薄毛は男性に起こるものとお考えではありませんか。
実は、薄毛は女性にも多いお悩みの1つです。
女性の薄毛はなぜ起こるのでしょうか。
また、女性の薄毛を治すにはどうしたらよいのでしょうか。
本記事では、女性の薄毛について、以下の点を中心にご紹介します。
- 女性の薄毛の原因
- 女性の薄毛の治し方
- 女性の薄毛の症状
女性の薄毛について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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女性でも薄毛になるの?
女性でも薄毛になることはあります。
なお、女性の薄毛は男性に比べると数は少なめです。
また、女性と男性では薄毛の原因・進行の仕方・治療法もやや異なります。
女性の薄毛の原因
女性の薄毛の原因は多岐にわたります。
代表的な原因をご紹介します。
ホルモンバランスの乱れ
女性の薄毛の代表的な原因が、女性ホルモンバランスの乱れです。
ホルモンバランスが乱れる原因としては次が代表的です。
- 加齢
- ストレス
- 閉経
- 出産
- 月経
ホルモンバランスの乱れで薄毛が起こる理由は主に2つあります。
1つ目は、女性ホルモンには髪の毛の成長をサポートする働きがあるためです。
頭皮の健康・髪の成長に関わるのは、エストロゲンというホルモンです。
そもそも髪の毛は、次の3つのサイクルを繰り返しながら成長しています。
- 成長期:髪の毛を生やす毛母細胞が活発に活動する
- 退行期:毛母細胞が徐々に活動を休止する
- 休止期:毛母細胞の活動が完全に止まる
エストロゲンは、上記のサイクルが正常に回るように管理しています。
ホルモンバランスが崩れてエストロゲンが減少すると、休止期が長引きやすくなります。
つまり髪の成長が止まるため、抜け毛が増えて薄毛に至りやすくなります。
2つ目の理由は、テストステロンという男性ホルモンが増えるためです。
男性ホルモンの増加によって起こる女性の薄毛はFAGAと呼ばれています。
FAGAについては次項で解説します。
女性男性型脱毛症(FAGA)
女性の薄毛の原因に女性男性型脱毛症があります。
FAGAとも呼ばれています。
男性型脱毛症とFAGAのメカニズムは同様です。
具体的には、体内でジヒドロテストステロン(DHT)が合成されることで起こります。
DHTは男性ホルモンの1種で、毛髪の成長周期を乱して薄毛を引き起こす作用があります。
男性ホルモン「テストステロン」と還元酵素「5αリダクターゼ」が結合することで合成されます。
ところで、なぜ女性で男性ホルモンが合成されるのでしょうか。
実は女性の身体にも、もともと男性ホルモン(テストステロン)は備わっています。
しかし女性の場合は、テストステロンより女性ホルモンの方が多く存在します。
そのため、男性のようにテストステロンの影響を受けることはあまりありません。
閉経などによって女性ホルモンの量が減少すると、相対的にテストステロンの量が増えます。
テストステロンの量が増えると、ジヒドロテストステロンも合成されやすくなります。
そのため、女性でも男性型脱毛症が起こりやすくなるのです。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れが女性の薄毛を引き起こすこともあります。
薄毛の原因となりやすい生活習慣は次の通りです。
- 睡眠不足
- 運動不足
- 偏った栄養
- 喫煙
- ストレス
上記はいずれも頭皮の血行を悪化させます。
頭皮の血行が悪くなると、髪の毛の成長に必要な栄養が届きにくくなります。
つまり健やかな髪の毛が育ちにくくなるため、毛が薄くなりやすいのです。
頭皮へのダメージ
頭皮に過度なダメージが加わると、健やかな髪の毛が育ちにくくなります。
頭皮のダメージの例は次の通りです。
- 誤った洗髪(爪を立てて頭皮を洗う・汚れが落ちていない)
- 頭皮を引っ張るヘアスタイル
- ヘアエクステンション
- 頭皮の日焼け
- ドライヤーによる熱ダメージ
- 雑菌の繁殖(頭が濡れたまま放置する)
※画像はイメージです。PR ※CLINICFORの情報提供元CLINICFORAGAは疾患であるため、必要な治療を施さなければ治すことはできません。さらに、AGAは進行性の脱毛症のため、できるだけ早く治療を始めないと手遅れになっ[…]
薄毛治療にできることは?
