女性には月経があるため、女性の多くは貧血に悩まされているといわれています。
症状がなく、知らず識らずのうちに貧血になっている人もいます。
そもそも貧血にはどのような症状があるのでしょうか?
また、どのような対処方法があるのでしょうか?
本記事では貧血の治療薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 貧血の種類について
- 貧血の原因について
- 貧血治療薬の種類について
- 貧血治療薬の副作用症状とは
貧血を改善して健康的な生活を送るためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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貧血とは?
貧血とはその名の通り、体内に必要な血液が不足している状態のことです。
貧血にはいくつかの種類があります。
種類によってそれぞれ原因や対応方法が違います。
種類と原因
貧血の種類には、
- 鉄欠乏性貧血
- 巨赤芽球性貧血腎性貧血
- 腎性貧血
- 溶血性貧血
などがあります。
以下でその特徴と原因を説明していきますので、参考にしてください。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は貧血の中では最もポピュラーな種類です。
Hbの合成に必要不可欠な鉄が不足するため、赤血球が正常に働けず、必要な酸素が行きわたらなくなります。
この原因としては、月経や手術による出血にて鉄が欠乏することが挙げられます。
健康な人は鉄を摂取すると、胃や小腸で吸収されて肝臓に貯蔵されます。
ただし、胃がんなどで胃を摘出された方は鉄の吸収率が低下するので、鉄欠乏性貧血になりやすいです。
レバーやプルーンには多くの鉄分を含んでいるので、鉄欠乏性貧血の方は積極的に摂取しましょう。
巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血は赤血球の合成に必要なビタミンが不足することで起こる種類の貧血です。
赤血球の合成には鉄だけでなく、葉酸やビタミンB12などの造血ビタミンが必要になります。
そのためいくら鉄分を摂取しても、これらのビタミン類が不足していると貧血になるのです。
巨赤芽球性貧血は赤血球の形が大きくなることが、名前の由来になったとされています。
ビタミンB12が不足して起こる貧血は、以前は「悪性貧血」と呼ばれていました。
この理由はひと昔前は原因や治療法がわからなかったためです。
胃切除術後の患者さんでは、胃壁で作られる内因子が不足してビタミンB12が内因子と結合できずに巨赤芽球性貧血を起こすことがあります。
こういった場合には、葉酸やビタミンB12を経口摂取するなどして補います。
腎性貧血
腎性貧血は何らかの原因で、腎機能が低下することで引き起こされる種類の貧血です。
腎臓が障害されると、エリスロポエチンというホルモンの産生が低下します。
エリスロポエチンは造血因子の1つで、いわば赤血球の合成を促すスイッチの働きをするものです。
そのため、赤血球をつくるのに重要な役割を果たしています。
このエリスロポエチンが少ないと赤血球を作る指令がなく、十分な赤血球の量が産生されなくなります。
その結果、赤血球が不足して貧血になってしまいます。
腎性貧血では単純に鉄分を補給するだけでなく、薬剤や食餌療法などが行われることが多いです。
溶血性貧血
溶血性貧血とは何らかの原因で赤血球が破壊されてしまい、造血が追い付かずに貧血になるものです。
赤血球の寿命は4カ月程度といわれていますが、溶血性貧血ではこれよりも早いペースで赤血球が壊れてしまいます。
自己免疫性溶血性貧血や遺伝性球状赤血球などの病気が原因となって起こることが多いです。
そのため、どのような病気が原因なのかによって治療方法は違います。
検査の指標
貧血が疑われた場合には採血による検査が行われることが一般的です。
採血によって血液中にある赤血球やヘモグロビンなどの数値が調べられます。
貧血を調べる際に注目すべき血液検査の項目を以下にまとめます。
検査項目 | 基準値 | |
赤血球 | 男性 | 435万~555万個/µL |
女性 | 386万~492万個/µL | |
ヘモグロビン(Hb) | 男性 | 13.7~16.8g/dl |
女性 | 11.6~14.8g/dl | |
白血球 | 3,300~8,600個/µL | |
血小板 | 15.8万~34.8万個/µL | |
ヘマトクリット(Ht) | 男性 | 40.7~50.1% |
