「手足口病はどんな病気?」
「手足口病の予防方法を知りたい」
手足口病が流行っている保育園や幼稚園に子どもを通わせている方の中には、上記のように考えている方も多いのではないでしょうか。
手足口病は夏に流行する乳幼児の三大夏風邪のひとつです。
基本的に軽症で治るとされますが、まれに重症化したり、大人も感染したりする点に注意が必要です。
本記事では、手足口病について以下の点を中心に詳しく解説します。
- 手足口病とは?
- 手足口病を予防する方法5選
- 手足口病にかかった場合の対処法4選
手足口病の症状にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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手足口病とは?
はじめに、手足口病の症状や感染経路などについて、以下の4つの項目にわけて解説します。
- 症状
- 感染経路
- 発生状況
- 放置しておくリスク
1.症状
1つ目に解説するのは「症状」です。
感染後3〜5日すると、口の中や手のひら、足の甲などに、2〜3mmの水ぶくれを伴う発疹が出ます。
約3分の1のケースでは発熱が見られますが、38度以下のことが多く、基本的に高熱が続くことはありません。
また、水ぶくれは、かさぶたにならずに治る場合が多く、1週間程度でなくなり、3〜7日すれば治る病気です。
場合によっては、1〜2か月後に手足の爪がはがれることもありますが、すぐに新しい爪が生えてくることが一般的です。
水ぶくれが口の中にできると、つぶれて口内炎ができることがあり、食事や飲み物を摂取できず、脱水症状を引き起こす可能性があります。
2.感染経路
2つ目は「感染経路」です。
手足口病の感染経路は大きくわけて以下の3つです。
- 飛沫感染
- 接触感染
- 糞口感染(便とともに排泄されたウイルスが口に入り感染すること)
2歳以下の子どもが感染しやすいため、乳幼児が生活をしている保育園や幼稚園では、とくに注意しましょう。
例えば、保育園では、乳幼児がおもちゃを舐めたり、複数の子どもが至近距離で一緒に遊んだりすることがあります。
子ども同士の距離が近く濃厚接触しやすい環境であったり、衛生面の知識が不十分であったりすることから、集団感染が起こりやすくなります。
乳幼児は、手足口病の原因であるウイルスに免疫のないことが多く、感染した子どもの多くが発病します。
すでにウイルスの感染を受けている場合が多いため、成人を含めた小学生以上の発症は多くありません。
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3.発生状況
3つ目は「発生状況」です。
国内では、毎年夏を中心に発生し、7月下旬が流行のピークです。
手足口病はインフルエンザや水ぼうそうなどが含まれる5類感染症のひとつで、全国約3,000か所の医療機関から週単位で感染状況が報告されます。
報告数は年々増えており、2009年から2019年まででは、2016年(69,139件)の報告数がもっとも少なく、2019年(402,529件)がもっとも多くなっています。
新型コロナウイルス流行中の2020年の報告数は例年を大きく下回り、2021年から2023年は9月から10月にかけて報告数がピークを迎えました。
2024年は4月頃から報告数が増加しており、週単位の平均は過去5年間よりも多い水準です。
出典:厚生労働省「手足口病」
4.放置しておくリスク
4つ目は「放置しておくリスク」です。
手足口病は基本的には軽い症状ですが、放置しておくと、まれに髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症や心筋炎などを引き起こします。
以下のような症状が見られた場合、医療機関の受診が必要です。
- 発熱が2日以上続く
- 呼びかけに答えない
- 呼吸が速くて息苦しそう
- ぐったりとしている
- 頭を痛がったり嘔吐したりする
無菌性髄膜炎の70〜80%程度を占めている「エンテロウイルス」は、手足口病の原因のウイルスです。
無菌性髄膜炎は発熱、頭痛、嘔吐の3つを主な特徴とし、一般的には1週間程度で治るとされます。
しかし重症化するリスクもあるため、適切な治療を受けることが重要です。
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手足口病を予防する方法5選
次に、手足口病を予防する方法を5つ解説します。
- 石鹸で手を洗う
- こまめに消毒する
- タオルや食器の共有を避ける
- 排泄物を適切に処理する
- 規則正しい生活を送る
予防方法①|石鹸で手を洗う
