ウォーキングは運動の中でも手軽に取り組みやすいのがメリットです。
そのため、高齢の方や病後のリハビリにも適しています。
リハビリでウォーキングする際は、どのような点に注意すべきでしょうか。
本記事では、リハビリとしてのウォーキングについて、以下の点を中心にご紹介します。
- ウォーキングの基本的なポイント
- ウォーキングはどのような症状のリハビリに役立つのか
- リハビリでウォーキングする際の注意点
リハビリとしてのウォーキングに関して理解するため、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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リハビリとは
リハビリはリハビリテーションの略称です。
具体的には、可能な範囲で元の社会生活を取り戻すための活動全般を指します。
リハビリの目的は、QOL(生活の質)の向上です。
障害があったとしても、人間らしく・自分らしく生きるために必要な訓練を行います。
代表的なのは歩行訓練のような機能回復訓練や、理学療法・作業療法などです。
身体機能の回復を目的とする場合は、ウォーキングのような日常動作もリハビリに含まれます。
出典:京都府【リハビリテーションとは/京都府ホームページ】
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ウォーキングとは
ウォーキングとは一定時間継続して歩くことです。
散歩と異なる点は、「健康のため」という明確な目的を持って歩く点です。
ウォーキングは、身体能力などにあわせてスピード・歩き方を自由に調整できます。
特別な道具も不要なため、老若男女問わず取り組みやすいのが特徴です。
ウォーキングは有酸素運動に分類されます。
健康増進のほか、生活習慣病などの予防効果も期待できます。
出典:厚生労働省【ウォーキング | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
ダイエットや健康管理などを目的にウォーキングを行っている方は多いです。ウォーキングは手軽に始めやすいですが、正しい知識や方法はあまり知られていません。ウォーキングを行うとどのような効果が得られるのでしょうか?ウォーキングの目[…]
ウォーキングの基本的なやり方
ウォーキングの基本的なやり方をご紹介します。
ウォーキングのリハビリ効果を高めるためにもぜひ参考にしてください。
出典:厚生労働省【歩く時のポイント】
頭がぶれないよう姿勢をただす
ウォーキングをするときは、頭が揺れないよう背筋をまっすぐ伸ばしましょう。
頭のてっぺんが、糸で上から引っ張られているイメージで歩くのがポイントです。
やや高めに胸を張ると、正しい姿勢を維持しやすくなります。
身体の力はなるべく抜きましょう。
肩はリラックスさせ、腰が反らないように注意してください。
歩幅を広めにする
ウォーキングは普段よりもやや大股で歩きましょう。
足を蹴りだし、やや早足を意識するのがポイントです。
ただし歩幅・速度は無理のない範囲でかまいません。
かかとから着地する
着地は必ずかかとで行ってください。
膝をまっすぐ伸ばすことを意識すると、自然とかかとで着地しやすくなります。
かかとがついたら、次に足の裏全体を地面につけます。
重心は、かかとから親指の付け根に向かって移動させてください。
重心が足の裏の外側のラインをなぞるようにするのがポイントです。
親指で踏み込む
踏みだすときは、親指が最後に地面を離れるようにしましょう。
親指の付け根でしっかり地面を捉え、蹴りだすようにするのがポイントです。
踏みだすときは、内また・ガニ股にならないようまっすぐ足を運びましょう。
膝もまっすぐ伸ばすことを意識してください。
腕を自然に振る
腕は振動にあわせて自然に振りましょう。
肘を軽く曲げると、腕が疲れにくくなります。
歩幅を広げたいときは、腕を大きく振ると上手くいきます。
後ろから腕が引っ張られるイメージで、肩甲骨を寄せるように振るのがポイントです。
ウォーキングはどんな症状の改善に役立つ?
