GI値は、食生活を考える上で大切な指標の1つです。
実際、GI値は糖質制限ダイエットなどに役立つ指標として注目されています。
そもそもGI値とは、どのようなものなのでしょうか?
また、GI値の高い食べ物や低い食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、GI値について、以下の点を中心にご紹介します。
- GI値とは?
- 低GI値と糖尿病予防の関係は?
- GI値とGL値の違いは?
- GI値と死亡リスクとの関係は?
GI値について理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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GI値とは
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GI値とはグリセミック指数(Glycemic Index)の略です。
食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値のことを指します。
GI値と食品の関係は下記の通りです。
- GI値が高い食品:血糖値が急激に上がりやすい
- GI値が低い食品:血糖値が急激には上がりにくい
GI値は1981年にカナダのジェンキンズ博士らが提唱した指標です。
ジェンキンス博士らは、糖質量が同じでも食品によって血糖値の上がり方が違うことを発見しました。
GI値はブドウ糖を100としたときの食品の血糖値上昇率を示します。
GI値は食品に含まれる糖質の量と、食後2時間までの血糖値の上昇曲線の面積を計算することでわかります。
基準となる食品(ブドウ糖や白パンなど)の血糖値上昇曲線の面積を100として、他の食品の上昇曲線面積を計算するのです。
GI値は食品の種類や調理法、組み合わせなどによって変化することがあります。
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GI値が人体に与える影響
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GI値とは食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す指標です。
食後2時間までの血糖値の上昇を示します。
前述の通り、GI値が高い食品は一気に血糖値を上昇させます。
血糖値の急激な上昇によりインスリンの分泌が多くなったり、追いつかなくなったりすることがあります。
高GI値は、以下のような生活習慣病の原因になる可能性があります。
- 血糖値の乱高下
- 脂肪蓄積
- メタボリックシンドローム
- 糖尿病など
一方GI値が低い食品は血糖値の上昇が穏やかです。
血糖値が急激に上がらないので、インスリンの分泌も適切に保つことが可能です。
穏やかな血糖値の上昇は、満腹感やエネルギーを持続させる効果があります。
低GI値食品がダイエットに有用といわれるのは、満腹感やエネルギー持続性があるためです。
また、関連する指標に「GL値」があります。
GL値は「GI値×食品中の炭水化物量(g)÷100」で算出できます。
食品ごとに摂取する量も考慮した指標です。
GI値とGL値を意識することで、以下の理由からダイエット効果が期待できます。
- 血糖値コントロールによって脂肪蓄積を抑える
- 空腹感を減らす
ただし、GI値やGL値だけではなく、全体的な栄養バランスやカロリー摂取量も重要です。
GI値は、食べ物が血糖値へ及ぼす影響に着目した指標に過ぎません。
重要な指標の1つですが、GI値のみを拠り所とするのは避けましょう。
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低GI値/中GI値/高GI値の定義
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GI値は数値により3つに分類されています。
具体的な分類は下記の通りです。
- 70以上:高GI値
- 56~69:中GI値
- 55以下:低GI値
たとえば、白米はGI値が約80で高GI食品ですが、玄米は約55で低GI食品です。
白米と玄米の説明は以下のようになります。
- 白米は糖質の吸収が早く、血糖値を急上昇させる
- 玄米は食物繊維やビタミンなどが含まれていて、血糖値の上昇を抑える
上記のように、似た食材であってもGI値が大きく異なることもあります。
食べ方や調理方法によって血糖値の上昇率は変動します。
さまざまな角度から食べ物や食生活を見直すと、色々な発見があるでしょう。
低GI食品
低GI食品とはGI値が55以下の食品で、血糖値の上昇を緩やかにする食品です。
低GI食品を摂取すると満腹感が持続しやすく、空腹感を抑えられます。
また低GI食品は血糖値の急激な上昇や下降を防ぎ、インスリンの分泌量を低く抑えます。
インスリンの分泌を抑えることにより、脂肪の蓄積を抑制する効果も期待できるでしょう。
低GI食品の例としては、以下のようなものがあります。
いわゆる「ヘルシーな食べ物」といわれる食材が多く見られますね。
食べ物(GI値) | |||
野菜類 | カリフラワー(15) | キャベツ(10) | レタス(10) |
豆類 | 大豆(18) | レンズ豆(29) | ヒヨコ豆(28) |
ナッツ類 | ピーナッツ(14) | アーモンド(15) | クルミ(20) |
