カルシウムが身体にとって必要なものということは、多くの人に認識されています。
カルシウムはどのくらいの摂取が適切なのでしょうか。
カルシウムを取りすぎると、健康障害を起こす可能性があることを知っていますか。
本記事では、カルシウムについて以下の点を中心にご紹介します。
- カルシウムの1日の推奨量
- カルシウムの過剰摂取
- カルシウムを不足させない方法
カルシウムの取りすぎについて理解を深めるためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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カルシウムとは
カルシウムは、からだの機能の維持や調節に欠かせないミネラルの一つです。
体内の吸収率は他のミネラルとのバランスが影響します。
カルシウムは、人の体内におけるさまざまな組織に存在します。
ミネラルでもっとも多く、体重の1~2%がカルシウムと言われています。
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カルシウムの1日の推奨量
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日の推奨量を
- 18~29歳男性で800㎎
- 30~74歳男性で750㎎
- 75歳以上の男性で700㎎
- 18~74歳女性で650㎎
- 75歳以上の女性で600㎎
としています。
令和元年国民健康・栄養調査におけるカルシウムの1日の摂取量は504.9㎎でした。
下記で年代別のカルシウムの平均摂取量を表にあらわしています。
男性(㎎) | 女性(㎎) | |
20歳以上 | 503 | 494 |
65~74歳 | 558 | 567 |
75歳以上 | 561 | 525 |
表のように推奨量に比べてカルシウムの摂取量は不足しています。
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カルシウムを取り過ぎるとどうなる
カルシウムは身体にとって必要な栄養素ではありますが、過剰摂取も気になるところです。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では18歳以上の男女ともに耐容上限量は2,500mgと設定されています。
通常の食事からの摂取で耐性上限量を超えることは稀です。
しかし、サプリメントなどを使用する場合には注意しなければいけません。
カルシウムサプリメントの使用により、心血管疾患のリスクが上昇することが報告されています。
カルシウムの取りすぎによって起こる障害として、
- 高カルシウム血症
- 高カルシウム尿症
- 軟組織の石灰化
- 泌尿器系結石
- 前立腺がん
- 便秘
などがあげられます。
また、カルシウムの取りすぎは鉄などの他のミネラルの吸収を阻害してしまいます。
栄養が偏らないように、バランスよく食べることが大切です。
カルシウムが不足するとどうなる
体内のカルシウムの99%は骨や歯に含まれています。
骨の成長が活発な成長期や若いときに骨量が減らないように、カルシウムを積極的にとることが大切です。
カルシウム不足になると、幼児では骨の発育障害が起こり、成長が悪くなります。
そのため、小児のくる病の原因になります。
不足状態が長期間続くと、骨密度の上昇が妨げられて丈夫な骨が形成できなくなります。
その結果、骨がスカスカになり、骨粗しょう症になる恐れも出てくるので注意が必要です。
高齢期や閉経後の女性では、骨粗鬆症が起こりやすく、寝たきりの原因となることもあります。
また、神経や筋肉の興奮が高まり、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)が起こる恐れがあります。
その他、
- 高血圧
- 動脈硬化
- 認知障害
- 免疫異常
- 糖尿病
- 肥満
- 腫瘍
- 軟骨の変性と変形性関節症
など、多くの疾病を引き起こす可能性があります。
カルシウムを不足させないコツ
カルシウム不足になると、あらゆる健康障害の可能性があることが分かりました。
ここでは、カルシウム不足にならないためのコツをお伝えします。
ビタミンDと日光
体内でのカルシウムの利用効率を高めるには、ビタミンDが必要です。
ビタミンDを多く含む食品は、
- 魚(イワシ、サンマ、サケ)
- きのこ(キクラゲ、シイタケ)
などがあります。
日本人のビタミンD摂取量は、不足しがちな傾向といわれています。
ビタミンDは、カルシウムの吸収促進や骨の代謝に関わっているので、カルシウムと一緒に摂取するのがおすすめです。
- きのこと鮭を具にしたクリームシチュー
- シイタケの肉詰めにチーズを乗せる
などのメニューは、カルシウムとビタミンDを一緒に摂取しやすくなります。
またビタミンDは、日光を浴びることで体内で生成されるため、外で元気に遊ぶことも大切です。
尿排出されるカルシウム
吸収されたカルシウムは血液によってからだの隅々まで運ばれます。
成人の体内には約1Kgのカルシウムが存在しています。
食事で取ったカルシウムは必要な分だけ吸収され、残りは便や尿中に排泄されます。
骨形成に使用されるカルシウム量は1日1人あたり500mgです。
