視床下部というところからの指令が卵巣に伝わって分泌されます。
ところが、更年期になって卵巣機能が低下してしまうと、命令がうまく伝わりません。
脳の視床下部は、自律神経もコントロールしています。
エストロゲンの分泌命令がうまく伝わらなくなると、自律神経まで乱れてしまいます。
自律神経は、身体の機能全般についてコントロールし、生命活動に不可欠な神経です。
自律神経が乱れると、身体の調子だけでなく、精神的な調子も通常通りにはいかなくなります。
感情が不安定になり、イライラにつながります。
更年期のイライラ対処法
更年期のイライラの原因がわかったところで、イライラヘの対処法を紹介しましょう。
イライラが制御できなくなったときに、試してみてはいかがでしょう。
セロトニンを増やす
女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、同時にセロトニンも減少します。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神的な安定に欠かせないホルモンです。
セロトニンが減少することで心を落ち着かせる働きが弱まり、イライラしてしまうのです。
セロトニンを増やすためには、日光を浴びること、適度な運動をすることです。
朝起きたときの過ごし方も重要です。
朝起きたら、朝日をたっぷりと浴びるように心がけます。
また、朝食もしっかりと食べましょう。
あごを動かすことで、セロトニンの分泌を活性化させることができます。
アロマテラピー
精神的なイライラを鎮めるためには、アロマテラピーも効果があります。
更年期のイライラに効果のあるアロマエッセンスは次のようなものがあります。
- クラリセージ
- サイプレス
- バジル
- ゼラニウム
- 真正ラベンダー
これらのアロマは女性ホルモンとよく似た作用をもたらします。
枕元やマッサージ、バスタイムなどで使うといいでしょう。
イライラを静める食べ物
イライラを鎮める食べ物を積極的に摂取しましょう。
たとえば、神経の興奮を鎮めるためには「カルシウム」が必要です。
また、カルシウムの代謝を助ける「ビタミンD」も大切な栄養素です。
カルシウムは乳製品を中心に摂ること、ビタミンDは日光浴で増やすことができます。
また、大豆製品も積極的に摂りましょう。
大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た働きをすることで知られています。
納豆、豆腐、豆乳などを日常の食生活に取り入れるようにしましょう。
リラックスできる入浴法
リラックスできる入浴法とは、まずお湯の温度に注意することです。
お湯の温度はやや温めの38~40℃を目安にします。
熱い温度では、交感神経が優位に立ってしまうので、リラックスできません。
お湯に15~20分入り、身体の芯までじっくりと温めましょう。
入浴中に軽いストレッチをするのもおすすめです。
また、クラリセージなどのハーブ系のアロマを湯船に垂らすのもいいでしょう。
良質な睡眠
更年期でなくても、睡眠不足はイライラしやすくなります。
睡眠不足になると、自律神経の交感神経が優位に立って、常に興奮状態になります。
良質な睡眠が取れていると副交感神経が働くため、ストレスも軽減されます。
良質な睡眠を得るためには、寝る前のスマホはやめましょう。
寝る前に本を読んだり、音楽を聴いたりしてリラックスして過ごすことです。
更年期のイライラチェック
このイライラは更年期によるものなのか見極めるために、下記のイライラチェックを行ってみましょう。
ひとつでも当てはまるものがあれば、もしかすると更年期が原因かもしれません。
チェック | 症状 |
□ | ささいなことでイライラすることがある |
□ | 怒りっぽくなった |
□ | 声を荒げることが多くなった |
□ | 顔にほてりがある |
□ | 暑くもないのに急に汗が出る |
□ | 手足が冷える |
□ | 息切れや動悸がする |
□ | 頭痛やめまいがする |
□ | 肩こりや腰痛がひどい |
□ | 疲れやすい |
□ | 眠れない、眠りが浅い |
□ | 原因がないのに落ち込む |
更年期のイライラに対する治療方法
イライラを始め、更年期障害は誰にでもあることだと我慢しないことです。
生活に支障が出るほどの重度の更年期や自分で辛いと思ったら、治療を受けましょう。
受診科
更年期のイライラを少しでも軽減するには、病院を受診することです。
一般的には婦人科を受診します。
精神的に辛い場合には、専門医に相談するのもおすすめです。
更年期に対する理解が深い「更年期外来」や女性の身体全体を診る「女性外来」もあります。
治療方法
更年期のイライラやそのほかの辛い症状の治療には、大きく分けて3つあります。
ホルモン剤などによる「治療薬」、体質に合わせて処方される「漢方薬」、そして市販の「サプリメント」です。
これらの治療方法は、各個人の更年期症状に合わせたものになります。
症状が重い方は病院で治療薬を処方してもらった方がいいです。
それほどでもなく、日常生活に支障をきたしていない方は、予防をかねてサプリメントを活用しましょう。
治療薬
更年期障害の治療薬としては「ホルモン剤」「抗不安薬」「睡眠薬」などが処方されます。
ホルモン剤
少なくなった女性ホルモンを補充するためHRT(ホルモン補充療法)があります。
HRT療法は、保険適用なので自己負担も少なくて済みます。
イライラを始めとする更年期障害の治療方法として、注目されています。
ホルモン剤の効果としては、更年期障害だけではありません。
閉経後の骨粗鬆症の予防や性交痛、脂質異常や不眠症状の改善などが期待されます。
抗不安薬
