腰痛は日本人の現代病ともいわれています。
腰の痛みはつい我慢してしまいがちですが、無理をせず病院に行くのが望ましいです。
それでは、腰の痛みで病院を受診すべきなのはどのような時でしょうか。
本記事では、腰が痛い時の病院について、以下の点を中心にご紹介します。
- 腰が痛い時に病院に行くべき理由
- 腰が痛い時に病院に行くべき目安
- 病院に行く時の注意点
腰が痛い時の病院について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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腰が痛い時病院に行くべきなのは何故?
※画像はイメージです
腰が痛い時は病院の受診が適切です。
病院を受診すべき理由をご紹介します。
原因を調べるため
病院に行くべき大きな理由の1つは、腰が痛い原因を特定するためです。
腰痛の治療法は原因によって異なります。
適切な治療を受けるためにも、まずは原因を特定しなければなりません。
なお、腰が痛くなる主な原因は次の通りです。
- 悪い姿勢
- 骨格の歪み
- 日常生活の動作(しゃがむ・重いものを持つ)
- 病気
腰痛の原因はご自身での特定は困難です。
正確な原因の特定につなげるためにも、専門知識を持った医師の診察を受けましょう。
腰痛を放置することによる病気の危険性があるため
腰痛は何らかの病気のサインとしてあらわれることもあります。
腰痛が出やすい病気には、たとえば次があります。
- 脊椎・神経の病気:椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・坐骨神経痛
- 内臓の病気:子宮内膜症・尿路結石・十二指腸潰瘍
病気ではありませんが、骨の重度の変形が腰痛を引き起こすこともあります。
病気・重度の骨の変形は、放置しても自然に治ることはほとんどありません。
つまり腰が痛いのを放置することは、病気を放置することと同義です。
病気の進行を防ぎ、早期の治療につなげるためにも、腰が痛い場合は病院の受診が望ましいでしょう。
全ての腰痛の症状で病院に必ずいくべきとはされていない
腰が痛い場合は、できれば整形外科などの病院の受診が望ましいです。
ただし、腰が痛いからといって必ずしも病院に行く必要はありません。
腰痛は、放っておいても自然に治ることもあるためです。
特に病気・ケガが原因でない腰痛の多くは、安静にしていれば治ることが多いです。
そのため腰が痛い場合はすぐ病院に行くのではなく、しばらく様子を見てもかまいません。
ただし、気になる症状などがある場合は、すぐに病院に行きましょう。
腰が痛い場合にすぐ病院を受診すべき目安は、次項でご紹介します。
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腰が痛い時の病院に行くべき目安
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腰が痛い時に、すぐ病院に行くべき目安をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
痛みがひどくて動けない
日常生活に支障が出るほど痛みが強い場合は、できれば病院に行きましょう。
たとえば座れない・立てない・歩けない場合が該当します。
動けないほどの痛みは、身体だけでなく心にも苦痛を与えるためです。
苦痛を和らげるためにも、我慢せずに病院で診てもらいましょう。
動けないほどの痛みは、なんらかの病気のサインの可能性もあります。
病気を見逃さないためにも、一度は病院で検査を受けるのが望ましいです。
腰の痛みがだんだん強くなる時
腰の痛みが徐々に強くなる場合は、病気・ケガ・骨折が疑われます。
代表的な病気は椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症などです。
原因を特定するためにも、病院で診てもらうのがおすすめです。
痛みやしびれの範囲が広い
腰の痛み・しびれの範囲が広い場合は、病気・ケガ・骨折の可能性が高いです。
腰痛以外に次のような症状がある場合も、すぐに病院を受診してください。
- 発熱
- 尿漏れ・排尿困難
- 倦怠感・だるさ
- 吐き気
- 胸痛・腹痛
- 血尿
数日間経っても良くならない
数日経過しても腰痛がまったく軽快しない場合は、一度病院に行きましょう。
骨折などのおそれがあるためです。
たとえ軽度の腰痛であっても、6週間以上続く場合は受診の目安です。
腰痛を放置すると、運動量が減少して筋肉が衰えやすくなるためです。
特に高齢者は、軽い腰痛が寝たきりに発展することもあります。
寝たきり予防の観点からも、腰痛が長引く場合は、病院で検査・治療を受けてください。
明らかに腰をぶつけたことがある時
腰痛の原因が明らかに分かっている時も、病院の受診がおすすめです。
腰痛の明らかな原因とは、たとえば次があります。
- 腰を思いきりぶつけた
- 転倒
- 重いものを持って腰をひねった
たとえ原因が明らかでも、腰が痛いのを放置すれば慢性化・重症化に発展しかねません。
腰の痛みを早く治し、日常生活を取り戻すためにも、病院で適切な治療を受けましょう。
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腰が痛い時に病院へ行く際に確認すること
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腰が痛いときに病院に行く場合、どのような点に注意すべきでしょうか。
ここからは受診の際の注意点・確認すべきことをご紹介します。
何科へ行くのか
診療科は整形外科が適当です。
整形外科では、腰痛の原因を特定できます。
腰痛の原因が骨格の歪み・脊椎の異常などの場合、治療は引き続き整形外科で行います。
もし腰が痛い原因が他にある場合は、他の適当な診療科に誘導してもらえるでしょう。
診察時に医師に伝えること
次のような点を医師に伝えるとスムーズな診断につながります。
いつから痛みがあった?
