ぎっくり腰などは腰痛が起こるきっかけになった要因ははっきりしています。
しかし、ぎっくり腰も含め、腰痛のほとんどは原因の特定が難しく治りにくい病気です。
腰痛が治りにくい原因は何でしょうか?
腰痛が治らないとき考えられる病気にはどのようなものがあるでしょうか?
本記事では腰痛が治らないについて以下の点を中心にご紹介します。
- 腰痛が治らない原因について
- 腰痛が治らない病気について
- 腰痛が治らないときの改善方法について
腰痛が治らないについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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腰痛が治らない原因とは?
腰痛が治らない原因を以下に5つ挙げました。
それぞれの原因について説明します。
筋肉が関係している可能性
腰痛が治らない原因に、腰の動きに関わる筋肉不足・疲労が関係している可能性があります。
腰の動きに関わる筋肉には以下のようなものがあります。
- 脊柱起立筋
- 多裂筋
- 腸腰筋
脊柱起立筋と多裂筋は背中を支える筋肉です。
- 運動不足
- 長時間の立ち仕事
- 長時間のデスクワーク
- 加齢
などで、筋肉の低下や筋肉がこり固まって腰痛を起こしやすくなると考えられています。
腸腰筋は足を持ち上げたり、体を曲げる動作に必要な股関節から腰までをつなぐ筋肉です。
腸腰筋は筋肉がこり固まって血流が悪くなると腰痛を起こします。
姿勢の悪さが原因
姿勢の悪さが腰痛を起こす原因の場合があります。
姿勢の悪さは、長時間座ったままでいたり生活習慣で起こりがちです。
長時間悪い姿勢が続くと筋肉が緊張したままになり、
- 筋肉の疲労
- 血行不良
などが起こり腰痛が出やすくなるのです。
また姿勢が悪くなる生活習慣には以下のようなものがあります。
- 椅子に座ると足を組んでしまう
- 床に横座りをする
- スマホ操作で猫背になる
- 重心がどちらかに偏って立つ
- 横になってテレビを観る
ストレスによって痛みが起こる
ストレスが腰痛を引き起こす可能性もあります。
ストレスには、人に備わっている痛みを緩和するしくみを阻害する作用があります。
痛みは脳からドーパミン(神経伝達物質)が大量に放出されることで軽減されます。
ストレスが痛みを和らげるしくみを阻害して、脳でドーパミンが放出されにくくするのです。
ストレスが長く続くとドーパミン放出のしくみが低下し、
- わずかな痛みでも強く感じる
- 腰痛が長引く
などの症状が続くことになります。
病気が隠れている可能性がある
腰痛は、病気が原因になって引き起こされている可能性があります。
腰痛を引き起こす原因となる病気には、以下のように多岐にわたります。
【腰痛を引き起こす原因別疾患】
原因別分類 | 原因疾患 |
脊椎とその周辺運動器由来 | 脊椎腫瘍、脊椎感染症、脊椎外傷、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊椎管狭窄症、代謝性疾患など |
神経由来 | 脊髄腫瘍、馬尾腫瘍など |
内臓由来 | 腎尿路系疾患(腎結石など)、婦人科系疾患(子宮内膜症など)、妊娠 |
血管由来 | 腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤など |
心因性由来 | うつ病、ヒステリーなど |
出典:【腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版】
原因不明の腰痛が大半
腰痛は痛みや腰のハリなどの症状の総称で、そもそも原因不明が大半とされています。
腰痛は原因によって、
- 特異的腰痛:原因が特定できる腰痛
- 非特異的腰痛:原因が特定しきれない腰痛
の2つに分類できます。
腰痛は多くの人が経験している痛みを伴う症状です。
しかし、痛みの原因の特定が難しくほとんどが非特異的腰痛とされています。
いわゆる腰痛症は非特異的腰痛のことを指しています。
病院で医師の診察や画像検査を受けても約85%は原因不明とされています。
出典:厚生労働省【腰痛対策】
一方、「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」では、腰痛の85%が原因不明の根拠に対しては再考の必要があるとの見解も示されています。
いずれにしても腰痛は原因の特定が難しいことがわかります。
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腰痛の大まかな種類
腰痛の大まかな種類は、発症からの有症期間で分けると以下の2つになります。
- 急性腰痛
- 慢性腰痛
それぞれについて説明します。
急性腰痛
急性腰痛の有症期間は4週間未満と定義するのが一般的とされています。
出典:【腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版】
代表的な急性腰痛はぎっくり腰です。
ぎっくり腰の場合だと個人差はありますが2~3日で少しずつ動けるようになります。
4日目には仕事など日常生活に戻れることが多いようです。
慢性腰痛
慢性腰痛の有症期間は3ヵ月以上継続する腰痛と定義することが確立されています。
出典:【腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版】
慢性腰痛は急性腰痛のように激痛は伴わないものの、だるさや腰の違和感が長期間続きます。
腰のだるさや違和感、不快感が少なくなるだけでも3ヵ月以上かかることがあります。
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腰痛が治らない病気には何がある?
