日ごろから、「頭痛」で悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
現代社会はストレスが多く、睡眠不足や運動不足になりがちです。
そうして、日常的もしくは突発的に生じる頭痛に、気が付けば悩まされているといったことがあるかもしれません。
実はその頭痛、ただの睡眠不足や運動不足が原因ではないかもしれません。
頭痛の種類には、どのようなものがあるのでしょうか?
頭痛を生じる疾患にはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、「頭痛」について以下の点を中心にご紹介します。
- 頭痛の種類とは
- 頭痛から考えられる危険な疾患について
- 市販薬を選ぶ際のポイント
頭痛について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
頭痛とは?
「頭痛」と聞くと、脳実質といわれる、脳膜に包まれた、脳そのものに痛みがあるようなイメージを抱くかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
頭部で痛みを感じる原因は、骨膜、太い血管、硬膜、頭皮、頭を覆う筋肉、上部頸髄神経などのさまざま組織によるものです。
組織が圧迫されたり、引っ張られたり、炎症を起こしたりすることで、痛みが生じます。
それらを総称して「頭痛」と呼んでいます。
実際には、痛みの種類や発生状況によって、さまざまなタイプに分類されているのです。
スポンサーリンク
頭痛の種類は大きく分けて4つある
頭痛は、その種類によって原因や治療法が異なります。
一般的に、頭痛は大きく分けて4つの種類に分類されます。
頭痛の種類について、詳しく見てみましょう。
緊張型頭痛
「緊張型頭痛」の症状は、後頭部から頚筋を中心とした頭全体が、締めつけられるように痛みます。
痛みは、ほぼ毎日だらだらと続いていきます。
緊張型頭痛は、肩や首こりを伴うことが多く、目の疲れや全身倦怠感などが痛みとともにあらわれることもあります。
男女比に差はなく、中高年に多い傾向があります。
緊張型頭痛は、頭から背中にかけての筋肉が緊張することで起こるといわれています。
不安や心配などの精神ストレスや、長時間同じ姿勢を続けることで緊張型頭痛を招きやすくなります。
緊張型頭痛はいったん頭痛が起きると、筋肉の緊張がさらに増し、痛みを悪化させるという特徴があります。
偏頭痛(片頭痛)
「偏頭痛(片頭痛)」の症状は、こめかみから目のあたりにかけて、脈打つような鋭い痛みが片側あるいは両側に見られます。
頭痛発作中には、吐き気、嘔吐、光や音に敏感になるなど、他の症状もあらわれます。
一般的には1ヶ月に1〜2回の頻度で起きますが、重度の場合には1週間に1〜2回出現することもあるでしょう。
女性に比べ男性は発症率が低く、約4対1の割合で発生します。
頭痛の原因は、神経伝達物質セロトニンの異常放出と不足です。
異常放出によって、血管が急激に拡張します。
血管周囲の三叉神経に刺激を与え、炎症物質が放出され、痛みが引き起こされます。
群発頭痛
「群発頭痛」とは、頭痛発作が決まった時間帯に頻繁にあらわれ、片側の目の奥が激しく痛むことが特徴です。
一般的に、年に1〜2回の頻度で起こりますが、発作が始まると1〜2カ月間は集中的に毎日痛みが見れます。
群発頭痛は比較的まれで、男女比は7対1で圧倒的に男性に多く見られます。
体内時計の乱れによって、目のすぐ後ろにある太い血管の「内頚動脈」に炎症が生じ、頭痛が発生すると考えられています。
群発頭痛の原因は、まだ完全に解明されていない部分があります。
しかし、内頚動脈における炎症が頭痛発作を引き起こす可能性が高いとされています。
薬物の過剰使用による頭痛
「薬物の使用による頭痛」は、長期間にわたって鎮痛薬の服用が続くことで、頭痛が悪化します。
本来の頭痛に加え、新たな頭痛が発生し、複雑化する痛みが特徴です。
緊張型頭痛の方だけでなく、激しい片頭痛に悩まされていた方にも多く見られます。
頻繁に鎮痛薬を使用することで、脳が痛みに対して過剰に反応するようになります。
