人間ドックは病気の早期発見や日々の健康管理に役立ちます。
しかし、時間がかかるというイメージから人間ドックを敬遠する方も少なくありません。
人間ドックには、具体的にどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
本記事では、人間ドックにかかる時間について、以下の点を中心にご紹介します。
- 人間ドックの代表的な検査項目
- 人間ドックの所要時間
- 人間ドックの時間を短縮する方法
人間ドックにかかる時間について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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人間ドックと健康診断の違い
人間ドックと健康診断の違いを表にまとめました。
ぜひ参考にしてください。
人間ドック | 健康診断 | |
目的 | 病気の早期発見 | 自分の健康状態を知る |
検査項目 | 50~100項目 | 10~15項目 |
受け方 | 個人の意志 | 雇用者が従業員に年1回以上実施・非就業者は個人の意志 |
根拠となる法律 | 法的義務なし | 労働安全衛生法 |
保険適用 | なし | あり |
人間ドックは、病気の発見のために行う健診です。
法的義務などはなく、個人の意志で自由に受けられます。
対して健康診断は、原則として年に1回の受診が義務づけられています。
主な目的は、今の健康状態を把握することで、病気を早期発見・予防することです。
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人間ドックの基本項目と検査でわかること
人間ドックは健康診断よりも検査項目が多岐にわたります。
そのため、健康診断よりも検査時間が長い傾向があります。
まずは人間ドックの検査項目の種類をご紹介します。
出典:日本人間ドック学会【人間ドックの検査項目】
身体計測
身体計測では、主に次のような数値を計測します。
- 身長
- 体重
- 体格指数BMI
身体計測では、肥満度などがわかります。
所要時間は5分~10分が一般的です。
血圧
血圧測定では、収縮期血圧・拡張期血圧を計測します。
主な目的は、心臓・血管の健康状態の把握です。
収縮期血圧・拡張期血圧の正常範囲・異常値の基準は次の通りです。
基準範囲(mmHg) | 要注意(mmHg) | 異常(mmHg) | |
収縮期血圧 | 129以下 | 130~159 | 160以上 |
拡張期血圧 | 84以下 | 85~99 | 100以上 |
収縮期血圧・拡張期血圧が基準範囲を上回った状態が、いわゆる高血圧に該当します。
一般的な所要時間は5分~10分です。
眼
次のような眼の検査が代表的です。
- 視力検査
- 眼圧検査
- 眼底検査
眼の検査では、視力や眼病の有無をチェックします。
眼病とは、たとえば白内障・緑内障・網膜剥離などが挙げられます。
一般的な所要時間は5分~10分です。
聴力
聴力検査では、聞こえ方をチェックします。
聴力の低下・難聴などの発見に役立ちます。
一般的な所要時間は5分~10分です。
呼吸機能検査
呼吸器の検査とは、簡単にいえば、肺活量のチェックです。
専用の器具を口に装着して、吐く息・吸う息の量をチェックします。
慢性閉塞性疾患などの肺疾患の発見に役立ちます。
一般的な所要時間は5分~10分です。
胸部X線
胸部のレントゲン検査です。
微量の放射線を放出して、胸部の内部を画像化します。
妊娠中の方は利用できません。
胸部X線検査は肺疾患の発見に役立ちます。
代表的なのは肺炎・肺がん・肺結核などです。
一般的な所要時間は5分~10分です。
上部消化管X線
食道・胃・十二指腸のレントゲン検査です。
バリウムという石膏剤を服用して行います。
バリウムを飲んでX線を撮影すると、消化器官の中が真っ白になります。
白く写らなかった部位には、なんらかの病気が疑われます。
代表的なのは、がん・潰瘍・ポリープなどです。
一般的な所要時間は5分~10分です。
上部消化管内視鏡
内視鏡を使って食道・胃・十二指腸の様子を調べる方法です。
内視鏡とは、小型カメラのついた細い管です。
上部消化管内視鏡では、口または鼻から消化器官に内視鏡を通します。
がん・潰瘍・ポリープなどのほか、逆流性食道炎の発見にも役立ちます。
一般的な所要時間は5分~10分です。
腹部超音波
超音波を当てて、腹部の内部を画像化する方法です。
妊娠中の方でも利用できます。
腹部超音波検査では、主に肝臓・すい臓・腎臓の状態をチェックします。
結石のほか、内臓の変形や炎症の発見に役立ちます。
一般的な所要時間は5分~10分です。
血液検査
血液を採取して、成分を調べる方法です。
主に次のような病気の発見に役立ちます。
- 貧血
- 生活習慣病(糖尿病・脂質異常症など)
- 感染症
