頭痛がひどいときは頭痛薬を頼るのも1つの方法です。
しかし、頭痛薬にはいろいろな種類があり、それぞれ効き目が異なります。
頭痛薬はどのように選べばよいのでしょうか。
本記事では、頭痛の薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 頭痛薬の種類
- 頭痛薬の選び方
- 薬によって起こる頭痛とは
頭痛の薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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頭痛の種類
頭痛には、大きく分けて一次性頭痛と二次性頭痛の2種類があります。
一次性頭痛と二次性頭痛では対処法が異なります。
適切に対処するためにも、まずはそれぞれの原因・特徴をご紹介します。
一次性頭痛
一次性頭痛は、ハッキリした原因が分からない頭痛です。
具体的には、病気・ケガなどを原因としない頭痛が該当します。
一次性頭痛の主な種類は次の通りです。
原因・症状の特徴とあわせてご覧ください。
種類 | 主な原因 | 症状の特徴 |
緊張型頭痛 | 首や肩のこり | 頭の両側が締め付けられるように痛む |
片頭痛 | ストレス・疲労・睡眠不足 | 頭の片側が脈打つように痛む |
群発頭痛 | 飲酒・喫煙・体調不良・気圧の変化 | 目の奥やこめかみがえぐられるように痛む・鼻水や涙を伴う |
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs) | 首や肩のこり・ストレス・睡眠不足 | 強烈な痛み・鼻水や涙を伴う |
薬物乱用頭痛 | 鎮痛剤の飲み過ぎ | 薬を飲んでも効かない |
二次性頭痛
二次性頭痛は病気・ケガを原因として起こる頭痛です。
二次性頭痛の主な原因には次があります。
- 脳卒中
- 脳腫瘍
- 髄膜炎
- 頭部のケガ(交通事故による打撲など)
- 二日酔い
病気・ケガではないものの、アルコールが原因の頭痛も二次性頭痛に含まれます。
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頭痛薬の種類
頭痛薬はそれぞれ得意とする頭痛のタイプが異なります。
ここからは、頭痛薬の種類・相性のよい頭痛のタイプをご紹介します。
なお、群発頭痛や三叉・自律神経性頭痛は、市販薬では改善できないことがあります。
群発頭痛などがある方は、まず医師に相談するのがおすすめです。
非ピリン系鎮痛剤
非ピリン系鎮痛剤は、頭痛薬の中でも最もオーソドックスな薬です。
非ピリン系鎮痛剤の代表的な成分は次の2つです。
- イブプロフェン
- アセトアミノフェン
非ピリン系鎮痛剤は、プロスタグランジンの合成を阻害することで頭痛を軽減します。
プロスタグランジンは頭痛の原因物質の1つです。
非ピリン系鎮痛剤は、片頭痛などに有効です。
ただし、すでに痛みが出ている場合は効き目が遅くなることがあります。
非ピリン系鎮痛剤の効果を高めるには、痛みが出始めてすぐ服用するのがおすすめです。
また、非ピリン系鎮痛剤は胃腸障害などの副作用のリスクがあります。
理由は、プロスタグランジンには胃腸の粘膜を保護する作用があるためです。
非ピリン系の鎮痛薬によってプロスタグランジンの量が減ることで、胃腸の粘膜がダメージを受けやすくなります。
そのため、胃腸が弱い方は服用を控えたほうがよいこともあります。
ピリン系鎮痛剤
ピリン系鎮痛剤は頭痛薬の中でも高い効果を期待できる薬です。
一方で、他の頭痛薬に比べると副作用のリスクが高いとも指摘されています。
代表的な副作用は、薬疹・薬剤アレルギーなどです。
市販薬で使用が認められているピリン系鎮痛剤の成分はイソプロピルアンチピリンです。
イソプロピルアンチピリンは、ピリン系鎮痛剤の成分の中では比較的副作用が起こりにくい成分です。
ピリン系鎮痛剤は、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成を阻害することで痛みを緩和します。
効果が期待できるのは緊張型頭痛・片頭痛・PMSによる頭痛などです。
漢方の頭痛薬
頭痛には漢方薬が効く場合もあります。
頭痛に効果のある漢方薬は次の通りです。