果物類 | りんご(38) | サクランボ(22) | オレンジ(40) |
穀物類 | 玄米(55) | オート麦(55) | 全粒粉パン(50) |
低GI食品はダイエットや健康管理に有効ですが、摂取量やバランスにも注意しましょう。
同じ食材であっても、食べる順番や調理法によってGI値が変化することもあります。
低GI食品だけを食べるのではなく、高GI食品との組み合わせも検討しましょう。
具体的には、タンパク質や脂質などの栄養素も考慮することが大切です。
中GI食品
中GI食品とは、GI値が56~69の食品のことです。
中GI食品は高GI食品よりも血糖値の上昇が穏やかですが、低GI食品よりも上昇しやすいと考えられます。
中GI食品の例としては、以下のものが挙げられます。
- 玄米
- 全粒粉パン
- バナナ
- オレンジジュースなど
中GI食品は高GI食品や低GI食品と組み合わせることで、血糖値の上昇や下降を緩やかにする効果が期待できます。
また、中GI食品はエネルギー源として適切な量を摂取することで、運動能力や持久力を向上させる可能性があります。
これまでの研究では中GI食品に関するものはあまり多くありません。
ですので高GI食品や低GI食品のように効果や影響について明確な結論が出ていません。
しかし一般的に中GI食品は、健康的なバランスを保つために必要なものであると考えられています。
高GI食品
一般的に、GI値が70以上の食品が高GI食品に分類されます。
高GI食品の例として、典型的なものを以下に挙げました。
- チョコレート:95
- フランスパン:93
- 食パン:91
- じゃがいも:90
高GI食品は消化吸収が早くエネルギーになりやすい利点のある食品です。
その反面、血糖値の上昇と下降も激しくなるというデメリットがあります。
高GI食品を摂る場合は、低GI食品やタンパク質・脂質・野菜なども一緒に食べましょう。
低GI食品と一緒に食べることで、血糖値の上昇を抑えられるからです。
低GI値:血糖値の上昇を緩やかにする方法
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血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
食事すると消化されたブドウ糖が血液に吸収されて、血糖値が上昇します。
しかし血糖値の急上昇はインスリン分泌過剰を起こし、結果として急激に血糖値が下がります。
このような血糖値の乱高下は、以下の症状や病気の原因になり、注意が必要です。
- 空腹感
- イライラ
- 肥満
- 2型糖尿病
そこで、食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが大切です。
血糖値の上昇をゆるやかにするためには、以下の方法があります。
食物繊維と一緒に食べる
食物繊維は消化吸収を遅らせる働きがあります。
特に水溶性食物繊維はブドウ 糖の吸収を抑える効果が期待できます。
水溶性食物繊維は、以下の食材に豊富に含まれます。
納豆 | りんご | バナナ |
ひじき | こんにゃく | 大根 |
トマト | 生ピーマン | 生しいたけ |
出典:文部科学省【食品成分データベース】
食物繊維を摂るときのコツは、以下のようなものがあります。
- 飲み物やスープなどで水分を多く摂る
→水溶性食物繊維で増粘作用を高める - 食事全体のバランスを考えて、タンパク質や脂質も適切に摂る
→バランスよく食べることで、消化吸収をさらに遅らせられる
酸(お酢など)を食事に組み込む
酸味成分は胃から小腸への移動を遅らせる働きがあります。
胃での滞在時間を増やすことにより、ブドウ糖の吸収を遅らせられるわけです。
なお、酸を含むのはお酢だけではありません。
酸味成分を含む食材には次のようなものがあります。
- レモン汁
- トマトジュース
- ヨーグルト
- チーズなど
また、ノビレチンという成分も血糖値を下げる効果が期待できるといわれています。
ノビレチンが含まれているのは、シークヮーサーなどの柑橘類です。
食べる順番を工夫する
炭水化物(ご飯・パン・麺類)から先に食べると血糖値が急上昇しやすくなります。
ですので、先にタンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)や野菜を食べましょう。
タンパク質や野菜のあとに炭水化物を食べることで、血糖値の上昇を抑えられます。
セカンドミール法とは、前回の食事から4~6時間以内に次回の食事を摂取する方法です。
セカンドミール法では2回目の食事の際に、前回のインスリン作用が残っています。
結果として血液中からブドウ糖が効率よく取り込まれ、血糖値の上昇が抑えられます。
セカンドミール法を実践するには、以下のようなポイントがあります。
- ファーストミール(1日目の最初の食事)は低GI食品を中心に摂る
- 低GI食品とは、血糖値が上昇しにくい食品のことです。
- 玄米や全粒粉パン・豆類 ・野菜・果物などが該当します。
- セカンドミール(2回目の食事)はファーストミールから4~6時間以内に摂る
- 空腹時にはセカンドミール効果は期待できません。
- 空腹時にはインスリン分泌が低下しており、ブドウ糖の取り込みが悪くなります。
- セカンドミールも低GI食品を中心に摂る
- セカンドミールでも高GI食品を多く摂ると血糖値が急上昇する可能性があります。
