健康診断の血液検査では、空腹時の血糖値やHbA1cを調べます。
糖尿病の診断には、さらに食後の血糖値の検査が必要です。
食後の血糖値とはどのようなものでしょうか?
食後の血糖値の基準はどのようになっているでしょうか?
本記事では食後の血糖値について以下の点を中心にご紹介します。
- 食後の血糖値とはについて
- 食後の血糖値の基準値について
- 食後の血糖値を下げる方法について
食後の血糖値について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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血糖値とは
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことです。
血液1dl(1デシリットル)のなかに含まれるブドウ糖の数値で、mg/dlであらわします。
空腹時血糖値、HbA1c、随時血糖値などの検査方法があり、糖尿病の診断基準になります。
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食後の血糖値
食後の血糖値には以下のような特徴があります。
- 誰でも食後の血糖値は上がる
- 食後の血糖値が上がりやすい食べ物がある
- 通常は時間が経つと血糖値は徐々に下がる
- 食後の血糖値が高い時は糖尿病の可能性がある
- 一度に血糖値が急上昇して急降下するスパイクがある
それぞれの項目ごとに説明します。
誰でも食後の血糖値は上がる
誰でも食後の血糖値は上昇します。
食事で摂る食材に含まれる糖の吸収に応じて、血糖値が上がるのは自然なことです。
ご飯など炭水化物は、消化吸収されてブドウ糖になって血液の中に入ります。
血糖値は、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度を指します。
したがって、誰でも血糖値は食前・食後で変動するものです。
食前の血糖値は、約70~100mg/dlが正常の範囲です。
食事前の血糖値は低く、食後は上昇しますが、やがて正常値に戻ります。
食後の血糖値が上がりやすい食べ物がある
食後の血糖値が上がりやすい食べ物は、炭水化物(糖質)の多い食事といわれています。
炭水化物は消化吸収されてブドウ糖になって血液の中に入ります。
日常の食材の中で、炭水化物の多い食べ物には
米 | そうめん |
中華麺 | スパゲティ |
うどん | そば |
パン | 餅 |
サツマイモ | バナナ |
アボカド | あずき |
などがあります。
炭水化物は三大栄養素の1つで、エネルギー源として利用される大変重要な栄養素です。
しかし、炭水化物の摂りすぎには注意が必要です。
炭水化物の摂り過ぎの影響は血糖値の上昇となってあらわれます。
通常、血糖値は食後3時間ほどで食事前の正常値に戻ります。
糖質を摂りすぎると、血糖値が下がらずに糖尿病など生活習慣病のリスクが高まります。
通常は時間が経つと血糖値は徐々に下がる
血糖値は通常、食後の時間経過と共に徐々に下がります。
食事前の通常の血糖値は、約70~100mg/dlの範囲です。
血糖値は、食後1時間位をピークに徐々に下がり始め、3時間程度で正常に戻ります。
時間が経って血糖値が下がるのは、血液中のブドウ糖が減るからです。
血糖値を上げたブドウ糖は、インスリンによってエネルギーに変換されます。
エネルギーにならなかったブドウ糖はグリコーゲンに変換され肝臓や筋肉に貯蔵されます。
ブドウ糖はエネルギーになったり、余ったものは貯蔵されるので血糖値が下がるのです。
食後の血糖値が高い時は糖尿病の可能性がある
食後の血糖値が高い時は、糖尿病の可能性があります。
以下のような場合は糖尿病を疑う必要があります。
- 糖質をたくさん摂取していない
- 食後血糖値が毎回140mg/dl以上
- 食後2時間経っても140mg/dl以上
それぞれの状態について説明します。
糖質をたくさん摂取していない
糖質をたくさん摂取していないにもかかわらず、食後の高血糖が続く状態です。
糖質に関わらない高血糖の原因には
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
による、インスリンの分泌が原因の場合があるのです。
1型糖尿病は、インスリンを作るすい臓のβ細胞が破壊されて起こる糖尿病です。
インスリンが絶対的に不足することから、血液中の糖分が残ってしまい高血糖になります。
