頭痛は年齢・性別を問わずに起こりやすい体調不良の1つです。
特に、後頭部の頭痛に悩まされている方は少なくありません。
後頭部の頭痛の原因とはいったい何なのでしょうか。
本記事では、後頭部の頭痛について以下の点を中心にご紹介します。
- 後頭部の頭痛の原因
- 後頭部の頭痛の対処方法
- 後頭部の頭痛が出やすい病気
後頭部の頭痛について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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後頭部の頭痛の原因
後頭部の頭痛の原因をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
緊張型頭痛
後頭部の頭痛の原因の多くは緊張型頭痛です。
緊張型頭痛は、頭の両側がベルトで締め付けられるように痛むのが特徴です。
緊張型頭痛は、首や肩のこりによって起こることがほとんどです。
首や肩の筋肉が硬直すると、頭部への血管が阻害されます。
結果として、後頭部などに痛みが生じやすくなります。
後頭神経痛
後頭部の頭痛は、後頭神経痛で起こることもあります。
多くの場合、痛みは左右どちらかにのみ発生します。
後頭神経痛の痛み方は、ジンジン・チクチクなどと表現されることが一般的です。
後頭神経痛には次の3種類があります。
- 大後頭神経痛
- 小後頭神経痛
- 大耳介神経痛
いずれも症状に大きな差はありません。
後頭神経痛の主な原因は、頭皮にある感覚神経が刺激されることです。
たとえば血管の拡張による圧迫・ケガ・肩こりが代表的です。
原因が見つからない場合もあります。
脳動脈瘤解離
脳動脈瘤解離は、脳血管にできたコブが裂ける状態です。
あふれ出した血液が血管を圧迫したり、塞いだりすると、頭部に痛みが生じやすくなります。
脳動脈瘤解離では、バットで殴られたような激しい頭痛が目立ちます。
言語障害・知覚障害・手足のしびれなどの症状を伴うこともあります。
脳動脈瘤解離は一気に悪化しやすく、ときに命を脅かすこともあります。
気になる症状がある場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
片頭痛
片頭痛は、頭の片側が脈を打つように痛むのが特徴的です。
主な原因として、脳血管の急激な拡張が指摘されています。
脳血管が急激に拡張すると、血流が一気に増加します。
結果として、脈打つような痛みが出やすくなります。
脳血管の拡張は、次のような理由で起こります。
- ストレス
- 疲労
- 睡眠不足
- ホルモンバランスの変化
片頭痛は男性より女性に目立ちます。
片頭痛は、身体を動かすと痛みが増す点が特徴的です。
片頭痛では、頭痛以外の症状を伴うこともあります。
代表的なのは吐き気・めまい・感覚過敏などです。
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後頭部の右側・左側の頭痛の原因
左右の後頭部に起こる痛みについて、主な原因をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
三叉神経痛
三叉神経痛は、顔の奥にある三叉神経が痛む状態です。
多くの場合、症状は左右のどちらか一方にあらわれます。
三叉神経痛では、顔面から頭部にかけてつきあげられるような痛みが出ます。
びりびりと電気が走るような強烈な痛みが特徴的です。
1回あたりの痛みの持続時間は数秒~数分です。
ただし、三叉神経痛は繰り返すことがほとんどです。
三叉神経痛の原因は、三叉神経痛が刺激されることです。
たとえば腫瘍・血管などによる圧迫が代表的です。
後頭部の付け根の頭痛の原因
後頭部の付け根が痛む場合の原因は次の通りです。
心当たりがないかチェックしてみてください。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭の両側がギューッと締め付けられるように痛むのが特徴です。
後頭部を中心に、頭部全体が痛むこともあります。
主な原因は肩こり・首こりなどです。
精神的なストレスで起こることもあります。
後頭神経痛
後頭神経痛では、後頭部に激しい痛みがあらわれます。
首を動かしたときに痛みがあらわれることが多いです。
後頭神経痛は、痛みの持続時間はさほど長くありません。
ただし、痛みは突発的に何度も繰り返すケースが目立ちます。
原因の多くはストレス・肩こりです。