女性 | 35.1~44.4% | |
平均赤血球容積(MCV) | 83,6~98.2fl | |
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) | 27.5~33.2pg | |
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) | 31.7~35.3% |
出典:国立がん研究センター「臨床検査基準値一覧」
これらの項目を確認して医師は、貧血の有無や原因を調べていきます。
基準値よりも数値が大幅にかけ離れている場合には、貧血の重症度が高い可能性があります。
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貧血薬の種類
貧血の際には医療機関で治療薬が処方されることが多いです。
貧血の種類によって治療薬が違うので、以下で説明していきます。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血では、体内に必要な鉄分が不足しているため、それを補える薬が選択されることが多いです。
以下で薬の種類を挙げて説明するので、参考にしてください。
フェロミア
フェロミアはクエン酸第一鉄を主成分とした薬です。
貧血の程度によって1回1〜2錠を1日1〜2回に分けて内服することが一般的です。
フェロミアは、鉄分の吸収率が高いので効果を発揮しやすいことが特徴です。
ただし、飲み始めには吐き気や胃痛などの副作用症状が出現する人もいます。
副作用症状が辛く、内服し続けることが難しい場合には医師に相談して他の薬に変更することを検討してみてください。
フェロミアを内服することで、鉄欠乏性貧血の症状緩和の効果が期待できます。
例えば疲れやすかったり、頭痛やめまいがあった方も症状が緩和して苦痛が緩和します。
巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血ではビタミンB12や葉酸を摂取できる薬が使用されることが多いです。
ビタミンB12は胃腸からの吸収率が低いので、注射での投与が推奨されています。
また、体内に多く貯蔵されるので、数カ月に1回の注射でも効果的です。
葉酸は胃腸からの吸収率が高いので、内服薬でも手軽に治療できます。
葉酸は水溶性ビタミンの1つであり、貧血の他にも関節リウマチや抗てんかん薬、がんなどの補充療法薬としても用いられます。
再生不良性貧血
再生不良性貧血ではタンパク同化ステロイド療法が効果的であると考えられています。
腎臓に働きかけることで、エリスロポエチンの産生が促されます。
さらに造血幹細胞に直接作用することで、造血を促すことで貧血が改善されます。
内服での治療なので入院などは必要とせず、治療を受ける方の負担が少ないです。
ただし、副作用として男性化作用が出現することもあるので、女性の方は慎重に投与する必要があります。
薬を飲み始めてからニキビや多毛、月経不順などの症状が出た場合には、すぐに医師に相談しましょう。
腎性貧血
腎性貧血はエリスロポエチンが産生されないことで引き起こされます。
そのため、腎性貧血の治療ではエリスロポエチン製剤が使用されます。
エリスロポエチン治療では、皮下注射を2週間に1回などの一定のペースで打ちます。
慢性腎不全では腎機能の悪化がみられ、症状が悪化すると人工透析が必要になることもあります。
エリスロポエチンを投与することで、貧血だけでなく腎不全の進行を遅らせる効果が期待できます。
溶血性貧血
自己免疫性貧血では免疫機能に異常をきたし、正常な細胞も攻撃してしまいます。
そのため、プレドニンである副腎皮質ステロイド薬が治療の第一選択に選ばれます。
プレドニンの効果が出ない場合には、免疫抑制薬が使用されます。
個人差はありますが、副作用症状が強く出る場合もあるので注意が必要です。
プレドニンの副作用には、むくみや倦怠感、血糖異常などがあります。
副作用が強い場合には、入院加療が必要になる場合もあります。
貧血薬を市販で買う際の注意
貧血治療薬はドラッグストアや薬局でも多く販売されているので、気軽に手に入れやすいです。
市販で貧血治療薬を購入する際のポイントを以下にまとめます。
吸収しやすい鉄分を選ぶ
鉄分は胃腸で吸収しにくい性質があります。
そのため、吸収しにくい鉄分をいかに吸収しやすい状態で摂取するかが大切になります。
フマル酸塩やピロリン酸塩などに加工することで吸収率がUPするので、こういったものを選ぶことをおすすめします。
積極的に鉄分を摂取しても体内で吸収されなければ意味がないので、吸収しやすい鉄分を選びましょう。