さらに、本来感じることのない痛みまでもが感じられるようになります。
鎮痛薬が脳の痛みを調整する仕組みに干渉し、痛みを増幅させるためです。
頭痛から考えられる危険な疾患の種類
「頭痛」は、体の不調のサインとして知られていますが、実は深刻な病気の兆候の場合もあります。
以下では、頭痛が引き起こす可能性のある危険な疾患について見ていきましょう。
髄膜炎
「髄膜炎」とは、脳脊髄の周囲に炎症を引き起こす細菌やウイルスなどが原因となる病気です。
髄膜炎に伴う頭痛は、高熱を伴うことが多く、時にけいれんや意識障害が起こることもあります。
医師が診察した患者さんの中で、髄膜炎による頭痛は非常に激しく、日常生活にも支障をきたすレベルであることが多いようです。
もし、このような頭痛を経験した場合、髄膜炎を疑うことが重要です。
とくに小児の場合は、インフルエンザ菌・肺炎球菌のワクチン接種が非常に重要となります。
ワクチンは2回接種することで効果が高く、髄膜炎を発症するリスクを軽減につながります。
急性副鼻腔炎
「急性副鼻腔炎」とは、副鼻腔に細菌がたまり炎症が起きる病気であり、頭痛が一般的な症状として見られます。
頭痛の場所は、細菌がたまっている副鼻腔によって異なります。
- 上顎洞の場合は頬や歯
- 篩骨洞の場合は目の周り
- 前頭洞の場合は額
- 蝶形骨洞の場合はよりはっきりとした頭痛を感じる
急性副鼻腔炎は、放置すると失明や脳腫瘍、髄膜炎を引き起こす危険性があります。
そのため、注意が必要です。
急性閉塞隅角緑内障
「緑内障」という眼の病気は、頭痛を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
とくに「暗い場所にいる」「映画を見ている」といった状況で頭痛が起こります。
暗い場所では瞳孔が開いているため、眼に入る光が多くなり、眼圧が上昇して症状があらわれるためとされています。
緑内障になると、視力の低下や眼の痛みが起こることがあります。
また、頭痛だけでなく、嘔吐や充血も起こることがあります。
散瞳したまま固定されていることがあり、重大な状態であることが考えられるでしょう。
そのため、早期に医療機関を受診し、適切に治療することが大切です。
脳卒中
「脳卒中」は、脳の血管に何らかの異常が起こり発症する病気で、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つに分けられます。
脳卒中は、寝たきりになる原因の中でも、大きな割合を占めています。
生活習慣病の増加や高齢化社会に伴い増加傾向にあるのです。
脳卒中の症状には、麻痺、しびれ、ろれつ障害、意識障害、頭痛などがあり、病気が起こった脳の場所によって異なります。
もし突然、症状があらわれたら、即座に医療機関を受診する必要があります。
脳卒中は、治療が遅れると後遺症が残ることがあるため、早期発見・治療が非常に重要です。
脳梗塞
「脳梗塞」は、脳の血管が詰まったりすることにより、脳細胞が障害を受ける病気です。
原因としては、動脈硬化による血管の老化や心臓の不整脈により血栓ができてしまう状況などが考えられます。
脳梗塞は、高血圧、高コレステロール、糖尿病、喫煙などが危険因子として挙げられます。
生活習慣の乱れが引き金となるため、早期発見と治療が重要であり、定期的な健康診断や生活習慣の改善が必要です。
脳出血
「脳出血」とは、高血圧などの原因によって脳の血管が破れ、大脳や小脳、脳幹に出血が起こる状態です。
脳出血の特徴は、出血が起こる場所によって異なる症状があらわれることです。
とくに、片麻痺や浮動性のめまいを伴う頭痛には注意が必要です。
脳出血が原因で意識障害が起こることもあります。
脳出血では、歩行障害も症状の一つとして挙げられます。
高齢者が「頭痛が続いていて、歩けなくなり、認知症が進んできた」と訴えてくる場合、慢性硬膜下血腫の可能性もあります。
慢性硬膜下血腫とは、頭蓋骨の内側の「硬膜」と脳の間に徐々に血がたまってしまうことで発生します。
認知機能が急に落ちたり、歩行障害や麻痺があったりする場合は、巨大な慢性硬膜下血腫、脳腫瘍が原因の場合があります。
脳腫瘍
「脳腫瘍」とは、脳内にできる異常な細胞の塊のことです。
