更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間をいいます。
更年期の高血圧はさまざまな症状が現れます。
更年期になぜ、血圧が上がるのでしょうか?
更年期の高血圧を改善する方法はあるのでしょうか?
本記事では、更年期の血圧について以下の点を中心にご紹介します。
- 更年期とは
- 更年期高血圧になる理由は
- 更年期高血圧によるリスクとは
- 更年期高血圧を改善するには
更年期の高血圧について理解するためにも参考にしていただけたら幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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更年期とは
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間をいいます。
更年期は主に40〜50代が一般的ですが、個人差があります。
閉経とは、卵巣の働きが徐々に消失し、月経が永久に停止した状態をいいます。
月経がみられない状態が12ヶ月以上持続した状態が閉経です。
更年期になるとホルモンのバランスが崩れ、心身に様々な不調があらわれる人もいます。
更年期にあらわれる病気を伴わないさまざまな症状を更年期症状といいます。
更年期症状が重く、日常生活に支障をきたす状態を更年期障害といいます。
更年期障害は、女性のみではなく、男性でもみられる場合があります。
男性の場合は、男性ホルモンの低下によって引き起こされます。
男性の場合は、40代以降の幅広い年齢で起こります。
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更年期は血圧が上下しやすい?
更年期には、血圧が不安定で変動しやすいという特徴があります。
普段の生活では、血圧がそれほど高くなくても
- イライラする
- ストレスがたまる
- 睡眠不足
などちょっとした環境の変化によって血圧が変動しやすくなります。
更年期高血圧となる仕組み
更年期では、なぜ血圧が変動しやすくなるのでしょうか?
更年期の血圧が変動する仕組みについて4つの要因別に詳しくみてみましょう。
自律神経の乱れによる影響
更年期に血圧が変動する要因の1つに、自律神経の乱れがあります。
更年期には女性ホルモンが減少し、女性ホルモンのバランスが乱れます。
女性ホルモンのバランスが乱れると自律神経のバランスも崩れてしまいます。
自分の意思とは関係なく身体の各臓器や器官を動かしているのが自律神経です。
自律神経が乱れることにより、血圧や代謝など体内の様々な調整ができなくなります。
また、交感神経が優位になり、血圧が不安定になります。
ストレスによる影響
自律神経が乱れると、ストレスがたまりやすく、イライラするようになります。
イライラすることで血圧が上昇してしまいます。
更年期にみられる特有の症状は下記の通りです。
- めまい
- 動悸
- イライラなど
めまいや動悸があることで不安になり、イライラやストレスがさらにつのってしまいます。
また、更年期は下記により環境が変化しやすいです。
- 子どもの就職や独立
- 親の介護など
不安やストレスが増えやすく、血圧の上昇につながりやすくなります。
老化による影響
老化により血管が硬くなることも、更年期で血圧上昇を招く要因の1つになります。
女性ホルモンのエストロゲンは血管内皮細胞に働きかけ、血管を柔軟にし拡張させます。
血管が拡張することで、血圧は下がります。
血管が硬くなりやすくなる原因は、エストロゲンが減少することにより血管の柔軟性が低下するからです。
血管が硬くなる原因は、エストロゲンの減少だけではありません。
若い頃からの生活習慣も大きく影響しています。
塩分過多の食生活、喫煙、過度の飲酒、肥満などは血管が硬くなる動脈硬化の要因になります。
運動不足による影響
運動不足は、血流の低下を招き、血圧の上昇につながります。
年齢とともに、運動をはじめ身体を動かす機会は減少していきがちです。
運動すると血管内皮細胞が刺激され、一酸化窒素が産生されます。
一酸化窒素は、血管を柔軟にし、拡張する作用があります。
更年期に、ウォーキングなど心拍数が110回/分ペースになる中程度の運動を習慣づけましょう。
ただし、強度の運動は身体に負荷がかかってしまう可能性があるので控えましょう。
高血圧によるリスク
高血圧によるリスクには、どのようなものがあるのでしょうか?
高血圧による症状や病気について詳しくみてみましょう。
高血圧による症状
更年期の高血圧による症状には、以下のようなものがあります。
- めまい
- 動悸
- ほてり
- 頭痛
- 不安感
一般的に高血圧では内科や循環器科を受診します。
しかし、めまいや動悸、ほてりなどの症状が強い場合は婦人科を受診してみましょう。
不安感が強い場合は、心療内科の受診をすすめられる場合もあります。
高血圧によって生じる病気
更年期による高血圧の状態が持続すると、血管壁が厚く、硬くなる動脈硬化を招きます。
動脈硬化は大血管にも小血管にも起こり、以下のような様々な病気を引き起こす原因になります。
狭心症 | 心臓の筋肉に酸素や栄養を供給する冠動脈が狭くなる病気 |
心筋梗塞 | 心臓の筋肉に酸素や栄養を供給する冠動脈が狭くなる病気 |
脳梗塞 | 脳の血管から出血する脳出血や脳の血管がつまってしまう病気 |
くも膜下出血 | 脳を覆っている膜の下部で出血してしまう病気 |
心不全 | 心臓に負担がかかり、心臓が肥大し、心臓の機能が低下してしまう病気 |
腎硬化症 | 腎臓が硬くなって縮んでしまう病気 |
慢性腎臓病 | 尿から多くのタンパク質が排泄されるようになってしまう病気 |
腎不全 | 腎臓の機能が著しく低下し、腎臓が機能しなくなってしまう病気 |
眼底出血 | 眼の奥にある毛細血管がつまることにより、出血してしまう病気 |
高血圧を改善するには
更年期の高血圧を改善するには、どのような方法があるのでしょうか?