治療によるインスリンの補充が必要な疾患です。
2型糖尿病は、インスリンが糖分の摂取量に対して相対的に不足して起こるものです。
インスリンの相対的不足をもたらす原因は以下の2つです。
- インスリンの分泌不全(日本人は基礎分泌が弱いといわれている)
- 肥満などによるインスリンの機能障害
インスリンの機能障害は、肥満などで内臓脂肪が蓄積してでる悪玉物質で起こります。
悪玉物質は、インスリンの機能を障害し血糖値が下がるのを邪魔するのです。
食後血糖値が毎回140mg/dl以上
食後血糖値が、毎回140mg/dl以上の方は糖尿病の可能性が高くなります。
食後高血糖や血糖値スパイクの血糖値の推移パターンと、糖尿病の推移パターンは異なっています。
糖尿病の方は、常に血糖値が高い状態が続きます。
常に血糖値が高い状態が続く原因は、肥満などによる
- インスリンの分泌不足
- インスリンの働きの低下(インスリン抵抗性)
によるものです。
食後2時間経っても140mg/dl以上
食後2時間経っても、血糖値が140mg/dl以上ある場合は食後高血糖と判断されます。
食後高血糖になる原因は、インスリンの分泌不足や働きが不十分なことによるものです。
食後高血糖の場合は「隠れ糖尿病」が疑われます。
「隠れ糖尿病」は空腹時の血糖値は正常なのに、食後の血糖値だけ大幅に上がるものです。
食後高血糖値(140mg/dl以上)が続くと糖尿病発症や予備軍であるリスクが高まります。
食後高血糖の正確な判断は、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)で検査します。
一度に血糖値が急上昇して急降下する血糖値スパイクがある
食後の血糖値が一度に急上昇し、急降下する状態を「血糖値スパイク」といいます。
血糖値の推移をグラフにするとスパイク(トゲ)のように急上昇急降下するからです。
血糖値の乱高下が起こる原因には以下のようなものがあります。
- インスリンの分泌能力減退による血糖値の急上昇
- 急上昇した血糖値を抑えるためのインスリンの大量分泌による急降下
血糖値の乱高下は血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こすリスクを高めます。
食後の血糖値の基準値
健康な人の食後の血糖値について以下の4つに分けて基準値を説明します。
- 食事前
- 食後すぐ
- 食後30分~1時間
- 食後2~3時間
食事前
食事前の血糖値は、通常約70~100mg/dlとされています。
糖尿病の検査で行う空腹時血糖、HbA1c (NGSP)の基準値では以下のようになっています。
【空腹時血糖、HbA1c (NGSP) の基準値】
(単位:mg/dl)
異常なし | 軽度異常 | 要再検査 ・ 生活改善 | 要精密検査 ・ 治療 |
空腹時血糖:99以下 かつ HbA1c :5.5%以下 | 以下①②のいずれか ①空腹時血糖:100~109かつ HbA1c :5.9%以下 ②空腹時血糖:99以下かつ HbA1c :5.6~5.9% | 以下①~④のいずれか ①空腹時血糖:110~125 ②HbA1c :6.0~6.4% ③空腹時血糖:126以上 かつ HbA1c :6.4%以下 ④空腹時血糖:125以下 かつ HbA1c :6.5%以上 | 空腹時血糖:126以上 かつ HbA1c :6.5%以上 |
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)は血糖コントロールを判定する数値です。
健康診断の基本検査項目の1つです。
血糖値が高いとHbA1cの値も高く、血糖値が低いとHbA1cの値も低くなります。
出典:厚生労働省【血糖値 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
食後すぐ
食後すぐの血糖値の基準値(目安)は、100~120mg/dlです。
食後の血糖値の上昇は、できるだけ緩やかにすることが糖尿病の予防につながります。
血糖値の急激な上昇は、インスリンの過剰な分泌を促し糖尿病の発症のリスクを高めます。
空腹状態でのドカ食いなどは「血糖値スパイク」を起こしやすくなります。
食後30分~1時間
食後30分~1時間の血糖値の基準値(目安)は、125~140mg/dlです。
健康な人の食後血糖値のピークは60分以内とされています。
食後に時間を決めずに採取した血糖値に、随時血糖値と呼ばれるものがあります。
随時血糖値は60分以内であれば140mg/dlを目安とされています。