手足口病を予防する方法の1つ目は「石鹸で手を洗うこと」です。
前述した通り、手足口病は接触感染のリスクがあるため、帰宅後や食事前、トイレの後に石鹸で手をしっかりと洗うことが重要です。
エンテロウイルスは、アルコール消毒が効きづらいとされており、手指の消毒だけでは不十分です。
手を洗う際は、指先や指の間なども洗い残しがないように注意しましょう。
また、保育園や幼稚園などで集団感染を防ぐには、職員と子どものどちらもが石鹸でしっかりと手を洗うことが重要です。
有効とされるワクチンや予防薬などはないため、一般的な感染対策を徹底する必要があります。
予防方法②|こまめに消毒する
2つ目は「こまめに消毒すること」です。
接触感染を防ぐため、手で触れる機会の多い電気やスイッチ、おもちゃなどをこまめに消毒することが有効とされます。
前述した通り、エンテロウイルスは、アルコール消毒が効きづらいとされているため、次亜塩素酸ナトリウムを使うと良いでしょう。
次亜塩素酸ナトリウムは、エンテロウイルスだけでなく、黄色ブドウ球菌やノロウイルスなどにも効果があるとされています。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒液は、市販のハイターや漂白剤を薄めて作れます。
ほかの薬品と混ぜないように気をつけ、使用する際は手袋を着用し、十分に安全に配慮することが重要です。
予防方法③|タオルや食器の共有を避ける
3つ目は「タオルや食器の共有を避けること」です。
タオルや食器にはウイルスが付着しやすいため、共有すると感染が拡大するおそれがあります。
日頃の生活から、食器やタオルの共有を控え、別々のものを使うと安心です。
また、使い捨ての食器やウエットティッシュなどを活用するのも一案です。
使用後はすぐに洗剤で洗ったり、処分したりして、ウイルスに触れないようにしましょう。
手足口病は感染者の咳で出た飛沫や、飛沫がついているものを介して感染するため、接触しない環境作りを意識することが大切です。
予防方法④|排泄物を適切に処理する
4つ目は「排泄物を適切に処理すること」です。
手足口病は、治った後も便の中にウイルスが排泄される可能性があるため、排泄物の処理には注意する必要があります。
また、感染しても発病せずウイルスを排泄しているおそれもあります。
とくに子どものおむつ交換をする際は、排泄物を適切に処理し、石鹸での手洗いも忘れないことが重要です。
お風呂やトイレを分けて生活することが理想ですが、難しい場合は、感染者が最後に利用し、利用後に掃除や消毒を行いましょう。
発病した人を長期間隔離しただけで感染を防げるわけではないため、日頃の対策と発病時の迅速な対応が求められます。
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予防方法⑤|規則正しい生活を送る
5つ目は「規則正しい生活を送ること」です。
規則正しい生活を送り免疫力を高めると、感染を予防できます。
具体的には、以下のようなことを意識すると良いでしょう。
- バランスの良い食事をとる
- 睡眠の質を高める
- 適度な運動をする
- ストレスを溜めない
規則正しい生活は、手足口病だけでなく、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症対策にも有効とされます。
また、免疫力が高まると、がん発症のリスクをおさえることができるといわれています。
規則正しい生活を送れば、様々な病気に負けない体を作れます。
手足口病にかかった場合の対処法4選
次に、手足口病にかかった場合の対処法を4つ解説します。
- 医療機関を受診する
- 安静に過ごす
- 水分補給する
- のど越しの良いものを食べる
1.医療機関を受診する
手足口病にかかった場合の対処法の1つ目は「医療機関を受診すること」です。
手足口病には特効薬がないため、対症療法(症状を和らげたり消したりする治療)で対応することが一般的です。
医療機関からは、口内炎への鎮痛薬や粘膜保護剤の軟膏などが処方されることがあります。
また、熱がある場合は解熱剤を使って経過観察をしたり、かゆみをともなう水ぶくれがある場合は、アレルギー反応をおさえるための薬を塗ることもあります。
手足口病は十分に栄養と水分をとっていれば、軽症で自然に治ることがほとんどです。
しかし、高熱が続いたり、ぐったりしていたりする場合は、ほかの感染症のリスクもあるため、小児科や内科を受診する必要があります。
2.安静に過ごす
2つ目は「安静に過ごすこと」です。
体力を消耗しないようできるだけ安静にし、元気がある場合でも室内で静かに過ごすことが基本です。