成長期、高齢者、病的状態でない場合は骨からもほぼ同量の500mgのカルシウムが放出されています。
このように、血液中のカルシウムは常時同じ濃度に維持されているのです。
カルシウム摂取量が少なくなると、骨からのカルシウム放出が増加します。
結果的に、骨に蓄積されていたカルシウム量が減少します。
反対にカルシウム量が増えると尿から排出されるカルシウムも増えます。
カルシウム摂取は、尿中排泄も考慮して摂取することが大切です。
強い骨にはタンパク質も必要
骨の主成分はタンパク質とカルシウムでです。
よって、からだを支える丈夫な骨を作るにはタンパク質を摂取することが大切です。
骨の先端部(骨端部)の軟骨細胞に成長ホルモンが働きかけると、軟骨細胞が増殖して伸びていきます。
この軟骨細胞の原料となるのがタンパク質です。
タンパク質は筋肉や血液などを作るだけでなく、骨の成長にも重要な役割があります。
タンパク質もカルシウムと同様、健やかな骨の成長に欠かせない栄養素です。
最適な骨の成長と健康の維持、怪我を予防する点でも、十分な量のタンパク質が必要であることがいえます。
リンはカルシウムの吸収を阻害する
リンは骨や歯の構成成分となっています。
14%が筋肉などの軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在しています。
リンは肉や卵などに多く含まれています。
しかし、食品添加物として使われることが多い「リン酸」は、注意が必要です。
リン酸は、スナック菓子や加工食品に多く含まれているため、過剰摂取になりやすいです。
リンの取りすぎはカルシウムの吸収を妨げカルシウムを排泄する働きがあり、カルシウムの吸収を妨げてしまいます。
反対に、カルシウムの取り過ぎはリンの吸収を妨げます。
そのため、カルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされています。
カルシウムを多く含む食材
カルシウムは、
- 牛乳
- チーズ
- ヨーグルトなどの乳製品
- 骨ごと食べられる小魚
- 豆腐や納豆などの大豆製品
- 野菜類や海藻
などに多く含まれます。
中でも、牛乳や乳製品は他の食品に比べてカルシウムの吸収率が高いです。
そのうえ、1回の摂取量も多いため、効率よくカルシウムがとれます。
下記は農林水産省HPによるものです。
牛乳を1日1杯飲むことで、成人男女推奨量の1/3ほどをまかなえることになります。
【カルシウムが多くとれる食品】
食品群 | 食品名 | 摂取量 | カルシウム含有量 |
牛乳・乳製品 | 牛乳 | コップ1杯(200g) | 220mg |
ヨーグルト | 1パック(100g) | 120mg | |
プロセスチーズ | 1切れ(20g) | 126mg | |
野菜類 | 小松菜 | 1/4束(70g) | 119mg |
菜の花 | 1/4束(50g) | 80mg | |
水菜 | 1/4束(50g) | 105mg | |
切り干し大根 | 煮物1食分(15g) | 81mg | |
海藻 | ひじき | 煮物1食分(10g) | 140mg |
小魚 | さくらえび(素干し) | 大さじ1杯(5g) | 100mg |
ししゃも | 3尾(45g) | 149mg | |
豆類 | 木綿豆腐 | 約1/2丁(150g) | 180mg |
納豆 | 1パック(50g) | 45mg | |
厚揚げ | 1/2枚(100g) | 240mg |
出典:農林水産省【大切な栄養素カルシウム】
サプリによるカルシウム摂取に関する注意
カルシウムのサプリメントは医薬品との相互作用を引き起こす可能性があります。
どのように作用する恐れがあるのか説明します。
下記のように、リスクを伴うことがあります。
参考にし、摂取方法を理解した上で過剰摂取に注意しましょう。
カルシウムと併用すると医薬品の吸収が低下することがあるもの
- ビスホスホネート(骨粗鬆症の治療薬)
- フルオロキノロン系およびテトラサイクリン系の抗生物質
- レボチロキシン
- フェニトイン(抗けいれん薬)およびチルドロン酸二ナトリウム(パジェット病の治療薬)
チアジド系利尿薬
- 炭酸カルシウムおよびビタミンDのサプリメントと相互作用を起こす
- 高カルシウム血症や高カルシウム尿症のリスクを増加させる可能性がある
アルミニウムおよびマグネシウムを含有する制酸薬
- 尿中カルシウム排泄量を増加させる
ミネラルオイルおよび刺激性下剤
- カルシウムの吸収を低下させる
プレドニゾンなどのグルココルチコイド
- 数ヶ月間使用するとカルシウム枯渇を引き起こす
- 最終的に骨粗鬆症に至る可能性がある
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カルシウムの取りすぎまとめ
ここまで、カルシウムについてご紹介しました。
カルシウムの取りすぎについての要点を以下にまとめます。
- カルシウムの1日の推奨量は600mg~800mgで、現代人は不足しがちである
- カルシウムの過剰摂取は、さまざまな健康障害を起こす可能性がある
- カルシウムはビタミンDとタンパク質も一緒に摂取し、カルシウム含有量が多いものを理解する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。