腰痛が治らない病気を以下に4つ挙げました。
- 腰痛を起こす骨の病気
- 腰痛を起こす内臓の病気
- がん
- 腰痛を起こす子宮・卵巣の病気
それぞれの病気についてご紹介します。
腰痛を起こす骨の病気
腰痛を起こす骨の病気を以下に3つ挙げました。
それぞれの病気についてご紹介します。
骨折
圧迫骨折によって起こる腰痛があります。
圧迫骨折は骨粗しょう症が原因で、70歳以上の女性に起こりやすい骨折です。
骨がスカスカになって押しつぶされるように変形するので、
- しびれや痛み(おしりから脚にかけて)
- 身長が縮む(4㎝以上)
- 背中が丸くなる
などの症状としてあらわれます。
ヘルニア
椎間板がひび割れて、飛び出てきた髄核が神経を圧迫して炎症を起こすことがあります。
腰椎の間でクッションとなっている椎間板で起こるので、椎間板ヘルニアと呼ばれます。
神経が圧迫されることで腰痛、脚の痛み、しびれなどの症状があらわれます。
椎間板ヘルニアは腰痛症状が先にあらわれ、その後お尻から脚にかけてしびれが出ます。
ヘルニアが起こりやすくなる原因には、悪い姿勢での作業・動作や喫煙習慣などがあります。
化膿性脊椎炎
化膿性脊椎炎は、黄色ブドウ球菌などに感染した細菌が脊椎を化膿させる病気です。
40~50代で、糖尿病や悪性腫瘍など免疫力の低下している人に起こりやすい病気です。
痛みは慢性の化膿性脊椎炎は比較的軽いものの、急性の場合は腰や背中に激痛があります。
化膿性脊椎炎には背中をたたくと痛みが増すなど、症状は6ヵ月以上続く特徴があります。
腰痛を起こす内臓の病気
内臓の病気がある場合に腰痛を起こすことがあります。
原因となる内臓部分と違う所で痛みが発生する「関連痛」と呼ばれるものです。
腰痛を伴う内臓の病気には以下のようなものがあります。
胃潰瘍 | 十二指腸潰瘍 |
胆石 | 胆のう炎 |
膵臓炎 | 尿路結石 |
腎結石 | 腎盂腎炎 |
腰痛の他に
- 消化器系:腹痛や血便、吐き気、おう吐など
- 泌尿器系:排尿障害や血尿など
が見られる場合は、内臓疾患が腰痛の原因の場合があるので早めに病院を受診しましょう。
がん
がんが原因で腰痛を起こすことがあります。
腰痛を引き起こすがんには
- 骨がん:骨に発生するがんで骨肉腫など
- がんの骨への転移:肺がん、乳がん、前立腺がんなどが骨へ転移しやすい
- 膵臓がん・大腸がん
などがあります。
安静にしていても腰痛がある場合は、がんが原因の場合があります。
最も重要な腰痛の診断は、がんを見逃さないこととされています。
腰痛を起こす卵巣の病気
女性で腰痛が周期的に起こるときは、子宮・卵巣の病気の可能性があります。
卵巣の痛みが脳に伝達されるときに、腰に痛みがあると勘違いして起こる関連痛の1つです。
以下のような症状で、安静にしているのに痛みが改善しない場合は病気の可能性があります。
- マッサージやストレッチでも痛みが改善しない
- 安静にしていても痛みがある
- 腰痛の他に下腹部にも痛みがある
- 酷い月経痛がある
- 経血がいつもより多すぎる
- 頻尿
腰痛を伴う子宮・卵巣疾患は以下のようなものがあります。
子宮筋腫 | 子宮がん |
子宮内膜症 | 子宮脱 |
子宮外妊娠 | 卵巣茎捻転 |
卵巣がん | 骨盤内感染症 |
腰痛が治らないときの改善方法
腰痛が治らないときの改善方法として、以下に7つ挙げました。
それぞれの改善方法について説明します。
病院に行く
腰痛が治らないとき、受診科の選択肢として以下があります。
- 整形外科
- 内科
- 婦人科・産婦人科
それぞれの受診科の選び方について説明します。
整形外科
腰痛の原因を特定するためにも、まず整形外科を受診しましょう。
日本整形外科学会から認定された整形外科専門医に診察してもらうのがおすすめです。
整形外科専門医は整形外科分野で一定以上のスキルが保証されているからです。
また、腰痛に特化した腰痛専門の整形外科を受診する選択肢もあります。
受診するときのポイントは自分の痛みを正確に伝えることです。
診察は、
- 問診
- レントゲン検査
- 血液検査
- MRI、CT
などを行って原因を探っていきます。
内科
腰痛以外に以下のような症状が伴う場合は初めに内科を受診しましょう。