一部の脳腫瘍は遺伝子の変異によって引き起こされます。
しかし、ストレス、高たんぱく高脂質の食事、喫煙なども原因となると考えられています。
腫瘍は徐々に大きくなり、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
頭痛や手足の麻痺、視力障害などがその代表例です。
腫瘍が小さいうちに治療を始めるためにも、定期的な脳ドックが推奨されています。
また、早期発見と適切な治療により、治療成功率は高くなりますので、健康に留意することが大切です。
脳炎
「脳炎」とは、細菌やウイルスなどが原因となり、脳に炎症が起こる病気です。
ヘルペスウイルスが主な原因のひとつです。
脳炎は高熱を伴う、けいれんや意識障害が起こることがあります。
若い方にも発症する可能性があるのが特徴で、意識障害や認知機能の低下なども見られます。
脳炎には、「性格が変わってしまう」「異常な言動」などの「行動の変化」が、見られる場合があります。
暴れ出すこともあるため、脳炎の可能性を念頭に置いて検査を受けることが重要です。
精神科を受診する前に、脳炎の可能性を排除するためにも、早めの受診が必要です。
子どもが発症する頭痛の種類や原因・対処法
頭痛は、子どもも大人も「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。
一次性頭痛に分類される頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、後頭神経痛などがあります。
「よく頭が痛くなるけれど、そのうち治る」といった頭痛は、ひどい場合には日常生活にも悪影響を与える可能性のある頭痛です。
ここからは、子どもの頭痛について紹介します。
一次性頭痛
「一次性頭痛」に分類される片頭痛や緊張型頭痛は、子どもの頭痛の主な原因となる病気です。
片頭痛は頭の片側が痛むことが多いですが、子どもでは両側を痛がることが多いといわれています。
痛みはズキズキとした脈打つような痛みで、言葉にできないほど激しい場合もあります。
緊張型頭痛は締め付けられるような痛みや重たい痛みで、子どもたちはなんとなく痛いと表現することもあるでしょう。
痛む場所は頭の後ろや肩、首などさまざまで、頭全体が痛いと感じることもあります。
ストレスも子どもの頭痛の原因の一つであり、人間関係や試験勉強など、さまざまなストレスが頭痛を引き起こすことがあります。
さらに、生活習慣も頭痛に影響を与えます。
睡眠時間を守ることは大切で、寝不足でも寝すぎでもよくありません。
また、パソコンやゲームなどを長時間することによって同じ姿勢を長く保つことが緊張型頭痛を引き起こすことがあります。
頭痛が続く場合は、早めに専門家の診断を受けることが大切です。
子どもが片頭痛になった場合は、痛みを早めに和らげるために痛み止めを飲ませましょう。また、静かで薄暗い場所で休ませることが大切です。
片頭痛は光や音、においに過敏に反応するため、環境を整えて刺激を最小限に抑えるようにしましょう。
子どもの緊張型頭痛の場合、適度な運動や入浴などで体を動かすことで痛みを和らげられます。痛み止めに頼ることが少なく済むため、運動や入浴などの方法で緊張型頭痛に対処することをおすすめします。
ただし、運動や入浴の前には十分な水分補給をし、無理な負荷をかけないように注意しましょう。
二次性頭痛
「二次性頭痛」とは、何らかの病気や障害が原因で引き起こされる頭痛を指します。
子どもの場合、感冒などのウイルス性疾患が多くの原因です。
しかし、脳腫瘍や中枢神経系の疾患、ホルモン異常なども隠れている可能性があります。以下は、頭痛を引き起こす代表的な病気の例です。
- インフルエンザなどのウイルス性疾患
- 副鼻腔炎
- 脳腫瘍
- ウイルス性髄膜炎
- 起立性調節障害
- 頭部外傷
- 甲状腺異常
- 脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)
子どもが二次性頭痛になった場合、適切に治療するためにも早期発見が大切です。
症状が続く場合や、痛みが非常に強い場合には、すぐに医師に相談しましょう。
女性に多く見られる頭痛の種類と原因は?
