春になるとスーパーや飲食店でたけのこを目にすることが多くなります。
たけのこはヘルシーで栄養価が高いことが知られています。
しかし、体にもたらす効果や食べすぎによる注意点などはあまり知られていません。
たけのこの主な栄養素と効果は何なのでしょうか?
たけのこを食べすぎるとどのような影響をもたらすのでしょうか?
本記事ではたけのこの栄養について以下の点を中心にご紹介します。
- たけのこの主な栄養素とは
- たけのこが体にもたらす効果とは
- たけのこを食べすぎることによる注意点とは
たけのこの栄養について理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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たけのこの主な栄養素
たけのこはタンパク質やカリウム、食物繊維など様々な栄養が含まれています。
たけのこ100gあたりの栄養素は以下の表の通りです。
成分名 | 値(括弧内は単位) |
廃棄率 | 50(%) |
エネルギー | 27(kcal) |
タンパク質 | 3.6(g) |
脂質 | 0.2(g) |
炭水化物 | 4.3(g) |
食物繊維(総量) | 2.8(g) |
カリウム | 520(mg) |
カルシウム | 16(mg) |
マグネシウム | 13(mg) |
リン | 62(mg) |
β‐カロテン(当量) | 11(µg) |
葉酸 | 63(µg) |
ビタミンC | 10(mg) |
出典:文部科学省【食品成分データベース:野菜類/たけのこ/若茎/生】
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たけのこの栄養による体への効果
たけのこはタンパク質やミネラルなど様々な栄養素を豊富に含んでいます。
たけのこを食べると疲労回復や便秘解消、ダイエットなど体に様々な効果をもたらします。
具体的には以下の通りです。
疲労回復
たけのこはグルタミン酸、チロシン、アスパラギン酸などアミノ酸を豊富に含んでいます。
アスパラギン酸は疲労物質である乳酸を燃焼させるため、疲労回復効果があります。
グルタミン酸は神経伝達物質の原料になり、働きは疲労回復や認知症予防です。
たけのこを切ったとき、節の間にある白い粉を見たことがありますか?
これはチロシンといい、ドーパミンなど神経伝達物質の原料です。
脳を活性化させる働きがあるため、粉を洗い流さないようにしましょう。
たけのこはミネラルのうち、カリウムを豊富に含んでいます。
カリウムは体内の塩分を排出する働きがあり、むくみ予防に効果を発揮します。
便秘解消
食物繊維は腸を刺激することで腸の運動を活性化し、便秘を解消させる働きがあります。
食物繊維の種類は、水に溶けやすい水溶性と水に溶けにくい不溶性の2種類です。
たけのこの食物繊維のほとんどは不溶性のセルロースで構成されています。
不溶性食物繊維は体内でほとんど消化吸収しません。
直接腸まで運ばれ、体内の水分を吸収し膨らむ性質があります。
結果、便の量が増えることで腸に刺激を与え、便通を改善させる働きがあります。
ダイエット
たけのこは筋肉の構成成分であるタンパク質やアミノ酸を豊富に含んでいます。
アスパラギン酸はエネルギー代謝を促進し、効果は疲労回復や体力増強です。
また、アスパラギン酸はビタミンやミネラルを円滑に運ぶ働きがあります。
病気やストレスを抱えているとき、たけのこを食べて体調を整えてみてはどうでしょうか?
たけのこは100gあたりのカロリーは30kcal、糖質は2.2gです。
他の野菜よりも低カロリー、低糖質という特徴があります。
糖質制限や低カロリーダイエットを行いたい方はぜひ摂取しましょう。
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茹でたけのこにつく白い結晶の正体は?
たけのこの下茹で後に2つに切ると、節に白いつぶつぶした粒を見たことはありませんか?