他の全身疾患が原因で起こることもあります。
頚性疼痛
頚性疼痛は頚にあらわれる痛みです。
頚とは、頭と胴体をつなぐ部分です。
いわゆる頸椎を指します。
頚性疼痛では頚の後ろや付け根に痛みが出ます。
首を動かしたときや、重いものを持ったときに強まるのが特徴的です。
主な原因は、脊髄・頚部周辺の神経が圧迫・刺激されることです。
代表的なのは頚椎症性脊髄症です。
頚椎症性脊髄症は、加齢によって骨が棘状に曲がることです。
棘状になった骨が脊髄・神経を刺激すると、後頭部などに痛みが出やすくなります。
後頭部の頭痛の治療方法
後頭部の頭痛の治療法を原因別にご紹介します。
ぜひお役立てください。
緊張型頭痛の治療方法
緊張型頭痛の主な原因は、肩やくびのこりによる頭部の血行不良です。
つまり改善するには、頭部の血行を促進する必要があります。
代表的なのは温熱療法やマッサージです。
温める・揉むことで、筋肉のこわばりをほぐす効果が期待できます。
痛みが強い場合は、鎮痛剤を利用するのも1つの方法です。
あわせて、日頃から肩こり・首こりの予防に努めることも大切です。
たとえばストレッチ・軽い運動は、筋肉をほぐして血行を促進します。
後頭神経痛の治療方法
後頭神経痛の多くは、放置しても自然に治ります。
症状が自然消失するまで待てない場合は、薬物療法を行うことが一般的です。
代表的な薬剤は、鎮痛剤・神経痛を抑制する薬です。
痛みが強い場合は、ブロック注射を行うこともあります。
ブロック注射とは、麻酔を利用して、痛みを感じる神経を一時的に麻痺させる方法です。
脳動脈瘤解離の治療方法
脳動脈瘤解離では、基本的に外科手術が選択されます。
代表的な手術方法は次の通りです。
コイル塞栓術 | 脳動脈瘤の中に金属製のコイルを挿入して血液の流入をせき止める |
開頭クリッピング | 脳動脈瘤の入り口をクリップで留めて血液の流入をせき止める |
脳動脈瘤解離は、裂けた部分が自然に修復されることもあります。
リモデリングという現象です。
リモデリングが見られる場合は、定期的な診察をしながら経過観察する場合もあります。
片頭痛の治療方法
片頭痛の主な治療法は薬物療法です。
痛みを抑える鎮痛剤が処方されることが一般的です。
ただし、鎮痛剤の飲みすぎは、かえって頭痛の悪化の原因となります。
そのため鎮痛剤のかわりに、漢方薬が処方されることもあります。
漢方薬は血行を促進したり、体内の循環を調整したりすることで片頭痛を和らげます。
片頭痛に効く漢方薬の例は次の通りです。
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
- 五苓散(ごれいさん)
- 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
- 釣藤散(ちょうとうさん)
生理に伴う片頭痛の治療には、ホルモン療法がおこなわれることもあります。
代表的なのはピルです。
生理による頭痛は、女性ホルモンのバランスの変化で起こります。
ピルはホルモンバランスを調整することで、頭痛などの不調を防ぎます。
ただし、ピルによる片頭痛の治療には慎重を期す必要があります。
特に、閃輝暗点などの予兆がある片頭痛の治療にはピルは利用できません。
閃輝暗点とは、視界に小さな光の点があらわれる現象です。
片頭痛前に閃輝暗点があらわれる方は、脳梗塞のリスクが高いとされています。
一方、ピルには血の塊(血栓)ができやすくなる副作用があります。
そのため、脳梗塞のリスクがある方には、たとえ頭痛の治療であっても処方できません。
三叉神経痛の治療方法
三叉神経痛の治療方法は大きく2つに分かれます。
対症療法と根治療法です。
対症療法は、症状の軽減を目指す治療法です。
次のような方法が代表的です。
鎮痛剤 | 薬で痛みを抑制する |
ブロック注射 | 局所麻酔で痛みを感じる神経を麻痺させる |
ガンマナイフ | 放射線で痛みを感じる神経を焼却する |
根治療法は、三叉神経痛の原因を取り除く方法です。
対症療法よりも高い治癒効果が期待できます。
根治療法は基本的に外科手術です。
頭を切開して、三叉神経を刺激している原因を取り除きます。
具体的には、三叉神経に触れている血管を移動させたり、腫瘍を切除したりします。
頚性疼痛の治療方法
頚性疼痛では、対症療法が行われることが一般的です。
代表的な治療方法は次の通りです。
鎮痛剤 | 薬で痛みを抑制する |
ブロック注射 | 局所麻酔で痛みを感じる神経を麻痺させる |
