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健達ねっと>健康お役立ち記事>栄養>脚気の原因はビタミンB1の不足?脚気となる仕組みについて紹介

脚気の原因はビタミンB1の不足?脚気となる仕組みについて紹介

ビタミンは現代人に不足しやすい栄養素の1つです。
特にビタミンB1が不足すると、脚気のリスクが高まります。

脚気とはどのような病気なのでしょうか?
また、脚気を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?

本記事では、脚気とビタミンについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 脚気とは
  • 脚気を防ぐビタミンB1の摂り方
  • 欠乏症に注意すべきビタミン

脚気とビタミンについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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脚気とは

脚気はビタミンB1の不足で起こる病気です。
末梢神経や中枢神経が冒されるため、次のような症状が出やすくなります。

  • 全身の倦怠感・だるさ
  • 食欲不振
  • 脚のしびれ
  • 感覚の麻痺
  • むくみ

重症化すると心不全に至ることもあります。
脚気は江戸~明治時代にかけて大流行し、当時は心不全の死者が続出したと伝えられています。
出典:農林水産省【脚気の発生:農林水産省】

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脚気となる仕組み

脚気はビタミンB1の不足によって起こります。
ビタミンB1は代謝をサポートするほか脳の中枢神経や手足の末梢神経を正常に保つ作用のある栄養素です。

ビタミンB1が極端に不足すると、特に末梢神経の機能に障害が生じます。
末梢神経の障害では、手足の痛み・麻痺や身体の動かしづらさなどの症状があらわれます。

脚気が重症化すると上昇するのが心不全のリスクです。
最悪の場合、心不全から死に至るケースもあります。

日本では、江戸~明治時代に脚気が大流行しました。
特に発症者が目立ったのは都市部(江戸)で、「江戸患い」と呼ばれるほどでした。

江戸~明治時代、脚気が大流行した原因として、食生活の変化が挙げられています。
日本人の主食はもともと玄米でした。
しかし江戸に入ると、大名などの上層階級を中心に白米食が普及していきます。

米の胚芽部分にはビタミンB1が豊富です。
一方、胚芽を取り除く白米にビタミンB1はほとんど含まれません。

つまり玄米から白米に主食を切り替えたことで、知らないうちにビタミンB1不足が起こっていたというわけです。

江戸で脚気にかかった人が国許に帰ると良くなった…というケースはしばしば見られました。
理由は、都市部以外の地域ではまだ玄米食が主流であったためです。

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脚気の原因

脚気の原因はビタミンB1不足です。
では、ビタミンB1不足の原因にはなにがあるのでしょうか。
主な原因を2つご紹介します。

偏食

ビタミンB1不足になる主な原因は偏った食生活です。
偏食がビタミンB1不足を招きやすい理由は主に2つあります。

1つ目は、食品からのビタミンB1摂取が不十分になりやすいためです。
ビタミンB1は体内では合成されないため、食品から適宜補う必要があります。

極端に偏った食生活の場合、ビタミンB1が豊富な食品を摂れないおそれがあります。
結果として、知らない間にビタミンB1が欠乏して脚気になるというわけです。

2つ目は、消化・吸収のためにビタミンB1が大量に消費されるためです。
ビタミンB1は、炭水化物(糖質)を燃やしてエネルギーに変換する仕組みを助けます。

炭水化物を大量に摂取する方は、そのぶん糖質の燃焼が盛んになるため、ビタミンB1が大量に消費されます。

消費に補給が追いつかなくなった結果、ビタミンB1の欠乏が起こるというわけです。
ビタミンB1の大量消費による欠乏がおこりやすいのは、たとえばお菓子・清涼飲料水などをよく摂る方です。