ウォーキングには生活習慣病などの予防・改善を期待できます。
どのような症状に効くのか、具体的にご紹介します。
高血圧
ウォーキングには高血圧の改善が期待できます。
主な理由は2つあります。
1つ目は血行を促進するためです。
ウォーキングなどの有酸素運動中は通常よりも多くの酸素が体内に取り込まれます。
体内の酸素量が増えると、血液循環量も増大します。
結果、血液を循環させる心臓と血管が自然と鍛えられるため、血行が改善されやすくなります。
2つ目は血管が拡張されるためです。
ウォーキングのように一定のリズムを刻む運動は、自律神経のうち副交感神経を刺激します。
副交感神経には、血管を拡張させて血行を促進する役割があります。
血管内を流れる血液がスムーズに移動するようになります。
そのため、血管にかかる圧力=血圧も下がりやすくなります。
脂質異常症
ウォーキングは脂質異常症の改善にも役立ちます。
主な理由は2つあります。
1つ目は、有酸素運動に分類されるウォーキングは、善玉コレステロールを増やすためです。
善玉コレステロールは、脂質異常症の原因である悪玉コレステロールを吸着・排出します。
2つ目は、有酸素運動はエネルギー源として血中の脂肪や糖質を使用するためです。
血中の中性脂肪などが効率的にエネルギーに変換されることで、脂質異常症の改善が期待できます。
動脈硬化
ウォーキングは動脈硬化の改善が期待できます。
主な理由は次の通りです。
- 血行を促進する
- 心臓・血管を強化する
- 悪玉コレステロール・中性脂肪を減らす
動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞の原因の1つです。
ウォーキングで動脈硬化を予防・改善することは、重大な疾患の予防にもつながります。
糖尿病
ウォーキングには血糖値を下げる効果も期待できます。
主な理由は2つあります。
1つ目は、ウォーキング中はエネルギー源として血中の糖が消費されるためです。
2つ目はインスリンの抵抗性を改善するためです。
インスリンの抵抗性とは、簡単に言えばインスリンの効きやすさです。
インスリンが効きやすくなると、血糖値が下がりやすくなります。
骨粗しょう症
ウォーキングには骨粗しょう症予防も見込めます。
理由は、骨に物理的な衝撃が加わるためです。
骨は、適度な刺激が加わると丈夫になる性質があります。
一方、ウォーキングでは着地時に足の裏やかかとに適度な衝撃が加わります。
骨が丈夫になりやすいため、結果として骨粗鬆症の予防を期待できます。
出典:厚生労働省【骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
サルコペニア
ウォーキングは、サルコペニア対策にもおすすめです。
サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉・筋力が減少する現象です。
進行すると寝たきりにつながることも多いです。
筋肉・筋力の減少を防ぐには、適度に鍛えることが大切です。
ウォーキング中は下肢を中心に全身の筋肉を使うため、サルコペニアの予防に役立ちます。
出典:厚生労働省【サルコぺニア | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
フレイル
フレイルとは、加齢によって心身が弱くなる状態です。
虚弱・老衰とも呼ばれています。
フレイルが進行すると、身体機能の低下・寝たきりなどに発展することが多いです。
老化によって自信を喪失することで、精神面が脆弱になることもあります。
ウォーキングはフレイルの予防に役立ちます。
筋力や身体機能の低下を予防できるためです。
身体機能の向上・維持は自信につながるため、精神的な健康の回復も期待できます。
ウォーキングをリハビリに取り入れるのがおすすめな人
リハビリにウォーキングを取り入れるのがおすすめな方の特徴をご紹介します。
心当たりがある方は、ぜひウォーキングをご検討ください。
血圧が高い人
血圧が高い方はウォーキングがおすすめです。
ウォーキングには心肺機能を強化して、血管を強くするためです。
血管の強化は、血圧の下降につながります。
階段を上ると息が切れる人
階段の上り下りなどですぐ息が切れる方は、ウォーキングがおすすめです。
息が切れやすい方は、心肺機能が低下している可能性が高いためです。