更年期には家族間の関係性や夫婦問題、親の介護など、さまざまな環境が一変します。
そのため、ストレスが溜まり、将来に不安を抱えることも度々でしょう。
イライラなどの精神症状が強い場合、抗不安薬などを精神科などで処方されることも多くあります。
睡眠薬
更年期になると、睡眠障害が起こることが多くなります。
睡眠障害には、次のようなものがあります。
- 寝つきが悪くなる「入眠障害」
- 夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」
- 朝早く目覚めてしまう「早朝覚醒」
睡眠障害は、イライラの元になるものです。
睡眠薬を適切に使うことによって、睡眠障害を軽減することができます。
漢方薬
漢方薬は、イライラを始めとする更年期障害の症状を緩和します。
ホルモン治療ができないケースや複数の症状を訴える場合に、最初に行われる治療方法です。
とくに「婦人科三大処方」と呼ばれる「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「当期芍薬散」がよく使われます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
虚弱体質で疲れやすく、イライラして気分の落ち込みが激しいなど、さまざまな精神神経症には、加味逍遙散がおすすめです。
加味逍遙散は、「気剤」とも呼ばれています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
体力は中程度以上、更年期障害によって、のぼせ、頭痛やめまい、肩こり、冷えなどに効果が期待できる漢方です。
当期芍薬散(とうきしゃくやくさん)
比較的体力が低下しており、貧血や冷え、頭痛、めまいなどの症状がある場合に処方されます。
温清飲(うんせいいん)
血液循環を良くする、のぼせや手足のほてりを取る働きがあります。
また、ホルモンバランスを整える働きもあります。
更年期障害、のぼせ、イライラ感、乾燥による皮膚のかゆみにも効果が期待できます。
五積散(ごしゃくさん)
冷えによって更年期障害が悪化することがあります。
手足の冷え、腰痛、関節痛、神経痛、腹痛など多岐にわたって、改善する効果があります。
温経湯(うんけいとう)
ホルモンバランスの乱れを整え、更年期症状を和らげる働きがあります。
手足のほてり、唇の渇きなどの症状に効果を発揮します。
サプリメント
サプリメントによって、更年期のイライラを改善する方法もあります。
更年期の症状を和らげる効果のある成分は、次のようなものがあります。
- 自律神経を整えるビタミンB1・B12
- ストレスへの抵抗力を高めるビタミンC
- ホルモンの分泌を整え、血行を促進するビタミンE
- ホルモンバランスを整える亜鉛
今注目されているエクオール
大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た作用を持っていることは知られています。
エクオールは、大豆イソフラボンの代謝産物です。
やはり、同じようにエストロゲンに似た作用を持ちます。
エクオールは、腸内で産生することができます。
しかし、日本人では半分の人しか産生することができません。
エクオールを産生できる人ほど、更年期症状が軽いという研究結果もあります。
最近では、エクオールの成分をサプリメントとして摂取できるようになりました。
女性ホルモンを増やすものではありませんが、更年期の症状を和らげる働きがあります。
サプリメントはあくまでも補助的なものです。
症状が重い、辛いという方は、医療機関を受診して治療をしましょう。
更年期のイライラで八つ当たりされたら?
理不尽な八つ当たりは、非常に迷惑なものです。
たとえ、それが更年期のイライラが原因だとわかっていても不快な気持ちになります。
もし、イライラで八つ当たりされたら「無視」するか「サラッと受け流す」ことです。
無視した場合、かえって怒り出すかもしれません。
相手にバレない程度に適当に相槌を打って、その場から離れることが一番です。
また「今日はイライラしているな」と思ったら、近寄らないことです。
更年期のイライラは、表情や態度からわかりやすいものです。
相手の視界に入らないように、できるだけ離れるようにしましょう。
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更年期のイライラに関する意識調査
厚生労働省は、女性に対して「怒りやすくて、イライラする」かのアンケート調査を実施しました。
その結果、20~59歳の女性の半数以上がイライラを感じているという結果でした。
とくに更年期にさしかかった40~49歳の女性が最も多くイライラを感じているという結果でした。
更年期が終わりを迎えた50歳代からイライラは徐々に少なくなります。
そして60歳以降になると、半数を下回る数字となっています。
このように更年期とイライラは、非常に密接に関係していることがわかります。
出典:厚生労働省【更年期症状・障害に関する意識調査】
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更年期のイライラのまとめ
ここでは、更年期のイライラについて紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 更年期のイライラは、女性ホルモンの減少で自律神経のバランスが崩れるから
- 更年期のイライラを和らげる方法は、毎日の食事や睡眠に気を付ける
- 更年期障害の治療法とは「治療薬」「漢方」「サプリメント」など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。