夏から秋にかけて幼児を中心に流行する手足口病。
主に子供が発症する手足口病は、身近に子供がいる方、子供が保育園や幼稚園に通っている方にとっては
見過ごせない病気の1つですよね。
なかには「大人にも感染するの?」「予防方法を知りたい」と感じる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、手足口病はうつるのかについて以下の点を中心に詳しく解説します。
- 手足口病は大人にもうつる?
- 手足口病の感染経路と主な症状
- 手足口病の予防方法
手足口病について詳しく知りたい方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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手足口病とは?
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手足口病とは、手足や口内に水疱性の発疹が表れるウイルス性の感染症で、5歳未満の幼児が発症しやすい病気です。
夏季に流行のピークを迎えることから、「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」とあわせて
「子供の3大夏風邪」と呼ばれています。
手足口病の原因となるウイルスには複数の種類があるため、ウイルスに耐性がない場合は成人になってから
感染するケースもあります。
多くの場合1週間程度で自然治癒しますが、まれに髄膜炎や脳炎などの合併症を引き起こす可能性もあるため
注意が必要です。
また、手足口病に感染しても症状が表れない場合もあるので、
ウイルスが流行する時期は二次感染対策を意識しましょう。
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手足口病は大人にもうつる?
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手足口病の患者には5歳未満の幼児が多いといわれていますが、まれに大人が感染することもあります。
大人が手足口病に感染した場合、子供よりも症状が重くなるのが特徴です。
特に発疹の痛みが強く出る傾向にあり、発疹のできる部位によっては日常生活に支障が出ることも。
さらに、全身の倦怠感や関節痛、筋肉痛などの広範囲にわたる症状も表れやすくなります。
しかし、身近に子供がいない、身内に感染者がいないなどの理由で症状を見過ごしてしまい、
知らない間に感染を広げてしまう可能性もあります。
手足口病は、再感染の可能性やほかのウイルス感染が原因で再発する恐れもあるため、手足口病が流行する
夏季は特に注意が必要です。
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手足口病の感染経路
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手足口病の主な感染経路は、以下のとおりです。
- 飛沫感染
- 接触感染
- 糞口感染
手足口病は感染力が強く、日常生活の中にも感染リスクが潜んでいます。
ここでは、それぞれの感染経路について詳しく解説します。
飛沫感染
手足口病は、ウイルス感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染で容易に広がります。
ウイルスを含んだ唾液が最終的に目や鼻、口に入ることで感染が発生します。
感染の原因は手足口病のウイルスを含んだ唾液であるため、近い距離で会話をしただけで感染するケースもあります。
保育園や幼稚園など、子供が集団生活を送る環境で感染が広がりやすいのは、このためです。
また、保育園で感染した子供から親へ、親から周囲の大人へと感染はまたたく間に拡大します。
手足口病が流行する7月~9月は、咳エチケットやマスク着用などの基本的な感染対策が必要です。
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接触感染
ウイルスが付着した物を介して感染する接触感染も、手足口病の主な感染経路の1つです。
物に触れただけで感染することはあまりありませんが、ウイルスに触れた手で目や鼻、口を触ることで体内に
手足口病のウイルスが取り込まれてしまいます。
また、ウイルス感染者が調理した食材を口にした場合や、ウイルス感染者が触れたお皿で食事をした場合には、感染のリスクが高くなります。
接触感染はこまめな手洗いや消毒で防げるため、手足口病が流行する夏季は丁寧に手を洗うようにしましょう。
また、ドアノブやリモコンなど、触れる機会の多い物をこまめに消毒することも有効とされます。
糞口感染
糞口感染とは、ウイルス感染者の便から排出されたウイルスが手指に付着し、最終的に口や鼻に入ることで
発生する感染です。
ウイルスが付着した便器に触れる、ウイルスに感染した子供のおむつを替えるなど無意識のうちにウイルスに
触れる機会は多くあります。
手足口病に感染した場合は、水疱瘡や発熱などの症状が落ち着いたあとも便からウイルスが排出され続けるため注意が必要です。
手足口病の感染から2~4週間は便を介して感染を広げてしまうリスクがあるため、
排泄後や排泄物処理後の手洗い消毒を徹底しましょう。
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手足口病の症状