女性にとって、頭痛は日常的な悩みの一つです。
とくに、月経周期や妊娠、更年期など、ホルモンバランスの変化が起きる時期に頭痛が発生することがあります。
ここでは、女性に多く見られる頭痛の種類とその原因について紹介します。
女性に多い頭痛の種類
日本国民の中で、約3人に1人が「一次性頭痛」に苦しんでいるとされています。
一次性頭痛とは、他の疾患が原因で起こるわけではなく、頭痛自体が病気である頭痛のことです。
代表的な種類である「片頭痛」は、女性に特に多く見られます。
日本全国調査によると、全年齢層で男性3.6%に対し、女性12.9%が片頭痛であることが報告されています。
この数字から、女性の片頭痛患者数は男性の3.6倍です。
とくに20代から40代の女性に多く、30代では20%と最も有病率が高く、40代でも18%にも及ぶことが分かっています。
女性に多い頭痛の原因
片頭痛は女性に多く見られる疾患であり、その主な原因として以下が考えられます。
まず、月経前後や更年期など女性ホルモンの変化が関与していることが挙げられます。
女性ホルモンの増減が、片頭痛の発症に影響を与えます。
そのため、ライフイベントを迎える女性には注意が必要です。
片頭痛は、遺伝的素因による影響も大きいとされています。
女性に遺伝しやすい傾向があるため、家族歴がある場合はとくに注意が必要です。
男性よりも女性の方が、周囲に痛みを訴えやすい文化的要因も考えられます。
30〜40代の女性に多い理由は、この時期に妊娠や出産といった女性ホルモン量が変動するためです。
さらに多忙な年代であること、社会的ストレスがかかること、更年期に差し掛かることなどが考えられます。
女性は、これらの要因により片頭痛を発症するリスクが高まるため、早期の対処が重要です。
生理と頭痛の関連性
片頭痛は、ストレスや過労、睡眠不足などが原因として挙げられます。
女性の場合は、月経周期によって症状が悪化することがあります。
理由は、片頭痛と女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が関連しているためです。
エストロゲンの濃度が低下すると、片頭痛が引き起こされやすくなる傾向があります。
エストロゲンが血管の壁への作用に関与していると思われるのではないでしょうか。
しかし、具体的なメカニズムは分かっていません。
月経周期では、エストロゲンの濃度が上昇する時期と、下降する時期が2回あります。
1回目は排卵の時期、2回目は月経周期直前から月経初日にかけてです。
エストロゲンの濃度が下降する時期には、片頭痛が起こりやすくなることがあります。
もし、月経周期と頭痛の関連性を感じた場合は、基礎体温の記録や周期、頭痛の時期との関連性を確認することが大切です。
有効な対処法
頭痛に対処する方法は、その原因によって異なります。
とくに、片頭痛の場合は月経周期に関係することがあります。
しかし、
- 自分が何のタイプの頭痛であるのか判断できない場合
- 市販の痛み止めが効かない場合
などは、脳外科または頭痛専門外来で診断を受けましょう。
頭痛がひどい、めまいや吐き気、目の見えにくさや異臭を伴う場合、脳の疾患が隠れている可能性があります。
そのため、注意が必要です。
片頭痛が月経周期に関連して悪化すると思った場合でも、他の原因も考えられます。
したがって、頭痛以外の症状がある場合は、脳外科で詳しい検査を受けることが重要です。
市販薬を選ぶ際のポイントと使用上の注意点
鎮痛薬を服用する際には、注意が必要です。
「鎮痛薬」は、基本的には症状緩和のために使用される対症療法であり、3日間程度の使用が推奨されています。
症状が改善しない場合や痛みが繰り返し起こる場合は、専門医を受診しましょう。
鎮痛薬は、月に10回程度までに留めることが大切です。
過剰摂取は薬物依存や「薬の乱用による頭痛」といった副作用を引き起こす可能性があります。必要以上に神経質になる必要はありませんが、服用回数が増えている場合は、専門医を受診することをおすすめします。
片頭痛の場合は、痛みが始まる前に予兆があらわれることがあります。
そのため、鎮痛薬は予兆段階か、軽い痛みの時に服用することで痛みを和らげられるでしょう。
ただし、痛みに過剰に反応して鎮痛薬に頼りすぎることは避けましょう。
過度な摂取は「薬の乱用による頭痛」を引き起こす可能性があります。
脳ドックを受けて重篤な疾患を予防しよう!
「脳ドック」は、脳卒中や脳萎縮などの脳疾患リスクの早期発見を目的とした検診コースです。
MRIや血液検査など、さまざまな方法で脳の健康状態を確認しながら、将来的な病気のリスクを診断します。
MRI検査を受ける際には、いくつかの注意点があります。MRIは磁気を用いる検査装置のため、金属を含む装飾品などは外しておかなければなりません。
メイクをしたままの検査やコンタクトレンズの装着、義歯や入れ歯の使用は避ける必要があります。
さらにMRI検査を受けられない場合があります。
- 妊娠中や妊娠の可能性がある方
- ペースメーカーを使用している方
- 過去に脳動脈瘤のクリップ手術を受けたことがある方
- 手術などで金属が体内にあるといわれている方
- 刺青(タトゥー)をしている方
- 閉所恐怖症の方
検査前には、必ずこれらの点を確認しておくことが重要です。
スポンサーリンク
頭痛の種類についてのまとめ
ここまで、頭痛の種類の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 頭痛の種類は、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、薬物の過剰使用による頭痛など
- 頭痛から考えられる危険な疾患は、髄膜炎、急性副鼻腔炎、急性閉塞隅角緑内障など
- 市販薬を選ぶ際の注意点は、3日間程度の使用が推奨など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。