カビやアクに間違えられやすいですが、この白い結晶はチロシンというアミノ酸の一種です。
チロシンはドーパミンなど神経伝達物質の原料になります。
疲労回復やストレスの緩和、集中力を高めるなど脳の活性化に働きます。
また自律神経に作用する甲状腺ホルモンや髪の毛の黒色を作るメラニンの原料です。
新鮮なたけのこの場合、洗い流さず食べると旨味を感じられます。
しかし、時間が経過したたけのこはえぐみに変わるためつぶつぶを洗い流しましょう。
たけのこに含まれるセルロースの正体は?
たけのこに含まれる不飽和脂肪酸の多くはセルロースで構成されています。
セルロースは植物の細胞壁にある成分の1つで、シャキシャキした触感を作るのです。
たけのこを食べた後、お通じが良くなったと感じたことはありませんか?
セルロースは消化されにくく腸内の水分を吸収し数倍~数十倍に膨張する働きがあります。
セルロースの作用は便の量を増加し、便を柔らかくすることで腸運動を活発にすることです。
セルロースが、がん予防に効果が期待できることはあまり知られていません。
また、セルロースは発がん性物質など有害物質に吸着する働きがあります。
セルロースに腸内を掃除する働きがあるのは、有害物質を便と一緒に排出するからです。
たけのこの食べすぎには要注意
様々な栄養素を含んでいるたけのこですが、食べすぎには注意が必要です。
たけのこを食べすぎると、便秘やシミ、そばかすなどの原因になります。
具体的には以下の通りです。
腸への負担
たけのこを食べすぎてお腹が痛くなったことはありませんか?
たけのこは整腸作用がありますが、食べすぎると腸に負担を与えることがあります。
たけのこを食べすぎると腸が過剰に働き、下痢を引き起こす原因になります。
また、食物繊維はほとんど吸収せず便に排泄される栄養素です。
食物繊維を過剰摂取すると消化不良の原因になり、吐き気や胃痛などの原因になります。
さらに、たけのこが下痢だけでなく便秘の原因になることを知っていますか?
セルロースは便を膨張させるため、便が大きくなり固まってしまう場合があります。
結果、便秘を悪化させる原因になるのです。
シミ・そばかす
たけのこに含まれるチロシンは無色です。
チロシンは体内の酵素作用により最終的にメラニンに変化します。
本来メラニンは紫外線から肌を守る役割があり、欠かせません。
しかしチロシンを多く摂取するとメラニン生成が過剰に活性化され、黒色メラニンが増えます。
黒色メラニンは肌に沈着するとシミやそばかすが増える可能性があり注意が必要です。
若々しい肌を保つためにたけのこを食べすぎないようにしましょう。
仮性アレルゲン
アレルギー症状には発症の機序が2種類あります。
- 食物アレルギー:免疫反応により体内で化学物質を作り、症状が出ること
- 仮性アレルゲン:食物に含まれる化学物質が原因で症状が出ること
たけのこにはヒスタミンやアセチルコリンなど化学物質が含まれています。
大量に摂取すると以下の症状が見られる場合があるため注意しましょう。
- のどのイガイガ
- 皮膚のかゆみ
- 蕁麻疹
- 気管支喘息
たけのこの適量とは
健康的にたけのこを取り入れるためにたけのこの適量を知っておくといいでしょう。
たけのこの適量は食物繊維の量で計算されます。
1日の食物繊維摂取目安は20gです。
たけのこは100gあたり3gの食物繊維が含まれているため約600gまで摂取できます。
しかし食物繊維は他の食物にも含まれているためもう少し量を調整しなければなりません。
たけのこは1日150~300g、食物繊維量は5g前後が適量です。
具体的には穂先なら3分の1程度、根元なら3cm程度に調整しましょう。
たけのこを選ぶときのポイント
美味しく栄養価の高いたけのこを選ぶには、3つポイントがあります。
具体的には以下の通りです。
ずっしりとした重みがあるか
形がずんぐり太っていて丈が短いたけのこは、栄養が行き届いているため美味しいです。
また、重さがあるたけのこは水分をたくさん含んでいる可能性があり新鮮です。
皮の部分や切り口が乾燥していないか