- 低GI食品であっても適量を守ることが大切です。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べることは、血糖値のコントロールに有効な方法の1つです。
よく噛むと、以下のようなメリットがあります。
消化がよくなり、食べ物からブドウ糖が吸収される速度が遅くなる
食べ物を細かくすることで唾液や胃液と混ざりやすくなり、消化酵素の働きがスムーズになります。
食べ物からブドウ糖が分離される速度も遅くなり、血糖値の急激な上昇を防げます。
満腹感が早く得られるため、食事量を減らせる
よく噛むことで時間をかけて食事することになります。
時間をかけて食事する間に、脳は満腹中枢からの信号を受け取り満腹感を感じるのです。
満腹感を得られるので、過剰に食べてしまうのを防げます。
インスリン分泌が促進されるため、ブドウ糖の利用効率が高まる
よく噛むことで口腔内や胃内の刺激が増えます。
刺激に反応して増加するのが、インスリン分泌量や初期分泌速度です。
インスリンはブドウ糖を細胞内に取り込むホルモンです。
インスリン分泌量や初期分泌速度が高い方が血糖値の下降も早くできます。
ダイエットに有効!炭水化物のGI値に注目
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GI値とは、炭水化物を食べた後に血糖値がどれだけ上昇するかを示す指標です。
高GI値食品は血糖値の急上昇、インスリン分泌促進により以下につながります。
- 脂肪蓄積
- 空腹感
一方、低GI値食品は血糖値の上昇を穏やかにし、満腹感を高める効果があります。
したがって、ダイエットするなら低GI値のものを選ぶことがおすすめです。
たとえば、次のような選び方です。
- 白米よりも玄米や雑穀米
- パンよりも全粒粉パンやライ麦パン
- うどんよりもそば
ほかにも、もち麦・大麦・玄米などを使ったおにぎりやパスタ、麦などもあります。
無理なく自分に合った食材を探してみましょう。
低GI値の主食を選ぶときには、他の食品との組み合わせも大切です。
たとえば次のような食品と一緒に摂ることで、GI値をさらに下げられます。
- 肉・魚・卵などのタンパク質
- 野菜などの食物繊維が豊富な食品
低GI値食品は糖尿病予防に有効
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低GI値食品は糖尿病予防に有効といわれています。
おすすめの低GI値食品をいくつか挙げてみましょう。
- 肉・魚などのタンパク質
- 乳製品
- カリフラワー
- クルミ
- サクランボ
低GI値食品を摂る際には、食べる順番や組み合わせも大切です。
たとえば酢を含む料理や乳製品と一緒にご飯を食べると、GI値が下がります。
また食事や運動などの生活習慣を見直すことで、糖尿病の発症を防げます。
低GI食品を食事に取り入れつつ、複数の方法で糖尿病予防を心がけましょう。
GI値とGL値|死亡リスクとの関係
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GI値とGL値は、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す指標です。
GI値とGL値のそれぞれの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
GI値 | 食事に含まれる炭水化物による食後血糖値の上昇度合いを示す指標 |
GL値 | 食事に含まれる炭水化物の量と質を同時に示す指標 |
食事のGI値およびGL値と死亡リスクとの関連については、国立がん研究センターが行った多目的コホート研究で調査されています。
結果として、GI値は全死亡リスクや主要な死因別の死亡リスクとの関連は見られませんでした。
一方で以下の疾患について、GL値が高いほど死亡リスクが高いという結果が得られています。
- 循環器疾患
- 脳血管疾患
上記の結果から、日本人の場合GI値よりもGL値が死亡リスクと関連する可能性があることが示唆されました。
なお他の国ではGI値やGL値と死亡リスクとの関連について、研究結果が一致していません。
一部の研究では、GI値やGL値が高いほど全死亡リスクや心血管疾患の死亡リスクが高くなると報告されています。
しかし、別の研究では次のような報告がされています。
- GI値やGL値と死亡リスクとの関連は見られない
- 逆に低いほど死亡リスクが高い
これらの相違は、以下のことが原因と考えられます。
- 国や地域によって食事パターンや生活習慣が異なること
- GIやGLを測定する方法にばらつきがあることなど
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GI値のまとめ
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ここまで「GI値」についてお伝えしてきました。
「GI値」の要点をまとめると以下の通りです。
- GI値とは、食品ごとの血糖値の上昇度合いを表す数値
- 低GI食品は、血糖値の急激な上昇や下降を防ぎ、糖尿病予防に有用
- GI値とGL値の違いは以下の通り
- GI値:食事に含まれる炭水化物による食後血糖値の上昇度合いを示す指標
- GL値:食事に含まれる炭水化物の量と質を同時に示す指標
- 国立がん研究センターの研究では、GI値と死亡リスクとの関係は見られなかった
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。