ADHD(注意欠如多動症)は、子供だけでなく大人にも影響を及ぼす発達障害の一つです。
大人のADHDは、日常生活や仕事、人間関係に影響を及ぼす可能性があります。
また、この問題は自分だけでなく周囲の人々にも影響を及ぼすため、理解と対策が求められます。
では、大人のADHDの特性は何でしょうか?
そして、どのような対策が有効なのでしょうか?
この記事では、大人のADHDについて以下の項目を中心に詳しく解説します。
- 大人のADHDの特性
- 大人になってからADHDに気づくきっかけ
- 大人のADHDの治療法
最後までお読みいただくことで、ADHDの理解を深め、適切な対策を見つける手助けになることを願っています。
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大人のADHDの特性とは?
ADHD(注意欠如多動症)は、子供だけでなく大人にも影響を及ぼす発達障害の一つです。
大人のADHDの特性を理解することは、自己理解や他者への理解を深め、より良い対応策を見つけるために重要となります。
大人のADHDの特性
大人のADHDの主な特性は
- 不注意:集中力の欠如やケアレスミスを引き起こし、物忘れが多くなる
- 多動性:落ち着きがなく、じっとしていられない状態
- 衝動性:思いつきで行動してしまう傾向があり、計画性や先見性が欠ける
の3つです。
これらの特性は、日常生活や仕事、人間関係に影響を及ぼすことがあります。
大人のADHDの症状
大人のADHDの症状は多岐にわたります。
不注意の症状 | 集中力が散漫、ケアレスミスが多い、物忘れが多い、スケジュール管理が苦手など |
多動性・衝動性の症状 | 落ち着きがない、一方的なおしゃべりをする、感情が高ぶりやすい、金銭管理が苦手、自分の順番を待つのが苦手など |
これらの症状は、個々の状況や環境により異なる程度で現れ、その影響も人により異なります。
ADHDの症状に記憶障害もあるのでしょうか?
以下の記事で詳しく解説しています。
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大人のADHDが社会生活に及ぼす影響と対策
大人のADHDが社会生活に及ぼす影響は深刻な問題で、より良い社会生活を送るためには、個々の生活を改善することが重要になります。
以下では、大人のADHDが社会生活に及ぼす具体的な影響と、それに対する効果的な対策について詳しく解説します。
大人のADHDが社会生活に及ぼす影響
大人のADHDの特性は、日常生活や仕事場でのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。
代表的な例として、以下が挙げられます。
- 計画管理が苦手で、スケジュールの先延ばしや遅刻をしやすい
- うっかりミスが多く、物忘れが頻発する
- 一つの仕事に集中することが困難で、気が散りやすい
これらの特性は、仕事のパフォーマンスを低下させ、職場での信頼度を落とす可能性があります。
また、ADHDの特性により自分が上手く仕事をこなせず困るだけではなく、同僚や上司、客先にも影響を与えてしまうことがあるため、見過ごすわけにはいかないでしょう。
大人のADHDの対策と社会生活
大人のADHDの対策としては、医師や支援機関に相談することが重要です。
その他に、
- 整理整頓だけする時間を作る
- リスト化を徹底する
- ゲーム要素を取り入れる
- ツールを導入する
などの工夫も有効とされています。
さらに、就労移行支援事業所で仕事術や向いている職業を考えることもおすすめです。
これらの対策は、大人のADHDの人が自分自身の特性を理解し、社会生活と折り合いをつける対処方法を知り、自信を取り戻すことを目指しています。
また、家族からのサポートも大事です。
どのようなサポートをしてもらえばいいか分からない場合は、
主治医や専門機関の支援者から家族へ説明してもらえるよう相談することをお勧めします。
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大人のADHDとASDの違いとその理解
ADHDとASD(自閉スペクトラム症)は、どちらも発達障害の一つですが、その特性や症状は異なります。
それぞれの理解と対策について詳しく見ていきましょう。
大人のADHDとASDの違い
大人のADHDとASDの主な特性、影響は以下の通りです。
特性 | 影響 | |
ADHD | 不注意、多動性、衝動性 | 日常生活や仕事、人間関係に 影響を及ぼす |
ASD | 社会性の苦手さ、コミュニケーションの苦手さ、 想像力の不得手 | 対人関係や社会生活に 影響を及ぼす |
ADHDとASDは、それぞれ異なる特性を持つ一方で、
- ミスが多い
- 空気が読めない
- こだわりが強い
- 予想外の出来事に弱い
という共通した症状の特徴もあります。
大人のADHDとASDの理解と対策
大人のADHDの対策としては、認知行動療法や環境調整といった非薬物療法と、薬物療法があります。
また、周囲の理解とサポートも重要で、職場では指示を文書にして伝える、一度に多くのことを頼まない、
締め切りや約束には前もって声をかけるなどの配慮が求められます。
一方、ASDの対策には、本人の思考や行動パターンを変え、行動を改善することが中心となります。
特に、社会の中で生きていくためのソーシャルスキルの習得などが重要で、それぞれの目標に合った専門のグループケアなどを行っている医療機関などもあります。