皮の部分の色が薄くしっとりしたたけのこは、成長が進みすぎていないため美味しいです。
一方皮の色が濃く乾いている、先が開いたたけのこは成長しすぎている可能性があります。
また、切り口が白くみずみずしいたけのこは新鮮です。
根の部分にあるぶつぶつは白いか
たけのこの根元を見るとぶつぶつがありますが、ぶつぶつが少なく白いものは若く新鮮です。
一方ぶつぶつが多く赤くなっているものはアクが強くなっている可能性があります。
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たけのこのアク抜きの方法
たけのこは時間が経つとアクが増えるため手早くアク抜きをする必要があります。
たけのこのアク抜きの方法は以下の通りです。
材料
- たけのこ:約1㎏(2~3本)
- 米ぬか:約1カップ
- 唐辛子:1本
下処理
- 先端1/5程度を斜めに切り落とす
- 切り落とした箇所に垂直に浅く切り込みを入れる
茹で方
- 1 深さのある鍋に重ならないようにたけのこを入れる
- 2 1の鍋に米ぬかと唐辛子、たっぷりの水を入れる
- 3 中~強火にかける
- 4 沸騰後、落し蓋をして煮汁が吹きこぼれない程度に火を弱める
- 5 30分に1回程度水の量を確認し、適宜水を足す
- 6 たけのこの太い部分に竹串をさしてスーッと通れば茹で上がり(1~2時間程度)
- 7 水が手で触れられるまで冷ました後、流水でぬかを洗い流す
- 切れ目から指先を入れて皮をむく
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たけのこの保存方法
たけのこは適切に保存しないと、水分が抜けてスカスカになる場合があります。
たけのこの水分を維持する保存方法は、冷蔵と冷凍の2種類あります。
具体的には以下の通りです。
冷蔵保存
冷蔵保存のコツは容器に水を浸して保存することです。
冷蔵での保存期間は約1週間ほどです。
具体的な保存方法は以下の通りです。
- アク抜きしたたけのこをカットする
- 保存容器にたけのこを入れてひたひたにつかる程度まで水を入れる
- 容器を密閉して冷蔵庫で保存する。
- 1~2日おきに水を替える
冷凍保存
たけのこがたくさんあり消費が難しい場合は、冷凍保存がいいでしょう。
冷凍保存のコツは、だし汁または砂糖をまぶして保存することで、パサつきにくくなります。
冷凍での保存期間は1か月ほどで、冷蔵保存より長期間保存できるためおすすめです。
具体的な保存方法は以下の通りです。
だし汁での冷凍保存
- たけのこを薄切りにする
- たけのこを保存袋に入れ、ひたひたにつかる程度までだし汁を入れる
- 密閉し保存袋を平らにして凍らせる
砂糖での冷凍保存
- たけのこを薄切りにする
- たけのこを保存袋に入れたけのこ1本につき大さじ1ほどの砂糖をかけてなじませる
- 空気を抜いて密閉し平にして凍らせる
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たけのこのおすすめレシピ
たけのこを美味しく健康的に摂取するレシピを2つ紹介します。
詳細は以下の通りです。
たけのこと厚揚げの煮物
たけのこのアクの主成分はシュウ酸です。
シュウ酸はえぐみが強く、大量に摂取すると尿路結石の原因になります。
シュウ酸の過剰摂取を防ぐために、カルシウムを摂りましょう。
シュウ酸はカルシウムと結合するとシュウ酸カルシウムに変化します。
シュウ酸カルシウムに変化するとえぐみは軽減し、不溶性のため便と一緒に排出されます。
厚揚げはカルシウムが豊富に含まれているおすすめの食材です。
たけのこと一緒に煮て、シュウ酸の多量摂取を予防しましょう。
たけのこと厚揚げの煮物のレシピは以下の通りです。
材料(4人前)
- たけのこ:1本(約200g)
- 厚揚げ:1枚(約200g)
- だし汁:2カップ
- 砂糖:大さじ2
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ2
- 塩:ひとつまみ
