頭痛には、頭痛持ちといわれる慢性的な頭痛と脳梗塞など重篤な病気が原因の怖い頭痛があります。
慢性的な頭痛も怖い頭痛も、同じように吐き気の症状があります。
怖い頭痛や怖くない頭痛には、どんな頭痛があるのでしょうか?
本記事では吐き気を伴う頭痛について以下の点を中心にご紹介します。
- 吐き気を伴う頭痛の原因
- 頭痛の予防と対処法
- 怖い頭痛と怖くない頭痛
吐き気を伴う頭痛について、怖い頭痛か怖くない頭痛かの判断や頭痛予防の参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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吐き気を伴う頭痛の原因
吐き気を伴う頭痛には、一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一時性頭痛は、頭痛そのものが病気といわれています。
二次性頭痛は、くも膜下出血や脳腫瘍などの重篤な病気が原因といわれています。
一次性頭痛と二次性頭痛のおもな種類と症状、原因についてまとめてみました。
また、症状については記載した症状以外が発生している場合があり、記載の症状がすべてではありません。
区分 | 種類 | 症状 | 原因 |
一次性頭痛 | 片頭痛 | ・頭の片側の痛み ・ズキンズキンとした痛み ・光や音への感覚過敏 ・吐き気 | ・気圧の変化 ・血管の拡張 ・寝不足 ・その他 |
緊張型頭痛 | ・ギューっと締め付けるような痛み ・吐き気 ・首や後頭部の筋肉の痛み ・吐き気 | ・肩こり ・ストレス ・長時間のパソコン作業 ・その他 | |
群発頭痛 | ・一度発生すると、毎日続く痛み ・夜間に多い ・前頭部から目の奥にかける痛み ・目の充血、鼻づまり ・吐き気 | ・不明 ・アルコールの摂取や季節の変わり目に多い | |
二次性頭痛 | くも膜下出血 | ・鈍器で殴られたような痛み ・急激な激しい痛み ・吐き気 | ・くも膜下腔への血液の流入 |
脳動脈解離 | ・半身麻痺 ・激しい痛み ・後頚部痛や後頭部痛 ・吐き気 | ・脳動脈の脈壁がはがれ、脳動脈瘤が発生し脳梗塞を発症 | |
脳腫瘍 | ・激しい痛み ・目のかすみや痛み ・吐き気 | ・脳の腫瘍が大きくなることでおきる脳の圧迫 | |
髄膜炎 | ・発熱 ・頭痛 ・吐き気 | ・髄膜炎菌の感染 |
原因のはっきりしない一次性頭痛よりも、二次性頭痛は原因が明確です。
また、二次性頭痛の場合は重篤な病気の場合が多く、最悪の場合は命を脅かす危険があります。
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女性特有の吐き気を伴う頭痛の原因
女性特有の頭痛の原因に、月経や妊娠によるホルモンバランスの変化があります。
女性のホルモンバランスの変化について、短いスパンは毎月の排卵と月経です。
長いスパンでは、妊娠と閉経があります。
現代では不妊に悩む女性が多く、排卵と月経の期間が乱れる月経困難症もあります。
また、月経前に頭痛や吐き気がおこる月経前症候群(PMS)という症状があります。
月経困難症もPMSも、ホルモンバランスの変化が原因で発生する疾病です。
月経時片頭痛
月経時片頭痛とは、月経の数日前に頭痛がおきるなど月経周期に関連しておこる頭痛のことです。
月経時片頭痛には、エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの増減が関係しているといわれています。
エストロゲンは、その月の生理が終わると排卵に向けて増えていきます。
一方で排卵のときには、急激な減少がおきます。
急激な減少のあとは、少しずつ増えていき次の生理までに緩やかに減少します。
排卵時のエストロゲンの急激な減少により、脳内では神経伝達物質のバランスに変化がおきます。
神経伝達物質のバランスが変わることで、脳内神経に炎症がおきたり血管の拡張が発生したりします。
その結果、片頭痛になることがあります。
妊娠高血圧症候群
妊娠中に高血圧を発症することを、妊娠高血圧症候群と呼びます。
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に20人に1人の割合で発症している疾患です。
妊娠高血圧症候群では、とくに自覚症状が無い場合も多いですが、症状がある場合は、
- 重度のむくみ
- 頭痛
- お腹の張りや痛み
- 吐き気
などがあります。
妊娠高血圧症候群は発症すると重症化しやすいため、注意が必要です。
妊娠高血圧症候群が重症化した場合、お母さんとその赤ちゃんには以下のような症状が現れることがあります。
お母さん | 赤ちゃん |
蛋白尿 | 胎児発育不全 |