鉄分は胃に負担がかかりやすいことを意識する
鉄分は胃に負担がかかりやすい特徴があります。
そのため、鉄分を摂取することで胃のむかつきや嘔気が出現する人もいます。
市販薬の中には胃をいたわる成分が配合されているものもあります。
特に胃腸が弱い体質の方は、こういった胃にやさしい市販薬を選ぶことをおすすめします。
また、空腹状態で内服せず、食後に摂取するなどして胃に負担をかけないように心がけることも大切です。
鉄分を摂るならビタミンCも一緒に取る
鉄分を効果的に吸収し、貧血を改善するためにはビタミンCなどを一緒に摂取するといいです。
理由として、鉄分はビタミンCと一緒に摂取することで、吸収しやすい形になるためです。
ビタミンCを多く含む果物や野菜を積極的に摂るように心がけましょう。
鉄分のみ摂取しても、赤血球の生成は促されないので、このようにビタミンと組み合わせることが大切です。
市販で売っている貧血の薬は鉄欠乏性貧血に対するものが多い
貧血にはさまざまな種類があり、その原因によって治療方法が違います。
現在、市販で売られている貧血治療薬のほとんどが鉄欠乏性貧血に対するものです。
このような鉄剤を摂取していると、黒い便が出ることがあります。
急に黒い便が出ると消化管出血などを起こしているのではないかと不安になる方も多いでしょう。
しかし、これは鉄剤による影響なので問題ありません。
副作用を知り、身体にどういった変化が起こるのか知っておくことは大切なことです。
貧血薬の副作用
どんな薬にも少なからず副作用があるもので、貧血治療薬も同様です。
副作用について事前に知っておくことで、症状が出た際にも適切な対応ができます。
以下で症状や対処法を紹介していきます。
症状
貧血治療薬を内服することで以下の副作用症状が出現することがあります。
具体的に説明するので参考にしてください。
胃腸の症状
貧血治療薬を内服することで胃腸障害が出現することがあります。
具体的には嘔気・嘔吐や下痢、腹痛や胸やけ、便秘になる方もいます。
蕁麻疹や発疹
薬の成分との相性が悪かった場合には、蕁麻疹や発赤などのアレルギー症状が出現することもあります。
対処法
副作用に対する対処法としては、医師や薬剤師と相談して薬の量や回数を調整する方法があります。
1日の摂取量は変えずに内服回数を増やし、少量ずつ摂取するなどして工夫することもできます。
この他にも内服するタイミングを生活習慣に合わせて変更する方法もあります。
生活リズムは人それぞれで、夜勤などをしている方もいます。
詳しくは医師や薬剤師に相談し、アドバイスを受けながら検討していくといいでしょう。
貧血の薬の副作用は生理や体重に影響がある?
貧血治療薬を内服し始めてから体重増加や生理の際の出血量が増えるなどの身体の変化を訴える方がいます。
基本的には貧血治療薬を内服することが直接、こういった副作用に影響していることは考えにくいです。
ただし、他の病気が影響していることも考えられます。
まずは医師に相談してしっかり検査してもらうことをおすすめします。
貧血薬を飲んでも治らないときは?
貧血治療薬を内服しても貧血症状がよくならない場合には、何らかの病気が隠れている可能性があります。
以下で対処法を説明していくので、参考にしてください。
病院を受診する
ドラッグストアなどで販売されている貧血治療薬は、鉄欠乏性貧血に有効なものがほとんどです。
そのため、貧血の原因が鉄欠乏性貧血ではない場合には、症状が改善しません。
市販の貧血治療薬を内服しても症状が改善しない場合には、病院を受診することをおすすめします。
他の病気などの原因が考えられないか検査してもらいましょう。
重大な病気が隠れている場合も考えられるので、なるべく早めに受診することが大切です。
他の疾患が隠れている可能性がある
貧血を起こす病気にはさまざまなものがあります。
がんは細胞の異常変化によるものなので、体中どこでも起こり得るものです。
悪性腫瘍からの出血が起こっている場合には、貧血症状が出現することがあります。
特に血液のがんである白血病は貧血を伴うケースが多いです。
この他にも、身近なものであれば痔でも貧血が起こることがあります。
特に女性の方は妊娠中貧血になりやすく、子宮筋腫や子宮内膜症でも貧血になることがあります。
生活習慣を見直す
生活習慣が乱れていると、貧血が悪化しやすくなります。
どのような点に注意すべきなのか、以下で紹介していきます。
睡眠時間
人間は人生の約3分の1もの割合を睡眠時間に使っています。
それだけ睡眠は重要なものであり、睡眠中に心身の回復をしています。
十分な睡眠時間を確保できないと、身体のメンテナンスを十分にできないため、身体に不調をきたします。
