早老症とは名前の通り、通常よりも早い速度で老いていく病気です。
また、早老症は別名「早期老化症」とも呼ばれています。
そもそも早老症とはどのような病気で予後はどのくらいなのでしょうか?
早老症の治療法にはどういったものがあるのでしょうか?
本記事では早老症について以下の点を中心にご紹介します。
- 早老症の症状とは?
- 早老症の治療法や予後について
- 早老症の日常生活上の注意点とは?
早老症について理解を深めるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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早老症とは
早老症とはその名の通り、実際の年齢よりも早く老化の兆候が全身にあらわれる病気です。
一言で早老症といっても、その裏には10個もの疾患が隠れています。
今回はその中でも日本人に多い「ウェルナー症候群」について詳しく紹介していきます。
ウェルナー症候群の約60%は日本人であるといわれています。
20歳代くらいから白髪や脱毛などの老化症状がはっきりと出てくることが多いです。
両目にみられる白内障が特徴的であり、全身の筋力が低下していきます。
皮膚については「角化」と呼ばれる症状があらわれ、硬く、厚くなります。
このように早老症では全身にさまざまな症状があらわれます。
早老症は早期に治療することが大切です。
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早老症の症状
早老症では全身にさまざまな症状があらわれます。
以下で詳しく紹介するので参考にしてください。
主要症状
主要症状は10歳~40歳までに出現することが一般的です。
20歳以上になると白髪や脱毛が出てきます。
さらに皮膚にしわが出てくるなど、皮膚の萎縮や硬化が目立ってきます。
両目にみられる白内障も特徴の1つです。
ほかには、アキレス腱などの軟部組織の石灰化が出てきます。
顔の特徴としては下顎が小さくなり、鼻が尖った鳥様顔貌がみられることが多いです。
さらに下肢に潰瘍ができやすくなります。
そのほかの症状
次に主要症状以外のそのほかの症状を紹介していきましょう。
声の異常として高い声を出そうとすると声がかすれることがあります。
また、糖や脂質の分泌に異常をきたすので、糖尿病や脂質異常症になる確率が上がるでしょう。
さらに、女性の方であれば骨粗鬆症になりやすい傾向にあります。
そのため、くしゃみや少しぶつけただけでも骨折のリスクが上がるのです。
非上皮性腫瘍または甲状腺癌のリスクも高い傾向です。
原発性性腺機能低下症などの甲状腺の機能に異常をきたすケースもあります。
血族同士で結婚することで、早老症のリスクが高まるとされています。
子どもへの遺伝については諸説あります。
動脈硬化が早期にあらわれるので、血管系の疾患が出現するリスクも高いです。
早老症の原因
早老症の主な原因は、遺伝子の異常といわれています。
つまり、体細胞分裂するときのタンパク質の異常化が原因です。
詳しくいうと、身体が成長するときに染色体をコピーする段階で異常をきたします。
その結果、正常な細胞分裂ができずに異常なタンパク質が形成されてしまうということです。
早老症の予後
最近では早期治療が進んでおり、平均寿命が長くなってきています。
早老症は20代頃から症状が徐々に出現していき、重症化していくものです。
40代くらいになると心筋梗塞や脳梗塞、肺炎などで亡くなる方もいます。
現段階では早老症の平均寿命は、50〜60歳代になっています。
ただし、個人差が大きいのでその点はご了承ください。
早老症の治療法
早老症は遺伝子異常によるものなので、根本的な治療法はありません。
しかし、早老症による症状が出現したときにその症状に対して治療することはできます。
たとえば、足の皮膚に潰瘍ができやすい場合、皮膚を清潔に保ちます。
清潔に保つことで、感染が起きないようにするのです。
予防としては、以下のことに注意しましょう。
- 長時間同じ姿勢で過ごさないようにする
- 靴擦れが起こらないように注意するなど
白内障が起きた場合には手術をしたり、足の潰瘍が重症化すると切断しなければいけない場合もあります。