発熱 | 吐き気 |
おう吐 | 悪寒 |
倦怠感 | 腹痛 |
内臓の病気がある場合に腰痛を起こすことがあるからです。
関連痛と呼ばれるもので、内臓部分の痛みが腰痛としてあらわれます。
婦人科・産婦人科
女性で、腰痛に伴い以下のような症状がある場合は婦人科・産婦人科を受診しましょう。
子宮・卵巣疾患が疑われる症状です。
- 下腹部の痛み
- 不正出血
- 性交痛
- おりものの異変
接骨院や整体院を利用する
接骨院や整体院を利用するのも改善方法の1つです。
ただし、整形外科専門医の診察を受けた上で、接骨院や整体院を利用するのが良いでしょう。
病気が原因の腰痛の場合は、医師でないと危険信号を見分けられないからです。
危険信号を見落としたまま接骨院などを利用しても、根本的な治療になりにくいからです。
例えば骨に異常があるのに力を加えるような施術は、状態を悪化させることになるからです。
整形外科専門医の診断を受けたうえで、慢性腰痛の痛みを緩和するために利用するのが良いでしょう。
筋肉を鍛える筋トレやストレッチを行う
筋肉を鍛える筋トレやストレッチを行うことは腰痛改善方法の1つです。
鍛える筋肉は腰痛に関係しているところを確認して鍛えなければなりません。
慢性腰痛には背筋・腰を鍛える運動が効果的です。
慢性腰痛に効果的な運動2つをご紹介します。
【上体反らし】
床で行う上体反らしは以下の要領で行います。
- うつ伏せになって、両手は後ろお尻当たりでつなぐ
- お腹をへこませる
- お腹をへこませたまま上体を反らし5秒間キープする
- 元に姿勢に戻す
上体反らしは10回1セットを1日2~3セット続けましょう。
【いす上体反らし】
いすに座って上体反らしを以下の要領で行います。
- いすの背もたれにクッションを置いて深く座る
- 腕を組んでお腹をへこます
- お腹をへこませたまま上体を後ろへ反らし5秒間キープする
- 元の姿勢に戻る
いす上体反らしは10回1セットを1日2~3セット続けましょう。
筋疲労が原因のときは原因に合わせた改善方法を行う
腰痛の原因が筋疲労のときは、原因に合わせた改善方法を行う必要があります。
以下に筋疲労の原因別の改善方法についてご紹介します。
栄養不足
栄養不足が腰痛を悪化させることがあります。
筋疲労を改善するには、筋肉を作る栄養素をしっかり摂ることが大切です。
腰痛を改善する栄養素には以下のようなものがあります。
- カルシウム、マグネシウムなどのミネラル:筋肉の機能を保つ
- ビタミンE、DHA・EPA:血流を改善する
- ビタミンB群、ビタミンC:ストレスや疲労回復
柔軟性不足
足腰周りの筋肉が柔軟性を失うと血流障害を起こし腰痛を引き起こします。
しかしながら、筋肉の柔軟性欠如は検査ではあらわれません。
柔軟性改善のポイントは、腰回りの運動をなるべく多く行うことにあります。
朝晩のラジオ体操のように、毎日決まった時間に行う運動を継続するのが良いでしょう。
筋肉の使いすぎ
筋肉の使い過ぎで疲労が起こる場合は、筋肉の耐久力が不足していることになります。
使いすぎている筋肉がどこかは検査ではあらわれません。
したがって、自身のどこに疲労を感じているかの感覚になります
明らかに腰回りに疲労を感じるのであれば、腰回りの筋力アップを図るようにします。
筋肉の使わなすぎ
筋肉を使わなすぎで疲労がある場合は、血流不足が筋肉周辺で起こっています。
疲労を感じる筋肉を特定し血流改善の運動を行うことで、腰痛改善が期待できます。
血流改善の運動に効果的なのは筋肉を伸ばすストレッチです。
疲労を感じる筋肉をストレッチで伸ばすことで、血流を改善し腰痛改善にもつながります。
筋肉不足
治りにくい腰痛の1番ともいえる原因は筋肉不足があります。
筋肉不足は
- 日常的に使わない筋肉が年とともに徐々に弱っていく
- 病気による筋肉の弱り
- ダイエットなどで栄養失調からの筋肉の成長阻害
などで起こります。
筋肉不足を改善するためには、疲労を感じる部位(脚、腰など)の特定が大事です。
疲労を感じる部位を筋トレ・ストレッチしていきましょう。
腰痛に効果のあるツボ押しをする
腰痛改善に効果が期待できるツボを以下に3つご紹介します。
【腰腿点(ようたいてん)】