肝機能障害 | 常位胎盤早期剥離 |
腎機能障害 | 胎児機能不全 |
神経障害 | 胎児死亡 |
血液凝固障害 |
ピルの副作用
生理痛や月経困難症の治療に使われる低用量ピルの副作用で、頭痛になることがあります。
ピルを服用することで発生する副作用は、
- 頭痛
- 吐き気
- 悪心
- 乳房の張りや痛み
- 不正出血
- 血栓症
などがあります。
ピルの服用で発症した頭痛や吐き気については、ピルを処方してもらった婦人科で相談することができます。
ピルの副作用と原因がはっきり分かっていれば、市販の頭痛薬を服用することでも頭痛や吐き気を緩和できます。
頭痛の予防と対処法
頭痛の種類によっては、ストレッチやバランスの良い食事で改善することがあります。
改善する頭痛は、おもに片頭痛や緊張型頭痛です。
片頭痛や緊張型頭痛がよくおこる方は、頭痛予防として日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ストレッチ
肩や首が緊張して固まることで、頭痛の発症につながります。
簡単にできる2つの頭痛予防ストレッチをご紹介します。
【コマ回しストレッチ】
- 1 足を肩幅に広げ正面を向く
- 2 両腕を体の横にまっすぐ伸ばす
- 3 胸の前に手がくるように肘を曲げる
- 4 両腕の位置と、頭の位置をキープする
- 5 右腕の肘が正面にくるように肩を90度前に回す
※左腕は後ろに90度回す形になります - 6 腕の位置をキープしたまま正面を向く
- 7 左腕の肘が正面にくるように肩を90度前に回す
※右腕は後ろに90度回す形になります - 8 5から7をリズミカルに20回続ける
【肩回しストレッチ】
- 1 足を肩幅に広げ正面を向く
- 2 両腕を体の横にまっすぐ下ろす
- 3 下ろした両腕を横に上げ、右手を右肩、左手を左肩にのせる
- 4 手をのせたまま、リュックサックを下ろすように肘を後ろに10回まわす
- 5 手をのせたまま、リュックサックを背負うように肘を前に10回まわす
どちらのストレッチも上半身の動きがメインのため、椅子に座った状態でもできます。
バランスの良い食事
日々の食事で頭痛の改善や予防ができます。
主にマグネシウムやビタミンB2の摂取で片頭痛の予防ができるといわれています。
マグネシウムやビタミンB2を含む食品を常日頃食べていても、片頭痛を完全に防げるわけではないため注意してください。
しかし、毎日同じ時間に朝食を食べるなど、生活のリズムを整えることが頭痛の予防や改善につながります。
強い痛みや長く続く痛みがあるときは、医療機関を受診してください。
以下に、マグネシウムとビタミンB2を含む食品をご紹介します。
マグネシウム | ビタミンB2 |
海藻(わかめ、海苔など) | 豚肉 |
大豆製品(納豆、豆味噌、枝豆など) | レバー(豚、牛、鶏) |
ナッツ類(アーモンド、くるみなど) | アーモンド |
魚(かつお、まぐろ、いわしなど) | 海藻(わかめ、海苔など) |
玄米 | 納豆 |
雑穀(あわ、きびなど) | 牛乳 |
アーモンドや牛乳、くきわかめなど、コンビニで手軽に購入できるものもあります。
おやつをアーモンドにしてみるなど、気軽に始められるところから試してみましょう。
十分な睡眠
短時間睡眠や長すぎる睡眠で頭痛になることがあります。
睡眠時間が頭痛の発症につながる理由は、睡眠中のホルモンの分泌が関与していると考えられています。
また、深夜までスマホ操作をおこなっていると、目の疲れから頭痛になることがあります。
他にも、高すぎる枕や柔らかすぎるマットレスの使用など、寝ているときの姿勢も頭痛の原因になります。
そのため、頭痛で悩んでいる場合はご自身の寝具を見直すこともおすすめです。
頭痛がおきた日を記録する
頭痛の症状や頭痛がおきた日を記録することで、ご自身の頭痛の状況が把握できます。
例えば、前日に飲酒していたとか午前中の頭痛が多いなど、いつもなら忘れてしまうことも記録を取ることによって改めて認識できます。
頭痛の記録には、インターネットでフォーマットがダウンロードできる頭痛ダイアリーがおすすめです。
また、頭痛ダイアリーを書いていると、医療機関を受診したときに説明がしやすいというメリットもあります。
鎮痛剤と予防薬を正しく内服する
頭痛の薬には、痛みが出たときに飲む鎮痛剤と毎日服用する予防薬があります。
鎮痛剤は市販されているものも多く、手軽に服用できます。
一度飲んだあとは、6時間あけてから次の服用をするなど注意が必要です。
用法用量を守らずに鎮痛剤を服用していると、薬物乱用頭痛を発症する危険があります。
また、予防薬は頭痛の症状が出ていないときも服用が必要な薬で、市販品はありません。
予防薬を希望する場合は、医療機関を受診してください。
マグネシウムは頭痛に効果的?