簡単にいえば、酸素を体内に取り込んだり、全身に巡らせたりする力が低下しています。
ウォーキング中は大量の酸素を体内に取り込みます。
ウォーキングは自然に心肺機能が鍛えられるため、息切れの改善を期待できます。
息切れしやすい方は、運動そのものを敬遠する傾向があります。
しかしウォーキングは、身体能力・運動能力にあわせて自由に強度を変えられます。
自分のペースでできるため、すぐ息が切れる方にも取り組みやすいでしょう。
激しい運動が苦手な人
ウォーキングは激しい運動が苦手な方にもおすすめです。
歩く速度や歩幅は、自分のペースで調整できるためです。
激しい運動が苦手な方は、まずゆっくり歩くことから始めましょう。
余裕があれば、徐々にペースアップすると、より高いリハビリ効果が期待できます。
太っている人
ウォーキングは太っている方におすすめです。
ウォーキングでは、エネルギー源として体脂肪が消費されるためです。
蓄積した脂肪を効率的に燃やせるため、肥満の解消に役立ちます。
血液検査で脂質の値が悪い人
ウォーキングは、中性脂肪・悪玉コレステロールを減らします。
血液検査で脂質関連の数値が悪い方は、ぜひ取り組んでみてください。
ASTやALTなど肝臓の数値が悪い人
ウォーキングは肝臓の数値が悪い方におすすめです。
ウォーキングは、肝臓に蓄積した脂肪を燃焼させるためです。
たとえば脂肪肝の方は、ぜひウォーキングに取り組んでみてください。
血糖値が高い人
ウォーキングは血糖値が高い方・糖尿病の方におすすめです。
ウォーキングは、血糖値を改善するためです。
2型糖尿病の方は、食後に10分間ウォーキングするのがおすすめです。
食事で摂取した糖質が優先的にエネルギー源として消費されるためです。
食後の血糖値が気になる方はぜひ試してみてください。
ストレスがたまっている人
ウォーキングはストレスを解消したい方にも有効とされています。
主な理由は2つあります。
1つ目はウォーキングをすることでセロトニンを増やすためです。
セロトニンは幸福ホルモンと呼ばれており、名前の通り幸福感を高めます。
セロトニンは一定のリズムを刻む運動によって増える傾向があります。
代表的なのがウォーキングです。
セロトニンが増えると脳がリラックスしやすくなるため、ストレスを感じにくくなります。
2つ目は、ウォーキングでは風景や季節の移り変わりを楽しめるためです。
単純にリフレッシュできるため、ストレスを解消したい方にもおすすめです。
ウォーキングをさらに楽しみたいなら、目的を設定するのもおすすめです。
たとえば目的地をカフェに設定してみましょう。
ウォーキング後はコーヒーを飲む…という目的ができると、ウォーキングをさらに楽しめるようになります。
ウォーキングがリハビリに最適な理由7選
ウォーキングがリハビリにおすすめな理由をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
生活習慣病を予防するには適度な運動が必須
ウォーキングがおすすめな理由は、生活習慣病の予防が期待できるためです。
生活習慣病の中には、後遺症が残るような深刻な疾患もあります。
たとえば脳卒中は、麻痺などの後遺症が残りやすい疾患です。
麻痺などの後遺症は、QOLの低下の大きな原因となります。
さらに脳卒中は再発のリスクもあります。
脳卒中の再発を防ぐには、危険因子である動脈硬化や高血圧の予防が重要です。
ウォーキングには心肺機能を強化する効果が見込めます。
心肺機能の強化は動脈硬化・高血圧の予防につながります。
つまりウォーキングは、深刻な疾患ひいてはQOLの低下につながる後遺症などの予防に役立ちます。
厚生労働省【疾病の予防・改善と運動 | Exercises | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
強度や時間を調整しやすい
ウォーキングは強度・運動時間を調整しやすいため、リハビリにおすすめです。
たとえば長時間の歩行が難しい方は、1日5分のウォーキングから始めてみましょう。
歩く歩幅・ペースも、ご自分にとって無理のない範囲でかまいません。
特殊な器具が要らない
ウォーキングは特別な道具や器具が不要のため、リハビリにおすすめです。
道具の購入費用やメンテナンスといった手間がかかりません。
思い立ったときにすぐ始められるため、誰でも手軽に始めやすいでしょう。
怪我する危険性が低い