手の甲に2つあるツボです。
ツボの位置は以下の2つです。
- 第1腰腿点は人差し指と中指の骨が接合する手前のくぼみ
- 第2腰腿点は中指と薬指の骨が接合する手前のくぼみ
ツボ押しは親指の腹で5~10回程度強めに押します。
【委中(いちゅう)】
ひざの裏にあるツボです。
ツボの位置はひざの裏の中央あたりにあります。
ツボ押しは両手でひざをつかみ、中指2本で5~10回程度押します。
【太衝(たいしょう)】
足の甲にあるツボです。
ツボの位置は親指と人差し指の骨が接合する辺りにあります。
ツボ押しは親指の腹で強めに5~10回程度押します。
ストレス発散のためのメンタルケアを行う
ストレスを発散することで痛みを緩和できます。
ストレスの緩和で脳の血流を活発にして、痛みを抑える物質を増やせるからです。
厚生労働省はストレス緩和のために、以下の「こころと体のセルフケア」をすすめています。
- 体を動かす
- 今の気持ちを書いてみる
- 腹式呼吸をくりかえす
- 「なりたい自分」に目を向ける
- 音楽を聴いたり、歌を歌う
- 失敗したら笑ってみる
少し不調だなと感じたら、早めにやってみましょう。
効果が期待できます。
出典:厚生労働省【こころと体のセルフケア】
コルセットをつける
重いものを持つときなどコルセットを使うと腰への負担を少なくできます。
コルセットなどの腰痛保護ベルトには
- 腹圧上昇による体幹保持
- 骨盤補強
などの効果が期待できるからです。
ただし腰痛がある人の場合、外した後に腰痛が強まる可能性も示唆されています。
コルセットをつけた作業のメリット・デメリットを知っておくことが大切です。
使用に当たっては、必要に応じて医師に相談することが適当とされています。
出典:厚生労働省【職場における腰痛予防対策指針及び解説】
腰痛が治らないときの病院に行く目安
腰痛が治らないときに病院へ行く目安について以下に5つ挙げました。
それぞれの目安について説明します。
今までがんになったことがある
今までがんになったことがある人の腰痛は、早めに病院を受診するようにしましょう。
がんの骨への転移が原因で腰痛が起こることがあるからです。
腰痛診療ガイドラインでは、腰痛の危険因子を以下の3つに大別しています。
- 重篤な基礎疾患
- 下肢の神経症状を併発する疾患
- 各種脊柱構成体の退行性病変
危険因子の中の重篤な基礎疾患には悪性腫瘍が挙げられています。
出典:【腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版】
腰痛を引き起こすがんには以下のようなものがあります。
- 骨がん
- がんの骨への転移
- 膵臓がん・大腸がん
特に今までがんになったことがある人は、がんの骨への転移に注意が必要です。
肺がん・乳がん・前立腺がんなどは、骨への転移がしやすいがんとされています。
段々悪化していく痛みがある
痛みが段々悪化していくような場合は、病気が原因の可能性があります。
ぎっくり腰のような急性腰痛は、自然に症状が治っていく腰痛です。
また原因がはっきりしない腰痛でも、自然に治っていくものもあります。
しかしながら、以下のような痛みの症状がある場合は病気による腰痛を疑う必要があります。
- 常に痛みがある
- 痛みが段々ひどくなっている
- 1ヶ月以上腰痛が治らない
腰痛の改善が見られないのに放置しておくと、病気の悪化を招くことになります。
早めの病院の受診がすすめられます。
時間や動きに関係しない痛みがある
痛みが時間や動作に関係なく出る場合は、病気の可能性があります。
以下のような場合です。
- 痛みのきっかけが特に思いあたらない
- 動作と痛みが連動していない(じっとしていても痛い)
- 痛みが持続している
時間や動きに関係しない痛みがある場合は、別の病気による関連痛の疑いがあります。
内臓疾患やがん、子宮・卵巣疾患などから来る痛みは病院を受診することが必要です。
年齢が20歳未満または55歳以上
腰痛で病院へ行く目安となる年齢に、20歳未満または55歳以上というものがあります。
20歳未満の腰痛は、先天性の病気や若年層に特有の病気が関係していることが考えられます。
また、男女共に55歳辺りを境にさまざまな病気になるリスクが高まります。
