水虫といえば足の指にできるものというイメージがあります。
しかし実は、水虫は手にも発生します。
手の水虫とはどのようにして起こるのでしょうか。
本記事では、手の水虫について、以下の点を中心にご紹介します。
- 手の水虫の主な原因
- 手の水虫の症状
- 手の水虫に市販薬は使えるのか
手の水虫について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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そもそも水虫とは
水虫は皮膚病の1種です。
医学的には白癬症(はくせんしょう)と呼ばれています。
水虫の発症率が高いのは足の指の間ですが、他の部位に生じることもあります。
水虫は発症部位に応じて、名称が変わります。
足以外の代表的な発症部位と呼び名は次の通りです。
- 手:手白癬
- 爪:爪白癬
- 胴体:たむし
- 股間:いんきんたむし
- 頭部:しらくも
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手の水虫(手白癬)の原因
手に限らず、水虫の根本的な原因は白癬菌(はくせんきん)への感染です。
白癬菌とはカビ(真菌)の1種です。
では、なぜ足に多い水虫が手に発症するのでしょうか。
理由はさまざまですが、特に多いのは足の水虫からの伝染です。
たとえば足に触れたときに、白癬菌が手に乗り移ると、手の水虫に至ります。
ただし手は、足に比べると、たとえ白癬菌と接触しても感染に至る確率は低いです。
手は洗浄の機会が多いため、感染する前に菌が洗い流されるためです。
しかし場合によっては、白癬菌との接触後すぐに感染に至ることもあります。
代表的なのは、手に傷がある場合・免疫力が極端に低下している場合です。
手の水虫(手白癬)の症状
手の水虫の症状は、水虫のタイプによって異なります。
代表的な手の水虫のタイプとそれぞれの特徴をご紹介します。
指(趾)間型
指間型は指の間に生じる水虫です。
足の水虫に目立ちますが、手に発生することもあります。
湿潤型と乾燥型の2種類があります。
主な症状は次の通りです。
- 皮膚が白or赤くなる
- 皮膚がふやける・むける
- 皮膚がジュクジュクになる(湿潤型)
- 皮膚がカサカサになる(乾燥型)
- かゆみ
小水疱型(汗疱型)
小水疱型は水ぶくれができるのが特徴です。
好発部位は手の平・手の指です。
小水疱型は指間型の水虫から発展することも多いです。
主な症状は次の通りです。
- 手の平・指にブツブツ(水ぶくれ)ができる
- 水ぶくれが破れる
- 強いかゆみ
- 皮膚がカサカサになる
水ぶくれが破れて汁が出ることもあります。
汁への接触で水虫に感染することはあまりありません。
角化型
角化型は手の水虫で割合が高いタイプです。
好発部位は手の平の広い範囲です。
角化型の主な症状は次の通りです。
- 手の平の皮膚が分厚くなる
- 手の平の皮膚が硬くなる・ガサガサになる
皮膚の硬化が進むと、ヒビ割れが起こることもあります。
他のタイプの水虫と異なり、かゆみはあまりありません。
手の水虫(手白癬)の診断方法
手の水虫の診断には、KOH検鏡法を用いることが一般的です。
KOH検鏡法は、患部の皮膚を採取して顕微鏡で調べる方法です。
採取した皮膚を顕微鏡にセットした後、KOHという試薬を添加します。
白癬菌が発見されれば、手の水虫と診断されます。
手の水虫(手白癬)の治療法
手の水虫の治療は、外用薬(塗り薬)の利用が一般的です。
具体的には、真菌を駆除する抗真菌薬が処方されます。
角化型の手の水虫には内服薬が併用されることも多いです。
角化型では角質が硬化し、薬剤を塗布しても成分が浸透しにくいためです。
手の水虫の治療期間はタイプによって異なります。
- 指(趾)間型:2ヶ月以上
- 小水疱型:3ヶ月以上
- 角化型:6か月以上
具体的な治療期間は症状の程度などによって異なります。
手の水虫(手白癬)は市販薬でも治療できる?