マグネシウムの摂取が、片頭痛の痛みを軽減するといわれています。
片頭痛は、脳の血管が拡張することで痛みを発生する頭痛です。
マグネシウムは血管の収縮を正常化する働きがあるため、片頭痛の痛みを緩和できます。
また、片頭痛を発症している人とそうでない人では、片頭痛を発症している人のほうが体内マグネシウム量が低いという結果もあります。
厚生労働省では、体内のマグネシウム欠乏は頭痛を助長する要因と関連すると発表されています。
マグネシウムの1日に必要な摂取量は、以下の表を参照ください。
【1日に必要なマグネシウムの量】
年齢 | 男性 | 女性 | 妊婦 | 授乳婦 |
生後0〜6か月 | 30mg | 30mg | ||
生後7〜12か月 | 75mg | 75mg | ||
1〜3歳 | 80mg | 80mg | ||
4〜8歳 | 130mg | 130mg | ||
9〜13歳 | 240mg | 240mg | ||
14〜18歳 | 410mg | 360mg | 400mg | 360mg |
19〜30歳 | 400mg | 310mg | 350mg | 310mg |
31〜50歳 | 420mg | 320mg | 360mg | 320mg |
51歳以上 | 420mg | 320mg |
出典:厚生労働省【統合医療に係る情報発信等推進事業】
マグネシウムの必要量をすべて食事でまかなうことは難しいこともあります。
そのため、サプリメントなどを利用する方法もあります。
吐き気を伴う頭痛は何科で診察?
吐き気を伴う頭痛は、頭痛外来や脳神経内科、脳神経外科で診察できます。
しかし、個人のクリニックでは頭痛外来をおこなっているクリニックが少ないのが現状です。
頭痛外来や脳神経内科のある総合病院を受診するには、紹介状が必要なことが多いです。
まずは、かかりつけの内科で受診しましょう。
ただし、今まで経験したことのないような激痛などの場合は、くも膜下出血など怖い病気の可能性があるため、救急車の利用も必要です。
怖い頭痛と怖くない頭痛
どんな頭痛も辛い症状ですが、頭痛には怖い頭痛と怖くない頭痛があります。
以下で詳しくご紹介します。
怖くない頭痛
怖くない頭痛についてもさまざまあります。
それぞれの特徴をご紹介します。
偏頭痛(片頭痛)
偏頭痛や片頭痛は同じ症状の頭痛を指しますが、医学的には片頭痛の表記になります。
片頭痛は、頭の片側が痛む場合が多いです。
血管が拡張したことで発生するズキンズキンとした拍動性のある痛みが特徴です。
光や音に対して敏感になったり、吐き気を伴ったりすることが多くあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭を締め付けられるような痛みが特徴です。
また痛みが何日も続くなど、継続的な症状があります。
日頃からパソコン作業が多いなど、首や肩のコリに悩む方に多い症状です。
群発頭痛
群発頭痛は、眼の周辺や前頭部、側頭部におこる激しい痛みが特徴です。
数週間から数か月にかけて群発します。
また、頭痛が発生したときに目の充血や流涙、瞼が下がるなど特徴的な症状を伴うことがあります。
怖い頭痛
頭痛が他の病気の兆候の1つである場合、命の危険を伴うような病気が隠れていることがあります。
命の危険を伴うような怖い頭痛について、それぞれの特徴をご紹介します。
くも膜下出血
頭は頭蓋骨と脳の間に、
- 頭蓋骨
- 硬膜
- くも膜
- くも膜下腔
- 脳
の順に層になっています。
くも膜下出血とは、脳の動脈が破裂し血液がくも膜下腔に流入した状態です。
ハンマーで殴られたような痛みや経験したことのない痛みと表現されるほど、急激な激しい痛みが特徴です。
脳動脈解離
脳動脈の血管壁は、内膜、中膜、外膜という3層構造になっています。
脳動脈解離とは、脳動脈の膜が裂け血管壁内に血液が流入して脳動脈瘤ができる状態です。
脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血や脳梗塞を発症します。
脳動脈解離は、動脈壁が解離した側の後頚部痛や後頭部痛に発生するのが特徴です。
脳腫瘍
脳腫瘍とは、脳や脳の周りの組織にできる腫瘍の総称です。
脳腫瘍には、腫瘍のできた場所や腫瘍の種類によってさまざまな症状があります。
しかし、すべての脳腫瘍が頭蓋骨の内側に発生します。
そのため、腫瘍が大きくなることで頭蓋骨の内側の圧力が増加し、共通の症状が発生します。