腰痛に関わりのある悪性腫瘍は男女とも55歳を過ぎると罹患率が高まります。
出典:【がん発症リスク年齢と検査について】
骨折の原因となる骨粗鬆症は特に女性において、50歳代から急激に発生しています。
出典:【骨粗しょう症になりやすい人】
明らかに外傷がある
明らかに外傷がある場合は、骨折等の可能性が高く病院の治療が必要な腰痛です。
明らかな外傷とは
- 高いところから落ちた
- 重量物の下敷きになった
- 自転車で転倒した
など、外傷の原因がはっきりしているものです。
腰痛が治らないときの症状の伝え方
腰痛が治らないときの症状の伝え方について説明します。
医師から的確に診断してもらうためには自分の症状をきちんと伝えることが大切です。
症状を上手く伝えるためには以下のような5つのポイントがあります。
【いつから】
以下のような症状の時間的経緯を伝えます。
- いつから痛むのか
- 痛みは日ごとに強くなっているのか
- 同じ痛みが続いているのか
【どこが】
以下のような痛みの場所を伝えます。
- 痛みは腰のどこ辺りか
- 腰以外に痛むところがあるか(背骨、お尻、脚など)
【どんなふうに】
以下のような痛みの傾向について伝えます。
- 激しい痛みが続いているのか
- 弱い痛みが続いているのか
- 痛みの強さはどの程度か
【どんなときに】
以下のような痛みが起こる動作やタイミングについて伝えます。
- 腰を曲げたときに痛む
- 歩くと痛みがある
- 安静にしていても痛みがある
【その他】
腰痛の他に気になる症状がある場合は必ず伝えましょう。
例えば
- 脚やお尻にしびれや麻痺がある
- 発熱
- 尿や便が出にくい
などです。
腰痛が治らないときに行う検査には何がある?
腰痛が治らないときに行う検査を以下に4つ挙げました。
- レントゲン
- MRI、CT
- 血液検査
- 診断をする際に使うレッドフラッグサイン
それぞれの検査についてご紹介します。
レントゲン
放射線を使った検査で腰椎の並びや変形など骨の異常を発見するのに適した画像検査です。
被ばく量が少なく、コストも安価な検査です。
しかし、1枚のレントゲン写真の為に病気の所在を特定することは難しいとされています。
腰椎椎間板ヘルニアの
- 骨と骨の間にある椎間板の異常
- 神経の圧迫異常
などは、レントゲンでは写らないので腰痛の原因を見逃す可能性があります。
MRI、CT
MRIは、磁場と電波を利用した画像検査で放射線による被ばくがありません。
腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛の腰椎の変形や神経の圧迫状態の確認に有効です。
原因のわからない腰痛を調べる場合に使われる画像検査です。
ただし、MRI検査での異常だけで腰痛の原因を特定することはできません。
総合的な判断が求められます。
CTは、放射線を利用した検査で、レントゲン検査よりも多くの断面を撮影できます。
骨の検査に適していますが、MRIに比べると軟部組織の変化を見るには適していません。
また血管由来の腰痛(大動脈解離や大動脈瘤など)は、CTで発見しやすい症状です。
血液検査
脊椎感染症など、血液の感染が原因の腰痛では早期発見に血液検査が有用とされています。
血液検査で白血球やCRP(炎症反応)を調べることで、感染の有無がわかります。
レントゲン検査やCT検査では、初期異常が見られないことがあります。
血液検査の異常と腰痛の症状から、脊椎感染症などの腰痛症が発見できることがあるのです。
診断をする際に使うレッドフラッグサイン
腰痛の診断をする際に使う、レッドフラッグサインがあります。
レッドフラッグサインとは、見逃すと重篤な疾患になりかねない兆候や症状のことです。
腰痛患者には注意深い問診と身体検査でレッドフラッグサインの有無を調べます。
該当するサインがあれば、画像検査や血液検査などで精査することになります。
「腰痛診療ガイドライン」では、腰痛のレッドフラッグサインを以下のように定めています。
- 発症年齢<20歳または>55歳
- 時間や活動性に関係のない腰痛
- 胸部痛
- がん、ステロイド治療、HIV感染の既往
- 栄養不良
- 体重減少
- 広範囲に及ぶ神経症状