自律神経のバランスも崩れやすくなり、さまざまな悪影響を及ぼすので睡眠時間をしっかりと確保することが大切です。
できれば毎日同じ時間に眠り、同じ時間に起床して規則正しい生活をしましょう。
ストレス
現代人は多忙にてストレスを抱えながら生活している方が多いです。
ストレスがたまると胃腸の働きが低下して食欲が不足するので、必要な栄養素を補えないことによる貧血を起こしやすくなります。
また、意識的に鉄分を摂取していたとしても、胃腸の働きが低下していると十分に吸収できなくなります。
このようにストレスによって貧血が出現することがあるので、ストレスのため過ぎには注意が必要です。
適度にリフレッシュしてストレス発散を心がけましょう。
運動
適度に運動することで胃腸の働きが回復し、鉄分の吸収を高めてくれます。
特にウォーキングやヨガなどの有酸素運動がおすすめです。
ただし、貧血の症状が出ているときに激しく運動すると、症状が悪化する可能性もあるので注意が必要です。
適度な運動は貧血だけでなく、生活習慣病の予防やストレス発散にもつながります。
心身の健康のためにも運動を習慣化させていくことをおすすめします。
貧血薬が効くまでの対処法
貧血治療薬の効果が出るまでに自分でできる対処法を知っておけば、より高い効果が得られます。
貧血にお悩みの方はぜひ以下をご覧ください。
食生活に鉄分のあるものを摂取する
貧血を改善させるためには薬だけに頼るのではなく、鉄分を多く含む食品を積極的に摂取する事が重要です。
また、鉄分の吸収率をUPさせるための葉酸などのビタミンを多く含む食品を積極的に摂取するといいでしょう。
以下に鉄分や葉酸、ビタミン類を多く含む食品をまとめます。
栄養素 | おすすめの食品 |
鉄分 | カツオ、マグロ、レバー、牛肉の赤身、豆類、海藻、ほうれん草、小松菜 |
葉酸 | きのこ、モロヘイヤ、枝豆、ほうれん草 |
ビタミンC | イチゴ、キウイ、柑橘類、ジャガイモ |
ビタミンB12 | 牡蠣、アサリ、のり、レバー、牛肉、卵、チーズ |
食品から摂取することが難しい場合には、サプリメントを活用することをおすすめします。
サプリメントであれば、いつでも手軽に必要な栄養素を補給できます。
コーヒー・緑茶・紅茶を食後に飲むのを控える
コーヒーや緑茶、紅茶には「タンニン」が多く含まれています。
タンニンには鉄の吸収を阻害する働きがあるので注意が必要です。
わざわざ貧血治療薬を内服していてもコーヒーや緑茶、紅茶を摂取してしまうと、鉄分を十分に吸収できなくなります。
そのため、薬を飲むときにはタンニンを含まない麦茶やほうじ茶で飲むようにしましょう。
貧血以外にも別の症状が出たときはすぐに病院へ
貧血の他にも複数の症状がある場合には、他の病気の可能性が高いです。
例えば、頭痛やめまい、倦怠感や呼吸苦、冷汗などの症状がある場合には早めに受診しましょう。
貧血の原因に心機能の低下などが影響している場合には、命にかかわることもあるためです。
まずは内科を受診して精密検査を受けることをおすすめします。
血液検査やレントゲン検査、検尿などが行われることが一般的です。
検査の結果、必要であれば循環器内科や呼吸器内科、消化器内科などの専門の病院を紹介されます。
妊娠期は貧血薬より先に食生活の見直しをする
妊婦の場合は貧血になりやすく、貧血治療薬が処方されることがあります。
ただし、この記事でも説明したように貧血治療薬には副作用症状のリスクもあります。
そのためまずは、自分でできる食生活から見直すことをおすすめします。
妊娠期は赤ちゃんの成長のためにも、鉄分以外にもビタミンやミネラルなどをバランスよく摂取することが大切です。
妊婦だと摂取しない方がいい食べ物もあるので、医師や栄養士、助産師のアドバイスを受けながら食生活を検討していきましょう。
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貧血薬まとめ
ここまで貧血の治療薬についてお伝えしてきました。
貧血治療薬についての要点を以下にまとめます。
- 貧血の種類には、鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血、腎性貧血、溶血性貧血がある
- 貧血の原因は、摂取量不足だけでなく、遺伝性の疾患や手術なども貧血に影響する
- 貧血治療薬は、原因によってビタミンやステロイド製剤が用いられる
- 貧血治療薬の副作用は、胃腸障害やアレルギー症状が出る場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。