ウォーキングは他の運動に比べると、怪我のリスクが低めです。
ヨガやエアロビクスなどのように激しい動きがないためです。
ただし、筋力が落ちている方は、歩行が不安定になりやすいため転倒のおそれがあります。
また、ウォーキング中に交通事故にあう確率もゼロではありません。
転倒を防ぐには、無理のない速度・歩幅を守ることが大切です。
身体を自力で支えるのが難しい場合は、杖や歩行器を検討してください。
交通事故を防ぐには、交通量が少ない・道幅が広いコースを選ぶ必要があります。
夜間のウォーキングでは、反射材やライトなども積極的に活用しましょう。
1人でも始められる
ウォーキングは1人でも始められるため、リハビリにおすすめです。
ご自分の好きな時間・場所で行えるため、誰かの予定にあわせる必要がありません。
ただし、転倒のリスクが高い方は付き添いがあるほうが無難です。
運動が苦手でも取り組める
ウォーキングがリハビリにおすすめなのは、運動が苦手な方でも取り組みやすいためです。
エアロビクスのように激しい動きがないため、抵抗感が少なくて済むでしょう。
ウォーキングはペースや運動時間を自分で好きに調整できる点もメリットです。
まずは無理のない範囲で取り組んでみましょう。
成果がわかりやすい
ウォーキングは成果がわかりやすいため、リハビリにおすすめです。
成果が目に見えてわかると、リハビリへのモチベーションが上がりやすくなります。
たとえば歩数計を使う方法がおすすめです。
少しずつでも歩数が増えると、ウォーキングによる身体機能の改善を実感しやすくなるでしょう。
リハビリ効果を最大にするウォーキングのやり方
リハビリ効果をより高めるためのウォーキングのやり方をご紹介します。
ぜひお試しください。
視線を前に向ける
ウォーキング中は視線を前に向けましょう。
やや遠くを見るのがポイントです。
前方を見ると、自然と背筋が伸びるためです。
一方、視線が下がるとつられて背中も曲がりがちです。
背中が曲がったままのウォーキングはかえって、猫背などの姿勢悪化を引き起こします。
姿勢を保つためにも、前を向くことを意識しましょう。
肩の力を抜く
ウォーキング中は意識して肩の力を抜きましょう。
難しい場合は、まず両肩を後ろに回すように持ち上げてください。
次に、両肩を脱力するようにストンと落としましょう。
自然と力が抜けた状態をキープして歩き始めましょう。
肩に力が入ると、無意識のうちに背中が丸まりやすくなります。
背中が丸まると、肺が縮こまるため、十分な酸素を体内に取り込みにくくなります。
ウォーキングのリハビリ効果は、大量の酸素を体内に取り込むことで発揮されます。
酸素が増えると血液循環量が増大し、心肺機能が強化されるためです。
心肺機能を鍛えるためにも、酸素を取り込みやすい姿勢を意識しましょう。
肩の力を抜き、背筋をまっすぐ伸ばすことが大切です。
肘を曲げて腕を大きく振る
基本的にウォーキング中は肘を軽く曲げて自然に振るだけでOKです。
よりリハビリ効果を高める場合は、肘を90度に曲げてやや大きめに振りましょう。
肩甲骨を寄せることを意識するのがポイントです。
肩甲骨を動かすと、肩や背中の筋肉の緊張がほぐれやすくなります。
すると肩周りや頭部への血行が改善されるため、肩こり・頭痛の改善が期待できます。
肩甲骨を動かすことには、ダイエット効果も期待できます。
肩甲骨の周囲には、褐色脂肪細胞が集中しているためです。
褐色脂肪細胞を刺激すると脂肪の燃焼効率が高まります。
かかとからつま先への重心移動を意識する
ウォーキングでは重心の移動を意識しましょう。
具体的にはかかと・足の外側のライン・親指の付け根の順番です。
重心の移動を意識することで、身体のバランスが取りやすくなります。
一方、重心の移動がゆがむと歩行が不安定になりやすいです。
膝や腰に負担がかかり、関節痛の原因になることもあります。
4~8歩で1呼吸する
ウォーキングは4~8歩につき1呼吸を意識しましょう。
やり方は次の通りです。
【4歩で1呼吸】
1歩ずつ吸う・吸う・吐く・吐く
【8歩で1呼吸】
1歩ずつ吸う・吸う・吸う・吸う・吐く・吐く・吐く・吐く
呼吸のペースを落とすことで、より深く酸素を吸えるようになります。
大量の酸素を取り込むと、血行促進・代謝の向上が期待できます。
ただし、呼吸を意識しすぎると歩行がおろそかになることがあります。
呼吸法の実践はウォーキングにある程度慣れてからがおすすめです。
息を吐くことを意識する