- 肝臓の病気
- 腎臓の病気
採血の所要時間は5分~10分です。
採取した血液の検査結果の判定時間は病院によって異なります。
尿検査
尿を採取して、成分を調べる方法です。
次のような病気の発見に役立ちます。
- 糖尿病
- 甲状腺機能亢進症
- 尿路結石
- 膀胱炎
- 腎不全
採尿の一般的な所要時間は5分~10分です。
検査結果が分かるまでの時間は病院によって異なります。
便
便に血液が混じっていないかを調べる検査です。
大腸がんや胃潰瘍などの発見に役立ちます。
採便の一般的な所要時間は5分~10分です。
検査結果がわかるまでの時間は病院によって異なります。
内科診察
医師が対面で行う診察です。
次のような内容があります。
- 視診:眼で見て異常を発見する診察する
- 触診:手で患部などに触れて異常を診察する
- 聴診:聴診器を当てて異音がないか調べる
- 問診:生活状況などを聞き取りする
内科診察は、その他の検査ではわかりにくい病気の発見に役立ちます。
たとえば聴診器で心臓に異音があった場合は、心臓弁膜症の可能性があります。
あるいは、生活状況が過度に乱れている場合は、初期の生活習慣病が疑われます。
内科診察の所要時間は5分~10分が一般的です。
日帰り(半日)人間ドック
ドックの所要時間は約3時間です。
午前9時頃にはじまり、お昼過ぎに終わるというパターンが多いです。
半日ドックの検査項目の例は次の通りです。
身体計測 | 血圧測定 | 血液検査 |
尿検査 | 便検査 | 胸部・上部消化官X線 |
上部消化管内視鏡検査 | 腹部超音波検査 | 視力・聴力・呼吸器検査 |
日帰り(1日)人間ドック
1日人間ドックは半日ドックよりも詳細な検査を行うことが一般的です。
所要時間は4時間~7時間です。
検査項目の例は次の通りです。
身体計測 | 血圧測定 | 血液検査 |
尿検査 | 便検査 | 胸部・上部消化官X線 |
上部消化管内視鏡検査 | 腹部超音波検査 | 視力・聴力・呼吸器検査 |
各種腫瘍マーカー | 頸部超音波検査 | 婦人科検診 |
メタボ健診 | 内臓脂肪CT検査 | 肝炎検査 |
宿泊人間ドック
病院に泊まりがけで受ける人間ドックです。
所要時間は1日半~丸2日が平均的です。
検査内容は病院によって異なります。
基本的な検査項目に加え、頭部MRIや消化管内視鏡検査を行うことが一般的です。
プランによっては、1日目は夕食の食事制限を受けることもあります。
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専門ドックの種類別所要時間
病院によっては、専門部位に特化した人間ドックを実施している場合もあります。
代表的な専門ドックと内容、一般的な所要時間をご紹介します。
脳ドック
脳ドックは、脳疾患の早期発見や予防を目的とした健診です。
具体的には脳卒中・脳腫瘍・認知症の発見に役立ちます。
脳ドックの一般的な検査内容は次の通りです。
平均所要時間とあわせてご覧ください。
- 頭部MRI:約30~40分
- 頸動脈エコー検査:約20分
- 血液検査:約5分
- 心電図検査:約5分
検査そのものの所要時間は約1時間です。
検査に加えて待ち時間・着替えの時間がかかるため、総合的には1時間半~3時間ほどかかることが一般的です。
心臓ドック
心臓ドックは心疾患の早期発見・リスク発見を目的とします。
たとえば狭心症・心臓弁膜症・心筋梗塞の発見に役立ちます。
心臓ドックの一般的な検査内容は次の通りです。
それぞれの所要時間の例とあわせてご覧ください。
- 心臓MRI検査:約60分
- 心臓CT検査(冠動脈CT検査):約15分
- 心臓超音波検査:約30分
- 頸動脈超音波検査:約15分
- 心電図検査:約30分
- 血液検査:約5分
総合的な所要時間は約2時間~3時間です。
混雑している・検査項目が多い場合は、4時間ほど見ておきましょう。
検査結果は後日郵送される場合も多いです。
肺ドック
肺ドックは肺の病気の早期発見・予防を目的としています。
肺がんや肺気腫・肺気腫などの発見に役立ちます。
肺ドックの検査内容と平均所要時間は次の通りです。
- 胸部X線検査:約20分
- 胸部CT検査:約20分
- 肺機能検査:約10分
- 喀痰検査:約5分
- 血液検査:約5分
総合的な所要時間は約1時間~2時間です。
男性専用ドック
男性専用ドックは、男性に目立つがん・病気の発見を目的にしています。
具体的には前立腺がん・大腸がんなどの発見に役立ちます。
男性専用ドックの代表的な検査内容と所要時間は次の通りです。
- 血液検査:約5分
- 前立腺MRI:約30分
- 尿路エコー:約20分
- 便検査:約5分
男性専用ドックでは、上記に加えて基本的な検査も行うことが一般的です。
総合的な所要時間は約3時間~5時間です。
女性専用ドック
女性専用ドックは女性特有の病気の早期発見・予防を目的としています。