子どもの場合は、熱が下がるまで保育園や学校は休ませましょう。
熱が下がって1日以上経過したり、水ぶくれの影響がなく食事がとれるようになったりしたら、保育園や学校に通っても問題ないとされています。
手足口病は出席停止対象の病気ではありませんが、医者に相談しながら対応しましょう。
症状や痛みは人によって異なるため、本人の体調や医者のアドバイスをもとに、対応を判断することが一般的です。
保育園や幼稚園によっては、感染拡大防止のため、報告を求められることもあります。
3.水分補給する
3つ目は「水分補給すること」です。
手足口病は口にも発疹ができ、痛みをともなうことがあります。
口の中が痛いため、食べ物や飲み物を摂取したがらない子どももいますが、脱水症状を引き起こす可能性があります。
そのため、意識して水分補給することが重要です。
オレンジジュースのような刺激がある飲み物は避け、麦茶や牛乳などを飲むことがおすすめです。
常温か少し冷たい飲み物を少しずつ摂取すると良いでしょう。
また、冷やしたスムージーやスープなどであれば栄養がとれ、子ども用のイオン飲料やジュースであれば、糖分も摂取できます。
4.のど越しの良いものを食べる
4つ目は「のど越しの良いものを食べること」です。
口の中にできた発疹が痛み、通常の食事がとれないこともあるため、のど越しの良いものを少しずつ摂取させるのがおすすめです。
具体的には以下のものがあげられます。
- プリン
- ゼリー
- アイスクリーム
- 冷めたおじや
- 豆腐
あまり噛まずに飲み込め、刺激の少ない食べ物を選びましょう。
子どもが食べたがらないときは無理に食べさせる必要はありませんが、栄養を摂取できるように様子を見ることが大切です。
大人の場合も同様で、熱いものや塩辛いものは避け、うどんやバナナなどを食べると良いでしょう。
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手足口病に関するよくある質問|Q&A
最後に、手足口病に関するよくある質問について回答します。
- 手足口病は大人でもかかりますか?
- 手足口病の潜伏期間はどのくらいですか?
- 手足口病はいつ頃流行りますか?
- 手足口病が疑われる場合は何科に行けば良いですか?
- 手足口病の初期症状はどのようなものですか?
手足口病は大人でもかかりますか?
手足口病は、大人でもかかります。
大人の場合、子どもから感染するケースが多く、子育て中の家庭や職場などは注意が必要です。
大人は子どもよりも症状が重く出やすいことが特徴で、重度の場合は仕事や外出が難しくなるケースもあります。
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手足口病の潜伏期間はどのくらいですか?
手足口病の潜伏期間は、3〜5日程度とされています。
回復しても口呼吸から1〜2週間、便から2〜4週間にわたってウイルスが排泄されるため、手洗いが欠かせません。
一人がかかると兄弟姉妹にも感染するリスクがあり、家庭内感染を防ぐためにも、手洗い・うがいを徹底することが重要です。
手足口病はいつ頃流行りますか?
手足口病は、夏に流行り、7月下旬ごろにピークを迎えます。
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手足口病が疑われる場合は何科に行けば良いですか?
手足口病が疑われる場合は、小児科、内科、皮膚科のいずれかを受診することが一般的です。
4歳程度であれば、基本的には小児科を受診しましょう。
大人の場合、発熱症状があれば内科、発熱はないものの、口内炎や発疹がある場合は皮膚科を受診します。
手足口病の初期症状はどのようなものですか?
手足口病の初期症状では、口の中や手のひら、足の裏などに、2〜3mmほどの発疹ができます。
発熱の症状が出ないケースもあり、体に発疹ができてから手足口病だと気づくこともあります。
手足口病まとめ
ここまで手足口病についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 手足口病は、主に口や手足に水ぶくれができる感染症で、夏に流行することが多い
- 手足口病予防には、石鹸での手洗い、こまめな消毒、タオルや食器の共有を避けること、排泄物の適切な処理、規則正しい生活を送ることが重要
- 手足口病にかかった場合の対処法として、医療機関を受診し、安静に過ごすことが重要であり、水分補給をしっかり行い、のど越しの良いものを食べて栄養を摂ることが推奨される
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。