ウォーキングでは息を吸うよりも吐くことを意識しましょう。
肺に古い空気が残った状態だと、新鮮な空気を取り込めないためです。
酸素を体内に取り込みにくくなるため、ウォーキングの効果が半減しやすくなります。
息を吐くときは、吸うときの倍の時間をかけるのがポイントです。
口をすぼませてお腹をへこませると、しっかり息を吐きだしやすくなります。
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リハビリにウォーキングを取り入れるメリット
リハビリにウォーキングを取り入れるメリットをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
お金をかけずに健康になれる
ウォーキングは他の運動と異なり、特別な道具の購入は不要です。
教室やスポーツジムなどへの入会も必要ありません。
出費を抑えたい方にはおすすめの健康法です。
認知症の発症や進行を予防できる
ウォーキングは認知症予防にも役立ちます。
理由は主に3つあります。
- 血行が促進されて脳への血流が増える
- 脳神経の成長が促進される
- 生活習慣病などによる寝たきりを防ぐ
免疫機能が高まる
ウォーキングは免疫機能の向上も期待できます。
理由は主に2つあります。
- 血行が促進されて体温が上昇するため
- 免疫機能を司る自律神経のリズムが整うため
便秘が改善する
ウォーキングには便秘の改善効果も期待できます。
理由は、歩く際には腸が左右に揺れるためです。
適度に刺激されるため、腸の動きが活発化しやすくなります。
さらに、揺れることで腸に詰まった便が肛門に転がりやすくなります。
新たなコミュニティができる
ウォーキングは他人とのコミュニケーションを生むこともあります。
行動範囲が広がり、今まで出会わなかったような人と出会う機会が増えるためです。
たとえば決まった時間に決まったコースを歩くと、顔見知りができやすくなります。
より交友関係を広げたい場合は、地元のウォーキング同好会などに参加するのも良い方法です。
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リハビリにウォーキングを取り入れるデメリット
ウォーキングにはデメリットも存在します。
リスク回避の対策を練るためにも、次のようなポイントがあることを念頭に置きましょう。
怪我をして健康が損なわれる
ウォーキングは激しい動きが少ないため、ほかの運動に比べると怪我のリスクは低めです。
しかし、怪我のリスクが全くないわけではありません。
たとえば頑張って歩きすぎると、膝や腰を痛める可能性があります。
ウォーキング中に思わぬ転倒・交通事故が起こることもあります。
怪我を防ぐためにも、ウォーキングは無理のない範囲で取り組みましょう。
天候が悪いとき・体調不良のときは、無理に歩く必要はありません。
悪い姿勢で歩くと効果が上がらない
ウォーキングはフォームが悪いと、十分なリハビリ効果が得られないこともあります。
場合によっては、膝や腰などの痛みが発生することもあります。
リハビリ効果を高めるには、正しいフォームを心がけることが大切です。
背筋を伸ばし、やや大股で歩くことを意識するのがポイントです。
思わぬ危険に晒されることがある
十分に気をつけていても、思わぬ危険にさらされることもあります。
たとえば交通事故や転倒です。
交通事故や転倒を防ぐには、安全を確保して歩くことが大切です。
たとえば、雨天の日は足下が滑りやすくなっています。
さらに、視界が悪くなるため交通事故の可能性も高まります。
天候や体調などと相談しながら、少しでも不安がある日のウォーキングは控えましょう。
脱水状態で歩くと命に関わる
ウォーキング中は汗をかくため、脱水症状を起こすことがあります。
脱水症状のまま歩き続けると、最悪の場合は失神・死亡に発展するおそれもあります。
脱水症状を防ぐには、こまめな水分補給が大切です。
気温や湿度が高い日は、涼しい時間帯を選んでウォーキングしましょう。
あるいは、無理せずにウォーキングをお休みすることも大切です。
心疾患や脳血管疾患イベントの引き金になりうる
ウォーキングは、心筋梗塞・脳卒中などの重大な疾患の予防に役立ちます。
しかし、ウォーキングそのものが心筋梗塞・脳卒中の引き金になることもあります。
特に危険なのが朝のウォーキングです。
朝は、自律神経が乱れやすい時間帯のためです。