痛みが出始めた時期を確認しておきましょう。
もし痛みの発生直前に、転倒・打撲などをした場合は、あわせて伝えてください。
痛みの部位はどこ?
最も強く痛む場所を確認しておきましょう。
広範囲に痛む場合は、医師に伝えてください。
どのような時に痛みが出る・強くなる
痛みが出る・強くなるタイミングをチェックしておきましょう。
たとえば動いた時・温めた時が代表的です。
痛みが出やすい場面を洗い出すことで、腰痛の原因を特定できることもあります。
たとえば身体を屈めた時に痛みが出る場合、原因として骨格の歪みや内臓の不調が考えられます。
その他に症状があるか
腰が痛い以外に気になる症状があるかを確認しておきましょう。
症状の例は次の通りです。
- 頭痛
- 耳鳴り
- めまい
- 吐き気
- 血尿
腰痛以外の症状は、腰の痛みの原因の特定につながることもあります。
元から持病があるかどう
もともと持病がある方は、診察の際に医師に伝えてください。
持病が原因で腰が痛い可能性があるためです。
病院までの距離
病院を選ぶときは、通いやすい距離かどうかを確認しましょう。
腰痛は1回の通院で治るとは限らないためです。
定期的な通院が必要になった場合は、やはり距離が近いほうが通いやすいでしょう。
なお、通いやすいかどうかの判断は個人によって異なります。
ぜひ、ご自身にとって便利な病院を選んでください。
診断結果に納得がいかない、原因が不明とされた時にどうするか
実は腰痛の原因の多くは不明です。
病院を受診しても、原因がはっきりしないことは少なくありません。
あるいは、診断された原因に納得できないこともあります。
もし病院で原因不明と診断された場合・診断に納得できない場合は、どのように対処すべきでしょうか。
同じ病院でしばらく治療を続ける
できれば、しばらくは同じ病院で治療を続けるのがおすすめです。
たとえ原因が分からなくても、治療している間に徐々に改善される可能性があるためです。
原因が分からないとは、つまり腰痛を発生させている病気が見つからないということです。より具体的には、命・身体に緊急の危険が迫っている可能性は低いのです。
緊急度が低いのであれば、診断・治療もそれほど急ぐ必要はありません。
まずは医師を信じて、治療を受けてみましょう。
しばらく治療を受けても効果がない時に他の病院も試してみる
一定期間治療を続けても効果があらわれない場合は、病院を変更するのも1つの方法です。
目安は3ヶ月程度です。
新しい病院では、前の病院では発見できなかった腰痛の原因が見つかる可能性もあります。
診断の精度を高めるために、できれば前よりも設備が充実した病院を受けましょう。
なお、病院を頻繁に変えるのはあまりよくありません。
腰痛の治療効果が出るまでには、一定時間がかかることが多いためです。
もし治療の途中で病院を変えると、それまでの治療の効果がリセットされます。
できれば3ヶ月、最低でも1ヶ月は同じ病院で治療を受けるのがおすすめです。
腰が痛い時の病院での治療法
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腰が痛い時、病院ではどのような検査・治療を行うのでしょうか、
代表的な検査・治療法をご紹介します。
レントゲン検査やMRI検査で状態を確認する
腰痛の代表的な検査は次の通りです。
- レントゲン
- CT検査
- MRI検査
- エコー検査
いずれもX線や磁気を利用した画像検査です。
具体的には、背骨・骨盤の異常を視覚的に確認するための検査です。
たとえば画像検査で脊椎の変形が認められる場合は、椎間板症が疑われます。
薬の処方
一般的には、腰の痛みには薬物療法が選択されます。
代表的なのは、次のような消炎鎮痛剤です。
- 非ステロイド系抗炎症薬(ロキソプロフェン・イブプロフェン)
- オピオイド
- アセトアミノフェン
- 筋弛緩薬
- 抗うつ薬
消炎鎮痛剤は、大きく分けて外用薬(湿布)と内服薬(飲み薬)の2種類があります。
ブロック注射
ブロック注射は、局所麻酔の注射によって、痛みの神経経路を遮断する方法です。
薬物療法で効果が出ない方や、痛みを早くなんとかしたい方に選択されることが一般的です。