糖質の分解のためにビタミンB1が大量に消費され、知らない間にビタミンB1欠乏に至ることがあります。

実はビタミンB1の欠乏は、栄養バランスのよい食事をしている方にも起こりえます。
ビタミンB1の欠乏には、調理法が関係しています。

ビタミンB1は水溶性ビタミンです。
そのためビタミンB1が豊富な食品を茹でたり煮たりすると、栄養素は煮汁に流れ出ます。

つまり肝心の栄養を摂取できていないのです。
ビタミンB1を摂っているつもりで実際には摂れておらず、欠乏症に至ることがあります。

アルコールの過剰摂取

大量飲酒もビタミンB1の欠乏の主な原因です。
ビタミンB1はアルコールの分解の際に消費されるためです。

体内に入ったアルコールはまずアセトアルデヒドという物質に分解されます。
続いてアセトアルデヒドはALDH2という酵素によって酢酸に分解されます。

大量にアルコールを摂取した場合、ALDH2だけでは分解が追いつかないことがあります。
ALDH2だけでの処理が難しい場合は、ビタミンB1が協力してアルコールの分解にあたります。

飲酒量が増えるほど、アルコール分解のために消費されるビタミンB1の量も増えます。
特に大量飲酒が長期にわたると、慢性的にビタミンB1が不足しやすくなるため、欠乏症のリスクが高くなります。

ビタミンが含まれる食べ物

ビタミンb1の食材

脚気を防ぐにはビタミンB1を適切に摂取することが大切です。
特にビタミンB1は身体に留めておきにくいため、こまめな摂取を心がけましょう。

なぜ身体に留めておきにくいかというと、ビタミンB1は水溶性であるためです。
身体の中で余ったビタミンB1は蓄積されず、汗や尿と一緒に体外に排出されます。

簡単にいえば、「貯金」ができません。
そのため、消費された分は適宜外部から補う必要があるのです。

ビタミンB1が豊富な食品の例をご紹介します。

肉類豚ひれ・豚もも・赤ロース(赤身)・豚肩(赤身)
魚類うなぎ・たらこ・かつお節・鮭
穀類玄米・ライ麦
豆類・種実類ごま・あずき・大豆・きなこ・納豆・アーモンド
野菜類ほうれん草・カリフラワー・切り干し大根・にんにく

ビタミンB1は幅広い食品に含まれます。
一般的な食事をしていれば脚気になるほど欠乏することはあまりありません。

ただし、厳格な菜食主義者などは不足するおそれがあるため、他の食品から意識して摂取する必要があります。

健達ねっとECサイト

ビタミンの摂り方

ビタミンB1の摂取を狙う場合は、調理法・食べ方に少し工夫が必要です。
なぜならビタミンB1は水に溶けやすい性質があるためです。

ビタミンB1が豊富な食品を茹でる・煮るなどすると、栄養素が煮汁に逃げ出します。
ビタミンB1の栄養素を逃がさないためには、蒸す・焼く調理法がおすすめです。
電子レンジでの調理や生食なども検討しましょう。

男性女性
必要量推奨量必要量推奨量
0~ 5(月)
6~11(月)
1~ 2(歳)0.40.50.40.5
3~ 5(歳)0.60.70.60.7
6~ 7(歳)0.70.80.70.8
8~ 9(歳)0.81.00.80.9
10~11(歳)1.01.20.91.1
12~14(歳)1.21.41.11.3
15~17(歳)1.31.51.01.2
18~29(歳)1.21.40.91.1
30~49(歳)1.21.40.91.1
50~69(歳)1.11.30.91.0
70 以上(歳)1.01.20.80.9
妊婦(付加量)+0.2+0.2
授乳婦(付加量)+0.2+0.2

出典:厚生労働省【(2)水溶性ビタミン ①ビタミン B1】

薬の使い方

ビタミンを摂り過ぎるとどうなる?