調理方法
- 1 たけのこを食べやすい大きさにくし形に切る
- 2 厚揚げは湯通しした後、8等分にする
- 3 鍋にだし汁、砂糖、醤油、みりん、塩を入れて煮立たせる
- 4 ひと煮立ち後、たけのこと厚揚げを加える
- 5 10~15分ほど煮たらできあがり
たけのこごはん
たけのこは食物繊維を豊富に含んでいます。
ご飯と一緒に食べると糖質の吸収を緩やかにします。
ダイエットを考えている方には嬉しいポイントですね。
たけのこに含まれるチロシンは、米に含まれる糖分と一緒にとることが推奨されます。
チロシンの効果が高まり、集中力の増加やストレスの緩和作用が期待できます。
たけのこご飯のレシピは以下の通りです。
材料(4人前)
- たけのこ:1本(約200g)
- 油揚げ:1/2枚(約25g)
- 米:2.5合
- 和風だしの素:小さじ1/2
- 醤油:大さじ1
- みりん:大さじ2
- 塩:小さじ1/2
- 水:600㏄
調理方法
- 1 米を研ぎ、炊飯器に入れる
- 2 1の炊飯器に水、和風だしの素、醤油、みりん、塩を入れて30分浸す
- 3 油揚げは5mm角に切る
- 4 たけのこは5mmの短冊切りにする
- 5 2の炊飯器に3と4を入れて炊飯器のスイッチを入れる
- 6 炊き上がったら混ぜてできあがり
たけのこの主な生産地と生産量
2019年度、全国のたけのこの総生産量は2万2,284.9トンです。
たけのこ全体の8割以上は西日本で生産されています。
たけのこの主な生産地と生産量は以下の通りです。
たけのこ生産地ベスト5
たけのこの生産量が最も多い都道府県は福岡県で全体の約25%を占めます。
生産量の多い都道府県1~3位まで九州地方がランクインされ、全体の約60%を占めます。
たけのこの生産地ベスト5は以下の通りです。
順位 | 都道府県 | たけのこ生産量(トン) | 割合(%) |
1 | 福岡県 | 5,652.8 | 25.4 |
2 | 鹿児島県 | 4,829.6 | 21.7 |
3 | 熊本県 | 2,863.2 | 12.8 |
4 | 京都府 | 2,510.8 | 11.3 |
5 | 香川県 | 974.6 | 4.4 |
出典:農林水産省【これからが旬!たけのこで「春」を感じよう】
たけのこの種類と旬
食用のたけのこは孟宗竹を中心に様々な種類があり、収穫の時期は種類によって違います。
たけのこの種類と旬の時期は以下の通りです。
孟宗竹(モウソウチク)
比較的早く収穫できるたけのこで、柔らかく香りが良い特徴があります。
孟宗竹の主な産地は鹿児島県や熊本県で、旬は3月初旬から5月中旬頃です。
真竹(マダケ)
真竹は細身で黒いまだら模様が特徴で、あくが強いため苦味がやや強いです。
旬は5月頃で、青森以南の全国で栽培されています。
主な生産地は大分県です。
淡竹(ハチク)
淡竹は赤茶色の皮で少し細身の特徴があります。
味はえぐみが少なくほんのり甘いです。
主な生産地は近畿から九州で、旬は5月頃です。
四方竹(シホウチク)
四方竹は細長くきれいな黄緑色の特徴があります。
あくが少なくシャキシャキした触感です。
主な生産地は高知県で、旬は10月〜11月上旬と秋に収穫できる珍しいたけのこです。
千島笹(チシマザサ)
標高1000m前後の山地で収穫される日本原産のたけのこです。
根元が弓のように曲がっている特徴があります。
主な生産地は北日本で、旬は6月頃です。
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たけのこの栄養まとめ
ここまでたけのこの栄養についてお伝えしてきました。
たけのこの栄養について要点をまとめると以下の通りです。
- たけのこの主な栄養素はチロシンなどのアミノ酸や食物繊維、カリウムなど
- たけのこが体にもたらす効果は疲労回復や便秘解消、ダイエットなど
- たけのこを食べすぎると便秘やしみ、仮性アレルゲンなどが見られる場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。