リハビリテーション
リハビリテーションは、運動療法・理学療法を通じて腰痛を改善する方法です。
具体的な内容は次の通りです。
- 機能訓練
- マッサージ
- 温熱療法
- 鍼治療
リハビリテーションの主な目的は、関節や筋肉の硬直を緩めて血行を促進することです。
腰周りの血行が促進されると、腰の痛みの軽減が期待できます。
腰が痛い時の病院に行くまでの対処法
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腰が痛い時、すぐに病院に行くのが難しい場合もあります。
あるいは、しばらく様子を見るためにあえて病院に行かない場合もあるでしょう。
すぐ病院に行かない場合は、ご自身で痛みに対処しなければなりません。
そこでここからは、病院に行かない場合にご自身でできる腰痛の対処法をご紹介します。
安静にする
腰が痛い時は、まず安静にすることが大切です。
具体的には、ご自身が1番楽な姿勢を取ってください。
個人差はあるものの、腰が痛い時は、次のような体勢がおすすめです。
- 横向きに寝て膝を軽く曲げる
- うつ伏せになり、お腹の下にクッションを入れる
- 仰向けに寝て、足の下にクッションや畳んだタオルを入れる
痛みが強い時は無理に運動しない
痛みが強い時は、無理に腰を動かすような動きは止めましょう。
たとえば運動・リハビリが代表的です。
重いものを持ったり、長時間歩いたりするのも控えるのが無難です。
ただし、安静にしすぎるのも良くありません。
あまり動かずにいると、腰周りの筋肉が固まって、かえって痛みが強くなることもあるためです。
痛みがある程度落ち着いたら、少しずつでも腰を動かすのがおすすめです。
たとえば歩く・軽い体操など、無理のない範囲で取り組みましょう。
腰痛が炎症や熱を持っていたら冷やす
腰が痛いときに温めるべきか、冷やすべきかで迷う方も多いでしょう。
実は温めるor冷やすの対処法は、腰痛の種類によって使い分けが必要です。
冷やすべきなのは、急性の腰の痛みです。
たとえばぎっくり腰のように、炎症・熱を伴う腰痛に効果的です。
反対に温めるべきなのは、慢性の腰痛です。
慢性の腰痛の多くは、腰周りの血行が悪化しているためです。
患部を温めると血行が改善されやすくなるため、痛みの軽減が期待できます。
腰が痛い時に病院に行く可能性が高い仕事は?
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厚生労働省の調査を参照します。
病院に行くほどの腰痛が発生しやすいのは、陸上貨物運送事業の従事者です。
具体的な腰痛発生率(死傷年千人率)は、0.41とされています。
なお、全業種における腰痛発生率は0.1です。
陸上貨物運送事業は、他の職種と比べても腰の痛みが発生しやすいことが分かります。
厚生労働省は、陸上貨物運送事業の事業者の腰痛予防対策として、次のような対策を推進しています。
作業管理 | リフターなどの自働操業機器の導入・重量物の重量制限・腰痛を予防するための作業の行い方の指導・作業標準の策定 |
作業環境管理 | 保温対策・照明管理・転倒や滑り防止・運転時の環境の調整 |
健康管理と労働衛生教育 | 配置時または6ヶ月に1回の腰痛予防健康診断・腰痛予防体操・腰痛予防のための教育 |
出典:厚生労働省【陸上貨物運送事業における腰痛の予防】
腰が痛い時の病院のまとめ
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ここまで、腰が痛い時の病院についてお伝えしてきました。
腰が痛い時の病院の要点を以下にまとめます。
- 腰が痛い時に病院に行くべき理由は、原因を特定して適切な治療につなげるため・腰痛に隠れた病気を見逃さないため
- 腰が痛い時に病院に行くべき目安は、動けないほど痛みが強い時・痛みが次第に強くなる時・腰痛以外の症状がある時
- 病院に行くときの注意点は、整形外科で、痛みの発生時期・発生場所・痛みが出やすいタイミングを伝えること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。