手の水虫は市販薬でも治療できます。
ここからは、市販薬の選び方をご紹介します。
なお、水虫の市販薬が効くのは、手の症状の原因が水虫である場合です。
水虫の治療薬は、もちろん水虫以外の皮膚病には効きません。
市販薬で一向に症状が改善しない場合は、皮膚科で診てもらいましょう。
具体的な目安は、1ヶ月継続しても症状が軽快しない場合です。
手の水虫(白癬)に効く市販薬の選び方
手の水虫用販薬の多くは、抗真菌成分配合の外用薬です。
具体的な選び方をご紹介します。
症状に合う成分で選ぶ
市販薬には、抗真菌成分以外の成分が含まれている物も多いです。
水虫薬は、症状に合わせて成分を選びましょう。
- かゆみがある:かゆみ止め成分
- 皮膚が分厚くなっている:尿素入り
皮膚が弱い・かぶれやすい方は、抗真菌成分のみ配合のものがよいでしょう。
使いやすさで選ぶ
水虫薬はタイプによって使用感が異なります。
そのため、ご自身にとって使いやすいかどうかで選ぶのもおすすめです。
代表的なタイプと特徴は次の通りです。
タイプ | 特徴 | おすすめな人 |
クリーム | 伸びがよくて塗りやすい・保湿力がある・刺激がやや強め | かゆみやただれがあまりない方 |
軟膏 | 保湿力がある・伸びはやや悪い・刺激が弱い | かゆみやただれが強い方・ガサガサした水虫の方 |
液状 | ピンポイントで塗りやすい・塗布の際に手が汚れない・刺激は強い・サッパリ感がある | 水虫の範囲が広い方・かゆみやただれがあまりない方 |
スプレー状 | 広範囲に塗りやすい・塗布の際に手が汚れない・刺激は強い・サッパリ感がある・効き目はやや弱い | 水虫の範囲が広い方・かゆみやただれがあまりない方 |
効き目で選ぶ
市販薬は効き目で選ぶことも大切です。
一般的には、次のような順番で強い効き目を期待できます。
クリーム・軟膏>液状>スプレー状
具体的な効き目は製品によって異なります。
効き目が強いものは、刺激が強いことも多いです。
かゆみやただれがひどい場合は、低刺激の薬を選ぶのもよい方法です。
手の水虫(手白癬)は予防できるの?
工夫次第で手の水虫は予防できます。
具体的なポイントをご紹介します。
皮膚を清潔に保つ
水虫を予防するには、皮膚を清潔に保ちましょう。
具体的には、入浴時に石けんを用いて汚れ・皮脂をしっかり洗い流します。
汚れや皮脂は白癬菌の大好物であるためです。
皮膚を乾燥させることも大切です。
白癬菌は、ジメジメした環境を好むためです。
特に指の間は蒸れやすい部位です。
手が濡れたら、指の間までしっかり水気を拭き取りましょう。
なるべく白癬菌に接触しない
水虫は白癬菌への接触・感染で起こります。
よって水虫を予防するには、白癬菌に接触しないことが大切です。
たとえば足に水虫がある方は、患部に手で触れないようにしましょう。
水虫菌が付着した物の使い回し・接触にも注意してください。
たとえば足の水虫を拭いたタオルで手を拭いてはいけません。
家庭内に水虫の方がいる場合は、共有物はこまめに洗濯・洗浄しましょう。
代表的なのは、タオル・マット・スリッパです。
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手の水虫(手白癬)の治療でしてはいけないこと
手の水虫を治療する際に気をつけるべきことをご紹介します。
重症化・再発を防ぐためにも、次の2つを守りましょう。
自己判断で治療を途中で止めない
手の水虫の治療は、自己判断で止めないようにしましょう。
たとえば、症状が消えたらすぐに治療を中止するケースが該当します。
症状が消えても、白癬菌は生き残っていることが多いためです。
白癬菌が残存したまま治療を中止すると、水虫が再発するおそれがあります。
治療を止めてよいかどうかの判断は、できれば医師に委ねてください。
市販薬でセルフケアする場合は、症状の消失後、最低でも1ヶ月程度は治療を継続してください。
ステロイド薬の使用は避ける
肌トラブルには、ステロイド薬がよく利用されています。
しかし水虫に限っては、ステロイド薬の利用は避けてください。
ステロイド薬は、かえって水虫を悪化させるおそれがあるためです。
手の水虫は、他の皮膚病と見分けが難しいものです。
そのため、水虫と思わずにステロイドを利用するケースも少なくありません。
ステロイドによる水虫の悪化を防ぐには、まず正しい診断を受けることが大切です。
具体的には、手に気になる症状があらわれた場合は皮膚科を受診してください。
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手の水虫についてのまとめ
ここまで、手の水虫についてお伝えしてきました。
手の水虫の要点を以下にまとめます。
- 手の水虫の主な原因は、足の水虫からの伝染
- 手の水虫の症状は、皮膚が分厚くなる・かゆみ・皮むけ・水ぶくれ
- 手の水虫に市販薬は使えるが、ステロイドの利用は避けるべき
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。