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ここでは、手足口病に見られる主な症状をご紹介します。
手足口病の主な症状は、以下のとおりです。
- 発疹
- 咽頭痛
- 全身の倦怠感
- 発熱
- 嘔吐/下痢
手足口病に感染した場合でも、必ずしも上記の症状が表れるとは限りません。
とはいえ、これらの症状が見られた場合は手足口病に感染している可能性があるため、二次感染を防ぐためにも病院の受診を検討しましょう。
発疹
手足口病の代表的な症状は、手足や口内に現れる発疹です。
赤みのある2~3mmの水ぶくれが特徴的で、手のひらや足の裏をはじめ目に見えやすい場所に発疹が表れます。
発疹は3~7日で自然に治まるケースがほとんどです。
体の表面にできる発疹が痛みを伴わないのに対し、口内にできる発疹は強い痛みを発することもあります。
特に舌周辺に発疹ができた場合は、痛みで食事がとれないことも。
痛みが強い場合は、熱い物や刺激物を避けた食事を心がけましょう。
口内の発疹も手足の発疹と同様に数日程度で症状が軽くなります。
咽頭痛
手足口病はウイルス性の感染症なので、風邪の症状と同様に喉の痛みが出ることもあります。
手足口病に感染した際は喉の痛みが先に表れるため、発疹が出てはじめて手足口病を疑うケースも多く発生しています。
風邪と同じく「喉の奥がイガイガする」ような痛みにはじまり、口内の水ぶくれや口内炎によってさらに痛みがもたらされるのも特徴です。
症状には個人差がありますが、喉の痛みが表れた場合は、喉あめや痛み止めを使用しながら
自然治癒を待ちましょう。
全身の倦怠感
手足口病に感染した場合、インフルエンザのように全身の倦怠感が表れるケースもあります。
特に、疲れや不快感などは大人が感染した際に見られる症状です。
手足口病に特効薬はないので、十分な休息をとって体を休めましょう。
なお、手足口病に感染した子供がぐったりしている場合は脱水症の恐れがあるため、
水分を積極的に補給するよう心がけ、必要に応じて病院の受診を検討してください。
発熱
手足口病に感染すると、喉の痛みとともに38度以下の発熱が起こることもあります。
発熱は感染者の3割程度に見られる症状で、発熱が起こっても高熱にならない場合がほとんどです。
1~2日程度の発熱が先行し、熱が下がるにしたがって発疹が表れるケースが多く見られています。
しかし、手足口病の症状には個人差があるため、発症後の体温変化には注意が必要です。
嘔吐・下痢
手足口病は腸管で増殖するウイルスが原因で発症するため、下痢や嘔吐の症状が表れるケースもあります。
ウイルスの特性上、便が緩くなったり腹痛を伴う下痢を起こすこともありますが、いずれも軽度の症状である
場合がほとんどです。
一方で、手足口病発症から2~3日後に発熱が表れたり嘔吐や頭痛が続く場合は、合併症の発症を疑いましょう。
脳や髄膜にウイルスが侵入している可能性もあるため、早めの受診が必要です。
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手足口病の原因
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ここでは、手足口病の原因について、以下の2つをご紹介します。
- エンテロウイルス
- コクサッキーウイルス
上記ウイルスは「ノンエンベロープウイルス」に分類され、アルコール消毒や熱への耐性が強く死滅しにくいといわれています。
エンテロウイルス
発熱や頭痛、喉の痛みや呼吸器症状がエンテロウイルス感染症の特徴です。
エンテロウイルスには数種類の株があり、そのうちのいずれもが感染症の原因となり得ます。
ウイルスの種類が複数あり感染力も非常に強いため、耐性のないウイルスから何度も手足口病に感染してしまうこともあります。
エンテロウイルス感染症には根本的な治療法がないため、解熱剤や鎮痛剤などで症状を和らげる対症療法が
行われます。
コクサッキーウイルス
エンテロウイルス群に属するコクサッキーウイルスも手足口病の原因となるウイルスです。
コクサッキーウイルスに感染した場合は、喉の痛みや発熱に加え、扁桃腺に口内炎ができるヘルパンギーナが
最初に発現します。
数日後に手足の発疹が出ることで、手足口病と診断されます。
エンテロウイルスと同様にコクサッキーウイルスへのワクチンや薬はないため、対症療法を行いながら
自然治癒を待つのが一般的です。
手足口病の潜伏期間
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手足口病の潜伏期間は、3〜6日といわれています。
潜伏期間を過ぎると、喉の痛みや手足の発疹といった症状が表れます。
また、ウイルスが消化器官に作用するため、食欲不振や下痢などの症状が見られることもあります。
手足口病では感染直後に症状が表れないため、知らない間にウイルスを広げてしまう可能性も否定できません。
しかし、最も感染力が強いのは手足口病の症状が見られる期間なので、症状が表れた際は二次感染対策を
行いましょう。
また、症状がなくなったあとも便からウイルスが排出されるため、感染から4週間程度は適切な排泄物の処理が
必要です。
手洗いや消毒などの感染予防は二次感染を防ぐことにも繋がるため、手足口病が流行する時期は
日頃の感染対策を意識しましょう。
