胸のしこりや痛みを見つけたら、乳がんかも…?と疑ってしまいますよね。
ただ、胸のしこりと言っても良性のものと悪性のものがあり、それを区別する必要があります。
そこで、本記事では以下の項目を中心に解説します。
- 胸のしこりについて
- しこりのセルフチェック
- 乳がんのしこり以外の特徴
- 乳がんのしこりの治療について
乳がんのしこりについて参考になる情報を得られるので、ぜひ最後までお読みください。
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乳がんとしこりについて
乳がんは女性の健康にとって重大な問題となる疾患の一つで、乳房のしこりの自己チェックが早期発見に非常に重要です。
しかし、乳房にしこりがあるからといって、必ずしも乳がんとは限りません。
乳がんと乳房の基本情報
乳房は、乳頭(乳首)から乳房全体に放射状に広がる乳腺と呼ばれる構造を持っています。
乳腺には、乳がんだけでなく、乳腺炎などの良性の病気でもしこりが見られます。
乳腺にできるしこりの80~90%は良性と言われています。
乳がんと間違えやすい病気について理解することは、早期発見と適切な治療につながります。
乳がんによるしこりの特徴と症状
乳がんのしこりは、ゴリっと硬く、表面がデコボコで境目がはっきりしないことや、形が整っていないことが特徴です。
また、乳がんのしこりは周囲の組織に癒着してあまり動かないことがよくある特徴と言われています。
乳がんのしこりが一番できやすい場所は、左右の乳房ともに外側上部の部分と言われています。
乳がんのしこりと良性しこりの見分け方
良性のしこりとしてよくある例は、
- 乳腺症
- 乳腺炎
- 乳腺繊維腺腫
- 葉状腫瘍
などがあります。
良性のしこりは、弾力性があったり、コロコロ動いたりする場合が多いです。
一方で、乳がんのしこりは、硬い、表面がデコボコして形が整っていない、あまり動かないなどがよくある特徴と言われています。
乳がんかどうかの判断は、医療機関で受けることが勧められています。
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乳がんのしこりの特徴と感触
乳がんのしこりは、その外見や触れる感触からも特徴を読み取ることができます。
乳がんのしこりは、硬く、さわっても乳房の中で動かないか動きづらい、そして痛みのないしこりが特徴的です。
しかし、しこりが見つかっても、そのすべてが乳がんだとは限りません。
乳がんのしこりの外見と形状について
乳がんが進行すると、乳房の皮膚が内側から引っ張られるようになります。
症状の悪化に伴い、乳房や周辺の皮膚にひきつれやえくぼのようなくぼみが現れることがあります。
また、乳頭の形が変化したり、左右差が生まれたりするケースも見られます。
乳がんのしこりの感触と硬さの違い
乳がんのしこりは、硬く、さわっても乳房の中で動かないか動きづらい特性を持っています。
これは、乳がんの細胞が周囲の組織に侵入し、しこりが乳房の組織に固定されてしまうためです。
一方、良性のしこりは、比較的、弾力性があり、コロコロと動く傾向にあります。
これらの違いを理解することで、自己チェックの際に乳がんの可能性を見極める手助けになります。
乳がんのしこりが痛む場合の要注意ポイント
乳がんの初期段階で痛みがあることはまれです。
しこりが痛む場合、それは乳腺症や乳腺炎である可能性が高くなります。
しかし、乳がんの中にも痛みを伴うケースがないわけではありません。
乳がんが進行し、周囲の組織を侵害すると痛みを感じることがあります。
したがって、乳房にしこりを感じ、それが痛む場合は、乳がんの可能性も考え、専門の医療機関で診察を受けることが重要です。
乳がんは、女性に最もよく見られるがんの一つです。乳がんの初期症状とはどのような症状なのでしょうか?また、痛みは伴うのでしょうか?本記事では、乳がんについて以下の点を中心にご紹介します。 乳がんの種類とステージ分類 乳がんの症[…]
乳がんのしこりのセルフチェック方法
乳がんの早期発見には、自己検診が非常に重要です。
自分自身の体をよく知ることで、異常を早期に発見し、早期治療につなげることが可能となります。
自分で行う乳房のしこりのチェック手順
乳がんの自己検診は、入浴前、入浴中、おやすみ前の3つのシーンで行います。
入浴前のしこりチェック
入浴前には鏡の前で乳房を観察します。
- 両腕を下げた姿勢で、乳房や乳頭に変形や左右差がないかを確認します。
- 両腕を高く上げた姿勢で、正面・側面・斜めの3方面から乳房を確認します。
- 乳頭を軽くつまんで血のような分泌液が出ていないか確認します。
入浴中のしこりチェック
入浴中には、
- 皮膚の凹凸が分かりやすくなるように、手に石けんをつけて滑りやすくします。
- 腕をあげ、乳房の表面で円を描くように触れて、しこりやこぶなどがないか調べます。
- わきの下に手を入れ、リンパ節が腫れていないか確認します。
おやすみ前のしこりチェック
おやすみ前には、
- 仰向けに横たわります。
- 腕を上げて、乳房の内側を指で優しく押しながら確認します。
- 腕を下げて、乳房の外側を指で優しく押しながら確認します。
- わきの下に手を入れ、指の腹で確認します。
セルフチェックで確認すべきしこりの位置とサイズ
乳がんは、左右の乳房ともに外側の上部に多く見つかっています。
そのため、特にこの部分のしこりを注意深く確認することが重要です。
しこりの大きさも重要なポイントで、小さなしこりでも乳がんの可能性があるため、どんなに小さなしこりでも無視せずに医療機関に相談することが推奨されます。
セルフチェックで注意すべきしこりの変化とサイン
セルフチェックでは、しこりだけでなく、
- 乳房の変形や左右差
- ひきつれ
- えくぼのようなへこみ
- ただれ
- 出血や異常な分泌物