夜間は、自律神経のうち副交感神経が優位になります。
起床後は徐々に副交感神経が抑制され、かわりに交感神経が優位になっていきます。
交感神経は、血管を収縮させて血圧を上昇させます。
そのため交感神経が目覚め始める朝は、ささいなきっかけでも血圧が急上昇しやすいのです。
たとえば運動することで、血圧が瞬間的に高くなることがあります。
血圧の上昇に耐えきれずに血管が切れる・詰まるなどすると、心筋梗塞・脳卒中に至ります。
ウォーキングによる心筋梗塞・脳卒中を防ぐには、お昼〜午後の取り組みが望ましいです。
朝に行なう場合は、ゆっくりしたペースを守りましょう。
長くともウォーキングの時間は1時間以内が望ましいです。
天候が良くない日のウォーキングは身体への負担も大きいため、控えてください。
心筋梗塞・脳卒中の既往がある方がウォーキングをする場合は、まずかかりつけ医に相談してください。
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ウォーキングをリハビリに取り入れる際の注意点
ウォーキングは取り組み方を間違うとかえって健康を損ねることがあります。
健康を守るためにも、リハビリでウォーキングする場合は次のポイントに留意してください。
始める前にかかりつけ医に相談する
高齢者・持病がある方がウォーキングをする場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
身体状況によっては、ウォーキングすることで健康状態が悪化するおそれがあるためです。
たとえば心臓や血管が弱い方は、無理に身体を動かすと心筋梗塞・脳卒中に発展するおそれがあります。
転倒しないよう工夫する
ウォーキングには転倒のリスクがあります。
身体状況などにあわせて、次のような転倒防止の対策を取りましょう。
- 自分の足に合ったウォーキングシューズを履く
- 杖・歩行器を使う
- 川辺など滑りやすいコースは避ける
- 雨天のウォーキングは中止する
- 誰かが付き添う
体調が悪いときは無理せず休む
体調が悪いときにウォーキングをすると、かえって健康を損なう可能性が高いです。
体調に不安があるときは、ウォーキングはお休みしましょう。
天候が悪い日も、無理をせずにお休みすることが望ましいです。
距離や時間にこだわり過ぎない
ウォーキングは長い距離・時間すればリハビリ効果が高まるわけではありません。
誰かと距離や時間を競うのではなく、自分にあった範囲で取り組んでください。
運動前後に準備体操をする
ウォーキングの前後はストレッチなどをしましょう。
ウォーキング前のストレッチは、転倒・筋肉痛の防止に役立ちます。
ウォーキングの後にするストレッチは、筋肉の疲労を和らげます。
関節や筋を十分に伸ばしましょう。
水分補給や暑さ対策をする
ウォーキング中は、脱水症状・熱中症に気をつけましょう。
第一に大切なのは、こまめな水分補給です。
高齢の方は、喉の渇きを感じにくい傾向があります。
喉が渇いたと感じたときには、すでに脱水症状に陥っているケースも少なくありません。
脱水症状を防ぐには、水分補給は時間を決めて行うのがおすすめです。
たとえば15分に1回のように、あらかじめペースを決めておきましょう。
気温・湿度が高い日は、衣服の調整も大切です。
通気性・速乾性のある衣服は、身体に熱・湿気がこもるのを防いでくれます。
交通事故に気をつける
ウォーキング中は交通事故に気をつけましょう。
特に夕方以降や視界が悪い日のウォーキングは注意しましょう。
第一に、交通量が少ない・道幅が広いコースを選ぶことが大切です。
無理な道路の横断も止めてください。
必ず横断歩道や信号機があるところを渡りましょう。
歩行者信号を守ることも大切です。
リハビリとしてのウォーキングまとめ
ここまで、リハビリとしてのウォーキングについてお伝えしてきました。
リハビリとしてのウォーキングの要点を以下にまとめます。
- ウォーキングの基本的なポイントは背筋を伸ばし、膝を曲げずにやや大股で歩くこと
- ウォーキングは、高血圧・糖尿病・骨粗しょう症・老化などの症状の予防・改善に役立つ
- リハビリでウォーキングする際の注意点は、無理のない範囲で取り組む・こまめな水分補給・転倒や交通事故対策をすること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。