- 構築性脊柱変形
- 発熱
出典:【腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版 (jcqhc.or.jp)(表1)】
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腰痛予防で治らない腰痛にならないことが大事
腰痛が治らない状態になる前に、腰痛予防を行うことが大事です。
腰痛予防を以下に4つ挙げました。
それぞれの予防法について説明します。
同じ姿勢を続けない
予防法の1つは、同じ姿勢を続けないことです。
同じ姿勢を長時間続けると、腰の動きに関わる筋肉が緊張したままになってしまいます。
筋肉が緊張すると
- 筋肉の疲労
- 血行不良
などが起こって、腰痛が出やすくなるのです。
同じ姿勢を長時間続けないために、定期的に休憩をとりましょう。
休憩中に筋肉の緊張をほぐすような軽い運動やストレッチをすると良いでしょう。
正しい座り方を意識する
日頃から腰に負担のかからない正しい座り方を意識することが大切です。
正しい座り方は以下のようになります。
- 椅子に深く座って背筋を伸ばす
- 坐骨が座面に当たるように座る
- 頭は重心を保ちながら顎を引いて座る
- 足裏はつま先から踵までしっかり地面につける
- ひざは約90度になるように椅子の高さを調整する
正しい姿勢で椅子に座ることで、
- 腰から背中、頭にかけての重心が安定する
- 丹田(丹田)に力が入り腰への負担が軽くなる
などの効果が得られます。
湯舟に浸かる
腰痛予防の1つに湯船に浸かって腰を温める方法があります。
腰を温めることで血行不良を改善し、筋肉の緊張をほぐせるのです。
湯船に浸かる方法は、血行不良や筋疲労が原因の慢性腰痛に効果が期待できます。
一方、ぎっくり腰などの炎症を伴う腰痛対策としては腰を温めることはやめましょう。
湯船に浸かって温めることは炎症をかえって促進し、痛みが強くなる可能性があるからです。
荷物を持ち上げる時は膝を曲げて重心を落とす
荷物を持ち上げるときは、膝を曲げて重心を落とすことで腰痛予防につながります。
腰痛予防は腰や背中に負担をかけない動きを普段からすることにあります。
負担をかけない荷物の持ち上げ方のポイントは、以下のようなものです。
- 荷物の近くに立つ
- 足を開く
- 膝を曲げて荷物を持つ
- 体の重心をしっかり落とす
- 丹田に力を入れつつ持ち上げる
ポイントに沿って荷物の持ち上げることで、腰や背中への負担を減らせます。
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腰痛は治らないだけでなく繰り返しやすい
ぎっくり腰等の急性腰痛は、個人差はありますが短期間(3~4日)で多くは治ります。
しかし、ぎっくり腰等の非特異的腰痛は、一旦は治ってもその後も長期間再発を繰り返します。
ぎっくり腰は原因が特定できない非特異的腰痛であるからです。
原因が特定できないので根治治療ができずに再発と軽快を繰り返すことになります。
腰痛を発症もしくは悪化させる要因は、以下が複合的に関与していると考えられています。
- 動作要因:長時間同じ姿勢で仕事をする、重量物を頻繁に扱うなど
- 環境要因:寒冷や振動に長時間さらされるような環境
- 個人的要因:慢性腰痛を抱えている、腰が痛くても休めないなど
腰痛予防は、腰痛を発症させたり悪化させるような要因を踏まえて行うことが重要です。
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腰痛が治らないのまとめ
ここまで、腰痛が治らないについてお伝えしてきました。
腰痛が治らないについての要点を以下にまとめます。
- 腰痛が治らない原因には筋肉不足・筋肉疲労、姿勢の悪さ、ストレス、病気が隠れているなどあるが原因不明の腰痛が大半
- 腰痛が治らない病気には骨や内臓、がん、子宮・卵巣の病気などがある
- 腰痛の改善方法には病院へ行く、接骨・整体院の利用、筋トレ・ストレッチ、ツボ押し、メンタルケア、コルセットの着用などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。