共通する症状
- 頭痛
- 目のかすみや痛み
- 吐き気
他には、脳腫瘍の場所や種類により、半身麻痺や言語障害などさまざまな症状が発生します。
その他
怖い頭痛には、他にも
- 副鼻腔炎
- 薬物乱用頭痛
- 髄膜炎
- 慢性硬膜下血腫
などがあります。
熱がある頭痛、熱がない頭痛
頭痛の症状のなかで、髄膜炎や風邪のように発熱のある頭痛と、眼精疲労のように発熱のない頭痛があります。
熱がある頭痛と熱がない頭痛、それぞれの特徴をご紹介します。
熱がある頭痛
発熱を伴う頭痛には、髄膜炎や風邪などがあります。
以下で詳しくご紹介します。
髄膜炎
髄膜炎とは髄膜にウイルスや細菌が入り、髄膜に炎症をおこす疾病です。
髄膜炎の特徴に、
- 風邪のような症状
- 進行が早く死亡リスクが高い
- 後遺症が残りやすい
などがあります。
頭痛や嘔吐の他に、光過敏症や皮下出血の症状がある場合は髄膜炎の可能性があります。
そのため、早急に医療機関を受診してください。
風邪
風邪は、風邪症候群という老若男女だれもが感染するウイルス感染症です。
症状は、
- 発熱
- 嘔吐
- 頭痛
- 悪寒
- 咳
- くしゃみ
- のどの痛み
などがあります。
主に冬に感染することが多く、市販薬も多く販売されています。
熱がない頭痛
熱の出ない頭痛には、眼精疲労などがあります。
以下で詳しくご紹介します。
眼精疲労
眼精疲労では目に症状が出ますが、目以外にも症状が出ることがあります。
目の症状 | 目以外の症状 |
かすみ | 頭痛 |
痛み | 肩こり |
乾き | 吐き気 |
充血 | めまい |
発熱はなく、目薬や目のマッサージで頭痛が軽減する特徴があります。
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吐き気を伴う頭痛に効く市販薬5選
片頭痛など怖くない頭痛は、市販の鎮痛剤の服用で頭痛が軽減されます。
多くの市販薬がありますが、ここでは5つの市販薬の商品名とその効果をご紹介します。
商品名 | 効果 |
ロキソニンS | ロキソプロフェンが体内でおこる痛みや炎症をおさえ、解熱します |
タイレノールA | アセトアミノフェンが脳に作用し、痛みや発熱をおさえます |
イブクイックDX | イブプロフェンの含有量が多く、痛みのもとをおさえます |
バファリンA | アスピリンの作用で、熱を下げ痛みを和らげます |
リングルアイビーa200 | イブプロフェンを配合したジェルカプセルで、痛みのもとをおさえます |
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頭痛のよくある質問6つ
頭痛のよくある質問を6つと回答をご紹介します。
片頭痛は治りますか?
片頭痛を治すことは難しいです。
しかし、生活習慣の改善などで症状を緩和したり、片頭痛の頻度を減らすことは可能です。
頭痛の予防法はありますか?
予防法はあります。
睡眠時間の改善や、ストレス解消、ストレッチなどで予防できます。
市販薬で対処できない頭痛の見分け方を教えてください
以下の症状があった場合は、市販薬ではなく医療機関を受診してください。
・感じたことのない強い急激な頭痛
・だんだん悪化してくる頭痛
・発熱を伴う頭痛
・言葉や体に異常が出ている
・意識障害がある
いつも飲んでいる鎮痛剤が効かなくなってきた
10日以上服用している場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。医療機関を受診してください。
天気と頭痛は関連しますか?
気圧の変動や、光が頭痛に関連していることがあります。
片頭痛は女性に多いのは本当ですか?
本当です。30代の女性に最も多く、男性に比べ約4倍の発症率といわれています。
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吐き気を伴う頭痛のまとめ
ここまで吐き気を伴う頭痛についてお伝えしてきました。
吐き気を伴う頭痛について要点を以下にまとめます。
- 吐き気を伴う頭痛の原因は、命にかかわる脳の疾病の場合もあるが、片頭痛のように原因のはっきりしない頭痛もある
- 頭痛の予防と対処法は、頭痛の種類により異なるが、頭痛持ちといわれる方の予防は、食生活の見直しやストレッチなどで改善する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。