理学療法 | マッサージなどで患部の血行を促進する |
温熱療法 | 患部を温めて血行を促進する |
牽引療法 | 専用の装具で頭を固定し、頚にかかる負担を軽減する |
痛みがひどい場合は、外科手術が行われることもあります。
代表的なのは、経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)です。
PLDDでは、レーザーを照射して頚の神経を圧迫している骨を整えます。
日常生活上の頭痛の治療方法
日頃からできる頭痛の予防・改善方法をご紹介します。
頭痛にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
頭痛の状況を記録する
頭痛を繰り返す場合は、頭痛の状況を記録するのも良い方法です。
記録項目の例は次の通りです。
- 症状が出た日時
- 痛みの種類
- 症状の持続時間
- その他の症状の有無
- 薬の服用状況
頭痛の状況を細かく記録することで、頭痛が出やすいタイミングを予測しやすくなります。
また、どのようなケアをすれば回復が早まるのかという分析も可能になります。
正しく自分の頭痛の状況を知ると、適切な対処方法を取りやすくなるでしょう。
規則正しい生活
頭痛は、ストレスや疲労が原因で起こることが少なくありません。
ストレスや疲労を溜めないためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
具体的には、就寝・起床の時刻を一定にしましょう。
睡眠のリズムを固定化すると、体内時計が整いやすくなります。
体内時計の改善は、頭痛をはじめ心身の不調の緩和につながります。
ストレッチで筋肉をほぐす
頭痛は、肩や首の筋肉が緊張すると起こりやすくなります。
頭痛を予防・改善するには、肩・首のこりを予防・解消することが大切です。
たとえば適度な運動・軽い体操などを心がけましょう。
デスクワーク中に首や腕を回すだけでも十分な運動になります。
ストレス解消
ストレスは頭痛の原因の1つです。
特に片頭痛は、ストレスが原因で起こるケースが目立ちます。
頭痛を治すには、ストレスを溜めないことが大切です。
たとえば休息は代表的なストレスの解消方法です。
趣味に打ち込んだり、旅行・買い物などを楽しむのもよいでしょう。
後頭部の頭痛で注意すべき症状
後頭部の頭痛は、重大な疾患のサインで起こることもあります。
次のような症状がある場合は、なんらかの病気の可能性が高いです。
- バットで殴られたような激痛
- 次第に痛みが強くなる
- 言語障害・手足のまひなどを伴う
- 精神疾患がある
- がん・免疫不全などの疾患がある
- 50歳以降の方の初めての頭痛
上記以外にも不安な症状があらわれた場合は注意が必要です。
緊急度が高いと感じるときは、ためらわずに救急車を呼んでください。
頭痛に漢方薬は有効か?
頭痛には漢方薬が効くこともあります。
実験では、女性の片頭痛に3ヶ月漢方薬を服用し続けたところ、73.2%に改善がみられました。
頭痛に効く代表的な漢方薬は次の通りです。
効果とあわせてご覧ください。
呉茱萸湯 | 身体を温めて血の巡りをよくする |
経枝人参湯 | 水分の循環をよくする |
釣藤散 | 血と気の巡りをよくする |
葛根湯 | 身体を温めて筋肉の硬直をほぐす |
五苓散 | 身体を温める |
漢方は継続することで効果を発揮します。
そのため最低でも1ヶ月は飲み続けましょう。
出典:【頭痛の診療ガイドライン2021】
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後頭部が痛くなる病気
後頭部に痛みが出やすい主な病気をご紹介します。
いずれも放置すると、命を脅かす危険があります。
心当たりがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
脳腫瘍
脳腫瘍は頭蓋骨の中にできる腫瘍です。
脳腫瘍ができると、慢性的な頭痛が起こりやすくなります。
特に起床時に痛みが出るケースが目立ちます。
頭痛以外の主な症状は次の通りです。
- 吐き気・嘔吐
- 視覚の異常
- 手足のまひ・しびれ
- 言語障害
脳出血
脳出血は、脳内の血管がなんらかの原因で破れて出血する状態です。
あふれ出した血液が脳神経や脳細胞を圧迫すると、頭痛が起きやすくなります。
頭痛以外の主な症状は次の通りです。
- 手足のまひ・しびれ
- 言語障害
- 視覚の異常
- 失神