たとえば乳がん・子宮がんなどの発見に役立ちます。
女性専用ドックの代表的な検査内容と所要時間は次の通りです。
検査内容 | 平均的な所要時間 | |
乳がん検査 | 乳房超音波検査・マンモグラフィー | 約1時間 |
子宮がん検査 | 子宮頸部細胞診・子宮内膜細胞診・経腟エコー・腫瘍マーカー | 約1時間 |
女性専用ドックでは、上記に加えて基本的な検査も行うことが一般的です。
詳細な検査をする場合は、3時間前後かかることもあります。
1日人間ドック受診の流れと所要時間
人間ドックの所要時間は、病院・コース・検査項目数によって異なります。
あるいは、検査方法によっても検査時間は異なります。
ここからは、人間ドックの流れ・所要時間の例を2つご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
医療機関A
医療機関Aの人間ドックは、血液検査などもすべて自院内で行います。
自院で各種検査を行う場合、検査結果は原則として当日判明します。
結果の待ち時間が発生するため、トータルの所要時間は長くなることが多いです。
検査結果が当日判明する人間ドックの所要時間は4時間~7時間が平均的です。
予約
予約は出来る限り早めに行いましょう。
少なくとも2週間~3週間前までを目安にしてください。
受付・着替え
当日になったら病院に足を運んで、まず受付をします。
次に、案内に従って人間ドック用の衣服に着替えましょう。
受付・着替えの所要時間は各10分程度です。
問診・各種検査
着替えが済んだら問診・各種検査を行います。
各所要時間は15分~30分が目安です。
8時半に受付をした場合、午前中いっぱいを問診・検査に費やすことがほとんどです。
昼食
各種検査が終わったら、結果を待つ間を利用して昼食休憩を取ります。
病院によっては、弁当や昼食券を配布しているところもあります。
8時半に受付をした場合、昼食休憩は11時~13時頃になることが多いです。
休憩時間は30分~1時間ですが、検査の混雑具合などによって増減します。
診察・検査結果の説明
午前中に受けた各種検査の結果を医師から知らされます。
8時半に受付をした場合、結果判明・診察は11~13時頃になることが多いです。
所要時間は5分~30分です。
検査結果によっては、医師の診察が長引くこともあります。
健康指導
医師の診察後は、検査結果に基づいた健康指導が行われます。
たとえば食生活の乱れによる糖尿病がある方には、管理栄養士による栄養指導などが行われます。
健康指導の所要時間は5分~30分です。
着替え・会計
人間ドックが終了したら、着替え・会計を行います。
所要時間は各5分程度です。
8時半に受付をした場合、すべて終了するのはだいたい12時~13時頃です。
検査項目数が多い場合は、夕方までかかることもあります。
精密な検査結果は、約2~3週間後に自宅に送付されることが一般的です。
医療機関B
医療機関Bの人間ドックでは、血液検査などを外部委託しています。
検査結果は当日判明しないものの、検査時間は短いことが多いです。
予約
人間ドックの予約は、2週間~3週間前をメドに行いましょう。
予約は余裕をもって行うのがおすすめです。
事前の書類・検査キット郵送
人間ドックの受診日の1週間~2週間前になると、問診表などが自宅に郵送されます。
検尿・検便キットがある場合は当日までに採尿・採便し、必ず検査機関に持参してください。
受付・着替え
当日は予約時間までに病院に足を運び、受付を済ませましょう。
次に案内に従って人間ドック用の衣服に着替えます。
受付・着替えの所要時間は各10分程度です。
各種検査
各種検査を行います。
所要時間は各15分~30分が目安です。
8時半に受付した場合、検査が終わるのはだいたい10時~11時頃です。
診察・検査結果の説明
検査が終わったら医師の診察を受けます。
すぐに結果が判明する検査については、診察の段階で内容が伝えられます。
検査結果に基づき、健康指導や生活指導が行われることもあります。
8時半に受付した場合、診察は11時~12時頃が一般的です。
着替え・会計
診察が終了したら着替えて会計を済ませます。
8時半に受付した場合は、12時過ぎにはすべての工程が終了することが多いです。
人間ドックの時間短縮方法
プランなどによって差がありますが、人間ドックは短くても2~3時間はかかります。
遠方の病院であれば、往復時間がかかるため半日~1日かかることもあるでしょう。
人間ドックの時間を短縮したい場合は、次のような方法を試すのもおすすめです。
- 近場の病院を選ぶ
- 比較的予約が空いている7月~8月・12月~2月を選ぶ
- 最新機器を導入している病院を選ぶ
- 開始・終了時刻が決まっているプランを選ぶ
人間ドックによくある質問
人間ドックによくある質問をQ&A方式でまとめました。
ぜひ参考にしてください。
当日体調が悪いときはどうしたらいいですか?