女性の薄毛の原因はさまざまです。
治療は原因にあわせて行うことが大切です。
ここからは女性の薄毛の治療法をご紹介します。
薬物療法
FAGAが原因の場合は、男性型脱毛症の治療薬が有効です。
代表的な治療薬は次の通りです。
- ミノキシジル
- スピロノラクトン
- パントガール
一般的なのはミノキシジルです。
ミノキシジルは、頭皮の血行を促進して髪の毛の成長をサポートする薬です。
ミノキシジルは男性の薄毛にも利用されています。
ただし女性の場合は、男性用よりも成分が薄いものが使用されることがほとんどです。
男性と同等の濃度のミノキシジルを女性が用いると、副作用が出るおそれがあるためです。
なお、日本国内で薄毛治療薬として認められているミノキシジルは塗り薬のみです。
内服薬は未承認ですが、クリニックによっては女性にも処方しています。
食生活の改善
薄毛を改善するには、髪の毛の成長をサポートする栄養・食品を摂りましょう。
たとえば次のようなものがあります。
栄養素 | 主な効果 | 食品例 |
たんぱく質 | 髪の毛の原料になる | 肉類・卵類・大豆製品 |
亜鉛 | たんぱく質の代謝を助ける | 赤身の肉・牡蠣 |
ビタミンA | 細胞の新陳代謝を助ける | うなぎ・レバー・緑黄色野菜 |
ビタミンB群 | 頭皮の過剰な皮脂分泌を抑制する | うなぎ・卵・豚肉 |
ビタミンC | コラーゲンの合成を促進する・髪や頭皮の老化を抑制する | 野菜・果物・柑橘類 |
ビタミンE | 頭皮の血行を促進する | かぼちゃ・アーモンド・うなぎ |
鉄分 | 貧血を改善して頭皮の血行を促進する | 赤身の肉・レバー |
大豆イソフラボン | 女性ホルモンに似た働きをする | 大豆・豆乳・納豆・豆腐 |
生活習慣の改善
薄毛を治すには、生活習慣を見直すことも大切です。
たとえば次のようなポイントを意識しましょう。
- 質の良い睡眠
- 身体を温める
- ストレスの発散
- 栄養バランスの良い食事
- 適度な運動
- 禁煙・禁酒
特に大切なのは禁煙・禁酒です。
タバコの煙に含まれるニコチン・一酸化炭素は、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させるためです。
また、アルコールの分解には、髪の毛の生成に必要なシステインが消費されます。
髪の毛の健やかな成長を促すためにも、タバコ・酒は止めるのがベストです。
ヘアケア(シャンプー)の見直し
女性の薄毛は誤ったヘアケアで起こることも少なくありません。
不適切なシャンプーが代表的です。
爪を立てて頭皮を洗うと、頭皮が傷付いて髪の毛の成長に支障をきたしやすくなります。
シャンプーの際は、指の腹を使って優しく頭皮を洗いましょう。
シャンプー前に頭皮をしっかり濡らすことも大切です。
頭皮・髪の毛が水分を含むことで、余計な摩擦が起こりにくくなるためです。
頭皮にダメージが少ないシャンプー剤を選ぶことも大切です。
たとえばアミノ酸系シャンプーのように、頭皮への刺激が少ないものを選びましょう。
スカルプシャンプーのように育毛効果のあるシャンプー剤を選ぶのも良い方法です。
頭皮マッサージ
頭皮のマッサージも薄毛の改善におすすめです。
頭皮の血行が促進されるため、髪の毛に十分な栄養が届きやすくなります。
頭皮マッサージのやり方は次の通りです。
【やり方1】
- 頭を包むように両手の指をあてる
- 小指の腹をこめかみにあてる
- 親指以外の指で、頭皮を持ち上げるように揉む
【やり方2】
- 後頭部と首の付け根に親指をあてる
- 他の4本の指で後頭部を包むように持つ
- 指の腹で頭皮を上に持ち上げるようにマッサージする
- 襟足から頭頂部に向かってマッサージしていく
【やり方3】
- 頭頂部を包むように両手の指を立てる
- 頭皮を動かすようにマッサージする
それぞれ3~5回を目安に繰り返してください。
ヘアスタイルを変える
いつも同じヘアスタイルをしている場合は、定期的に変更しましょう。
具体的には、ポニーテール・みつあみなど頭皮を引っ張るようなヘアスタイルは頻度を減らしてください。
薄毛が目立たないようなヘアスタイルにするのもおすすめです。
たとえば頭頂部の薄毛が気になる場合は、分け目を変えると、薄毛が目立ちにくくなります。
薄毛治療する際の注意点
女性が薄毛を治療する場合は、原因に応じた方法を選択しましょう。
薄毛の原因と治療がすれ違うと、せっかく治療しても効果が出にくいためです。
たとえばストレスが原因の薄毛には、AGA治療薬はあまり役立ちません。
あるいは女性ホルモンの変動が原因の場合は、女性ホルモンの働きをカバーするような治療が必要です。
女性の薄毛の原因はさまざまです。
薄毛の原因が分からない場合は、病院を受診しましょう。
診療科は皮膚科が適当です。
ストレスなど精神的な理由に心当たりがある場合は、精神科・心療内科も視野に入れてください。