また、全国のハローワークや、障害者職業センター、発達障害者支援センターなどでは、発達障害の特性に合った職業相談・就職支援を行っています。
双極性障害とADHDの違いについて、以下の記事で詳しく解説しています。
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大人になってから気づくADHDと治療法
ADHDは、子供だけでなく大人にも影響を及ぼす発達障害の一つですが、大人になってからADHDの症状に気づくことがあります。
その理由と治療法について詳しく見ていきましょう。
大人になってからのADHDの発見
大人になってからADHDの症状に気づくことがあります。
これは、子供の頃はADHDの特性が強くない場合や、ADHDの特性があっても周囲が受け止めてくれる場合があるからです。
しかし、社会人になると、仕事においてミスがあると注意されやすい環境となるなど、ADHDの特性によって困難が表面化することがあります。
そのため、初めて「もしかしたらADHDかも?」と思い、医療機関へ受診する人が多くいます。
大人になってからのADHDの発現は、個々の状況や環境により異なる程度で現れ、その影響も人により異なります。
大人のADHDの診断方法
大人のADHDの診断は、主に診察と検査によって行われます。
診察
診察では、生育歴、生活歴、現病歴、既往歴などを詳しく聞いていきます。
特に重要なのは、「今までの育ちの過程(生育歴)」です。
発達障害は幼少期から一貫した特徴であるため、乳幼児期の様子、就園・就学など成長の過程でそれらがどのように変化したか、周囲とのトラブルなどが見られたかなどを詳細に聞いていきます。
検査
診察の後、検査を行います。
検査には、様々な種類があり、それぞれに役割が異なります。
大別して、スクリーニング検査、評価・診断の検査、認知機能検査があります。
以上、診断と検査によって、医師が総合的に判断し、ADHDの診断がなされます。
大人のADHDの最新の治療法
大人のADHDの治療には、薬物療法と非薬物療法があります。
薬物療法では、
- メチルフェニデート(コンサータ)
- アトモキセチン(ストラテラ)
- グアンファシン(インチュニブ)
- ビバンセ
などの薬が用いられます。
これらの薬は、神経伝達物質のドパミンとノルアドレナリンが関与しているADHDの症状を改善すると考えられています。
非薬物療法では、認知行動療法や環境調整が行われます。
認知行動療法では、順序だてて考える方法や時間の使い方、環境の調整方法などを学びます。
また、ADHDの人は思いついたことをすぐに口にして対人関係の上でトラブルを起こすことがあるため、話す前には言っていいことかどうかを考えることも重要です。
これらの治療法では、患者が自身の特性を理解し、社会生活と折り合いをつける対処方法を知り、自信を取り戻すことを目指します。
ADHDの可能性?困った時の相談先
ADHDの疑いがある場合や、ADHDによって日常生活に支障が出て困っている場合、適切な支援を受けるためには専門的な相談が必要です。
困った時は、以下の相談先に相談することを検討してみてください。
発達障害者支援センター
発達障害のある人への支援を総合的に行う専門機関で、日常生活や仕事、人間関係など、幅広い相談に応じています。
また、発達障害のある人とその家族が豊かな地域生活を送れるように、各分野の関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら活動を行っています。
地域の保健所や保健センター
不眠、うつ、こころの病気に関する不眠や悩みの相談などを受け付けています。
医師などの専門家に相談することもできます。
精神保健福祉センター
こころの健康相談から精神医療に関わる相談などに応じています。
治療が必要かどうか相談することができ、相談に応じて近隣の医療機関を紹介してもらうことも可能です。
こころの健康相談統一ダイヤル
電話:0570-064-556 |
こころの問題について、本人や家族などが気軽に相談できる公的な窓口です。
電話をかけると、最寄りの公的な相談機関に接続します。
国や地方自治体などが運営しているので、相談は無料で秘密も守られます。
(フリーダイヤル以外の電話相談は通話料がかかります)
これらの相談先を利用することで、ADHDの疑いがある場合や、ADHDによって生活に支障が出ている場合でも、適切な支援を受けることが可能です。
自分一人で悩まず、適切な相談先を活用してください。
(出典:厚生労働省-困ったときの相談先)
大人のADHDのまとめ
ここまで大人のADHDについてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 大人のADHDの特性は主に3つあり、集中力の欠如やケアレスミスを引き起こす不注意、落ち着きがなくじっとしていられない多動性、思いつきで行動してしまう多動性がみられる
- 子供の頃はADHDの特性が強くなかったり、周囲が受け止めてくれることにより気づくことは少ないが、大人になるにつれて特性が強くなると、社会生活における問題が表面化することから、ADHDを自覚するケースが多い
- 大人のADHDの治療法としては薬物療法と非薬物療法があり、薬物療法ではメチルフェニデート(コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)、ビバンセなどの薬が用いられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。