緊張型頭痛
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
釣藤散(ちょうとうさん)
葛根湯(かっこんとう)
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがんりょう)
片頭痛
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
五苓散(ごれいさん)
漢方薬は、市販の鎮痛薬に比べると副作用・依存性のリスクは低めです。
副作用などの観点から市販の頭痛薬に頼るのに抵抗がある方は、漢方薬を利用するのも1つの方法です。
漢方の効き目は体質などによって異なります。
また、体質にあわない漢方はかえって体調不良を招くこともあります。
漢方薬の選び方に迷ったときは、薬剤師などに相談するのがおすすめです。
鎮痛剤と漢方薬の配合剤
市販の頭痛薬の中には、鎮痛薬と漢方薬(生薬)が両方用いられているものもあります。
生薬配合の頭痛薬は、従来の薬よりも身体への負担が小さい点がメリットです。
たとえば薬で胃が荒れやすい方は、生薬配合の鎮痛薬を試してみるのも1つの方法です。
生薬配合の代表的な頭痛薬には、「デプロキ」「デプロキdeux」などがあります。
子ども用頭痛薬
子どもの頭痛には、子ども用の頭痛薬を利用しましょう。
子どもへ投与してよいかどうかは、パッケージなどに記載されていることがほとんどです。
なお、子ども用頭痛薬の主成分としては、次の2つが代表的です。
- アセトアミノフェン
- イブプロフェン
アセトアミノフェンとイブプロフェンは、いずれも非ピリン系鎮痛薬の成分です。
いずれも効き目が穏やかな点が特徴です。
市販の頭痛薬の選び方
市販の頭痛薬を選ぶときのポイントをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
頭痛の種類から選ぶ
頭痛薬は、頭痛の種類にあわせて選ぶのがおすすめです。
なお、頭痛薬で改善が期待できるのは、基本的に一次性頭痛のみです。
一次性頭痛の中でも、頭痛薬が効果を発揮するのは緊張型頭痛です。
緊張型頭痛には、非ピリン系の頭痛薬がおすすめです。
漢方薬の場合は、呉茱萸湯・桂枝人参湯などを検討してください。
片頭痛や群発頭痛などは、市販薬による効果はあまり期待できません。
特に群発頭痛は、医療機関で治療を受けることが望ましいです。
一方、片頭痛は市販の頭痛薬で改善できることもあります。
おすすめなのはピリン系・非ピリン系の頭痛薬です。
呉茱萸湯・桂枝人参湯・五苓散などの漢方薬が効くこともあります。
成分内容から選ぶ
頭痛薬は成分で選ぶのも1つの方法です。
市販の頭痛薬の多くは、非ピリン系の成分を主としたものがほとんどです。
それぞれの成分の特徴・副作用などをご紹介します。
ロキソプロフェン
ロキソプロフェンは痛みの原因物質であるプロスタグランジンの合成を阻害する作用があります。
具体的な効果は次の通りです。
- 痛みを和らげる
- 熱を下げる
- 身体の炎症を鎮める
ロキソプロフェンは頭痛だけでなく、生理痛・関節痛などの痛みにも効きます。
解熱作用があるため、風邪による頭痛にもよく用いられている成分です。
非ピリン系の鎮痛薬は副作用が起こりやすいというデメリットがあります。
しかしロキソプロフェンは、非ピリン系の鎮痛薬の中では比較的胃腸障害が起こりにくい成分です。
ただし、胃腸障害のリスクはゼロではありません。
そのため胃腸が弱い方がロキソプロフェンを希望する場合は、医師や薬剤師に相談するのがおすすめです。
ロキソプロフェンには、次のような副作用も指摘されています。
- 発疹
- かゆみ
- むくみ
- 眠気
- 肝機能障害
イブプロフェン
イブプロフェンは、痛みの原因物質プロスタグランジンの合成を抑制する作用があります。
具体的な効果は次の通りです。
- 痛みを和らげる
- 熱を下げる
- 身体の炎症を鎮める
イブプロフェンは頭痛の他、風邪による発熱・関節痛・喉の痛みにも効果を発揮します。
関節リウマチの処方薬としても有名です。
イブプロフェンは非ピリン系の鎮痛薬の中では、胃腸障害が起きやすい点が特徴です。
そのため、胃腸が弱い方は服用を避けるのが無難です。