手足口病の注意点
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ここでは、手足口病に感染した際の注意点をご紹介します。
手足口病の注意点は、以下のとおりです。
- 合併症を引き起こすことがある
- 脱水症を起こす可能性がある
子供が手足口病に感染した場合は、手足口病の症状だけでなく発症によって引き起こされる病気や新たな症状にも注意が必要です。
合併症を引き起こすことがある
手足口病に特別な治療は必要なく軽傷でおさまる場合が多いですが、まれに髄膜炎や脳炎、心筋炎などの合併症を引き起こすことがあります。
特に、エンテロウイルス71型から手足口病を発症すると、髄膜炎や脳炎のリスクが高まるといわれています。
手足口病発症後に、以下の症状がある場合は注意しましょう。
- 高熱が続く
- 嘔吐を繰り返す
- 強い頭痛がある
- 視線が合わない
- ぐったりしている
少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診してください。
脱水症を起こす可能性がある
子供の体内には多くの水分が含まれているため、水分摂取量が減少すると脱水症を起こす可能性が高まります。
手足口病によって口内に発疹ができた場合や喉の痛みがある場合でも、こまめな水分摂取を心がけましょう。
食事が喉をとおらない際は、経口補水液の服用も効果的とされます。
排尿の量や回数が少ない、尿の色が濃いなどの症状が見られたら脱水症を疑い、早めに病院を受診しましょう。
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手足口病の感染を防ぐ方法
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最後に、手足口病の感染を防ぐ方法について、以下の3つをご紹介します。
- こまめに手洗い/消毒をする
- 食器やタオル共用しない
- 排泄物を正しく処理する
手足口病に対するワクチンや抗ウイルス薬はないため、日頃から体力をつけておくこと、基本的なウイルス感染対策を行うことが必要です。
こまめに手洗い/消毒をする
手足口病の予防には、こまめな手洗いと消毒が有効とされます。
手足口病にアルコール消毒は効きにくいため、手洗いの際は流水と石鹸で爪の間までしっかり洗浄しましょう。
特に、排泄後やおむつ替えのあとは入念に手洗いを行う必要があります。
おもちゃやドアノブなどの消毒には、次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用しましょう。
薬液を含ませたペーパータオルで対象物を拭き、5分後に水拭きすることでウイルス除去の効果を発揮します。
次亜塩素酸ナトリウム溶液はドラッグストアで購入できるほか、家庭用の漂白剤を薄めることで
簡単に用意できます。
なお、次亜塩素酸ナトリウム溶液が皮膚に触れると皮膚トラブルのもとになるため、
直接触らないように注意しましょう。
食器やタオルを共用しない
手足口病のウイルスを体内に取り込まないために、食器やタオルは別々に使用しましょう。
身近にウイルス感染者が出た場合は、可能な限り接触を避ける必要があります。
とはいえ、食事や入浴、排泄など生活に必要な空間は共用することになるため、手や体に触れる物は個人専用の物を用意しましょう。
手洗い後にはペーパータオル、食事の際は使い捨てのお皿などを使用するのも効果的とされます。
また、身近に感染者がいる場合は自身に症状がなくてもウイルスに感染している恐れがあるので、
調理や配膳の際は手袋を装着しましょう。
ほかのウイルス性感染症と同様に、必要に応じてマスクを着用することも手足口病感染の予防となります。
排泄物を正しく処理する
手足口病のウイルスは便からも排出されるため、感染中の排泄物処理は適切に行う必要があります。
手足口病に感染した子供の排泄時やおむつ交換の際は、可能な限り排泄物が周囲に付着しないよう注意しましょう。
また、排泄物処理後には、感染者との接触面を次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒すると効果的とされます。
排泄物処理の際はゴム手袋とマスクを装着し、処理後には流水と石鹸で十分にウイルスを洗い流しましょう。
感染者の症状が治まったあとも便からウイルスが排出されるため、感染から2〜4週間は適切な排泄物処理を
継続する必要があります。
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まとめ
※画像はイメージです
ここまで手足口病はうつるのかについてご紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- 手足口病は主に5歳未満の幼児がかかるが、大人も感染することがあり、特に発疹の痛みや全身の倦怠感が強く、再感染のリスクもあるため注意が必要
- 手足口病は、感染者の唾液や排泄物がなんらかの経路で目や鼻、口に入ることで感染し、
手足の発疹や咽頭痛、発熱などの症状が表れる - 手足口病の予防には、石鹸での手洗いや次亜塩素酸ナトリウム溶液での共用部消毒、食器やタオルを
共用しないなどの対策が有効とされる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。