60分以内の随時血糖値は、空腹時の正常値100mg/dlに対応するものです。
食後2~3時間
食後2~3時間の血糖値の基準値(目安)は、120~100mg/dlです。
食後血糖値は、60分あたりをピークに下がり始め、3時間ほどで100mg/dlになります。
健康な人の食後血糖値のパターンを糖尿病の人と比べると
- 糖尿病の人の食前血糖値は約150mg/dlあたり
- 糖尿病の人の食後血糖値のピークは150分あたり
など、健康な人に比べて食前から血糖値が高く、ピークを迎えるのも遅くなっています。
出典:厚生労働省【保健指導対象者の選定と階層化における 随時血糖値の判定基準について】
出典:【食後高血糖とは? | 尿糖チェックで糖尿病コントロール(図2)】
食後の血糖値を下げる方法
食後の血糖値を下げる方法について以下に5つ挙げました。
- 食事中の対策
- 食事の内容
- 水分をしっかりととる
- 運動する
- サプリを使う
それぞれの方法についてご紹介します。
食事中の対策方法
食事中にできる血糖値を下げる対策には以下のようなものがあります。
- 1口20回以上噛む
- 摂取カロリーを変えずに1日の食事回数を増やす
- 副菜から初めて次に主菜で最後に主食の順番で食べる
それぞれの対策方法についてご紹介します。
1口20回以上噛む
早食い防止のために、よく噛んで食べることが食後血糖値上昇の対策になります。
インスリンの分泌量はすい臓のβ細胞に達する量によって増減します。
早食いをして、一気に糖が吸収されると短時間で血糖値が上昇することになります。
早食いを抑えるために、ゆっくりと噛んで食べることで血糖値の上昇を緩やかにできます。
対策として「1口20回以上噛む」「1口30回噛む」などが提唱されています。
厚生労働省も「噛ミング30」をキャッチフレーズに食育推進のあり方を示しています。
成人に対する「噛ミング30」は肥満予防、生活習慣病予防を目的としたものです。
血糖値を下げる対策としても参考になるでしょう。
出典:【「食べ方」を通した食育の推進 – カミング サンマル】
摂取カロリーを変えずに1日の食事回数を増やす
摂取カロリーを変えずに、1日の食事回数を増やして食後血糖値を下げられます。
食事回数を減らすことで、1回あたりの糖質の摂取量が減るからです。
また、食事回数を減らす時には、食事の間隔を4時間程度空けましょう。
食後の血糖値の推移は、60分あたりをピークに3~4時間で食前のレベルに戻るからです。
ただし、1日の最後の食事は遅い時間になりすぎないようにしましょう。
夜遅い食事は肥満の原因になりやすいからです。
出典:厚生労働省【保健指導対象者の選定と階層化における 随時血糖値の判定基準について】
出典:【食後高血糖とは? | 尿糖チェックで糖尿病コントロール(図2)】
副菜から初めて次に主菜で最後に主食の順番で食べる
食べる順番を副菜、主菜、主食にすることで食後血糖値を下げられます。
野菜などに含まれる食物繊維が食後血糖値を下げる働きをするからです。
食物繊維が胃の中で糖分の消化吸収を緩やかにし、血糖値を下げることがわかっています。
特に粘り気のある食物繊維は、胃から腸への移動が遅いためより吸収が穏やかになります。
また、食物繊維は満腹感を得やすいことから、食べ過ぎを抑制する効果も期待できます。
食事の内容
食事の内容を以下のように工夫することでも食後血糖値を下げられます。
- 炭水化物を摂りすぎない
- 温かい食べ物を食べる
- 食物繊維が豊富な食べ物を食べる
それぞれの方法について説明します。
炭水化物を摂りすぎない
炭水化物(糖質)を摂りすぎない工夫をしましょう。
炭水化物の摂りすぎは、血液中のブドウ糖濃度を上げ、血糖値の上昇につながるからです。
ただ、炭水化物はエネルギーの産生に必要で炭水化物の1日の摂取基準も示されています。
1日の摂取エネルギー2,000kcalの場合で250g~325gとなっています。
出典:【三大栄養素の炭水化物の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット】
炭水化物の摂りすぎは控え、食事を工夫することで血糖値はコントロールできます。
温かい食べ物を食べる
食事メニューに温かいものを加えることも血糖値を下げることにつながります。
食後血糖値を上げる原因に、早食い、ドカ食いがあります。
吸い物など温かいものを1品加えることで、早食いなどを抑制できます。
食物繊維が豊富な食べ物を食べる
食物繊維を摂ることが有効なことは、副菜を先に食べるなどのところでも説明しました。