動脈硬化や脂質異常症、糖尿病であれば内服治療などがあります。
このように対症療法を行っていく形が一般的です。
早老症の診断基準
早老症の診断基準は、原因となる病気によって違います。
共通していえることは、早老症特有の症状が出ているのかということです。
早老症の診断基準の例は、以下のようなものです。
- ウェルナー症候群:10〜40歳までの間に特有の症状が出ているのかがポイント
- ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群:乳児期における成長の遅れの有無
このようにそれぞれの病気ごとに異なるので、詳しくは受診して診断してもらうことをおすすめします。
早老症の重症度分類
ウェルナー症候群の重症度分類は、5つに分かれています。
以下に重症度別にまとめます。
【ウェルナー症候群の重症度分類】
1度 | しわなどの皮膚の硬化・萎縮が四肢のどこかにみられている。 日常生活に問題はなく、影響がほとんどみられていない状態。 |
2度 | しわなどの皮膚の硬化・萎縮が四肢のどこかにみられている。 日常生活に多少不自由があるが、普段通りの生活が可能。 歩行障害はないか、あっても非常に軽い状態。 |
3度 | 日常生活は自立している。 しかし、皮膚に潰瘍や石灰化などによる痛みのため、日常の生活に何らかの支障が出ている状態。 |
4度 | 介助があれば外出が可能だが、足に痛みなどの強い症状があるため、自分で歩くことが困難。 日常生活でも部分的に介助が必要な状態。 |
5度 | 寝たきりで日常生活に全面的な介助が必要であり、ベッドや車椅子での生活が中心。 あるいは悪性腫瘍に罹患している状態。 |
出典:厚生労働省【191 ウェルナー症候群 (mhlw.go.jp)】
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早老症は介護保険の特定疾病
65歳以上の高齢者は介護保険制度により、さまざまなサービスが受けられます。
身体が不自由になった高齢者に対し、不安なく生活できるようにサポートするものです。
たとえば、以下のようなものがあります。
- 自宅に手すりを付ける
- 介護ベッドをレンタルするなど
また、医療費の自己負担額が減ったりと、サービスは多岐にわたります。
特定疾病と診断がついている方が活用できるのが、介護保険制度です。
早老症は特定疾病の1つであるため、介護保険サービスを利用できます。
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早老症はアキレス腱の石灰化が78.9%起こる?
早老症ではアキレス腱の石灰化が多くみられます。
その割合はなんと、78.9%にもなるのです。
アキレス腱の石灰化とは、アキレス腱と踵の骨がくっつくことで、引っ張られて痛みや炎症を生じます。
特に足首を上向きに曲げると、非常に強い痛みが出現します。
動作としては、歩いたり、靴を履いたりするときに痛みを生じることが多いようです。
そのため、重症化すると痛みで歩行が困難になります。
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日常生活上の注意点
最後に早老症における日常生活の注意点を紹介していきます。
早老症では足に潰瘍ができやすいので、靴選びには注意が必要です。
靴擦れを起こさないように足に合った靴を選びましょう。
また、長時間同じ姿勢でいると床ずれを起こしやすいです。
時間ごとに身体の向きを変えるようにしましょう。
特に足の踵については適宜除圧したり、マットレスを工夫したりすると良いでしょう。
早老症は見た目は年老いて見えますが、脳は正常に機能しています。
ですので周囲の方が対応する際の注意点として、お年寄りのような扱いはせずに自尊心に配慮しましょう。
早老症まとめ
ここまで早老症についてお伝えしてきました。
早老症の要点を以下にまとめます。
- 早老症では白髪や脱毛、両目の白内障などの症状があらわれる
- 早老症には根本的な治療はなく、対症療法が行われ平均寿命は50〜60歳代
- 早老症では潰瘍ができやすいので日常生活への配慮が必要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。