天然食品からの摂取であればビタミンB1の過剰症はほとんど起こりません。
水溶性のビタミンB1は、たとえ大量に摂取しても、余剰分は体外に排出されるためです。

ただし、体質などによっては過剰摂取による副作用が起こるおそれがあります。
あるいは、成分が高濃度のサプリメントの摂取によって副作用が起こることもあります。

ビタミンB1の過剰摂取による副作用には次のようなものがあります。

  • 頭痛
  • いらだち
  • 不眠
  • 速脈
  • 接触皮膚炎
  • かゆみ

出典:厚生労働省【(2)水溶性ビタミン ①ビタミン B1】

脚気の検査方法

脚気の代表的な検査方法は膝蓋腱反射テストです。
膝蓋腱反射とは、膝の下をハンマーなどで叩くと、自然に脚が持ち上がる反応です。

脚気になると膝蓋腱反射は起こりません。
つまり膝蓋腱反射テストをして反応がない場合は、脚気が強く疑われます。

ところで、なぜ脚気になると膝蓋腱反射が起こらないのでしょうか。
理由は、膝蓋腱反射の仕組みにあります。

  • 末梢神経が刺激を感知する
  • 刺激が脊髄に伝わる
  • 脊髄の刺激が再び末梢神経を通って筋肉にする
  • 筋肉が反応して脚が持ち上がる

脚気は末梢神経が障害される病気です。
そのため、膝蓋腱に刺激を与えても末梢神経に伝わりません。
結果として、膝蓋腱反射が消失してしまうのです。

最近の脚気の検査では、膝蓋腱反射テストの他に血液検査を行うこともあります。

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ビタミンの平均摂取状況

脚気はビタミンB1が不足して起こります。
現代人の多くは食生活の乱れなどからビタミンの摂取量が足りていないと指摘されています。

それでは、現代人にとって脚気はリスクが高い病気なのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、現代人の1日のビタミンB1の平均摂取量で0.95mgです。

一方、成人の1日のビタミンB1の推奨摂取量は1.1~1.4mgです。
つまり現代人は、1日の推奨量にわずかに届いていないことになります。

脚気を防ぐには、最低でも1日に0.32~0.40mg程度のビタミンB1の摂取が必要とされています。
現代人のビタミンB1の摂取量は推奨量には到達していないものの、脚気予防には十分だと判断できます。

一般的な食事をしていれば脚気になるほどビタミンB1が欠乏することはまずありません。
ただし、よく身体を動かす方や甘い物・お酒を大量に摂取する方は、通常よりも多くのビタミンB1を必要とします。

そのため、場合によっては補給量が消費量に追いつかずビタミンB1が不足することもあります。

日頃からビタミンB1が足りていないと感じる方は、意識して補給しましょう。
もし食品からの十分な摂取が難しい場合は、サプリメントなどを利用するのも1つの方法です。
出典:厚生労働省【第 1 部栄養素等摂取状況調査の結果】

出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】

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ビタミン欠乏症によるそれぞれの症状

ビタミンB1以外のビタミンが欠乏した場合の症状をご紹介します。
ぜひ日々の健康管理にお役立てください。

ビタミンA

ビタミンAの欠乏で起こりやすいのは夜盲症です。
夜盲症は、暗いところで物が見えにくくなる病気です。
その他、粘膜の機能が低下しやすくなることで各種の感染症のリスクも高くなります。

ビタミンC

代表的なビタミンC欠乏症は壊血病です。
壊血病は全身の倦怠感・筋力の低下が起こる病気です。
最終的には全身から出血し、死に至ります。

ビタミンCの不足は、感染症や白内障などのリスクも上昇させます。
病気ではありませんが、皮膚などの老化現象もビタミンC欠乏の症状の1つです。

ビタミンD

ビタミンDの主な欠乏症はくる病・骨軟化症です。
くる病と骨軟化症は、どちらも骨が柔らかくなる病気です。
小児の場合はくる病、成人の場合は骨軟化症と呼ばれています。

くる病・骨軟化症では、骨が曲がったり、些細な衝撃で骨折しやすくなったりします。
小児の場合は、発育に支障が出ることもあります。

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脚気とビタミンまとめ

ここまで脚気とビタミンについてお伝えしてきました。
脚気とビタミンの要点を以下にまとめます。

  • 脚気とはビタミンB1の欠乏で起こる病気で、主な症状は倦怠感・しびれ・感覚麻痺など
  • 脚気を防ぐビタミンB1の摂り方は、豚肉・玄米などを食べる
  • 欠乏症に注意すべきビタミンは、ビタミンA・C・D

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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  • 介護付有料老人ホーム展開
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