食物繊維を豊富に摂ることで
- 糖質の吸収を緩やかにする
- 胃の中に留まりやすいので満腹感を得られる
など食後血糖値を下げる効果が期待できます。
食物繊維の多い食材には以下のようなものがあります。
- 野菜類:切干し大根、しそ、モロヘイヤ、ごぼうなど
- 豆類:いんげん豆、おから、糸引き納豆、がんもどきなど
- きのこ類:乾燥きくらげ、干ししいたけなど
水分をしっかりと摂る
水分をしっかり摂ることも食後血糖値を下げる対策になります。
水分を摂ることによる健康効果には以下のようなものがあります。
- 基礎代謝がアップして痩せ体質を作る
- 食べ過ぎない(食べるペースがゆっくりになり満腹感も得られやすい)
- 血液をさらさらにする
水分の補給は健康全般にも大切なことです。
厚生労働省は「健康のため水を飲もう」推進運動を実施しています。
「水分補給はこまめに」、「あと2杯水を飲む」など日常的にとり組みたい運動です。
出典:厚生労働省【「健康のため水を飲もう」 推進委員会、後援: 厚生労働省】
運動する
食後に運動することで血糖値を下げられます。
運動で筋肉を使うことで、血液中のブドウ糖を大量に消費できるからです。
運動は食後1時間以内に行うことや継続することが効果的とされています。
とり入れる運動は有酸素運動のウォーキングやジョギングがおすすめです。
また、筋トレで筋肉量を増やすことも糖を消費しやすい体作りに効果的です。
サプリを使う
食後の血糖値に対するサプリがあります。
ただし、サプリは薬のように血糖値を下げる作用はありません。
サプリでは、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。
血糖値に作用するサプリを選ぶポイントは以下の4つです。
- トクホ(特定保健用食品)を選ぶ
- 関与成分を確認する(難消化性デキストリン、サラシアなど)
- 飲みやすさ(粒状タイプ、飲料タイプ、粉末タイプなど)
- 購入方法(ネットショップ、ドラッグストアなど)
食後の血糖値が高いことを放置する危険性は?
食後の血糖値が高いことを放置する危険性には以下のようなものがあります。
- 糖尿病の三大合併症になる危険性がある
- 脳卒中・脳梗塞が発症しやすくなる
- 心筋梗塞が発症しやすくなる
それぞれの危険性についてご紹介します。
糖尿病の三大合併症になる危険性がある
糖尿病の三大合併症は以下の3つです。
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病性網膜症
- 糖尿病性神経障害
それぞれの合併症についてご紹介します。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症は透析が必要になる1番の病気です。
糖尿病性腎症は高血糖を原因として起こる血管障害で、腎臓の働きが低下するものです。
腎臓の働きが極端に低下すると、不純物が血液中に溜まるために透析が必要になります。
糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症は、高血糖によって網膜の細かい血管が障害されて起こります。
網膜は、瞳孔を通って入ってきた光が焦点を結ぶスクリーンの役割を果たすものです。
糖尿病性網膜症は自覚症状に乏しく、気がついた時は手遅れということがあります。
眼科での定期的な受診が大切です。
糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害は、高血糖によって起こる神経障害です。
神経は全身に及ぶので、障害の影響もいろいろな症状として全身にあらわれます。
主な症状には
- 手足のしびれや痛み
- ひどい下痢や便秘
- ひどい立ちくらみ
など多岐にわたります。
脳卒中・脳梗塞が発症しやすくなる
食後の高血糖を放置していると、脳卒中や脳梗塞を発症しやすくなります。
脳卒中は、脳の動脈硬化が進んで脳の血管が詰まったり破れたりする病気の総称です。
脳梗塞は脳卒中の1つで、脳の血管が詰まって血液が流れなくなって起こる病気です。
脳卒中の約75%は脳梗塞が占めています。
脳梗塞は以下のような生活習慣病を抱えている人がかかりやすい病気です。
高血圧 | 脂質異常症 |
糖尿病 | 肥満症/メタボリックシンドローム |
心房細動 | 喫煙 |
中でも、糖尿病は高血糖が続く状態で、血管を破壊して動脈硬化を起こす原因となります。
動脈硬化は脳や心臓の血管に影響が出やすく、脳卒中や脳梗塞の原因となるのです。