なども注意深く確認することが重要です。
これらは乳がんの可能性を示すサインとなる可能性があります。
また、セルフチェックは、閉経前の方は乳房が柔らかくなる月経が終了してから1週間〜10日経った頃、閉経後の方は一定の日にちを決めて、毎月1回行うことが推奨されます。
少しでもいつもと違ったり、おかしいと感じたら、すぐに専門の医療機関を受診しましょう。
乳がんの検査と診断について
乳がんは日本人女性のがんの中で最も頻度が高く、年々増加傾向にあります。
その診断と検査方法は多岐にわたり、それぞれの手法が持つ意義と役割を理解することは、早期発見と適切な治療への道を開く鍵となります。
乳がんの検査方法
乳がんの検査は、
- 視触診
- マンモグラフィ(乳腺のレントゲン写真)
- 乳房超音波(エコー検査)
など、複数の手法を組み合わせて行われます。
これらの検査により、乳房内の異常を見つけ出し、良性か悪性かの推測を行います。
また、乳管内視鏡検査という手法もあり、乳頭から血が出るなどの異常乳頭分泌が乳がんによるものなのか否かを調べることが可能です。
細胞診や生検などの乳がんの確定診断
乳がんの確定診断には、病理学的検査が必要となります。
細胞診は病変と思われる部位から細胞を採取し、顕微鏡で調べることでがん細胞かどうかを判断します。
また、組織診(生検)は組織を塊として採取し、顕微鏡で調べる検査で、確定診断になります。
悪性で乳がんの場合、サブタイプも調べることができます。
乳がんのステージ判定と診断結果
乳がんのステージは、病状や進行度を把握するための重要な指標です。
ステージはIからIVまであり、数値が大きいほど進行度が高いことを示します。
ステージ判定は、血液検査や画像検査などにより行われ、治療方針の決定に大きく影響します。
また、ステージによる5年相対生存率や10年相対生存率などのデータも存在します。
ただ、これらはあくまで参考程度にとらえ、現在できること(治療)を行いながら日常生活が送れるよう、医療チームのサポートを受けましょう。
乳がんの治療と対応策
乳がんは、早期発見から進行した病期まで、その治療法は多岐にわたります。
手術、放射線療法、抗がん剤療法など、患者の状況や希望に応じて適切な治療法が選択されます。
乳がんの早期発見から進行した場合の治療法
乳がんの治療は、がんの性質や進行病期、身体の健康状態、年齢、合併する他の病気の有無などを考慮し、患者さんの希望も尊重しながら治療法を決定します。
早期の乳がんでは、外科的に腫瘍を切除する手術が一般的です。
また、ラジオ波熱焼灼療法という、腫瘍に針を刺してがん細胞を死滅させる治療法も存在します。
これは乳房を切らないため、整容性が優れています。
進行した場合でも、手術、放射線治療、薬物療法など、複数の治療を組み合わせることがあります。
乳がんの手術治療
乳がんの手術治療は、主に腫瘍の切除を目的とします。
ステージ0からIII期の人に対して行われ、乳房切除の成績はラジオ波熱焼灼療法と比較して劣らないとされています。
しかし、乳房切除は乳房を失うという大きなリスクを伴います。
一方、ラジオ波熱焼灼療法は乳房を保持できるため、整容性が優れています。
しかし、この治療法は早期乳がんに対するものであり、進行した乳がんには適用できません。
乳がんの放射線療法や抗がん剤療法
放射線療法は、手術後の局所再発を防ぐために行われます。
部分切除後の残存乳房や乳房周囲のリンパ節に照射することで、局所再発を防ぎます。
また、骨や脳に転移した方にも症状の緩和のために照射します。
一方、抗がん剤療法は、乳がんの症状の状態によって効果に違いがあり、再発予防や進行を抑制するために行われます。
しかし、脱毛や倦怠感、神経障害、骨髄抑制などの副作用があります。
これらの治療法は、それぞれがんの状態や患者の体調に応じて適切に選択され、組み合わされます。
乳がんのしこりに関するQ&A
乳がんの予防法は?
乳がんの予防には、定期的な乳がん検診と自己検診が重要です。
市から補助を受けて受診できる「市の乳がん検診」や、乳がんが心配で早期発見のために検査を希望される方への「自費乳がん検診」があります。
また、乳がん発見のためにセルフチェック(自己検診)を毎月1回行うことも推奨されています。
乳がんになる原因は?
乳がんの原因は多岐にわたりますが、一部の乳がんは遺伝的要素が関与しています。
また、年齢、初潮の年齢、初産の年齢、閉経後のホルモン補充療法、放射線への曝露なども乳がんのリスクを高める可能性があります。
しかし、乳がんになる具体的な原因は個々の病歴やライフスタイルによるため、一概には言えません。
乳がんのしこりは自然に消えることはありますか?
乳がんのしこりは自然に消えることはまれであり、検査と専門医の診断が必要です。
しこりが継続している場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
乳がんのしこりは必ず痛むのですか?
乳がんのしこりは必ずしも痛みを伴うとは限りません。
しこりに痛みを感じる場合もあれば、無痛の場合もあります。
しこりの特徴だけでなく、その他の症状も含めて専門医に相談しましょう。
乳がんのしこりについてのまとめ
ここまで乳がんのしこりについてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 胸にできるしこりの80~90%は乳腺炎などの良性の病気と言われている
- 乳がんのしこりの特徴は、乳房の変形や左右差、出血や異常な分泌物などがあり、それらの症状が見られた場合は医療機関に受診することが重要
- 乳がんの治療は、ステージや患者の状態に合わせて、手術、放射線療法や抗がん剤療法など適切な方法で行われる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。