また、イブプロフェンでは次のような副作用が出ることもあります。
- 発疹・発赤
- かゆみ
- めまい
- 動悸・息切れ
- アナフィラキシーショック
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、非ピリン系の鎮痛薬の中では特に身体への負担が少ない成分です。
そのため、子ども・妊婦・高齢者にも使いやすいのが特徴です。
アセトアミノフェンは脳の中枢神経に働きかけることで、痛みを抑える作用があります。
具体的な効果は次の通りです。
- 痛みを和らげる
- 熱を下げる
他の非ピリン系の鎮痛薬に比べると、炎症を鎮める作用は弱めです。
また、アセトアミノフェンは他の薬に比べると副作用が起こりにくい点も特徴的です。
ただし、体質などによっては次のような副作用が起こることもあります。
- 吐き気
- 食欲不振
- チアノーゼ
- 血小板減少
- アナフィラキシーショック
- 過敏症
特に注視されているのは過敏症です。
アセトアミノフェンによる過敏症では、重度の発疹・発熱・多臓器不全などが起こります。
最悪の場合は命を落とす可能性もあります。
効き目の強さから選ぶ
頭痛薬は効き目が強いものを選びたいという方も多いでしょう。
しかし実は、薬の効き目はご自身との相性によって異なります。
たとえば他人にはよく効く薬であっても、自分にはあまり効かないというケースはよくあります。
よく効く薬を見つけるには、複数の薬を試して一番あうと感じるものを探すのがおすすめです。
医療機関を受診した方がよい頭痛
次のような頭痛がある場合は、できる限り早めに医療機関を受診してください。
- バットで殴られたような強烈な痛み
- 痛みが次第に強くなる
- 動悸・息切れ・めまいなど頭痛以外の症状を伴う
- 手足のまひや言語障害がある
- 意識がない
上記のような特徴がある場合は二次性頭痛が疑われます。
二次性頭痛とは、脳卒中などの重大な病気を原因とする頭痛です。
二次性頭痛は放置すると症状が悪化したり、命が脅かされたりすることがあります。
心当たりがある場合は、我慢せずにすぐに病院を受診してください。
緊急度が高いと感じる場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう。
市販薬で対処する頭痛
市販薬で改善が期待できる頭痛の特徴は次の通りです。
- 我慢できる程度の頭痛
- 肩こり・首こりがある頭痛
- 時間が経つと治まる頭痛
- ストレス・睡眠不足の自覚がある場合
- 二日酔いによる頭痛
上記にあてはまる場合は、緊張型頭痛や片頭痛の可能性が高いです。
緊急度が低いと感じる場合は、市販薬を服用して少し様子を見ても構いません。
上記にあてはまる場合でも、耐え難いほど辛い場合は医療機関を受診してください。
頭痛の症状が出たときの状態確認
頭痛は原因に応じて対処法が異なります。
そのため頭痛が起こったときは、原因に心当たりがないか考えてみるのもおすすめです。
もし心当たりがある場合は、原因を解消すれば頭痛も治まることがほとんどです。
頭痛が起こりやすい原因には、たとえば次のようなものがあります。
熱中症|暑い場所にいた
頭痛は熱中症で起こることもあります。
熱中症が起こりやすいのは次のような場面です。
- 気温が高い場所に長時間いた
- 激しい運動をした
- 汗をたくさんかいた
頭痛がある場合、熱中症が一定程度進行している可能性があります。
放置すると命を落とす危険もあるため、迅速に対処しましょう。
第一に、涼しい場所で安静にしてください。
衣服はゆるめて、汗はこまめに拭いてください。
冷却材などを使って身体を冷やすのも有効です。
可能であれば水分補給しましょう。
おすすめはスポーツドリンクや生理食塩水です。
自力で水分補給ができない場合、熱中症が重症化しているおそれがあります。
歩行障害・言語障害・昏睡がある場合も重度の熱中症のサインです。
すぐに救急車を呼んでください。
二日酔い|飲み過ぎた
お酒を飲みすぎたときに出る頭痛は、二日酔いと捉えましょう。
二日酔いによる頭痛を治すには、こまめな水分補給がおすすめです。
二日酔いの頭痛の理由の多くは、脱水症状とアセトアルデヒドであるためです。
脱水症状とは身体の水分が不足した状態です。
アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が極端に不足しやすくなります。
アセトアルデヒドは、アルコールが肝臓で分解されるときに合成される有害物質です。
飲みすぎるとアセトアルデヒドが大量発生するため、頭痛などの二日酔い症状が起こりやすくなります。
二日酔いの頭痛を軽減するには、アセトアルデヒドを素早く排出することが大切です。
そのためには水分を補給して排尿の回数を増やす必要があります。
水分をこまめに補給することは脱水症状の解消にもつながります。
肩こり|肩に痛みがある
肩や首のこりは頭痛の大きな原因の1つです。
肩こりが原因で起こるのは、主に緊張型頭痛です。
肩こりが原因の頭痛を改善するには、まず肩こりを解消しましょう。
たとえばストレッチで硬直した筋肉をほぐすのがおすすめです。
湿布やホットタオルを使って、患部を温めるのも有効です。
肩こりで頭痛が起こるのは、硬直した筋肉が血管や神経を圧迫するためです。
筋肉の硬直をほぐすことで血管・神経の圧迫も解消されるため、頭痛も自然に治まりやすくなります。
眼精疲労|目を酷使した
頭痛は眼精疲労の症状の1つでもあります。
眼精疲労とは、目の疲れが極度に蓄積した状態です。
眼精疲労による頭痛を解消するには、まず眼精疲労にアプローチすることが大切です。
代表的な改善方法は、目をゆっくり休めることです。
ホットアイマスクを使ったり、ツボ押しをしたりして、目周辺の血行を促進するのもおすすめです。
眼精疲労は、目の酷使によって自律神経が乱れることで起こります。
デスクワークなどで長時間目を酷使すると、毛様体という目周辺の筋肉が疲弊します。
すると毛様体を管理している自律神経が刺激されて、バランスを崩しやすくなります。
自律神経は毛様体だけでなく、身体のさまざまな働きを管理している器官です。
自律神経が乱れると心身に悪影響が及ぶため、頭痛などの症状が起こりやすくなります。
医薬品によって起こる頭痛
医薬品が頭痛を誘発することもあります。
医薬品によって起こる頭痛の特徴をご紹介します。
出典:厚生労働省【重篤副作用疾患別対応マニュアル 平成22年 月-厚生労働省 (案)】
薬を服用後すぐに起こる頭痛
薬の服用後にすぐ起こる頭痛の多くは片頭痛です。
具体的には、脈を打つようなズキズキとした痛みがあらわれます。
頭痛の原因として、薬による脳血管の拡張が指摘されています。
脳血管が急激に拡張すると、脳の血流が一気に増加するため、脈を打つような痛みが出やすくなるのです。
服用後すぐに頭痛が起こりやすい薬としては、硝酸薬が代表的です。
硝酸薬は主に狭心症の治療に用いられます。
薬を数回使用後起こる頭痛
医薬品を複数回服用して起こる頭痛は薬物乱用頭痛と呼ばれています。
薬物乱用薬の原因となる薬の多くは鎮痛薬です。
なぜ鎮痛薬がかえって頭痛を引き起こすのでしょうか。
答えは、薬の効き目が悪くなるためです。
鎮痛薬の効果が薄れると、非常に小さな刺激にも敏感に反応しやすくなります。
つまり、小さな痛みを強烈な頭痛のように感じやすくなるのです。
月に10日以上鎮痛薬を飲む方は、薬物乱用頭痛のリスクが高いと指摘されています。
早期発見・早期対応のポイント
薬物乱用頭痛が起こった場合は、すぐにかかりつけ医に相談してください。
なお、自己判断で薬の服用を中止するのは止めましょう。
たとえば狭心症の薬による頭痛の場合、薬をやめれば頭痛は治まることがほとんどです。
一方で、薬の服用を中止すると心臓に重大なダメージが起こることもあります。
健康被害を防ぐためにも、薬による頭痛がある場合はまず医療機関を受診しましょう。
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頭痛の薬まとめ
ここまで頭痛の薬についてお伝えしてきました。
頭痛の薬の要点を以下にまとめます。
- 頭痛薬の種類は、ピリン系・非ピリン系や漢方薬など
- 頭痛薬の選び方は体質によって異なる
- 薬によって起こる頭痛とは、狭心症の薬によって起こる頭痛や、鎮痛剤の飲みすぎで起こる薬物乱用頭痛など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。