心筋梗塞が発症しやすくなる
食後の高血糖を放置していると、心筋梗塞を発症しやすくなります。
脳卒中や脳梗塞と同様に、糖尿病から動脈硬化を起こして心臓の血管に影響を及ぼします。
心臓の筋肉は冠動脈から酸素や栄養の補給を受けて血液を全身へ送る活動をしています。
心筋梗塞は、動脈硬化で心臓の血管が詰まって血液が流れなくなって起こります。
動脈硬化で、心臓は酸素不足となり、心臓の細胞が壊死して心筋梗塞になるのです。
食後の血糖値が高いか正確には検査が必要
食後の血糖値が高いか正確に診断するには75gOGTTという検査が必要です。
75gOGTTとは75g経口ブドウ糖負荷試験のことで、血糖値の変化を測定するものです。
測定方法は
- 測定は10時間以上絶食後に行う
- 空腹状態で75gのブドウ糖を飲む
- 30分・60分・90分・120分後に採血して血糖値の変化を測定する
120分後の血糖値が140mg/dl以上ある場合は食後高血糖と判定されます。
出典:厚生労働省【食後高血糖 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)】
健康診断では、空腹時血糖値及びHbA1cの検査が行われます。
診断の基準値は、「食事前の血糖値の基準値」で示した通りです。
食後の血糖値に関するよくある質問
食後の血糖値に関するよくある質問を以下に4つ挙げました。
それぞれの質問に対して回答したのでぜひ参考にして下さい。
食後血糖値の目標値はいくつですか?
日本糖尿病学会による食後血糖値のHbA1c目標値は以下の通りです。
- 血糖値正常化を目指す際の目標:6.0%未満
- 合併症予防のための目標:7.0%未満
- 治療強化が困難な際の目標:8.0%未満
日本糖尿病学会では、高齢者のHbA1c目標値も示しています。
高齢者の目標値は、患者の特徴・健康状態などに応じ、7.0%未満~8.5%未満です。
出典:【高齢者糖尿病の血糖コントロール目標 (HbA1c値)】
糖尿病の食後2時間値はいくつですか?
健康な方の場合は、食事前の血糖値は70~100mg/dlで、食後2時間では140mg/dl未満です。
食後2時間の血糖値が140mg/dl以上の場合を食後高血糖といいます。
食後高血糖が高い状態が続くと糖尿病を発症しやすくなります。
出典:厚生労働省【食後高血糖 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
血糖値は食後どれくらいの時間で上がるのですか?
健康な人の食後血糖値は60分あたりをピークに、あとは下がり始めます。
食後3時間当たりで空腹時の100mg/dlあたりにまで戻ります。
したがって、食後1時間までにお菓子など糖分を摂ると糖質が追加されることになります。
糖質が追加されて、高血糖状態が続くことになる食べ方は避けましょう。
また、食事の間隔を3時間は空けるようにしましょう。
出典:厚生労働省【保健指導対象者の選定と階層化における 随時血糖値の判定基準について】
血糖値はいくつまでなら大丈夫?
血糖値の正常範囲は
- 食前血糖値:70~100mg/dl
- 食後2時間血糖値:140mg/dl未満
となっています。
一方、70mg/dl未満を低血糖といいます。
低血糖も値が下がるにつれて症状が重くなり、30mg/dl未満では
- 錯乱
- 意識喪失
- けいれん
- 昏睡状態
など重篤な症状に陥ります。
出典:【重症低血糖の備え】
したがって高くても低くても体に悪い影響があります。
適正な血糖値を維持する基本は、バランスのとれた食生活、適度な運動にあります。
しっかりと日々の生活をコントロールしていくことが大切です。
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食後の血糖値のまとめ
ここまで食後の血糖値についてお伝えしてきました。
食後の血糖値についての要点を以下にまとめます。
- 食後の血糖値は、通常は誰でも上昇し元に戻る・上昇しやすい食べ物がある・食後血糖値が高いと糖尿病の可能性がある・食後に急上昇する血糖値スパイクが起こる、などがある
- 食後血糖値の目安は、食後すぐで100~120mg/dl、30分~1時間で125~140mg/dl、2~3時間で120~100mg/dl
- 食後血糖値を下げる方法には、食事の方法や内容の工夫、水分の補給、運動、サプリの利用などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。