まずは予約を入れている検査機関に問いあわせてください。
その後の具体的な対応の仕方は、先方の指示を仰いでください。
当日は朝食を摂ってもいいですか?
原則として、人間ドック当日の朝食は控えてください。
検査内容によっては、前日の夕食も制限されることがあります。
食事の具体的な制限方法は予約を入れている検査機関の指示に従ってください。
服用中の薬は飲んでも大丈夫ですか?
前夜分までは服用し、当日朝の服用は控えてください。
ただし、次のようなお薬は当日朝の服用も可能です。
- 心疾患の治療薬
- 脳卒中の治療薬
- てんかん薬
- 精神安定薬
具体的な持病薬の服用の可否は、予約を入れている検査機関の指示に従ってください。
車の運転は出来ますか?
原則として人間ドック当日の運転は控えてください。
検査によっては鎮静薬を用いるため、運転中に眠気を催すことがあります。
健康診断や人間ドックの受診状況について
健康診断・人間ドックは健康管理や病気の早期発見に役立ちます。
それでは、実際にどれくらいの方が人間ドック等を受けているのでしょうか。
ここからは、健康診断・人間ドックの受診状況をご紹介します。
出典:厚生労働省【5 健診(健康診断や健康診査)や人間ドックの受診状況】
健康診断や人間ドックの受診状況
各年度において、20歳以上の方の健康診断・人間ドックの受診状況は次の通りです。
受けた(%) | 受けなかった(%) | |
平成13年 | 60.4 | 35.3 |
平成16年 | 60.4 | 36.1 |
平成19年 | 61.5 | 34.5 |
平成22年 | 64.3 | 32.0 |
各年度で約6割の方が健康診断・人間ドックを受診しています。
平成22年の受診状況を男女別にみると、全ての年代で男性が高い結果になりました。
健康診断や人間ドックを受診しなかった理由
健康診断・人間ドックを受診しなかった理由として、次のようなものが目立ちました。
- 時間がとれなかったから
- 費用がかかるから
- 心配な時はいつでも医療機関を受診できるから
- 健康状態に自信があり、必要性を感じないから
- めんどうだから
最も多いのは「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」という理由です。
たしかに病気が見つかってから治療を受ければ良いという考え方も一理あります。
しかしがんなどの深刻な病気は、初期には自覚症状がないことも多いです。
病気は発見・治療開始が早いほど良好な予後を期待できます。
深刻な病気の早期発見につなげるためにも、定期的に人間ドックを受けることは大切です。
人間ドックを受診しない理由として、時間・費用・手間の問題も大きな割合を占めます。
しかし人間ドックを敬遠して病気を見逃すと、治療のためにかえって時間やお金を消費しかねません。
ある程度の時間・手間はかかりますが、健康を守るためにも人間ドックは定期的に受けましょう。
費用の負担を軽減するには、自治体や職場の補助を利用するのも1つの方法です。
たとえば次のような保険に加入している方は、人間ドックの補助が受けられることもあります。
- 国民健康保険
- 組合管掌健康保険
- 全国健康保険協会
- 個人で加入している民間の保険
どの保険が利用できるのかは、職場や自治体の窓口に問いあわせてみてください。
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人間ドックにかかる時間まとめ
ここまで、人間ドックにかかる時間についてお伝えしてきました。
人間ドックにかかる時間の要点を以下にまとめます。
- 人間ドックの代表的な検査項目は、身体計測・血圧検査・X線検査・超音波検査など
- 人間ドックの所要時間は、半日ドックで1時間~3時間・1日ドックで3時間~7時間
- 人間ドックの時間を短縮する方法は、混雑していない時期を選ぶ・最新機器を導入している病院を選ぶなど
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。