あらわれる症状は、血管が破れる位置などによって異なります。
脳出血の原因の多くは高血圧です。
くも膜下出血
くも膜下出血は、脳にあるくも膜の下の血管が破れて出血する状態です。
くも膜下出血による頭痛は、冷や汗が出るほどの激痛であることがほとんどです。
頭痛の原因は、あふれ出した血液が脳神経などを圧迫することです。
あるいは出血によって脳が虚血に陥ることも頭痛の原因の1つです。
くも膜下出血の頭痛以外の症状は次の通りです。
- 手足のまひ・しびれ
- 言語障害
- 視覚の異常
- 失神
髄膜炎
髄膜炎は、脳と頭蓋骨の間にある髄膜が炎症を起こす状態です。
原因の多くはウイルス・細菌への感染です。
髄膜炎は、がんやリウマチなどの全身疾患が原因で起こることもあります。
頭痛以外の主な症状は次の通りです。
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 首の硬直
- 言語障害
脳炎
脳炎は、脳内に白血球が侵入して炎症を起こす状態です。
主な原因は、ウイルス・細菌への感染です。
自己免疫不全で起こることもあります。
頭痛以外の主な症状には次があります。
- 頭痛
- 発熱
- 意識障害
- けいれん
- 異常な行動
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後頭部の頭痛は何科に受診するべき?
後頭部の頭痛による受診では、次のような診療科が適しています。
- 整形外科
- 頭痛外来
- 脳神経内科・外科
- 心療内科
- 精神科
肩こり・首のこりなどがある場合は整形外科が適しています。
脳の病気が疑われる場合は、頭痛外来や脳神経内科を受診しましょう。
たとえば、激しい頭痛・手足のまひなどがある場合が該当します。
後頭部の頭痛はストレスで起こることもあります。
精神面での不調を抱えている方は、心療内科や精神科を受診するのも1つの方法です。
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後頭部の頭痛で行う検査
後頭部の頭痛の代表的な検査をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
MRI検査
MRI検査は磁気を利用して脳内の様子を観察する方法です。
脳血管の詰まり・破れなどを正確に観察できます。
磁気を利用するため、ペースメーカーなどの体内金属がある方は利用できません。
CT検査
CT検査はX線を使って脳内を撮影する方法です。
脳内の出血の有無・血管のつまりなどを確認するのに適しています。
微量の放射線を浴びるため、妊娠中の方は利用できません。
エコー検査
エコー検査は、超音波をあてて頭部の様子を画像化する方法です。
頚性疼痛などの検査で利用されることが一般的です。
頭痛のよくある質問
頭痛にまつわる質問をQ&A形式でまとめました。
ぜひ参考にしてください。
後頭部の頭痛に市販の鎮痛薬は使用できますか。
市販の鎮痛薬を使用できます。
次のような成分が配合されたものを選びましょう。
- ロキソプロフェン
- イブプロフェン
- アセトアミノフェン
頭痛がひどいときはどう対処すればよいですか。
頭部の血行を促進しましょう。
たとえば身体を温めたり、痛みがある部分をマッサージしたりする方法があります。
肩・首のこりがある方は、筋肉の緊張をほぐすことも大切です。
頭痛があるときは温めるのと冷やすのとどちらがいいですか。
緊張型頭痛は血行の悪化で起こるため、温めるのがおすすめです。
一方、緊張型頭痛は血管の拡張で起こります。
血管を収縮させるには冷やす必要があります。
頭痛になりやすいのはどんな方ですか。
次のような方は頭痛が起こりやすい傾向があります。
- 几帳面
- 完璧主義
- 正義感が強い
上記のような方には、頭痛の中でも特に片頭痛が目立ちます。
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後頭部の頭痛まとめ
ここまで後頭部の頭痛についてお伝えしてきました。
後頭部の頭痛の要点を以下にまとめます。
- 後頭部の頭痛の原因は緊張型頭痛・片頭痛・後頭神経痛など
- 後頭部の頭痛の治し方は、筋肉の緊張をほぐす・鎮痛薬の利用・ブロック注射・外科手術など
- 後頭部の頭痛が出やすい病気は脳卒中・髄膜炎・脳腫瘍など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。