更年期の高血圧を改善する方法について詳しくみてみましょう。
適度な運動を心がける
適度な運動はコレステロールや中性脂肪を下げ、肥満解消となる以外にも血圧を下げる効果があります。
運動強度としては、高強度の運動は血圧の上昇につながってしまいます。
中強度の「ややきつい」と感じる程度の運動を1日30分以上継続することが適しています。
中強度の運動とは、以下のような運動になります。
- 心拍数が100~120回/分
- 最大酸素摂取量50%程度
散歩や自分のペースに合ったジョギング、ラジオ体操、自転車などが適しているでしょう。
バランスの良い食事を意識する
食生活では減塩を心がけるとともに、不飽和脂肪酸や野菜類、海藻類などを積極的に摂取しましょう。
食塩の主成分であるナトリウムは、血圧の上昇につながります。
また、肉類や卵に含まれている飽和脂肪酸やコレステロールは、血圧上昇を招きます。
調味料やだしをうまく利用するとともに食品に含まれている塩分量にも注意が必要です。
また、女性ホルモンの代わりとなる大豆イソフラボンを積極的に摂取しましょう。
大豆イソフラボンに含まれている以下の成分には、血圧を下げる作用もあります。
- カリウム
- マグネシウム
- カルシウム
- ミネラル
- 食物繊維
魚や野菜を中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。
十分な睡眠を取る
毎日忙しく、ストレスのある生活を送ることは血圧の上昇につながります。
睡眠を十分に取ることで傷ついた血管を修復し、血圧にも大きな変化がみられることがあります。
就寝2~3時間前には入浴や運動、食事を済ませ、副交感神経が優位になる環境を整えましょう。
また、寝る直前までスマホやパソコンをみると熟睡感が得られにくくなります。
6時間以上の良質な睡眠を取る生活を心がけましょう。
ストレスを発散する
ストレスはため込まずに、適宜発散するように心がけましょう。
ストレスを感じると交感神経が優位になり、血圧上昇につながります。
ストレスを発散するためには、以下を参考にしてみましょう。
- 腹式呼吸して、副交感神経を優位にする
- リラックスできる時間をつくる
- ストレスの原因と向き合い、解決する
漢方薬を試す
更年期の高血圧を改善するためには、降圧薬では効果がみられない場合があります。
不安感やほてりなどの心気症傾向が強い場合は、漢方薬を試してみるといいでしょう。
更年期の高血圧には、症状に伴い以下の漢方薬が有効といわれています。
- 抑肝散(よくかんさん):イライラ、怒りっぽい、不眠などのある高血圧
- 釣藤散(ちょうとうさん):胃腸が弱くなっている、頭痛がある高血圧
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):冷え、のぼせ、肩こりなどのある高血圧
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう):便秘がある高血圧
漢方薬を服用する際は、かかりつけの医師や医療機関に相談してみましょう。
更年期高血圧への対策
更年期の血圧の変化は、一般的にわかりにくいです。
更年期では、習慣的に血圧を測定し、異常の早期発見・早期治療に努めることが重要です。
妊娠中に高血圧になった経験のある方は、更年期高血圧になりやすいといわれています。
さらに、親族に高血圧症の方がいる場合、運動不足で肥満気味の方も注意が必要です。
万が一、更年期高血圧が疑われる場合は、放置しないで早期受診を心がけてください。
更年期に入ってからは、毎年の健康診断や人間ドックで検査すると良いでしょう。
更年期高血圧の人の割合
平成22年の国民健康・栄養調査結果から更年期の高血圧の割合をみてみましょう。
更年期における高血圧の有病者割合は、以下のようになっています。
- 40代の男性では33.5%、女性では12.7%
- 50代の男性では57.8%、女性では36.3%
また、高血圧といわれたことがある者の割合は、以下のようになっています。
- 40代の男性では21.5%、女性では10.0%
- 50代の男性では36.0%、女性では22.4%
いずれにしても女性より男性が多く、40代より50代の有病者が多いことがわかります。
高血圧は更年期の年代を境界として、年齢とともにリスクが高まる病気といえるでしょう。
日頃から規則正しい生活を心がけるとともに、更年期以降は一層注意して過ごす必要があります。
出典:厚生労働省【平成22年国民健康・栄養調査結果の概要】
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血圧の変化は年齢によって改善される?
更年期による高血圧は、55歳を過ぎたころから落ち着いてくる場合があります。
40代から50代に不安定になったホルモンバランスが55歳を過ぎたころから安定してくるためです。
ホルモンバランスが安定してくると、更年期による高血圧の場合は徐々に安定してきます。
しかし、血管の老化に変わりはありません。
年齢とともに高血圧になるリスクは高まっていきます。
食事や運動をはじめ、常に規則正しい日常生活を送ることを心がけましょう。
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更年期の血圧まとめ
ここまで更年期の血圧についてお伝えしてきました。
更年期の血圧についての要点を以下にまとめます。
- 更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間をいう
- 更年期高血圧になる理由は、自律神経の乱れ、ストレスなどがある
- 更年期高血圧によるリスクは、脳梗塞や狭心症などを引き起こす可能性がある
- 更年期高血圧を改善するには、適度な運動、バランスの良い食事などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。