男性と女性の薄毛の違い
男性と女性の薄毛は、進行の仕方・治療法がやや異なります。
男女の薄毛の違いをご紹介します。
進行具合の違い
男性の薄毛は、生え際・頭頂部から始まることが一般的です。
ハッキリとした症状があらわれやすいため、薄毛に早い段階で気づきやすいのが特徴です。
対して女性は、特定の部位が薄くなることはあまりありません。
一般的には、髪の毛が全体的にボリュームダウンしていきます。
進行は男性に比べると遅いため、発見が遅れることも多々あります。
ただし、薄毛の進行の仕方は個人差があります。
治療薬の違い
男性と女性では、薄毛に利用される治療薬が異なります。
具体的には、男性用の治療薬のほうが作用が強めです。
男性用の治療薬が女性に利用されることはまずありません。
効果が強い薄毛治療薬を女性が使用すると、身体に悪影響が出ることがあるためです。
妊娠中・授乳中の女性は、胎児・乳幼児の発達が障害されるおそれもあります。
男性と女性の薄毛意識
男性と女性では薄毛に対する意識が異なります。
株式会社リクルートの調査結果を参照します。
自分が薄毛であると答えた方の割合は、男性26.0%、女性は8.0%でした。
薄毛でないし不安もないと感じる方の割合は、男性52.5%、女性67.4%です。
男性のほうが、より薄毛に高い危機感を抱いていることが分かります。
また、薄毛対策にかけてもよいと思う金額は男性が月5,310円でした。
対して女性は月3,655円です。
男性のほうが薄毛を何とかしたいと強く感じていることが分かります。
出典:【薄毛に関する意識調査2022】
主な薄毛の症状
一口に薄毛といっても、種類によって症状は異なります。
薄毛の代表的な症状を種類別にご紹介します。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は、女性の薄毛の中でも数が多いタイプです。
びまん性脱毛症は毛髪全体が徐々に薄くなるのが特徴的です。
たとえば次のような心当たりがある場合は、びまん性脱毛症が疑われます。
- 分け目が目立つ
- 髪が細くなった
- 地肌が透けて見える
- 髪のボリュームが減った
- 髪が痩せた
主な原因はストレス・加齢・ホルモンバランスの変動です。
円形脱毛症
円形脱毛症は、ある日突然、髪の毛が円形に抜け落ちるタイプの脱毛症です。
次の5種類があります。
単発型 | 円形の脱毛が1カ所起こる |
多発型 | 円形の脱毛が2カ所以上起こる |
蛇行型 | 円形の脱毛が側頭部から後頭部の生え際にかけて広がる |
全頭型 | 毛髪がすべて抜け落ちる |
汎発型 | 毛髪以外の体毛(まゆげ・まつげ)が抜け落ちる |
円形脱毛症の主な原因はストレス・女性ホルモンの減少です。
アトピーや自己免疫によって起こることもあります。
ひこう性脱毛症
ひこう性脱毛症は大量のフケが原因で起こる脱毛症です。
フケが大量に発生すると、毛穴を塞ぐことがあります。
塞がった毛穴の中では、マラセチア菌という常在菌が繁殖しやすくなります。
菌の増殖は毛穴の炎症を招き、ひいては髪の毛の成長を阻害します。
具体的には抜け毛が増えるため、毛髪が薄くなるのです。
ひこう性脱毛症は、フケ・頭皮のかゆみを伴うことが一般的です。
主な原因として、誤った洗髪・ストレス・アレルギーが指摘されています。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は、頭皮の過剰な皮脂分泌が原因で起こります。
具体的には、皮脂が毛穴を塞いで炎症を起こすことで、薄毛に至ります。
脂漏性脱毛症の主な症状は次の通りです。
- 頭皮のベタ付き
- 頭皮のかゆみ
- フケ
- 頭皮のニキビ・吹き出物
脂漏性脱毛症の主な原因は、誤った洗髪・生活習慣の乱れなどです。
特に脂っこい食事を好む方は、脂漏性脱毛症のリスクが高いとされています。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症は髪の毛が引っ張られることで起こる脱毛症です。
たとえばポニーテールのような特定のヘアスタイル、ヘアアイロンの使い過ぎによって起こります。
牽引性脱毛症は、原因を取り除けば改善することが一般的です。
たとえば、いつも同じヘアスタイルの方は、ヘアスタイルを変えてみましょう。
女性の薄毛まとめ
ここまで、女性の薄毛についてお伝えしてきました。
女性の薄毛の要点を以下にまとめます。
- 女性の薄毛の原因は、ホルモンバランスの乱れ・生活習慣の乱れ・FAGAなど
- 女性の薄毛の治し方は、薬物療法・生活習慣の改善など
- 女性の薄毛の症状は、髪の毛全体が薄くなるびまん性脱毛症や、髪が円形に抜け落ちる円形脱毛症など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。